著者
斉藤 勇璃 白石 智誠 太田 和宏 根本 さくら 石川 一稀 宇田 朗子 小川 卓也 友広 純々野 中村 祥吾 山内 拓真 西川 和真 宍戸 建元 長野 恭介 蓬畑 旺周 稲垣 武 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二 角 薫 松原 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1303, 2020 (Released:2020-06-19)

シナリオライターの負担軽減と物語多様性の担保という観点から,ゲーム自動生成システムの開発の必要性が指摘されてきている.これまでに固有名の組みあわせによるシナリオ自動生成やダンジョン自動生成など,いくつかの挑戦は行われてきたが,ゲーム全体において一貫した世界観やストーリー展開を実現するのは困難だった.そこで本研究ではロールプレイングゲームを対象として,シナリオ自動生成,ダンジョン自動生成,BGM自動選択を統合したシステムの開発を行った.シナリオ自動生成においては,既存のゲーム作品のシナリオ分析結果に基づき,クエスト単位でのシナリオ自動生成を行った.次に生成された複数のクエストを統合してストーリーの破綻がない複合的なシナリオの自動生成を実現した.また,ダンジョンは自動生成を実現し,マップやキャラクターは生成されたシナリオに沿ったものを作成した.さらに,シナリオの各場面の機能や登場人物の感情状態に合わせたBGMの自動選択を実現した.これらのゲームの各種要素を自動的に生成して統合することで,ロールプレイングゲーム自動生成システムの構築を行った.
著者
杉原 雄一 上野 秀人 平田 聡之 荒木 肇
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.222-228, 2014
被引用文献数
3

トマト生産においてカバークロップとしてのヘアリーベッチ(<i>Vicia villosa</i> R.,以下 HV)と化学肥料の効率的な施用方法を確立するために,HV,速効性肥料(Fast)および緩効性肥料(Slow)から放出された窒素のトマトへの吸収について,安定同位体 <sup>15</sup>N を利用して調査した.窒素の速効性肥料(硫安)と緩効性肥料(LP-S100)を供試して,両者の混合割合を 2 : 8(Fast + Slow)と 0 : 10(Slow-only)とした.窒素施肥量を 240 kg N·ha<sup>-1</sup> として,土壌培養試験を行うと,培養 4週間において Fast + Slow では高濃度の無機態窒素環境が形成された.同様の施肥条件を用いて,1/2000 a のワグネルポットでトマト'ハウス桃太郎'を栽培すると,<sup>15</sup>N でラベルした HV(0.89 atom% excess)を土壌中にすき込むことで,定植12 週後のトマトの植物体乾物重は HV 無添加より有意に増加したが,窒素肥料の混合割合による差異は認められなかった.HV 由来窒素は主に定植 4 週後までに吸収され,その吸収量には Fast の有無による差異はなかったが,吸収した全窒素に対する HV 由来窒素の含有率(%N<sub>dfhv</sub>)は Fast を施用しない Slow-only で有意に高くなった.しかし,この差異も定植 8 週以降は認められなかった.トマトによる窒素吸収は栽培終了時の定植 12 週後まで続いた.以上の結果から,HV 由来窒素は速効的であった.生育初期においては,トマトへの窒素吸収に土壌・肥料由来窒素と HV 由来窒素の間で競合関係があり,多量の土壌・肥料由来窒素が存在すると HV 由来窒素の吸収が抑制される.この試験で得られた知見は,トマト生産における HV と化学肥料の適切な混合体系の確立に寄与する.
著者
野元 優貴 喜島 祐子 新田 吉陽 平田 宗嗣 吉中 平次 夏越 祥次
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.768-772, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
13

