著者
早川 真人 赤崎 満 西島 功 永野 貴昭 新里 建人 池村 綾 宮城 和史 伊波 潔 瀬名波 栄信 下地 光好
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.202-205, 2019
被引用文献数
1

<p>症例は78歳の女性.胸部異常陰影を指摘され,CTにて右大動脈弓,左鎖骨下動脈起始異常(ALSA)を伴うKommerell憩室(KD)を指摘された.自覚症状は認めなかったが,動脈瘤の最大径が63 mmであったことから手術の方針とした.手術は胸骨正中切開でアプローチし,側枝を作製した4分枝管人工血管を上行大動脈に端側吻合した.次に頸部分枝の再建を行った後,側枝よりConformable GORE<sup>®</sup> TAG<sup>®</sup>(W.L. Gore and Associates,34 mm×200 mm)をZone 0からTh 7の範囲に展開した.最後にALSAのコイル塞栓術を行い,最終確認造影ではエンドリークを認めなかった.術後36日目に独歩退院となり,術後2年目のフォローでは瘤径の縮小を認め経過は順調であった.</p>
著者
佐藤 しのぶ 原口 和也 早川 真奈 冨永 和宏 竹中 繁織
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.437-443, 2017-06-05 (Released:2017-07-12)
参考文献数
26

テロメラーゼの触媒活性因子であるhuman telomerase reverse transcriptase(hTERT)遺伝子のプロモータ領域のメチル化パターンががんの進行と深くかかわっていることが報告されている.したがってこのプロモータ領域のメチル化パターンが検出できれば,がんの早期発見の手法として発展できると期待される.著者らは,hTERT遺伝子のプロモータ領域中の五つのCpGサイトを含む24塩基をターゲットとし,10種類のプローブDNAを有するマルチ電極チップを作製した.このチップを用いた電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイ(Electrochemical hybridization assay, EHA)によってhTERT遺伝子のメチル化パターンによる口腔がん診断を試みた.ここでは,病院での簡易診断を目指して口腔がん,白板症,健常者から得られた口腔ぬぐい液を用いて,ゲノムを採取し,亜硫酸処理したのち,メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(Methylation-specific polymerase chain reaction, MSP)を行った.得られたMSP産物をEHAにより評価したところ,サンプルのメチル化頻度とがんの進行度に相関が示された.白板症,健常者を含むすべてのサンプルからメチル化頻度の高いDNAプローブに対する電気シグナルのReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線を用いて口腔がんの正診断率を算出したところ,91% であった.
著者
遠藤 達哉 早川 真由 高橋 敬亮 杉山 未紗 齋藤 昭彦 村上 幸士
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>医療用弾性タイツは保存療法として下肢の静脈循環障害や浮腫を伴う疾患へ利用されている。弾性タイツに関する先行研究では,下腿三頭筋に着目した研究が多く,運動時に頻見する走行や跳躍動作で重要となる膝関節伸筋群の研究は少ない。</p><p></p><p>本研究では,若年層における弾性タイツによる効果を膝関節伸筋群に着目し明らかにすることで,走行や跳躍動作を繰り返す運動時や,それらの動作を用いた運動介入において有意義な知見になると考えた。</p><p></p><p>そこで,弾性タイツ着用時と非着用時における膝関節伸筋群の筋持久力の相違について,等速性筋力測定機器を使用して明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>健常男子大学生26名を対象とした。測定肢位は椅子座位で,三角クッションを使用し背もたれが90°になるように設定した。右足関節は底屈位に保持した状態で,下腿の遠位端をパッドで固定し,右大腿部固定時のベルトの圧は対象内での条件を一定にするため80hpaとした。測定範囲は膝関節90°~最大伸展位とした。測定は角速度180deg/secにて,最大努力で30回3セットを行った。筋疲労を考慮しセット間は1分間の休憩を設けた。筋持久力の評価指標は,2セット目の等速運動開始4から8回の最大筋力値の平均に対し,3セット目の終了5回の最大筋力値の平均の差とした。なお1セット目は準備期として除外した。また,測定前後の変化を比較するため安静座位にて大転子と大腿骨外側上顆間1/2部位にて大腿周径を測定。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>弾性タイツ着用群,非着用群の筋持久力の比較では,弾性タイツ着用群において1.43±0.26Nm/kg,非着用群において1.67±0.26Nm/kgであり,弾性タイツ着用群は非着用群と比較し,筋持久力の低下が有意に抑制された(p<0.01)。弾性タイツ着用群は,運動前後で平均0.69±0.20cm有意に増加した(p<0.05)。また,弾性タイツ非着用群は,運動前後で平均0.96±0.14cm有意に増加した(p<0.01)。よって,弾性タイツ非着用群と比較し,弾性タイツ着用群では増加が抑制された。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>筋持久力は筋の有酸素的作業能をさしており,筋への酸素の供給が筋持久力を決定する生理的因子であるため,末梢の血液循環と筋の代謝が大きな影響を与える。筋の血流量が多いほど筋の酸素摂取量が大きく,筋持久力は高い。そのため,弾性タイツ着用群では,末梢の血液循環が向上したと推察する。これにより,筋の酸素摂取量が増加し膝関節伸筋群の遅筋線維への酸素供給の増加が考えられる。また,速筋線維の収縮にともなって生じる乳酸などの代謝産物を速やかに除去できると考える。</p><p></p><p>本研究の結果では,弾性タイツの圧により末梢の血液循環が向上し,筋の酸素摂取量が増加したため,膝関節伸展筋群の筋持久力の低下が抑制されたと考える。</p><p></p><p>今後は本研究の結果を生かし,走行,跳躍などを必要とするスポーツ場面において弾性タイツ着用における効果について検討していきたい。</p>
著者
今泉 文寿 早川 裕弌 經隆 悠 堀田 紀文
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

