著者
斉藤 孝信 平田 明裕 内堀 諒太
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.2-41, 2021

現在は人々の約7割が、テレビを所有し、かつ、ネット機器も使っている。テレビ(リアルタイム)は約8割の人が毎日のように利用している。YouTubeは「週に3~4日ぐらい」以下の頻度で利用する人が多いが、男若年層(16~29歳)では約7割が毎日のように使う。ニュース視聴時、30代以上はテレビや新聞などをよく利用する。若年層はテレビやLINEをよく使い、男若年層はYouTube、女若年層はTwitterもよく用いる。娯楽視聴時にも中・高年層は従来のメディアをよく利用し、若年層ではほとんどがYouTubeを使う。意識面では、「世の中の出来事を知る」点において、テレビの評価が他メディアを引き離している。「癒し・くつろぎ」などの点では評価が様々なメディアに分散し、男若年層はYouTubeを、女若年層はSNSを高く評価している。テレビやネット動画の視聴時の行動や意識について、「別のことをしながら視聴する」「内容を話題にする」といった行為は、テレビに関しては女性のほうが男性よりも行っているが、ネット動画に関しては男女差がない。視聴するために「時間をやりくり」したり、視聴によって「時間や曜日を意識」したりするのはテレビ視聴時に多いが、若年層ではネット動画視聴時でも約3割が行っている。特定のコンテンツを「待ち遠しく思う」「繰り返し見る」ことは、中・高年層ではテレビ番組に偏っているが、若年層ではテレビ番組でもネット動画でも半数以上が『ある』と答えた。若年層はジャンルによって視聴メディアを使い分け、「天気予報」「政治・経済・社会」などはテレビ(リアルタイム)で、「音楽」「ゲーム配信・実況」などはYouTubeで、「芸能人・アイドル」などはテレビ(リアルタイム)とYouTubeの2つでよく見る。
著者
中田 誠司 増田 広 佐藤 仁 清水 信明 鈴木 和浩 今井 強一 山中 英壽 斉藤 浩樹 中村 敏之 加藤 宣雄 高橋 修 矢嶋 久徳 梅山 和一 篠崎 忠利 大竹 伸明 関原 哲夫 猿木 和久 鈴木 慶二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.1483-1487, 1995-09-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

(背景と目的) 同一家系内に発生した前立腺癌患者の臨床病理学的特徴について検討した.<br>(対象と方法) 親子または兄弟に発生した7組 (14例, 親子2組, 兄弟5組) の前立腺癌患者 (F群) と, 1987~1993年の間に群馬県およびその近郊の病院で, 未治療の状態で発見された前立腺癌患者1,741例 (G群) を比較検討した. 両群の平均年齢が異なるため, 生存率は相対生存率を求めた.<br>(結果) 診断時年齢は, F群が54~86歳まで分布し, 平均68.1±8.5 (S. D.)歳, G群が47~97歳まで分布し, 平均74.2±8.3歳で, F群で平均年齢が低い傾向であった. 臨床病期, 組織学的分化度は, F群で早期癌の占める割合が高く, 低分化癌の占める割合が低い傾向であった. 予後は, 3年および5年相対生存率はF群で82.4%, 57.6%, G群で84.3%, 73.9%で, 5年の時点ではF群の生存率が低い傾向であったが, 全体的には両群の間にほとんど差はみられなかった. F群では死因の明らかな6例のうち4例 (66.7%) が前立腺癌死であるのに対し, G群では死因の明かな398例のうち前立腺癌死は224例 (56.3%) であった.家系の病歴に関しては, F群で前立腺癌の2人を除いた他の癌患者がいたのは6家系中3家系であった.<br>(結論) 家族性前立腺癌は, 診断時年齢が若く, 早期癌が多く, 低分化癌が少ない傾向であった.
著者
森 康則 斉藤 雅樹 早坂 信哉
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.49-56, 2021

