著者
川名 はつ子 野中 浩一 三浦 悌二
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.31-36, 1994-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
24
被引用文献数
1

日本では早生まれの多い現象が1960年代半ばにはほとんど消えて, 1年中ほぼ平均して生まれるようになった.隣接する韓国・朝鮮との差異を検討するため, 日本人と朝鮮・韓国人の出生季節分布を, 古くからの記録を用いて約300年にわたり比較した.出生数の「早春の山と初夏の谷」の傾向が最もはっきりしていたのは, 19世紀以降のおよそ1世紀半の間の日本であり (山/谷比=約1.5) , その間, 朝鮮・韓国では分布の形は日本と同様ながら, その変動幅は小さかった (山/谷比=約1.1) .ところが日本で季節性の消失した1960年代以降にも, 韓国では早生まれが減少せず, とくに1970年代には「早春の山と初夏の谷」はむしろ明瞭になりつつあるという違いが生じている.日本の早生まれ喪失現象が, 一般に言われていたような, 冷暖房や冷蔵庫の普及などによる脱季節化に起因するものならば, 韓国でも何年かの時差はあっても同様の経過をたどるはずなのに, 却って差が拡大していることから, 冷暖房や冷蔵庫の普及などとは別の要因が働いているらしいことが示唆された.
著者
川名 禎
雑誌
千葉経済大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Chiba Keizai College (ISSN:13498312)
巻号頁・発行日
no.9, pp.35-43,

In Earthquake of the Pacific coast of Tohoku, damage by the liquefaction-Fluidization occurred frequently in Chiba. Particularly in Asahi-shi, much liquefaction-Fluidization damage happened in slight highlands such as dune, where iron sand had been mined in 1960s. Because such the grounds are loose by being digged, liquefaction is easy to happen In addition, the liquefaction is related to the height of the groundwater. By examining the places where iron sand was mined and dune was in the past, it is found that someplace may have happen liquefaction-Fluidization. This study is useful for production of hazard maps.
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学部
雑誌
立正大学心理学研究年報 The journal of psychology Rissho University (ISSN:21851069)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-13, 2017

インターネット調査(調査参加者は、日本全国からのサンプルで968名の男性と967名の女性。年齢20歳~49歳)で集積したデータをもとに、愛情関係にある男女における交流内容(コミュニケーション、共行動、身体接触)と心理的魅力(情熱性、親密性、性欲性、コミットメント)との関係を分析し検討した。 分析の結果、以下のような知見が得られた。性欲性と関係の深い交流内容は男女とも身体接触であった。情熱性との関係では身体接触、コミュニケーションとの関係が深く、女性においては共行動は情熱性を排斥する負の関係にあった。親密性との関係では、男性においては共行動、身体接触、コミュニケーションという関係順位であり、女性においてはコミュニケーション、共行動、身体接触という順序であった。男性においては身体接触が、女性においては、コミュニケーションが親密性の構築に影響を及ぼしているようである。コミットメントとの関係では、男女とも身体接触が最も大きな影響力があり、続いて共行動、コミュニケーションという関係順序であった。 性欲性は身体接触によって、情熱性は身体接触とコミュニケーション、親密性はコミュニケーション、共行動、身体接触によって、コミットメントは、これら3 つの交流内容のうち、特に身体接触によって進展するという知見が得られた。
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学研究所
雑誌
立正大学心理学研究所紀要 The journal of the Institute of Psycology, Rissho University (ISSN:24322059)
巻号頁・発行日
no.14, pp.3-12, 2016