土石流はその速度,移動距離,破壊力から,甚大な災害を引き起こす土砂移動現象である。土石流の発生・流下特性は土石流の材料となりうる不安定土砂の土石流発生域における貯留状況の影響を受けていると考えられるが,土石流の発生域はアクセスが困難であり,また危険性が伴うことからほとんど明らかになっていない。そこで静岡県北部の大谷崩において,定期的な地上レーザースキャンやUAV撮影,現地観測によって不安定土砂の貯留状況が土石流の発生・流下特性へ及ぼす影響について調べた。その結果,土石流の発生位置は不安定土砂の堆積状況,および支流から土石流渓流への水の供給の影響を受けていることがわかった。土石流発生域においては渓床勾配が急なことから不飽和土石流が重要な流動形態である。さらに堆積土砂量が15,000m3を超えるときには不飽和土石流が,10,000 m3を下回るときには飽和土石流が多く発生した。また,流動形態は流下とともに変化をすることが明らかになった。このように,土石流の発生・流下特性は発生域における不安定土砂の堆積状況の影響を受け,さらに流下・堆積域で観測される土石流と流下形態が異なることがあることが明らかになった。
著者
河村 聡人 早川 尚志 玉澤 晴史 磯部 洋明 柴田 一成
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

太陽は人類が最も研究している恒星ではありますが、その知見は限られた時間スケールでの観測に基づいています。太陽活動の科学的な記録は、黒点に関して約400年、エネルギーの解放を伴う突発的増光現象であるフレアに関して約160年にわたります。一方で、人々は何千年にもわたって太陽活動の痕跡を観察し記録してきました。その現象を今日の我々はオーロラと呼んでいます。我々の研究の第一のゴールは、科学的な黒点観測と歴史資料に残るオーロラの記録とを組み合わせ、過去400年の太陽活動を解明することです。我々が知りたい物理変数はフレアの強度で、現代の太陽観測に基づく統計からその強度を推定する手法を開発しました。この手法の鍵となるのは、フレア時にコロナ質量放出が起こったことを強く示唆する低緯度オーロラの観測です。黒点の大きさの科学的観測と低緯度オーロラ観測の歴史資料から、フレア強度を推定することができるようになりました。当ポスター発表では、歴史資料を用いた太陽物理学の将来性と課題を議論します。当ポスターを科学と歴史学のコラボレーションの成功の一例として提示します。
著者
松本 京子 岳野 公人 浦田 慎 松原 道男 加藤 隆弘 鈴木 信雄 早川 和一
出版者
一般社団法人 日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_16-22, 2017 (Released:2018-06-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