<p><b>背景・目的</b> COVID-19パンデミックに伴う、いわゆるコロナ禍の一方で、温泉地に新たに「ワーケーション」の需要が喚起されつつある。本研究では、コロナ禍以前の温泉地において、ビジネス目的の滞在実態の把握を目的に、解析を試みた。</p><p><b>方法</b> 環境省が全国の温泉地を対象に実施している大規模調査「全国『新・湯治』効果測定調査プロジェクト」のデータを用いた。同プロジェクトの調査シートの中から、温泉地旅行の目的を「ビジネス、研修など」と回答した群(N=255)と、それ以外の目的と回答した群(対照群N=7,196)について、有意差検定を行った。</p><p><b>結果</b> 対照群の年齢(58.2±16.1歳)に比べてビジネス目的の温泉地滞在者は年齢が有意に低く(49.1±14.2歳)、また、性別は対照群が男性48.1%、女性51.9%に対し、ビジネス利用群は男性75.8%、女性24.2%と、有意に男性が多かった。また、温泉地滞在期間は、対照群の日帰りが29.1%に対しビジネス利用群が12.0%とビジネス利用群が低く、対照群とビジネス利用群の一泊二日はそれぞれ54.3%と64.3%、二泊三日はそれぞれ7.8%と15.1%と、ビジネス利用群には日帰りよりも、一泊から二泊程度の宿泊を伴う滞在が好まれていることが示された。また、ビジネス利用群の宴会の実施割合(10.6%)は、対照群の3.6%と比べて有意に高かった。温泉地滞在後の感想や健康状態の変化は、全般的に対照群の方がポジティブな効果を回答する者の割合が高く、従来のビジネス目的の温泉地滞在者は、対照群に比べて健康改善効果などを比較的実感できていなかった状況が伺われた。</p><p><b>考察</b> 本研究によって明らかになったCOVID-19パンデミック以前の温泉地におけるビジネス利用者の状況は、今後、有効な温泉地におけるワーケーションの普及展開方法を議論する上で、重要な示唆になるものと考えられる。</p>
著者
舘林 史子 緒方 稔泰 斉藤 潮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.439-444, 1999
被引用文献数
1

Our representations of landscapes change though both land development and psychological changes. During Taisho periods Ena-kyo had an experience that both physical and psychological changes happened simultaneously. This study focuses on the influence of these physical and psychological changes on our representations of Ena-kyo and the relationship between them. The results show that naming elements of landscapes is able to change our representations of landscape. This could be one of the adequate methods to remain the landscapes in our mind despite that the physical change of land actually occurs. Furthermore seeing artificial objects in natural landscapes and vice versa refer to our expectation of friendships between human and nature.
著者
飯田 昭人 野口 直美 斉藤 美香 丸岡 里香 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2014

本研究報告は,平成26年1月11日(土)に開催されたポルト市民講座『青年期の自殺予防を考える』における3名の話題提供者の文章を加筆修正して,研究報告としてまとめたものである。そもそもこの市民講座は,丸岡里香准教授が代表を務める「思春期教育グループ」と,飯田昭人が代表を務める「学生支援グループ」との共催で開催されたものである。本講座では,特に若者の自死・自死念慮にまつわる思いや背景について考えていくことを目的とし,テーマは「自殺予防」であるが,自殺を"させない"ための対策というよりも,若者年代の人間に自分自身の人生をいかにして生きてもらうか,死を選択する気持ちになってしまった若者に対して私たち大人はどうあるべきかなどを率直に考える時間にしたいと考え,企画したものである。話題提供者は,思春期教育グループより旭川東栄高校で養護教諭をされている野口直美氏に,学生支援グループからは北海道大学保健センター講師でカウンセラーをされている斉藤美香氏に,日ごろの臨床実践を語っていただいた。そして,両グループを代表して,学生支援グループの飯田昭人より,自殺問題に関する統計資料における自殺問題の特徴やいくつかの提言をしたものが本報告に収録されている。なお,当日は約50名の参加者の方々にお越しいただき,質疑応答も多く活発な議論ができたことを付言し,自殺予防活動に少しでも寄与できればと思い,改めてここに当日の市民講座でのやりとりを再現したいと考える。
著者
飯田 昭人 野口 直美 斉藤 美香 丸岡 里香 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2014

