著者
吉村 昌弘 早川 信 宗宮 重行
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
Journal of the Ceramic Society of Japan (日本セラミックス協会学術論文誌) (ISSN:09145400)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1131, pp.1339-1347, 1989-11-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
42
被引用文献数
3 4

The reactions between TiC or TiN powder and H2O have been studied at 200°-650°C under 100MPa. The reaction of TiC with H2O above 400°C for 3h yielded anatase, CH4, CO2 and H2, and above 500°C rutile was formed additionally. TiN powder with an average grain size of 1.4μm reacted with H2O above 290°C to yield anatase, NH3 and H2, while TiN powder of 9μm reacted H2O above 480°C and yielded rutile, NH3 and H2. The oxidation rate calculated from the weight gain was compared with that from various model kinetic equations. In TiC the rate was best described by the Avrami-Erofeev equation (n=1.3), while the core-shrinking model fitted as well. This suggests that the reaction was controlled by the phase boundary reactions. In TiN the Jander-type model was the best, which suggests that the reaction was controlled by the diffusion through the oxide scale. An Arrhenius plot of the rate constants gave an apparent activation energy of 98kJ/mol. The difference of reaction mechanism between TiC and TiN is attributed to the difference in the gaseous species of reaction products.
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 飯塚 浩太郎 宋 佳麗 小倉 拓郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.96, 2020 (Released:2020-03-30)

GISを用いて空間的思考力を向上させるための教育は,地理学を通じた人材の育成に有効である。最近では,2022年の高等学校における地理総合の必修化を背景に,中高生を対象とするGIS教育の実践に関心が集まっている。一方で,中高生が実際に地理情報を取得する手法や,GISを操作してデータを処理する手法を学習できる機会は限られている。そこで演者らは,中高生が,GISや関連機器の活用を体験するプログラムを企画して実施した。 本プログラムは,日本学術振興会の「ひらめき☆ときめきサイエンス」の一環として,「デジタル地図とスマホ,ドローン,3Dプリンタで自然環境と人間生活を調べよう!」と題し,2018年8月3日,17日と2019年8月17日に実施した。受講者はインターネットを通じて応募し,中学1年生〜高校2年生までの計82名が参加した。 本プログラムは講義と4つの実習で構成され,1日でGISの基本や関連技術を網羅的に体験できるようにした。講義では,電子地図と紙地図の違いやGISの基礎知識を30分程度で解説した。受講者がより身近にGISを理解できるように,スマートフォンの位置情報ゲームや企業でのGIS活用の事例も紹介した。 実習は,1)データ解析,2)データ取得,3)アウトリーチ的活用,4)WebGISの活用の4つを体験するものとし,各1時間で実施した。1)のデータ解析では,無償で利用できるQGISと,基盤地図情報数値標高モデルを用いた地形の分析手法を解説した。受講者は,講師の指示とスクリーンに投影した操作画面に従って,標高データの段彩表現,陰影図の作成,傾斜角の算出,土地利用データの重ね合わせ等を体験した。2)のデータ取得では,主にドローンによる写真測量を取り上げた。受講者は屋外でドローンによるデータ取得を見学した後,室内でトイドローンの操作を体験した。3)のアウトリーチ的活用では,3Dプリントされた地形模型やスマートフォンのVRアプリを活用して,地形学の研究手法や,研究成果を効果的に伝達する手法を紹介した。受講者がより関心を持って学べるように,3Dプリンタでの模型の製作工程や,反射実体鏡による地形分類の手法等も解説した。4)のWebGISの活用では,防災をテーマに,Web地図上で洪水に関する情報を重ね合わせ,地域の脆弱性を読み取った。実習の冒頭では,受講者に洪水時の状況を伝えるために,対象地域の概観,水害の歴史,被害状況等について簡単に解説した。次に受講者が3〜6人のグループに分かれ,ノートパソコンやスマートフォンでWeb地図を閲覧しながら,洪水時に危険な地域や避難所に関する各自の意見を付箋にまとめ,A0の大判地図に貼り付けた。実習の後半では,討論の結果を模造紙にまとめ,グループごとに発表した。 本プログラムの効果を検証するために,受講者を対象とするアンケートをプログラムの終了後に実施した。アンケートは講義と各実習を5点満点で評価する設問,該当する項目を選択する設問,回答を自由に記述する設問で構成した。各受講者がアンケートに5点満点で回答した難易度,理解度,満足度の平均値を用いて,本プログラムを評価した。難易度については,2)のデータ取得や3)のアウトリーチ的活用のような直観的に理解しやすい実習を易しいと評価する傾向があった。一方で,講義,1)のデータ解析,4)のWebGISの活用のように,既存の知識との連携,複雑なPC操作,空間的思考力を要するものには難しさを感じる者が多かった。特に,1)のデータ解析は,他の実習に比べ難しいと感じる傾向があった。理解度は,難易度と全体的に同様の傾向を示したが,難易度よりもやや肯定的な評価となった。一方で満足度は,全ての内容について受講者の回答の平均値が4以上の高評価となった。以上の結果から,本プログラムは受講者が部分的に難しさを感じたものの,講義および実習の内容を概ね理解でき,高い満足感を得たと判断される。今後は,その他のアンケート項目の結果も参考に,プログラムの構成や教授法を改善する予定である。
著者
早川 康夫
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.57-62, 2002
参考文献数
8
被引用文献数
1