症例は57歳,女性.2011年3月に左乳癌に対して,胸筋温存乳房切除術(Bt + Ax + Ic)を施行した(pT2N3aM0 stage IIIC).術後補助療法として,2011年4月よりエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法を4クール,同年7月よりパクリタキセル(PTX)療法を4クール施行した.2012年1月に腫瘍マーカーの上昇と多発肝転移を認め,再発1次治療としてEC療法を6クール施行した.投与中,腫瘍マーカーは低下傾向にあり,肝転移巣も縮小傾向にあった.再発一次治療終了直後より食思不振が出現し,近医に入院した.その後,急速にperformance status(PS)が低下し,頭部造影CTを施行したが異常所見は認められなかった.原因検索のため当院に転院となり,第20病日に髄液穿刺および頭部造影MRIにて髄膜播種の診断がついたが,第22病日に永眠された.急速に進行した乳癌髄膜播種症の症例を経験したので,文献考察を追加し,報告する.
著者
岩崎 晶夫 高嶋 良太郎 鈴木 圭輔 竹川 英宏 鈴木 綾乃 鈴木 紫布 平田 幸一
出版者
一般社団法人日本脳神経超音波学会
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.8-12, 2016 (Released:2016-06-24)
参考文献数
29
被引用文献数
1

Purpose: An increased prevalence of patent foramen ovale (PFO) has been reported in patients with migraine with aura compared with non-migraine subjects. This study aimed to investigate the prevalence of PFO in Japanese patients with migraine. Methods: Fifty-four consecutive patients with migraine were recruited from the headache outpatient clinic of our department. Migraine was diagnosed according to the International Classification of Headache Disorders, second edition. Patients were divided into migraine with aura (MWA) and migraine without aura (MWOA) groups. Transcranial ultrasound was performed, while contrast agent was injected intravenously with the Valsalva maneuver. PFO was diagnosed if micro-embolic signals in the right middle cerebral artery were identified soon after injection of contrast agent and Valsalva load release. Results: No significant differences in patient characteristics were observed between the MWOA group (n=22) and MWA group (n=32). The prevalence of PFO was 46.3% among all migraine patients, 56.3% in the MWA group, and 31.8% in the MWOA group. Patients with MWA thus tended to show a higher prevalence of PFO compared to those with MWOA (p = 0.077). Conclusion: The tendency toward an increased prevalence of PFO in the MWA group in this study suggests a possible association between MWA and PFO.
著者
山尾 元陽 平田 里佳 入部 百合絵 深井 健大郎 桂田 浩一 新田 恒雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4L3OS1504, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,脳波を用いて機械を操作するBCI(Brain Computer Interface)の研究が盛んに行われている.しかし,音声想起の認識に関する効果的な方法は確立していない.本報告では,利用者への負担が少ない非侵襲的な方法で,頭皮から脳波(Electroencephalogram ; EEG)信号を取得し,脳活動を分析する.また分析結果をもとに,音声想起(speech-imagery) 時の脳波から単語を認識することを目指す.本稿では7名分の脳波を用いた10数字単語想起に対する実験結果を報告する.認識実験ではRandom Forestを使用し,数字を想起した脳波信号から10数字の単語認識を行った.認識に使用する特徴量はゼロ交差率,パワースペクトルエントロピー,二乗平均平方根,尖度,線スペクトル,移動平均である.結果として,パワースペクトルエントロピーと尖度を用いた場合の正解率が高いことが明らかとなった.それらの特徴量を用いた結果,正解率(被験者平均)82.6%を得ることができた.想起時脳波信号を用いた単語認識には,これらの特徴量を用いることが有効であることが示された.
著者
小倉 剛久 平田 絢子 林 則秀 久次米 吏江 伊東 秀樹 武中 さや佳 水品 研之介 中橋 澄江 山下 奈多子 今村 宗嗣 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.374b, 2014 (Released:2014-10-07)

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)において,発症・再燃と季節の関係が認められるとすれば,臨床上重要な知見であるばかりでなく,病因・病態の解明にもつながるものと考えられる.【目的】SLEにおける発症・再燃と季節の関連性について明らかする.【対象・方法】ACR分類基準を満たすSLE患者122例(男性14例,女性108例)を対象に,診療録より発症・再燃月を調査した.再燃は疾患活動性の新たな出現,もしくは悪化を認め,3ヶ月以内にステロイド薬の新たな開始もしくは50%以上の増量および免疫抑制剤の変更,開始を行った場合とした.【結果】発症は秋に少ない傾向があった.再燃は春に多く,秋に少なかった.また複数回再燃した症例では,再燃時期が近似した.春の再燃では紅斑が多かった.【結論】SLEの発症,再燃は季節に関連性が認められ,春期に多かった.
著者
岡崎 愛 伊香賀 俊治 平田 潤一郎 西村 三香子
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成29年度大会(高知)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.21-24, 2017 (Released:2018-10-20)

