著者
臼井 三夫 坂爪 暁子 森田 一明 大部 吉郎 川名 種夫 松沢 安夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.55-61, 1992-09-01
被引用文献数
3

フリーストール牛舎内の搾乳牛(ホルスタイン種、ジャージー種及びガンジー種)を用い、冬と夏の季節の違い及び飼育密度の違いが横臥、起立、反舞、採食の回数とその時間、さらにストールの利用に及ぼす影響について1990年1月および8月に調査した。冬期低密度(8頭/25ストール)、夏期高密度(16および17頭/24ストール)及び夏期低密度(8頭/25ストール)の3区を設定し、10分間隔で連続24時間の観察を各2回実施した。横臥行動は、いずれも午前3時から4時の間に最もよくみられた。その出現回数には区間差はみられなかったが、持続時間は夏期に比べ冬期に長く、高密度区において短くなる傾向にあった。起立行動は横臥行動と逆の関係にあり、その時間は冬期よりも夏期で長かった。反芻及び採食行動の出現回数に区間差はみられなかったが、その持続時間は夏期よりも冬期で若干長くなる傾向があった。また、冬期には横臥反芻の時間が長くなり、夏期には起立反芻の時間が長い傾向が認められた。1頭の牛が24時間の間に利用するストールの数は6.5〜7.1個であったが、1回当たりの利用時間は夏期高密度区で短い傾向にあった。飼育密度が低い場合、利用頻度の高いストールに向かいあうストールの利用頻度が低くなったが、高密度の場合にはこのような傾向はみられなかった。日本家蓄管理研究会誌, 28(2) : 55-61.1992.1992年2月15日受理
著者
大出 恭代 並木 美奈 川名 孝幸 喜納 勝成 中澤 武司 川島 徹 三宅 一徳 佐々木 信一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.25-31, 2022-01-25 (Released:2022-01-25)
参考文献数
13

病院診療において,有症状者COVID-19疑い患者の診断検査と無症状病原体保有者のスクリーニング検査は区別して考えなくてはならない。今回我々は有症状でCOVID-19疑い患者の診断検査と無症状病原体保有者のスクリーニング検査を実施した2群について,抗原定量検査の有効性と問題点について検討した。対象は2020年11月から2021年5月の期間で,RT-PCR検査とSARS-CoV-2抗原定量検査を同日提出された有症状COVID-19疑い患者群277検体,無症状者スクリーニング検査群1,781検体の合計2,058検体について後ろ向き解析を行った。その結果,有症状COVID-19疑い患者群では抗原定量値 ≥ 0.36 pg/mLを陽性とした場合は感度95.9%,特異度80.4%,無症状者スクリーニング検査群では抗原定量値 ≥ 0.83 pg/mLを陽性とした場合は感度100%,特異度99.5%であった。今回の解析で,抗原定量検査は無症状者のスクリーニング検査としては非常に高い有効性が認められたが,一方で同検査を有症状患者の診断目的で用いる場合は,感度・特異度が若干低下するため,その特性をしっかりと理解し,臨床症状,画像診断,PCR検査や抗体検査を組み合わせた総合的な判断が必要である。
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学研究所
雑誌
立正大学心理学研究所紀要 (ISSN:13482777)
巻号頁・発行日
no.10, pp.31-47, 2012-03-21

首都圏の大学生が授業の一部の時間を使って実験調査アンケートに参加した。分析に適した有効データ数は、男性106名、女性139名であった。アンケート調査用紙に、笑顔の有るもの、無いものの写真40種類の女性の写真のうちの1つが判定刺激写真として印刷されていた。この顔写真をみて、その外見的魅力や内面的魅力についての評定と、その写真人物との関係希望の度合い(友人希望、恋人希望) を回答させた。因子分析の結果、外見的魅力は、美的魅力、健康的魅力の2つに下位分類され、内面的魅力は、対人的魅力、社会的魅力、の2つに下位分類された。写真刺激の笑顔の有無、アンケート回答者の性別の他に、写真刺激の美しさの判定から顔の美醜を加え、三元配置の多変量分散分析を行った。多変量にあたる従属変数は、美的魅力、健康的魅力、対人的魅力、社会的魅力の4つの魅力と、友人希望と恋人希望の2つである。笑顔の有無は、美的魅力には有意な影響力をもっていなかったが、笑顔のある顔の方が笑顔の無い顔より健康的魅力があるという結果であった。また、笑顔のある方が笑顔のない方より、有意に対人的魅力があると判断されていた(p<.01)。逆に、笑顔の無い方がある方より社会的魅力があると判断されていた。しかし、笑顔の有無は友人希望や恋人希望には有意な影響力をもっていなかった。美醜判定の影響力については、醜顔の方が美顔より健康的魅力ありという結果であった。美醜判定の関係希望への影響力は、笑顔の有無の影響力より大きく、醜顔より美顔の方を圧倒的に友達希望においても恋人希望においても有意に高く評定していた。
著者
川名 明彦 工藤 宏一郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.429-436, 1999-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