本研究報告は,平成26年1月11日(土)に開催されたポルト市民講座『青年期の自殺予防を考える』における3名の話題提供者の文章を加筆修正して,研究報告としてまとめたものである。そもそもこの市民講座は,丸岡里香准教授が代表を務める「思春期教育グループ」と,飯田昭人が代表を務める「学生支援グループ」との共催で開催されたものである。本講座では,特に若者の自死・自死念慮にまつわる思いや背景について考えていくことを目的とし,テーマは「自殺予防」であるが,自殺を"させない"ための対策というよりも,若者年代の人間に自分自身の人生をいかにして生きてもらうか,死を選択する気持ちになってしまった若者に対して私たち大人はどうあるべきかなどを率直に考える時間にしたいと考え,企画したものである。話題提供者は,思春期教育グループより旭川東栄高校で養護教諭をされている野口直美氏に,学生支援グループからは北海道大学保健センター講師でカウンセラーをされている斉藤美香氏に,日ごろの臨床実践を語っていただいた。そして,両グループを代表して,学生支援グループの飯田昭人より,自殺問題に関する統計資料における自殺問題の特徴やいくつかの提言をしたものが本報告に収録されている。なお,当日は約50名の参加者の方々にお越しいただき,質疑応答も多く活発な議論ができたことを付言し,自殺予防活動に少しでも寄与できればと思い,改めてここに当日の市民講座でのやりとりを再現したいと考える。
著者
荒木 智子 斉藤 幸義 鳥居 俊
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0953, 2005

【はじめに】マラソン大会に出場する市民ランナーの数は増加している.それに従い障害発生数も増加している.しかし十分に選手をケアしているものは少ない.多くは同意書の対応がほとんどである.我々は複数の職種でランナーのサポートを行っている.今回2004年9月18日~23日の日程でマウイマラソンにトレーナーとして帯同した.中には医学的問題を生じたケースもあり,医学的なサポートの必要性について検討したので報告する.<BR>【概要】参加者は2004年9月19日,第34回マウイマラソンに出場した.これは制限時間が8時間,コースも平坦であり,初心者も気軽に参加できる.参加者20名であった.参加者はフィットネスクラブに所属し,月間約数十km~700kmという距離を走っている.帯同スタッフはコーチ1名(米国RRCA公認指導者),トレーナー2名(以下TR.PT,鍼灸師)であった.<BR>【事前の対策】ランニングセミナーを数店舗で,多くは夜間に実施している.また日曜日に合同練習会を実施している.帯同したTRもセミナー・練習会に参加し,コーチ・TR(帯同以外にNATA-ATC1名)とともに参加者の相談や評価・リコンディショニングを行った.必要に応じ,医療施設での検査結果を相談に役立てた.出発前日まで特にケアを必要とした参加者は3名で,肉離れ1名,貧血1名,オーバートレーニング症候群疑い(以下OTS疑い)1名であった.<BR>【現地での対応】到着初日に相談デスクを設置し,参加者に対応した.また19日未明より19名にテーピングを実施した.全員が完走し,ゴールテントにおいてアイシング,ストレッチ,マッサージを実施した.全日程を通じて相談,マッサージ,ストレッチを毎日実施した.また全員が翌日よりランニング・ウォーキングに参加した.筋肉痛が出現した例もあったが,ごく軽症であった.<BR>【トレーナーの役割】我々に求められたのは「いかなる状況でも完走(完歩)を目指す」ということであった.トップランナーと異なる点として帰国後の生活に支障が及ばないこと,無理をすることで二次的な問題を起こさないことが求められた.それに次いで安全に完走できることを方針とした.具体的には貧血の参加者にはHRを用いて調節をすることを説明,OTS疑いの参加者には歩いても十分に完走は可能と説明した.その方針決定にはTRと参加者だけでなくコーチも関与した.<BR>【まとめ】国内外の大会は増加しているがレース前後のケアをしているものは少ない.今回の特色は1)事前より参加者と接点をもち状況を把握した,2)コーチ,PT,鍼灸師,NATA-ATCから多彩な考えが出された,3)完走で充実感を得た,4)リコンディショニングの徹底により疲労を最小限に抑えた,5)それを実現できる日程であった5点が挙げられる.今回の経験よりレース前後のケアやその必要性を感じた.PTの知識や経験が医療現場ではない場所でも生かされることの可能性を感じた.
著者
粕川 昌子 松浦 蔵人 梅沢 聡子 佐藤 由紀江 斉藤 亜希子 石井 梨奈 清水 めぐみ 大河 友佳 工藤 めぐみ 石田 枝里香 竹村 寛子 高田 裕文
出版者
筑波大学図書館課
雑誌
つくばね : 筑波大学図書館報 (ISSN:02850117)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.4-5, 2000-12-13