執務者の知的生産性向上は多大な経済効果をもたらし、室内温熱環境は知的生産性に大きな影響を与えると指摘されている。また、床近傍の低温環境が温熱不満や皮膚温低下に繋がることから、床近傍室温が冷えを介して知的生産性に及ぼす影響の検証を目的とし、被験者実験を行った。床近傍の低温環境は、足元の皮膚音低下、不快感を伴う冷えを生じさせ、知的生産性を低下させる可能性が示された。
著者
平田 光男 劉 康志 美多 勉 山口 高司
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.71-77, 1993-01-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
6
被引用文献数
13 18

The purpose of the head positioning control of hard disk drives is to move the magnetic head onto the desired track swiftly and to keep it on track precisely against various disturbances and plant uncertainty at high frequency. In this paper, we apply H∞ control to the head positioning of hard disk drives. The advantage of H∞ control is that it yields robust feedback system and the trade-off between various specs is easily incorporated into the design. Further, to obtain a good transient response, we adopt the two-degree freedom control scheme. Experimental results are presented to demonstrate the control effects.
著者
平田 仁胤
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.95, pp.71-88, 2007-05-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
20

In recent years, “representation learning, ” which assumes that knowledge presupposes representation, has been criticized. In this criticism “Wittgenstein'sparadox” has been used to point out the logical impossibility of “representation learning” : as long as the notion of “representation” is assumed, the paradox would happen inevitably and spoil “representation learning.” However, the paradox HERE is considered to be merely a theoretical fiction for it does not happens in normal cases, and hence, does not spoil learning. In view of the criticism, this paper attempts to show, by analyzing elaborately Wittgenstein's rule-following considerations, that “Wittgenstein's paradox” can not be seen simply as a fiction. In Wittgenstein's rulefollowing considerations, the notion of “inner-binding” and that of “outer-binding” are crutial. The former is a disposition that is built through “training”. This disposition enables one to judge the “sameness” and to be convinced of the necessity of that sameness. The latter is “institution” that is established through the repetition of “peaceful accordance”. The two bindings sometimes do not conflict with each other.This is exactly the case in which rule-following operates.“Inner-binding” has not been formed yet in an earlier stage of “rule” learning.Therefore “outer-binding” conflicting with the inner does not appear. But the two can come to differentiate themselves from each other as learning progresses and as the inner has been formed. The conflict between the inner> and the outer is equivalent to the case which “Wittgenstein's paradox” describes. Accordingly the possibility of differentiation exists latently and the paradox is not a theoretical fiction.The latent possibility of “Wittgenstein's paradox” indicates that learners are not in a position to distinguish the two. This suggests that learning is uncertain and learning theories are not transparent to learners.
著者
杉原 隆太 松尾 浩志 平田 明生 柏瀬 一路 樋口 義治 安村 良男 上田 恭敬
出版者
特定非営利活動法人 日本冠疾患学会
雑誌
日本冠疾患学会雑誌 (ISSN:13417703)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.26-30, 2016 (Released:2017-03-24)
参考文献数
8