This study clarifies the factors that influence children’s settlement intention in rural areas through community-based education. Derived from a questionnaire that surveyed elementary and junior high school students, we found that offering an education focusing on marine studies made a significant contribution to a child’s motivation to learn marine education, to participate in community festivals, participate in community events other than community festivals and to take pride in local products. This confirms that contact with nature and developing pride in the natural surroundings of the community heighten involvement in the community and children’s settlement intention.
著者
高見 千由里 加藤 正樹 松田 佳恵 加藤 喜隆 山上 潤一 早川 美和子 才藤 栄一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】当院は急性期医療を担う大学病院であり,重症例やハイリスク症例にも早期からリハビリテーション(以下リハビリ)を介入し,療法士は適切で万全なリスク管理が求められている。当院リハビリ部ではリハビリ時における事故発生状況について定期調査をおこなっており,今回我々は2009年~2013年度の事故発生状況,中でも転倒事故に着目し,当院におけるリスクマネジメントへの取り組みも含めて検討したので報告する。【方法】2009年4月1日から2013年3月31日の5年間に当院療法士が提出した事故報告書を基にリハビリ中に発生した事故314件を比較検討した。年間単位数から1単位あたりの事故発生率を求め標準化した。調査項目は事故報告書から転倒事故について発生時の動作,介助レベル,場所を抽出し年毎に比較検討を行った。また当院リハビリ室には2012年から安全懸架(Safety Suspension,以下SS)と位置づけられた懸垂装置を導入している。SSは患者の体幹に装着したハーネスと天井のレールにつながる懸垂装置である。今回,SSについての意識調査アンケートを部内療法士対象に実施した。【結果】事故件数及び1単位あたりの発生率は2009年度78件(0.038%),2010年度75件(0.034%),2011年度58件(0.025%),2012年度44件(0.018%),2013年度59件(0.020%)であった。事故のうち転倒は2009年度27件(34.6%),2010年度21件(28.0%),2011年度25件(43.1%),2012年度12件(27.3%),2013年度8件(13.6%)と低下を認めた。転倒事故において5年間合計件数の多い順に動作別では1位:歩行(34.1%),2位:立位(14.8%),3位:車椅子座位(12.5%),介助レベル別では1位:近位監視(49.4%),2位:軽介助(21.7%),3位:遠位監視(12.1%),場所別では1位:PT室(32.5%),2位:OT室(21.7%),3位:廊下(15.7%)であった。年度毎の歩行中転倒件数は2009年度9件,2010年度6件,2011年度11件,2012年度1件,2013年度3件であった。近位監視中転倒件数は2009年度10件,2010年度10件,2011年度14件,2012年度5件,2013年度2件であり,それぞれ2012年度から件数の低下を認めた。SSについてのアンケートでは「転倒事故防止を目的に使用している」との答えが61%であり「歩行練習中の事故防止に効果的か?」という質問では「非常に効果的」,「やや効果的」との答えが94%であった。【考察】当院では部内リスクマネージャーと安全管理室が連携し新人研修や部内勉強会においてリスク管理に関する講義を実施している。事故発生時には管理職療法士,リスクマネージャーから担当療法士に対し改善点についての指導,他療法士への周知徹底が行われ再発予防に取り組んでいる。リハビリ部では2012年度PT室にSSを導入しており,必要に応じて転倒防止ベルトの使用も推奨してきた。そのため2012年度から転倒事故件数の減少が認められ立位,歩行練習時にSSを使用することは事故防止に効果的であることが考えられた。アンケート結果でも転倒事故防止を目的にSSを使用しているスタッフが過半数におよんでいた。またSSについて歩行練習中の事故防止に効果的であると答えたスタッフが94%におよび歩行時の転倒事故防止に対するスタッフの意識向上が認められた。しかしSSは使用場所が限られる為,今後病棟や屋外では持ち運び可能な転倒防止ベルトの使用を今まで以上に推奨し,状況に合わせた使い分けをすることで,より安全で適切かつ効果的なリハビリの提供が必要と考える。【理学療法学研究としての意義】本研究では医療安全に関する要因の検討,スタッフの認識が把握できた。リスク管理の教育におけるシステムの構築に非常に有用と考えられる。また当院と同様の急性期医療施設への情報提供となり,今後の積極的かつ安全なリハビリの普及にも有用と考えられる。
著者
寺田 愛 安藤 仁 野川 麻紀 櫻井 勝 野原 えりか 山下 治久 早川 哲雄 宮本 謙一 小林 健一 篁 俊成
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 = Journal of the Japan Diabetes Society (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.463-467, 2003-06-30
被引用文献数
5

理想のインスリン注入器を追求する目的で, 新型タイマー式注入器の使用感や外観を従来の万年筆型注入器との対比において評価した. 当科通院中のインスリン使用糖尿病患者89人 (男性49人, 女性40人) に, アンケート調査を行った. タイマー式は単位の合わせやすさ (7896) や注入ボタンの押しやすさ (6296) など操作性が評価された (数値はタイマー式の支持率). 一方, 外観は形 (2896), めだたなさ (2996) と万年筆型が優っていた. これらを年代別に解析したところ, 操作性は各年代ともタイマー式を支持したが, 外観は若年層ほど有意に万年筆型を支持した, 今後使用したい注入器としては, 若年層ほど万年筆型を, 高齢層ほどタイマー式を選択し, 若年層では外観を, 高齢層では操作性を重視することが判明した. インスリン注入器に求める条件は年齢層によって異なり, タイマー式は高齢者が求める条件をより満たした注入器であることが明らかとなった.
著者
早川 勝
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.256-228, 2010-05