上気道に定着した潜在的病原菌を誤嚥することが細菌性肺炎の主要な原因とされている. われわれは, 上気道からこれらの菌を除去するのにポビドンヨード (Povidone-iodine: PVP-I) 経鼻吸入が有用ではないかと考え検討を行った. 対象として, 気道に通常は常在しない菌, すなわち緑膿菌や腸内細菌科に属する好気性グラム陰性桿菌, およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下潜在的病原菌と略す) が無症候性に咽頭から繰り返し検出される外来患者63人を選択した. これらの症例にPVP-I含嗽を2週間施行し, 対象菌を除菌できなかった30例を無作為にPVP-I経鼻吸入・PVP-I含嗽併用群 (以下併用群と略す) とPVP-I含嗽単独群 (以下単独群と略す) とに分け, 2週間の処置の前後で咽頭の細菌学的検索を行った. 併用群は16人で, うち9人 (56%) は慢性的な肺合併症 (気管支拡張症, 慢性気管支炎など) を有していた. 単独群は14人で, うち6人 (43%) は同様の肺合併症を有していた. 治療期間終了時に, 併用群では44%, 単独群では14%で咽頭から潜在的病原菌が消失した. 特に, 肺合併症を有さない患者においては, 併用群では86%で除菌し得た. PVP-I経鼻吸入と関連した有害事象はみられなかった. 上気道から潜在的病原菌を除去するのに, PVP-I経鼻吸入は安全で, 特に肺合併症のない症例において有用な方法と考えられた.
著者
大平 征宏 齋木 厚人 山口 崇 今村 榛樹 佐藤 悠太 番 典子 川名 秀俊 南雲 彩子 龍野 一郎 小菅 孝明 秋葉 哲生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.191-196, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
19
被引用文献数
1

以前我々は減量手術後に易怒性から過食,リバウンドした症例を抑肝散が改善させたことを報告し,肥満症患者の精神面に対する漢方治療が有用である可能性を提唱した。今回,頻用されている減量治療薬および抑肝散の減量治療に対する効果を比較した。当院で減量治療目的にマジンドール,防風通聖散または易怒性を指標に抑肝散を投与された肥満症患者107例を後ろ向きに検討した。投与3ヵ月後,マジンドールおよび抑肝散で有意な体重減少を認めた。糖代謝への影響を糖尿病患者のみで検討した。HbA1c の改善はいずれの群においても有意差は認めなかった。肥満症の減量治療にはメンタルヘルスの問題が重要であり,患者の精神面を意識した漢方治療は有効であることが示唆された。
著者
木下 侑里 藤本 和久 李 民 篠原 理恵 小林 征洋 川名 誠司 佐伯 秀久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1348-1352, 2014-12-01 (Released:2017-02-10)

海産物摂食により発症したアニサキスアレルギーの2例を経験した.症例1は,サバ,タイ,ヒラメを摂食後に膨疹と呼吸困難が出現した.特異的IgE (ImmunoCAP)はアニサキスがclass 5であった. ELISAによる特異的IgE測定では,アニサキス非加熱粗抽出液およびAni s 12が陽性であった.症例2は,ヒラメとブリを摂食後に掻痒と呼吸困難が出現した.特異的IgEはImmunoCAPではアニサキスがclass 6で, ELISAではアニサキス非加熱粗抽出液とAni s 1, 4, 6と12が陽性であった.いずれも被疑食物を用いたプリックテストは陰性であった.症例1ではAni s 12が唯一陽性の抗原であったこと,症例2ではAni s 12が最も強く陽性であったことから, Ani s 12を主要抗原の一つと考えた. Ani s 12は2011年に同定されたアニサキスの新しい抗原である.従来知られていたAni s 1, 2と7に加えて, Ani s 12特異的IgEの測定は今後アニサキスアレルギー診断に有用になる可能性があると考えた.

