著者
滝田 資也 堀田 知光 山田 英雄 斉藤 宏
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.520-526, 1976

The distribution patterns of the erythropoietic marrows in 17 patients with polycythemia vera were evaluated with a Ring-type Whole Body Linear Scanning using <sup>59</sup>Fe. Ferrokinetics indices calculated by Huff's method were as follows: PID T1/2 42&plusmn;24 min. (Mean&plusmn;S.D.), RCU 86&plusmn;17%, PIT 1.00&plusmn;0.58 mg/kg/day, EIT 0.91&plusmn;0.61 mg/kg/day. RCU and EIT in polycythemia vera cases with myelofibrotic change were lower than those in polychytemia vera cases without myelofibrotic change. After the injection of <sup>59</sup>Fe, the longitudihal as well as transverse linear scanning were performed at 6 hours, 24 hours, 5th day and 10th day period. The distribution patterns of <sup>59</sup>Fe at 24 hours, which reflect the erythropoietic marrow distribution, were devided into 3 patterns, that is, normal, marrow expansion and extramedullary erythropoiesis. Among 20 cases, 5 had normal, 7 had marrow expansion and 13 had extramedullary erythropoiesis. The frequency of extramedullary erythropoiesis was significantly high in patients with splenomegaly. The accumulation of <sup>59</sup>Fe at the 10th day in the spleen reflecting the hemolysis and the pooling of the red cell was found in 19 among 20 cases with polycythemia vera. The whole body linear scanning is useful for the diagnosis, treatment and studies of pathophysiology of polycythemia vera.
著者
斉藤 泰雄
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.60, pp.43-51, 2018-03-31

本論は,植民地教育論に関する研究ノートである。ここでは,欧米列強による植民地教育政策とその遺制に関する先行研究を分析整理するとともに,日本が戦前に領有していた台湾において50 年間にわたって展開した植民地教育の軌跡をたどり,その政策の特色を分析する。最初は住民の拒絶や無視という困難な状況で出発した教育事業は,しだいに台湾住民に受け入れられるようになる。1919 年の台湾教育令によって整備された教育制度は,内地人(日本人)と台湾人の教育の分離,差別的待遇を温存するものであった。しかし,1922 年の新教育令による制度改革は,内地延長主義の原則にしたがい,両者の教育上の差別待遇を解消し,中等教育以上での内台共学まで実現するという同時代の欧米諸国の植民地教育政策では類例をみない画期的なものとなった。最終的には,植民地における義務教育の実施という先例のない政策も導入されるにいたる。
著者
斉藤 典明 金井 敦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.295-308, 2013-01-15

現在,組織の知識を蓄積するために多くの組織では共有フォルダを用いてボトムアップ的に情報を大量に蓄積している.しかしながら,多くの情報は情報管理の属人化がおこり,組織環境の変化によりどこにどのような情報があるのかが分からなくなった結果,情報が死蔵され,組織知識の忘失がおこる.そこで,長くにわたって情報を継承してきた事例を基に,死蔵することなく組織の知識を継承する手法を検討した.その結果,長期にわたって情報を蓄積するためには,時間(年度),知識分類,案件の順番で情報を管理することが有効である.また,組織知識として蓄積・継承するべき知識の分類には7つの項目があるが,そのうち組織の記録が最も重要であることが分かった.
著者
斉藤 忠資
出版者
広島大学総合科学部
雑誌
広島大学総合科学部紀要. III, 人間文化研究 (ISSN:09187782)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-15, 2003

通常の物質世界では、我々は時間と空間によって制約されている。時間は過去・現在・未来に分離され、我々は過去と未来に行くことは出来ない。また空間は距離によって分離されているので、ここにいると同時に別の場所にいることは出来ない。しかし、量子の世界には時間と空間による分離が存在しないことが現代物理学によって確証されている。一方臨死体験でも、この世界の時間と空間の制約から解放された自由な世界を垣間見たという体験例が報告されている。そこで時間と空間の分離を超える意識という視点から、両者の関連を考察してみたい。
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.491-491, 2003

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
甲斐 知恵子 間 陽子 小船 富美夫 斉藤 泉 山内 一也 宮沢 孝幸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、組み換えアデノウイルスを用いることにより、多くの高等動物で汎用できるウイルス感染における自然宿主での細胞性免疫機構の解析法を開発することである。各種動物において以下の様な知見を得た。(1)本研究では、イヌジステンパーウイルス(CDV)膜蛋白(H)遺伝子の組み換えアデノウイルスを作製した。また、CDV-H組み換えアデノウイルスを用いて細胞障害試験を樹立するため、標的となる自己細胞の確立するを試み、皮膚からの細胞株樹立に成功した。その結果、複数のイヌからの樹立に成功し、標的細胞の作製法はほぼ確立した。さらに、その他の条件を決定し、細胞障害試験の確立を試みている。また、組み換えアデノウイルスの発現効率の改良も試みている、(2)細胞障害活性及び液性免疫能を誘導するエピトープが牛疫ウイルスのN蛋白に存在することが明らかとなった。H蛋白の免疫により長期に免疫賦与される事も明らかになった。また、immune-stimulating complex(ISCOM)の利用により、組み換えH蛋白でも細胞性免疫賦与が可能であることが明らかとなった。(3)牛白血病ウイルス(BLV)の主要組織適合性遺伝子複合体(BoLA)クラスII分子には白血病に抵抗性を示すBoLA-DR3アリルが存在することが明らかとなった。羊を用いた接種実験で、これを確認したため、現在BLVの組み換えアデノウイルスを作製して、さらに詳細な解析を試みている。
著者
大貫 奈穂美 中村 義昭 寺島 潔 森 謙一郎 宮本 道子 荻野 周三 斉藤 和夫
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-45, 2009