症例は74歳男性.2013年11月上旬に近医で腹部大動脈瘤を指摘されて当院へ紹介された.術前の冠動脈CTでは,左冠動脈から右冠動脈が分岐する単一左冠動脈症と,左冠動脈主幹部と前下行枝の石灰化を伴う高度狭窄が認められた.腹部大動脈瘤は瘤径の拡大傾向と胸背部痛が認められたため切迫破裂状態と考え,まず腹部大動脈瘤に対して開腹手術を行った.術後狭心症症状が増悪したため,陳旧性脳梗塞による右半身麻痺や肺気腫などの全身状態を考慮し,経皮的冠動脈形成術による血行再建術を行う方針とした.術中は,ノルアドレナリン,アトロピンの使用に加えて,大動脈バルーンパンピングでサポートを行いながら,冠動脈灌流型バルーンを用いて経皮的冠動脈形成術を合併症なく施行することができた.術後経過良好であり,療養型病院へ転院となった.単一左冠動脈症例の左冠動脈主幹部病変に対して冠動脈灌流型バルーンを用いて経皮的冠動脈形成術を施行し得た1症例を経験したので,文献的考察を踏まえて報告する.
著者
赤尾 静香 朴 玲奈 梅田 綾 森野 佐芳梨 山口 萌 平田 日向子 岸田 智行 山口 剛司 桝井 健吾 松本 大輔 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】妊娠,出産は急激な身体の変化を伴うことで,さまざまなマイナートラブルが起こるといわれている。その中でも骨盤痛含む腰痛は妊婦の過半数が経験し,出産後も痛みが継続するという報告もされている。また腰痛を有する妊婦は身体活動が制限されることにより,ADLやQOLが低下すると報告されている。妊娠中に分泌されるリラキシンホルモンの作用により,仙腸骨靭帯や恥骨結合が弛緩することが原因で発症する腰痛を特に骨盤痛と呼び,出産後はオキシトシンの作用によりすみやかに回復するとされている。しかし実際に出産後1ヶ月以上経過した女性を対象とした研究は少なく,妊娠期の身体変化が及ぼす影響が出産後どのくらい持続しているか報告している研究は少ない。そこで,本研究では,妊娠期での身体変化が回復していると考えられる産褥期以降の女性における骨盤痛の有無と骨盤アライメント,腰部脊柱起立筋筋硬度に着目し,その関連性について検討することを目的とした。【方法】対象は名古屋市内の母親向けイベントに参加していた出産後3ヶ月以上経過した女性77名(平均年齢30.7±4.2歳,平均出産後月6.3±2.6ヶ月)とした。測定項目として骨盤アライメントの測定には,骨盤傾斜の簡易的計測が可能なPalpation Meterを上前腸骨棘と上後腸骨棘の下端に当て,静止立位時の左右の骨盤前後傾角度,上前腸骨棘間距離(以下ASIS間距離),上後腸骨間距離(以下PSIS間距離)を測定し,骨盤前後傾角度の左右差,ASIS間距離とPSIS間距離の比を算出した。腰部脊柱起立筋筋硬度の測定には,生体組織筋硬度計PEK-1(株式会社井元製作所)を使用し,第3腰椎棘突起から左右に3cmおよび6cm離れた位置を静止立位にて測定し,一ヵ所の測定につき5試行連続で行った。得られた値の最大値,最小値を除いた3試行の平均値を代表値とした。アンケートは基本項目(年齢,身長,体重,妊娠・産後月齢,過去の出産回数),骨盤痛,腰背部痛の有無,マイナートラブルの有無(尿漏れなど),クッパーマン更年期指数,エジンバラ産後うつ病質問票,運動習慣に関して行った。対象者は産後3ヶ月から12ヶ月までの者を抽出し,今回は骨盤痛に腰背部痛のみを有する者を除外した。骨盤痛(仙腸関節,恥骨痛のいずれか)の有無により痛みあり群と痛みなし群の2群に分けた。統計解析は,SPSS22.0Jを用い,Mann-Whitney U検定およびχ<sup>2</sup>検定を行った。【結果】痛みあり群は42名(79.2%),痛みなし群11名(20.8%)であった。痛みあり群は痛みなし群と比較してASIS間距離とPSIS間距離の比が有意に小さかった(痛みあり群2.82±0.81:,痛みなし群:3.47±1.29,p<0.05)。その他の骨盤アライメントと腰部脊柱起立筋筋硬度に有意差はみとめられなかった。また,尿漏れについて,痛みあり群では7名(16.7%),痛みなし群にはいなかった。【考察】本研究の結果より,産後女性において骨盤痛が持続していることが明らかとなった。またこれまで妊婦において非妊娠者と比較しASIS間距離,PSIS間距離が有意に大きくなると報告されている。本研究では痛みあり群でASIS間距離とPSIS間距離との比が有意に低いことから,PSIS間距離がASIS間距離と比較し回復が遅いことが,痛みの誘発に関連しているのではないかと想定される。また妊娠後期おいてPSIS間距離と臀部痛,尿漏れに有意な負の相関がみとめられるという報告もあり,本研究の結果から産後女性においても同様の結果が得られた。これらから骨盤の安定性に関与するとされている筋が,出産後も十分に機能していないことが想定される。しかし本研究では腹筋群,骨盤底筋群の評価は行っておらず,骨盤アライメントと筋の関連性は証明できなかった。今後は評価項目を増やし,骨盤アライメントが回復しない原因を検討することが必要である。本研究により産後女性の骨盤痛に対し,妊娠期での影響を考慮した上でのアプローチが必要であると示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究結果より,産後女性でも妊娠期に特徴的な骨盤痛が持続していること,出産後3ヶ月経過しても骨盤アライメントが回復していないことが明らかとなった。現在,日本では妊婦,産後女性に対する理学療法士の介入はほとんどない。しかし今後産後女性の骨盤痛と骨盤アライメントの関連性を明らかにすることで,骨盤痛に対する治療やその発症を予防するための理学療法介入方法の検討につながると考えられ,理学療法士の介入の可能性が示唆された。