今年は9 月11日(月)~29日(金)の3 週間,\n図書館情報大学実習生12名が実習をしました。\n粕川 昌子\n 情報が氾濫している今,それらを収集し管理し\nていくことは思った以上に大変で,大切であると\n感じた。筑波大学の様に広く所蔵量の多い図書館\nでは,まぎれこんだ資料は簡単に探し出せない。\n ...
著者
谷崎 勝朗 高橋 清 上田 暢男 斉藤 勝剛 細川 正雄 小野 波津子 石橋 健 合田 吉徳 中村 之信 佐々木 良英 守谷 欣明 木村 郁郎
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9-10, pp.1261-1265, 1977-10-30 (Released:2009-08-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

A skin test using buckwheat extract was performed on 182 cases of bronchial asthma. Thirty-three of them showed a positive skin test to buckwheat extract.Buckwheat allergy (bronchial asthma, urticaria, allergic rhinitis, allergic gastroenteropathy and allergic conjunctivities) was found in 19 (57.6%) of the 33 cases showing a positive skin test to buckwheat extract.Basophils from 8 cases of buckwheat asthma showed a strong response to buckwheat extract, although basophils from 10 cases with a postive skin test only, without buckwheat allergy, did not response to buckwheat extract.Bronchial asthma induced by buckwheat (16 of the 19 cases) had some special features. Their asthma attack was induced by the introduction into the body through either mouth or airway and started in childhood. Buckwheat pillows were used in 13 of the 19 cases. Ten of the 13 cases obtained alleviation of asthma upon discontinuation of buckwheat pillows. Most of the buckwheat asthma patients showed a high serum IgE level and had a hereditary factor. The results showed that cases of buckwheat asthma might be sensitized in their childhood.
著者
山内 拓真 根本 さくら 長野 恭介 中村 祥吾 斉藤 勇璃 宇田 朗子 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では,与えられたゲームシーンに対し自動的にBGMを選曲するシステムについて述べる.本システムは,RPG自動生成システムの一部として機能することが想定されており,自動生成されたゲームシナリオが入力されると,各ゲームシーンの感情状態に合致したBGMをデータベースから選択する.まず,既存RPGにおける各シーンにユーザが感情状態をタグ付けして訓練データを作成する.各シーンに付与されているBGMの音響特徴量を算出し,ニューラルネットワークを用いて,その音響特徴量と各シーンの感情状態の対応関係を学習する.シーンの感情状態を表す指標にはHevnerが定義した音楽心理カテゴリを用いた.予めBGM候補となる楽曲群データベースを用意し,それらの音響特徴量を算出しておく.ゲームシナリオで指定されたシーンの感情状態がニューラルネットワークに入力されると,対応する音響特徴量が得られ,音響特徴量の類似した楽曲がBGM候補群の中から選択される.現在,RPG自動生成システムに組み込んで全体動作を確認しており,被験者実験の準備を進めている.
著者
山路 昭雄 沼田 茂生 斉藤 鉄夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.555-563, 1987

A design method is described for the Fe compensational shield which is located around a straight duct in concrete shield wall against &gamma; radiation to compensate the lowering of shielding efficiency caused by the duct. The method has been applied to the configuration, where the source area is not viewed through the duct from the detector point at the duct exit. The form of the compensational shield was determined depending on the wall thickness, the duct diameter, the incident angle of &gamma;-ray beam to the wall, and the densities of the concrete and Fe. An experiment for the compensational shield was performed in the Dry Shielding Facility at JRR-4. The measured dose rates behind the wall were reduced effectively by the compensational shield, so that the maximum dose rates became only slightly higher than that of the bulk shield wall and the dose rates higher than the maximum dose rate for bulk shield wall were restricted only in the area near the duct exit. The experimental results have been analyzed using a multigroup &gamma;-ray single scattering code G33YSN.
著者
鯉沼 広治 冨樫 一智 小西 文雄 岡田 真樹 永井 秀雄 斉藤 建 柴崎 淳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.356-360, 2004-03-25