3 0 0 0 OA 民法総論

著者
川名兼四郎 述
出版者
金刺芳流堂
巻号頁・発行日
1904
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学研究所
雑誌
立正大学心理学研究所紀要 (ISSN:13482777)
巻号頁・発行日
no.9, pp.89-101, 2011-03-21

Three hundred forty-four young female students rated the interpersonal attraction of 40 different various male pictures. They also rated the degree of desires to be the friend, the lover, the sex partner and the marriage partner. Factor analysis extracted 4 different kind of attraction, which are the beauty attraction, the healthy attraction, the interpersonal attraction, and the social attraction. Making these 4 different attraction factors as independent variables, and the degrees of desired relationships with the male picture stimuli as the dependent variables, the stepwise multiple regression analysis were conducted.The standardized multiple regression coefficients showed the importance of the kind of attraction determining the degree of desired relationships (Friend, lover, sexual partner, marriage partner). The beauty attraction is most valued in love and sexual relationships. The social attraction is most valued in the marriage relationship. The interpersonal attraction is valued most in the friend relationship. The kinds of attraction are valued differentlyaccording to the kind of desired relationships.
著者
川名 三知代 砂見 緩子 岸本 成史 渡邊 真知子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.281-295, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
47

Although the need for homecare medicine for children is increasing in Japan, few studies have focused on the role of pharmacists in this area. The purpose of the present study was to clarify the practice process of pharmacists in pediatric homecare medicine and develop a practice model. Three pharmacists with experience in homecare medicine for children participated in semi-structured interviews. The data were analyzed using the modified-grounded theory approach (M-GTA). The analysis generated 8 categories and 21 concepts. The practice of pharmacists in homecare medicine for children is the pharmacotherapy management process, and it aims at “enabling the transition from hospital to home for children and continuity of their homelife with family” in collaboration with other professions. Above all, the two concepts of “optimization of prescription and device selection to enable the hospital-to-home transition” and “optimization of prescription and device selection for ensuring patient safety” form the core of clinical decision making in the pharmacotherapy management process. By integrating these two optimization concepts, the transfer of patients to home can be undertaken smoothly, leading to safer pharmacotherapy in the lives of patients and their families. Furthermore, pharmacists considered clinical decision making from two perspectives: “the child’s growth-based approach” and “homelife-based approach.” The foundation of these practice processes comprised “professional responsibilities” and “consideration of families’ feelings.”
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学部
雑誌
立正大学心理学研究年報 (ISSN:21851069)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-14, 2018-03-31

インターネット調査(調査参加者は、日本全国からのサンプルで968名の男性と967名の女性。年齢20歳~49歳)で集積したデータをもとに、精神的恋人関係、性的恋人関係、結婚関係について男女別々にクラスタ分析を行なった。分析の結果、以下のような知見が得られた。精神的恋人関係のクラスタは、男性では、相思相愛型、平均型、嫉妬型、冷めた関係型であった。女性では、情熱型、平均型、浮気型、友達型であった。性的恋人関係のクラスタは、男性では相思相愛型、平均型、嫉妬型、冷めた関係型であった。女性では、相思相愛型、性的満足型、友達型、冷めた関係型であった。結婚関係のクラスタは、男性では、相思相愛型夫婦、平均型夫婦、嫉妬浮気型夫婦、冷めた夫婦であった。女性では、相思相愛夫婦、平均型夫婦、セックスレス夫婦、冷めた夫婦であった。全般的に男女の愛情関係は、「相思相愛カップル」、「仲が良いのに喧嘩するカップル」、「冷えているが関係が続いているカップル」、「別れが予感されるカップル」の4種類におおよそ分類されるようである。男女関係は、性的関係やコミットメントという意見態度の類似性以外の要因でも結びついているので関係は非性的な通常の関係より複雑である。
著者
川名 好裕
出版者
立正大学心理学部
雑誌
立正大学心理学研究年報 (ISSN:21851069)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-8, 2011-03-31