東北地方は公共草地の数が日本一である。第4紀脊梁火山脈に先立ち大規模火砕流を噴出東流,太平洋側4つの県に4つの舌状台地を形成した。青森・岩手県に分布のものを八甲田・玉川溶結凝灰岩と呼び,柱状節理内蔵溶岩上に火山灰を薄く乗せた透水良好低地力台地に突出して多数の公共草地が造成された。しかし宮城・福島県の北川凝灰岩・白河層は石英安山岩由来の灰白色石英質粗砂で懸垂水に富む。床締めなどの土地改良で田畑化が可能となり,俄に私有地化が進み公共用地が減った。北上・阿武隈山地のマサ土も石英質粗砂でこれに類す。
著者
谷郷 力丸 高橋 卓見 廣田 敦士 早川 博章 岡 夏樹 西崎 友規子
雑誌
2016年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016-09-16

本研究の目的は、本来完璧であるはずのエージェントが簡単なミスを犯すことによる影響を検討することである。エージェントが店の広報説明を行う際、ミスを犯すか否かによる、人がエージェント、及び広報内容に対する印象の差異を検証した。
著者
酒井 健夫 早川 徹 長尾 壮七 小倉 喜八郎 三浦 道三郎 矢部 光広 児玉 幸夫 渡辺 文男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.576-580, 1985-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
46
被引用文献数
2 2

搾乳牛13頭を4群に分けて, 50%ブドウ糖注射液500mlを通常注射および点滴注射し, あるいは25%キシリトール注射液1,000mlを同様に注射して, 負荷後の内分泌応答について観察した.ブドウ糖の通常注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の6.9倍に (T1/2=30分, k=2.2%/分), インスリンは5.6倍に増加し, いずれも120分後に回復した. 点滴注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の2.0倍に, インスリンは4.4倍に増加し, いずれも45分後に回復した. 負荷後のグルカゴンは, 通常負荷, 点滴負荷ともに大きく変動しなかった.キシリトールの通常注射群は, 負荷直後に血中キシリトール濃度は最高値228mg/100ml (T1/2=11分, k=6.35%/分) に達し, 120分後に検出限界以下となった. 血糖は120分後に直前値の2.1倍, インスリンは15分後に16.8倍, グルカゴンは45分後に3.6倍にそれぞれ増加した. 点滴注射負荷群では, 血中キシリトールは負荷直後軽度の増加, 血糖も直前値の1.3倍にやや増加したが, グルカゴンは変動が小さく, インスリンも2.3倍の増加を示したにすぎなかった.
著者
早川 雄登 藤代 一成
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.185-186, 2016-03-10