2 0 0 0 OA 宮中儀式略

著者
平田久 編
出版者
民友社
巻号頁・発行日
1904
著者
平田 直 汐見 勝彦 加納 靖之
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

近年、地球科学の分野においても、様々なデータのオープン化の取り組みが行われている。1995年に発生した阪神・淡路大震災が、地震学分野におけるデータのオープン化の起点となった。この震災の発生を契機として政府に設置された地震調査研究推進本部は、1997年8月、地震や地殻変動の観測を含む基盤的調査観測の基本的な考えをまとめた計画(地震に関する基盤的調査観測計画)を公表した。この計画に基づき、防災科学技術研究所(防災科研)は地震観測網(Hi-net, F-net, K-NET, KiK-net)を、国土地理院はGNSS連続観測システム(GEONET)をそれぞれ日本全国に整備した。また、この計画では、基盤的調査観測の結果を公開することを原則とし、円滑な流通を図るよう努めることが定められている。現在、上記ならびに大学等の研究機関による観測データはオンライン共有されており、様々な防災情報の発信や研究開発に活用されている。また、基盤的調査観測計画に基づく観測データはインターネット上でも公開されており、各機関が定めたポリシーに従うことを前提に、ウェブサイトから自由にダウンロードして利用することが可能である。地震観測網については、その後、南海トラフ域の地震・津波観測を目的としたDONETが海洋研究開発機構により構築されたほか、2011年東日本大震災の発生を受け、日本海溝沿いに海底地震津波観測網(S-net)が防災科研により整備された。2016年4月にDONETが防災科研に移管されたことを受け、現在は、陸域の地震観測網、基盤的火山観測網を含めた陸海統合地震津波火山観測網MOWLASとして防災科研による運用およびデータ公開が行われている。大学においても、微小地震観測のデータを公開する「全国地震データ等利用系システム」が整備されたのをはじめ、気象庁の観測情報や統計情報、国土地理院の測地データ、産業技術総合研究所の地質・地殻変動データなど、大学・研究機関での地震学に関わるデータ公開が進んできた。学術界でのオープンデータの動きだけでなく、国や地方自治体によるオープンデータの流れも背景にある。一方、大規模な観測システムを将来にわたって維持し、データ公開を継続するためには、データの必要性や有用性を客観的に示す必要がある。また、学術雑誌等において、解析に使用したデータを第三者の検証用に容易に参照可能とすることを求める傾向が強くなっている。このような要望に対応することを目的として、防災科研MOWLASの観測波形データに対し、DOI(Digital Object Identifiers;デジタルオブジェクト識別子)の付与がなされた。海洋研究開発機構、国立極地研究所でも既にDOIを付与した多様かつ大量のデータの公開がなされている。機関や研究グループとしてデータに識別子をつける方向性のほか、データジャーナルやデータリポジトリを通じたデータの公開の例も増えつつある。これらの取り組みは、データの引用を容易にするとともに、広く公開されているデータの利用価値を客観的に把握し、データ生成者のコミュニティへの貢献度を評価する指標となることが期待されている。また、研究成果(論文等)の公開(オープンアクセス)、データの公開(オープンデータ)だけでなく、研究の過程もオープンにする取り組み(オープンコラボレーション)も実施されている。例えば、観測記録や地震史料を市民参加により研究に利用可能なデータに変換そたり、地震観測に市民が参加するなどの試みである。これらは研究データを充実させるとともに、研究成果を普及し、「等身大の地震学」を伝えるためにも有効であると考えられる。さらに、データをオープンにした場合、研究者コミュニティの外でも有効活用されるために必要となるツールの整備や、データの意味を正確に伝えるための工夫も必要となってくる。データのオープン化は今後ますます進むと考えられ、多様なデータのオープン化が地震研究を活性化することは疑いない。一方で、効率的にデータ公開を進めるためのデータフォーマットや公開手段の標準化、公開のためのハードウェアの構築や維持にかかるコストの確保、観測などのデータの生成から公開までの担い手の育成、など課題も多い。日本地震学会2019年度秋季大会では「オープンデータと地震学」と題する特別セッションを開催し、上記のような現状把握や、学術界を取りまくオープンデータの状況、個別の取り組みについて広く情報交換を行なった。学会内での議論はもちろんのこと、関連の学協会や学術コミュニティとの連携をはかりつつ、地球惑星科学分野のオープンデータの進展を追求したい。
著者
平田 潤
出版者
桜美林大学
雑誌
経営政策論集 (ISSN:13474634)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-28, 2006-12