愛情関係にある男女における心理的魅力の変化を分析研究するためにインターネット調査を行った。調査参加者は、日本全国からのサンプルで968名の男性と967名の女性であった。年齢は、20歳~49歳であった。調査サンプルは、異性の相手が友人、片思い、精神的恋人、性的恋人、婚約者、配偶者の6つの交際進展段階に分類された。親密性、情熱性、性欲性、コミットメントという4つの男女を結び付ける心理的魅力について分析がなされた。これらの心理的魅力因子が性別、関係進展段階、本人の年代について比較研究がなされた。 分析の結果、以下のような知見が得られた。男性は女性より、性欲性がすべての関係段階で上回っていた。女性は、相互の愛情的関係が形成された後では、男性以上に親密性が高いことが分かった。男性は片思い段階以後のすべての段階で女性より情熱性が高いことが分かった。女性は、片思い以後、結婚以前まで情熱性は男性と同じ程度に高かった。男性は男女の関係段階の初期から性的恋人になるまで、積極的に相手の女性にアプローチすることが分かった。女性は、男女の関係段階の最後の段階の婚約、結婚段階で相手へのコミットメントが大きくなることが分かった。最後に、相互作用的要因と心理的魅力要因との関連性について今後の分析が示唆された。 Internet survey was conducted to study the changes of psychological attractions between men and women in love relationships. The survey participants were 968 males and 967 females with ages between 20~49, living in Japan. Samples were divided into 6 different stages of love relationships: friend, unrequited, platonic, love-sexual, affianced and married. The levels of psychological attractions; intimacy, passion, sexuality and commitment were investigated. To assess age and gender differences in these psychological attractions, I have compared between males and females in 20's, 30's and 40's. The results revealed that male were found to be more intensive in sexuality than females in all the stages. Females were found to be more intensive in intimacy than males after mutual loverelationships. Men tend to be more passionate in all stages especially after unrequited stage. Females are equally more passionate in love relationships before marriage. The study also suggested that men are more active in approaches in the early stages of love relationship whereas women are found to be more committed in the later stages of love relationships, especially after engagement. Finally, the association between interactions and psychological attractions were suggested.
著者
吉川 裕之 八杉 利治 川名 敬 松本 光司 松本 光司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

現在の子宮頸癌予防ワクチンはHPV型特異的で、HPV16/18感染だけを予防するので、子宮頸癌罹患の減少は最大70%である。HPV型共通であるL2領域の複数のペプチドをL1とともに発現させ、すべての発癌性HPVによる子宮頸癌を予防可能なHPVワクチンとして開発した。今後、臨床試験が必要である。
著者
小関 武史 深貝 保則 玉田 敦子 坂本 貴志 武田 将明 松波 京子 川名 雄一郎 長尾 伸一 屋敷 二郎 福島 知己 福田 名津子 逸見 竜生 坂倉 裕治 隠岐 さや香 飯田 賢穂
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

18世紀西洋の啓蒙は、科学、技術から政治思想に至る広範な領域で、19世紀以後の知の原型を与えたと考えられてきた。また20世紀後半以後の「近代」批判に対しては、啓蒙の現代的意義が主張されてきた。他方近年の啓蒙研究は、膨大な資料の丹念な発掘と読解、あるいはデジタル化などの新技術に基づき、当時のテクストを時代の文脈の中に位置づけ、多様で複雑な知の在り方を明らかにしてきたが、現代思想における近代批判や啓蒙の再評価に応える統一的な像を提起するには至っていない。本研究は啓蒙研究の現段階の方法と成果を総合し、「浮動する知の境界」という視点から多方面の貴重資料の分析を行い、啓蒙の知の総合的な解釈を試みる。
著者
内藤 結花 石井 正和 川名 慶治 坂入 由貴 清水 俊一 木内 祐二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.735-740, 2009-06-01 (Released:2009-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 8

Pharmacists in a community pharmacy may recommend an over-the-counter (OTC) drug to patients with headache. However, it is not clear how pharmacists should distinguish the symptoms of patients and facilitate appropriate self-medication. Here, we investigated the role of pharmacists in a community pharmacy in recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache and elucidated their future needs using a questionnaire intended for doctors and pharmacists. More than half of the pharmacists surveyed did not have any experience with recommending OTC drugs for patients with headache. To distinguish between patients for whom pharmacists should “recommend OTC drugs” and patients who should be encouraged “to consult a hospital or clinic,” doctors thought that pharmacists should use an “assistance tool to diagnosis headache, such as a screener for migraine” and “guidelines for chronic headache.” However, few pharmacists used these tools. About 68% of doctors indicated that it would be “meaningful” for pharmacists to distinguish patients with headache. Moreover, both doctors and pharmacists thought that pharmacists should provide patients not only with “instruction on the use of drugs” but also suggest “when to consult a hospital or clinic.” However, 32% of doctors indicated that it is “meaningless” for pharmacists to attempt to distinguish patients with headache and expressed concern about the increase of patients who overuse headache medication. These findings provide useful information to guide pharmacists in community pharmacy when recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache.
著者
川名 敬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