流体シミュレーションでは,流体の写実性とともに可制御性も重要である.アニメーション制作では,流体の非写実的な表現が必要となる場合も多く,流体らしさを維持しながら,期待通りに流体形状を制御しなければならない.また,流体シミュレーションの知識がなければ,パラメータの感度を理解することも容易ではない.そこで本研究は,流体シミュレーションに用いるパラメータを特定のモーションデータに対応させた直接操作により,流体形状を直感的に制御することを試みる.
著者
江崎 孝三郎 早川 純一郎 富田 武 尾藤 惇一 野沢 謙 近藤 恭司
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.218-225, 1962 (Released:2008-03-10)
参考文献数
20

1. 長野県西筑摩郡の農家に飼育されている,いわゆる木曾馬の毛色に関して,1860年前後の古文書より,当時の状態を調査した.1943年以降は,「産駒登記原簿」および「伝染貧血症検査台帳」により,また直接に観察して,各種毛色の頻度の推移を調査した.2. 木曾馬産駒集団においては,年々鹿毛は増加,青毛は減少の傾向にあり,栗毛はほぼ一定の割合を維持している.河原毛および月毛は,合計してわずかに5%以下であつた.すなわち,遺伝子aの頻度qaは,1943年に約0.55であつたが,次第に減少して,1960年には約0.35となつた.遺伝子bの頻度qbは約0.45で,1943年以来この値を維持している.遺伝子Dの頻度qDは約0.02であつた.3. 以上の事実は,遺伝子A~aに関しては移行多型(transient polymorphism),遺伝子B~bに関しては平衡多型(balanced polymorphism)となつていることを示している.4. 木曾馬産駒集団における毛色の多型の維持と推移の機構に関して,種畜の選択に際して働く淘汰選抜の作用と,種畜から次の世代に移る間に働く淘汰に注目して,分析を行なつた.その結果,遺伝子aには,その頻度を減少させる方向に,上記二つの淘汰が相加的に作用すること,また遺伝子bに関してはは,前者がその頻度を,減少させる方向に,後者が増加させる方向に働いていることが判明した.そして,これら二つの要因によつて,鹿毛,青毛および栗毛の年次的変遷を遺伝的に説明することができた.
著者
早川 郁代 徳野 治 橋本 誠 中屋 雄介 籔本 義人 高岡 裕 前田 英一 河野 誠司 西郷 勝康 杉山 大典 杉本 健 南 博信
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.547-551, 2012 (Released:2012-09-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

輸血後感染症検査の施行については適切な検査時期と検査項目を踏まえて実施することが重要である.本院では検査実施率を向上させるため,診療科へ検査実施時期を通知する具体的手段として,輸血同意書取得時の患者へのアナウンス,輸血患者リストの活用,電子カルテ画面を用いての輸血後感染症検査を通知する方法(輸血後感染症検査通知システム)を順次実施した. これらの方法の有効性を検証するため,本院において2008年1月から2011年9月迄に同種血輸血を受けた患者6,647人を対象に,輸血後感染症検査実施状況について,患者カルテの検査情報を後向きに調査した.1期:輸血患者リスト送付前,2期:輸血患者リスト送付後,3期:輸血後感染症検査通知システム導入後の各期間における肝炎検査(HBV,HCV)実施率の平均は21.6%,22.2%,39.7%,肝炎+HIV検査実施率の平均は7.0%,8.2%,31.2%であり,1期・2期と比較して3期で有意に向上した. 輸血後感染症検査実施率の向上において,輸血後感染症検査通知システムの継続した有効性が認められた.
著者
増田 亮一 早川 昭 河野 澄夫 岩元 睦夫
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.52, pp.p36-46, 1988-03
被引用文献数
2

