- 著者
-
川名 好裕
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.67-76, 1986-08-20 (Released:2010-11-26)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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本研究の目的は, 対話状況において聞き手が話し手に与える相づちや, うなずきと言った社会的強化が, 相互の対人魅力にどのような影響を及ぼすものであるかを調べることであった。40人の大学生が, 自分の作った話をする話し手の役割か, その話を聞く聞き手の役割のどちらかを演じた。話し手と聞き手との対人的認知の違いを対照するために, 各々の被験者は, 終始それぞれの役割を演じた。話し手は二人の別の聞き手に, 同じ話を同じ調子でした。聞き手のうちの一人は, 相づちや, うなずきなどの社会的承認を与えて話し手の話を聞いた。もう一人の聞き手は, そうした社会的強化を話し手に与えずに話を聞いた。聞き手の方も, 二人の話し手の話を聞いたが, 一人の話し手には社会的強化を与え, もう一人の話し手には社会的強化を与えなかった。実験の結果, 明らかになったことは次の4点である。1. 話し手は, 相づちのある聞き手の方を, 相づちのない聞き手より好意的に評定した。2. 聞き手は, 自分が相づちを打った話し手の方を, 相づちを打たなかった話し手より, 好意的に評定した。3. 相づちの有無の違いによって変化する対人魅力特性は, 感情的・社交的魅力であり, 知的・道徳的魅力ではなかった。4. 対話状況においては, 話し手の方が, 聞き手より対人感受性が敏感であることも明らかになった。また, 多次元展開法が多変量の従属変数を全体的にかつ視覚的に表わすのに有用であることが示唆された。