英国では1950年代以降、主にケインズ主義による総需要管理政策(財政・金融政策)と完全雇用追求、社会保障充実を基本政策とすることが、保守党・労働党を問わず、実質的な「政策の枠組み」となっていた。(Consensus Politics)しかし70年代石油危機を契機に、既に経済供給面に多くの構造問題を抱えていた英国ではスタグフレーションが亢進し、悲惨指数(インフレ+失業率)悪化、財政収支悪化、ストの頻発等に対する保守・労働党政権の政策が有効性を欠く中で、消費者の生活へのダメージが増大(78年、the Winter of discontent)する「政策危機」が進行していった。79年に成立したサッチャー政権は、深刻な政策危機から脱却するために、これまでのConsensus Politicsに囚われない、経済構造改革を断行した。改革は政策の有効性や効果において試行錯誤を含むものであった(当初目的未達成の政策や、効果が乏しい例も多かった)が、政策の一貫性と優先順位は明確であり、強力なリーダーシップにより長期にわたり国民の支持を取り付け、インフレ抑制、国営企業民営化や海外直接投資導入策、税制改革、労働組合政策、規制緩和(金融ビッグバン等)、行政改革(エージェンシー制の採用等)、成長軌道への復帰などに成果を挙げた。諸政策の実施面で、第一期(79〜83年)第二期(83〜87年)では、現実経済とのミスマッチは抑制されていたが、第二期後半から第三期(87〜90年)になると、通貨・金融政策の方向性に鮮明さを欠き、通貨ポンドのEMS加盟を巡る深刻な内部対立、87年以降の財政・金融緩和長期化に伴うインフレ再燃、経済のバブル化とその後の失速等、新たな問題が生じ、また改革の副作用ともいうべき、失業率の高止まりや所得格差拡大への対応は不十分な水準にとどまった。しかしながらサッチャー改革の「経済基本理念」はその後メージャー政権だけでなく、労働党ブレア政権にも「小さな効率的政府の追求の持続」、「伝統的な福祉依存からの脱却」などの理念として継承されている。
著者
平田 幸一
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.357-361, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
11

Making the center of the refractory migraine is chronic migraine (CM) and medication overuse headache.CM is a disabling neurological condition affecting 0.5–2% of the population.In the current third edition of the International Classification of Headache Disorders, medication overuse is no longer an exclusion criterion and CM is diagnosed in patients suffering from at least 15 headache days per month of which at least eight are related to migraine.CM is difficult to treat, and preventive treatment options are limited.