タトゥーシール、フェイスペインティング用ペン及びクレヨン中に含有されるホルムアルデヒドをHPLCによって分析した。人工汗中で40℃、2時間インキュベートした場合、全てのタトゥーシールからホルムアルデヒドが溶出した。人工汗の代わりに水でインキュベートした場合はホルムアルデヒドが溶出しないシールもあった。ホルムアルデヒド溶出量は時間と共に増加した。ホルムアルデヒドは、フェイスペインティング用クレヨンでは蛍光色の製品のみ検出されたが、フェイスペインティング用ペンからは検出されなかった。
著者
高橋 正知 高木 香織 川端 淳 渡邊 千夏子 西田 宏 山下 紀生 森 賢 巣山 哲 中神 正康 上野 康弘 斉藤 真美
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.11, pp.49-54, 2010-03

マサバおよびゴマサバの資源研究において、加入量およびその加入機構を解明することは重要であるが、仔稚魚を含む加入以前の個体についての知見は乏しいのが現状である。マサバ、ゴマサバ太平洋系群の当歳魚は、本邦太平洋南岸で発生し、黒潮に移送されて黒潮親潮移行域に広く分散、北上し、その後、道東~千島列島沖合域で索餌、成長後、本邦近海に南下して資源に加入するものと考えられている。そこで本研究では、2007年5~7月の北上期および2007年9~10月の索餌期に行われた調査船調査からさば類当歳魚の分布を明らかにし、得られた標本を用いて、日齢解析により稚魚~幼魚期の成長様式および孵化時期の推定を行うことを目的とした。
著者
斉藤 庸平 田畑 貞寿
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.355-360, 1991
被引用文献数
2 4

本研究は, 江戸時代の古地図の実測, 江戸時代の資料および火除地等に関する関連調査研究の文献調査および延焼遮断帯効果算定法を用いて火災想定による効果計算をおこない, 火除地等について都市防火対策上の機能について実証的な解明を試みたものである。その結果, 火除地等は大火の延焼を防ぐもの, 大火に成長することを防ぐもの, 橋や門を防衛し, 避難誘導に活用するもの等, その目的に応じて合理的な形態と防火性能を持って配置されていることが明らかになった。
著者
斉藤 正一 柴田 銃江
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.223-228, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
参考文献数
30
被引用文献数
13 15

ナラ枯れ被害を受けやすい森林特性や, 被害林再生の見込み, ナラ枯れが農山村の生活基盤に及ぼす影響を検討するため, 山形県において, ナラ林のタイプや被害程度の異なる林分の森林構造や, 被害木の分解過程などを調べた。ナラ枯れが始まってから10年内には, ほとんどのミズナラ林冠木は枯死したが, コナラ林冠木は少なくとも4割程度が生存した。激害ミズナラ林の林冠層植被率は28%だったが, 激害コナラ林では47%だった。さらに, コナラ林の亜高木層には少数ながら高木性樹種もみられた。そのため, ミズナラ林では高木層を欠く状態が長く続くが, コナラ林ではある程度の林冠修復が期待できる。しかし, 実生稚樹による天然更新は, ユキツバキを主とする常緑広葉樹が低木層を占有し続けるため, どちらのナラ林タイプでも困難だろう。また, ナラ枯れ枯死木の多くが5年ほどで倒伏したことから, 被害激化地域では, 倒木による電線切断や道路閉鎖などのライフラインの障害が数年内に頻繁に発生することが危惧される。
著者
武藤 徹一郎 小西 富夫 上谷 潤二郎 杉原 健一 久保田 芳郎 安達 実樹 阿川 千一郎 斉藤 幸夫 森岡 恭彦 沢田 俊夫
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.492-499, 1983

教室におけるCrohn病17例の経験を報告し,最近の外科的治療方針の動向について文献的考察を行った.手術は9例に行われ,残る8例はいずれも経静脈栄養によって管理することができた.9例中6例には吻合術が可能であった,痔瘻は8例に合併していたが,7例は通常痔瘻と性状が変わらず,lay openにて治癒した.<BR>欧米ではCrohn病に対する外科的治療として,小範囲切除を行う一派と広範囲切除を行う一派とがあり,主として前者には英米の専門家が,後者にはスカンジナビア,ドイツの専門家が属している.広範囲切除派は術中の凍結切片標本の検索により,病変の取り残しを防ぐことを主張している.これら欧米のCrohn病に対する外科治療方針の現況を紹介し,われわれの方針についても述べた.