子宮頸癌前癌病変(CIN3)の初の治療薬として、HPV16型E7発現乳酸菌,GLBL101c, の有効性を臨床試験によって証明したが、その有効性を増強させることを目的とした。GLBL101cに粘膜アジュバントLTBを添加した状態で十全大補湯、補中益気湯を併用したところ、腸管粘膜リンパ球にGLBL101c単独よりも4-5倍高いE7-CMIが誘導された。1.2x10~8乳酸菌あたり E7分子量として0.1-0.3μgが菌体表面に表出する最高量であり、かつ0.3μgのE7分子量の量比が最もE7特異的IFNγ産生細胞の誘導能が高かった。新型E7発現乳酸菌を開発するための基礎情報となる。
著者
川名 登 Noboru Kawana 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.三十一-五十四,

近世において、日本の二大海運の一つであった西廻り海運の捷路として、円山川と市川を利用して日本海と瀬戸内海を結ぶ舟運輸送路を造成しようという計画は、近世中期の享保期以来しばしば考えられ、実行もされてきた。しかるに両川の上流を結ぶ陸送は、わずかの距離ながらも大きなネックとなり、大量輸送を実現できずに終った。しかし、西廻り海運の捷路としての目的は達成できなかったが、両川沿岸の地域の諸産物の商品化を促進し、両川舟運の発展を刺激した。本稿ではこの幾度かくり返された計画を検討し、その問題点と意義を明らかにした。
著者
川名 好裕
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.37-52, 1999

香港返還1年後に香港の主要マスコミ関係機関を訪問し, 聞き取り調査を実施した。この聞き取り調査実施の主目的は, 返還後の香港マスコミ界の言論・報道の自由の行方を調査すること, 香港マスコミ界の特徴を明らかにすることであった。本報告では, 香港のマスコミ公的機関, 新聞社業界, 放送業界について報告し, 言論・報道の自由が返還1年後の時点において, おおよそ守られていること, および, 新聞業界における紙面づくりの工夫などの新しい動向と, 中国本土市場を見込んだ衛星放送業界の新しい展開等を報告する。
著者
川名 敬
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.251-251, 2015 (Released:2015-10-25)

子宮頸癌は30歳代に罹患ピークがあり,年間約7000人が発症し,約3000人が死亡する癌である.ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因であることは周知であり,HPVを標的とした癌免疫療法が期待されてきた.20年以上の開発の歴史の中で製剤化されたものはない.我々は,粘膜免疫を誘導する免疫療法を開発し,子宮頸癌前癌病変(CIN3)を対象とした臨床試験を実施した.HPV癌蛋白質E7を表出した乳酸菌をCIN3患者に経口投与し,HPV特異的細胞性免疫を腸管粘膜に誘導し,腸管粘膜由来のintegrin beta7陽性リンパ球を子宮頸部病変に見出した.そのうち,HPVE7特異的IFNgamma産生リンパ球の子宮頸部粘膜の集積と臨床的病変退縮は相関した.この臨床試験のデータをもとに,E7表出乳酸菌を改良し,現在第二世代乳酸菌ワクチンを製剤化している.一方,integrin beta7陽性リンパ球が子宮頸部粘膜上皮にホーミングし,かつ集積することがCIN3病変を排除することに寄与することを見出したので,細胞療法として,これらの細胞に山中因子を導入するT-iPS技術を応用することをめざしている.本講演では,これまでの粘膜免疫を介した新しい免疫療法の臨床成果と今後の新技術(特に再生医療)との複合について紹介したい.