Fifty-four males and 128 females at the age of around twenty years old were asked about the importance of 47 items in three kinds of man-woman relationships. They are the sexual relationship, the romantic love relationship and the marital relationship. Factor analysis extracted 3 different kind of attraction, which are the mental attraction, the practical attraction and the hedonic attraction. The mental attraction is more valued in the romantic love relationship and the marital relationship. The practical attraction is valued gradually in romantic love relationship through the marital relationship. The women value the practical attraction most in the marital relationship. The hedonic attraction is valued most in the sexual relationship.
著者
義澤 雄介 川名 誠司
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.115, no.10, pp.1473-1480, 2005-09-20 (Released:2014-12-10)

円形脱毛症の病変部には,リンパ球とともに肥満細胞の浸潤が認められ,円形脱毛症において肥満細胞が重要な病因的役割を果たしていることが推察されている.我々は,第2世代抗ヒスタミン薬であるエバスチンによる円形脱毛症治療を試み,その効果を検討した.円形脱毛症患者23例にエバスチン10 mgを1日1回投与し(エバスチン投与群),プラセーボ群として9例にディアゼパム2 mgを1日1回投与した(ディアゼパム投与群).それぞれ3カ月間投与し,脱毛病変の観察を行ったところ,エバスチン投与群では23例中14例(60.9%)に発毛を認め,ディアゼパム投与群では9例中1例(11.1%)のみに発毛を認め,その比率はエバスチン投与群で統計学的に有意に高かった(p=0.0179).また,ディアゼパム投与群で発毛を認めなかった8例に対し,ディアゼパム投与終了後からエバスチン10 mgを3カ月間投与したところ,6例に発毛が認められた.これらの結果は,円形脱毛症に対してエバスチンが有効であることを示唆した.エバスチン投与群において発毛を認めた14症例と認めなかった9症例に分けて検討すると,性別,罹病期間,重症度の構成に差はなかったが,平均年齢は発毛を認めた14症例で有意に高く(それぞれ45.3±16.9歳,25.3±9.3歳.p=0.0088),年齢が高いほどエバスチンの効果が高い可能性が考えられた.
著者
川名 好裕
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.67-76, 1986-08-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
19
被引用文献数
5 5

本研究の目的は, 対話状況において聞き手が話し手に与える相づちや, うなずきと言った社会的強化が, 相互の対人魅力にどのような影響を及ぼすものであるかを調べることであった。40人の大学生が, 自分の作った話をする話し手の役割か, その話を聞く聞き手の役割のどちらかを演じた。話し手と聞き手との対人的認知の違いを対照するために, 各々の被験者は, 終始それぞれの役割を演じた。話し手は二人の別の聞き手に, 同じ話を同じ調子でした。聞き手のうちの一人は, 相づちや, うなずきなどの社会的承認を与えて話し手の話を聞いた。もう一人の聞き手は, そうした社会的強化を話し手に与えずに話を聞いた。聞き手の方も, 二人の話し手の話を聞いたが, 一人の話し手には社会的強化を与え, もう一人の話し手には社会的強化を与えなかった。実験の結果, 明らかになったことは次の4点である。1. 話し手は, 相づちのある聞き手の方を, 相づちのない聞き手より好意的に評定した。2. 聞き手は, 自分が相づちを打った話し手の方を, 相づちを打たなかった話し手より, 好意的に評定した。3. 相づちの有無の違いによって変化する対人魅力特性は, 感情的・社交的魅力であり, 知的・道徳的魅力ではなかった。4. 対話状況においては, 話し手の方が, 聞き手より対人感受性が敏感であることも明らかになった。また, 多次元展開法が多変量の従属変数を全体的にかつ視覚的に表わすのに有用であることが示唆された。
著者
川名 俊
出版者
大阪市立大学日本史学会
雑誌
市大日本史 (ISSN:13484508)
巻号頁・発行日
no.24, pp.25-44, 2021-05