要旨 患者は51歳,男性.便潜血反応陽性.大腸内視鏡検査にて,S状結腸に深い陥凹を有する約10mmのIIa+IIc型病変が認められた.拡大観察では,陥凹面はIIILおよびIIIs型pitで占められ,生検部位でVI pitが認められた.粘膜内病変と判断し内視鏡的粘膜切除を施行した.病理学的には高度異型腺腫を伴う高分化型腺癌で,陥凹部で粘膜下層側へ深く侵入する像が認められた.腫瘍腺管は粘膜筋板を押し下げるように発育し,先進部においても部分的に粘膜筋板が認められた.先進部周囲の間質は粘膜内のものと同様であり,desmoplastic reactionを伴っていなかった.以上より,本病変はinverted growthにより深い陥凹を示したが,本質的にはそのほとんどが粘膜内の病変と考えられた.
著者
山本 隆久 内田 清久 斉藤 洋一
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.49-60, 1987-06-30 (Released:2012-11-13)
参考文献数
30

ラットに回腸広範囲切除を行い,最長12カ月までの胆汁酸代謝の変化につき検討した.回腸切除により糞中胆汁酸排泄量は増加し,胆汁中胆汁酸分泌量,胆汁酸プールサィズ,胆汁酸の腸肝循環回転数,胆汁酸の吸収効率は低下した,これらの変化は術後4週よりみられ,術後12ヵ月経過しても改善されなかった.肝では回腸切除により,胆汁酸特にCAの生合成が亢進し,CA系胆汁酸:CDCA系胆汁酸の比は術後6ヵ月まで増加した.反転小腸を用いた胆汁酸の吸収実験では,回腸切除後6ヵ月経過しても残存上部小腸に胆汁酸の能動吸収は認められなかった.以上の結果より,回腸広範囲切除により招来された胆汁酸吸収障害は,長期経過後も改善され得ないと結論される.
著者
斉藤 勝 佃 栄吉 岡田 篤正 古澤 明
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.277-280, 1997-10-31
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

和歌山県和歌山市から那賀郡打田町にかけての和泉山脈南麓域には,紀ノ川の支流によって形成された扇状地面が開析され,数段に区分される段丘面が広く分布している.これらの段丘面は,低位段丘(1面,2面),中位段丘(1面,2面)に分類・対比されている(寒川,1977;岡田・寒川,1978;水野ほか,1994).今回の野外調査により,低位段丘2面堆積物中に火山灰層が見いだされたが,この火山灰層は岩石記載学的特徴から,姶良Tn火山灰であることが判明した.姶良Tn火山灰層が挾在することから,和泉山脈南麓域に分布する低位段丘2面は最終氷期極大期頃に形成されたことが判った.<br>低位段丘2面は,中央構造線活断層系に属する根来断層により変位を受けている.根来断層の運動様式は右ずれで,おおむね北側の相対的隆起である.低位段丘2面の離水時期を約2万年とすれば,段丘面や段丘崖の変位量から根来断層の平均変位速度が求められる.これによれば,右ずれは1.8~3.5m/1,000年程度,上下方向は0.3~0.5m/1,000年程度であり,岡田・寒川(1978)が推算した値をほぼ支持する.
著者
福田 恵津子 山本 真千子 玉腰 久美子 斉藤 由美子 赤松 曙子 高橋 宣光 飯沼 宏之 加藤 和三
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.99-103, 1999

人間ドック受診者におけるトレッドミル運動負荷試験施行例の5年間経過観察例について検討した。初回から陽性のまま変化しなかった例,経過中陽性に変化した例,初回から陰性のまま変化しなかった例の3群に分類した。虚血性心疾患発症の有無については,アンケート調査例も含め検討した。上記の3群については虚血性心疾患の発症は見られなかったが,アンケート調査例の中で,発症の回答が3例に見られた。