- 著者
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後藤 牧人
- 出版者
- 日本保険医学会
- 雑誌
- 日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
- 巻号頁・発行日
- vol.104, no.3, pp.276-281, 2006-09-17
- 被引用文献数
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生命保険証券の売買Viatical Settlements(以下,VS)は,米国ではAIDSでの死亡者数増加に伴い,すでに大きなビジネスである。日本でも2004年末,保険買取会社が死亡保障2,800万円の生命保険を約850万円で買い取ろうとしたケースが発生した。前職の再保険会社でVSを研究しながら,日本市場への紹介・導入を躊躇したのは,法的・医学的・社会的な整合性・コンセンサスが日本では整っておらず,モラルリスクや犯罪誘発の可能性,最終的に契約者が損害を蒙る可能性が高かったためである。しかし,癌・AIDS・アルツハイマー病・心疾患などの増加,リビングニーズ保険特約の普及などといった社会的状況要件から,日本でも今後重要な保険商品の一種になると考えられる。特に,VSでは査定能力が重要であり,保険医学・臨床医学・保険数理において高度に専門的な知識や経験が求められる。米国での今までの経験から,その適応と限界に触れ,日本におけるVSの意義・ビジネス・契約者保護に関して報告する。