温州ミカンは選果工程中に落下衝撃,輸送中に振動衝撃が加わることがある。これらの物理的損傷が温州ミカン果肉の有機酸代謝に及ぼす影響について検討した。カルボン酸分析計により有機酸含量を求め,また,この値を主成分分析法で解析し,次の結果を得た。1. 落下衝撃によってクエン酸,リンゴ酸とも対照区に比べ含量の減少割合が大きくなるが,落下回数に比例した減少はみられない。一方,振動衝撃の影響は,クエン酸,リンゴ酸とも一定の傾向はみられず,保存7日後より3日後の変化の大きい場合があった。2. 少量の有機酸のうち,α-ケトグルタル酸,ピログルタミン酸,コハク酸,ギ酸に落下処理による含量の増加がみられた。振動処理ではピログルタミン酸,ギ酸で含量の増加が認められ,1.5Gでコハク酸,イソクエン酸がかなり増加した。他の有機酸はこれらの処理では明確な傾向は示さなかった。3. 落下処理を加えると,α-ケトグルタル酸,ピログルタミン酸含量の増加に加え,遊離アミノ酸含量の増加がみられた。このことから,衝撃によってTCAサイクルの代謝に変化が起き,通常の呼吸によるクエン酸の消耗とは異なった経路が働き出した可能性も考えられた。4. 11種の有機酸の分析値を主成分分析したところ,第3主成分までで68%の情報を集約できた。第1主成分は,有機酸総量を表す。第2主成分は,少量の有機酸含量の変化を,第3主成分は,コハク酸,ギ酸,α-ケトグルタル酸含量の変化を表している。5. 第1主成分と第3主成分による散布図上,収穫直後のミカン果実の落下処理7日後は,同3日後,対照区および振動処理区と区別できた。6. 温州ミカン果肉の有機酸含量に及ぼす影響は振動処理よりも,落下処理の方が大きく保存に伴いより増大した。
著者
早川 泰弘
雑誌
保存科学 = Science for conservation
巻号頁・発行日
no.56, pp.49-63, 2017-03-23

The present report shows the analytical results of the materials used in Jiko-ji kyo held at Jiko-ji temple in Saitama prefecture. Jiko-ji kyo is a set of sutras composed of 32 volumes, decorated with gold, silver and coloring, that was produced in the Kamakuraperiod (13th century). All the sutras were restored over a period of 7 years since 2008 because many of their golden parts had peeled off and the color had changed. Nondestructive investigation using X-ray fluorescence analysis was conducted during therestoration process. As a result, both gold and brass materials were found from the parts where the golden materials had peeled off severely. Only brass materials could be found from the parts where the gold color had changed significantly. Careful judgment wasneeded to determine whether the brass found in the present analysis is original or from subsequent repairs. Up to now, it had been thought that brass began to be used after the early Edo period (16th century).Even if brass was found in a work produced before the Edo period,it was often thought that the work would be an imitation made after the Edo period. However,regarding the brass found in the present analysis,it can be judged that the brass is original because there is not any data or image to consider that brass had been used in past repairs.This analytical result shows that brass was used in the Kamakura period and in sutras.
著者
貴田 啓子 岡 泰央 稲葉 政満 早川 典子
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.41-48, 2016

<p>紙や絹を基底材とする絵画などにおいて,銅含有彩色材の緑青が使用されている文化財資料では,緑青により基底材の劣化が進行し,褐色に変色する「緑青焼け」と呼ばれる劣化現象が観察される.本研究では,室町時代制作の仏画であり,「緑青焼け」が顕著にみられる絹本絵画について,修理にあたり取り除かれた2層の旧裏打紙を分析の対象とし,セルロースの分子量分布に着目し,劣化の状態を調べた.紙のセルロース分子量については,2層の裏打紙ともに,「緑青焼け」の箇所において,無着色部分よりも分子量が低下していることがわかった.さらに,「緑青焼け」の影響がみられる裏打紙中において,無着色部分の裏打紙よりも銅Cuを多く検出した.顔料に由来するCuは,2層の裏打紙に移動し,これらが,裏打紙の分子量低下をも促進していることが示唆された.また,絹本絵画の水洗浄に用いた吸取紙においてもCuを検出したことから,Cu成分の一部が水溶性であることがわかった.</p>