論説(Article)会社の資本金制度は、実際には債権者保護として機能しないという視点から会社法は最低資本金制度を撤廃した。株主の有限責任制度を維持しながら、どのように債権者保護を図るかということは、会社法の重要な課題である。本稿では、その一つの方策として、取締役の破産申立義務が債権者保護に役立つという視点に立ち、この義務を現行会社法の解釈から導くことを展開する。
著者
早川 倫子 小川 容子 虫明 眞砂子
出版者
岡山大学教師教育開発センター
雑誌
岡山大学教師教育開発センター紀要 (ISSN:21861323)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.32-41, 2013-03-08

「学生オペラ」の発信は,教育現場で活躍できる人材育成と,岡山大学を文化活動の拠点とした文化・芸術活動の盛んな地域づくりを目指すことを目的として実施したものである。本稿では,約半年間の準備期間の様子とその成果を報告し,筆者らが取り組んださまざまな連携のあり方と課題について考察した。連携に関しては,①教育学部内の教員の連携(教科内容専門の教員と教科教育専門の教員),②附属学校との連携,③他学部との連携,④地域や卒業生との連携に焦点を当てて検討した。また,オペラ終演後に実施したアンケート結果からは,来場された多くの方が非常に満足されており,これからも継続してほしいと要望していることが明らかになった。
著者
早川 弘之 高井 富美 田中 博道 宮坂 貞 山口 健太郎
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1136-1139, 1990-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
18 23

Displacement of a hydroxyl group in pyrimidine nucleosides having a vicinal diol system by a fluorine atom was investigated by using diethylaminosulfur trifluoride (DAST). Though participation of the base moiety often thwarts the desired introduction of a fluorine atom, it was found that appropriate modification of the base and/or sugar moieties allowed the desired fluorodehydroxylation to occur, giving 5'-, 3'-β-, and 2'-α-fluorinated uracilnucleosides in good yields.
著者
角谷 雄哉 鳴海 拓志 小早川 達 河合 崇行 日下部 裕子 國枝 里美 和田 有史
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.77-82, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
31

Many studies have reported that subjective taste intensity is enhanced by odors which are congruent, for example a sweet taste and a vanilla odor. Some reports have suggested that subjective taste is more strongly enhanced by retronasal than by orthonasal odors; others have suggested that taste enhancements by both odor routes are identical. Differences between the two routes include the direction of airflow accompanying breath. Although we have already reported the enhancement of a sweet taste induced by a vanilla odor, the enhancement of a salty taste has not been reported. Here, we examined whether the enhancement of a salty taste is induced by a soy sauce odor synchronized with breathing. The results of this study, in which olfactory stimuli were presented synchronously with breathing in, demonstrate that a retronasal soy sauce odor after drinking enhanced a salty taste, but an orthonasal soy sauce odor before drinking did not.
著者
小早川 悟 高田 邦道
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.355-360, 2003-10-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

現在の道路交通問題は、事故、渋滞、路上駐車、沿道環境、地球環境まで多岐に及んでいる。わが国の都市内交通対策では、1)路上駐車車両の道路空間占有が交通渋滞の大きな原因となっている、2)路上駐車車両総数における荷さばき目的の貨物車の占める割合が高い、3)顕在化している自動車需要の中で貨物車の占める割合は概ね40%と高い、4)地球温暖化の原因とされるCO2の総排出量の約20%、東京などの大都市圏では約36%が自動車交通で、物流による寄与量は半分以上と言われている、5)主要都市間の物流は企業自身で合理化という観点からコントロールできにくい複雑な要素を抱えている、などの理由から物流対策が重要であるとされている。 この課題に対して、路上に存在する貨物車対策として路上駐車車両を路外に転換させることが、道路交通の秩序化のためにも、また端末物流のシステム化のためにも必要である。そのための路外および路上の荷さばき施設の設置や路外転換を試みる社会実験が各地で行われてきている。貨物車を考慮した路上駐車対策は様々な場面で必要とされており、社会実験等でその効果の把握も行われてきてはいるが、実際にポケット・ローディング(PL)のような路外駐車施設を設置する場合に、どのような場所にどのように配置していけばよいかといったような解析を地区レベルで行っていくことは未だ不十分でその解法はない。 そこで、本研究では、練馬区において実施した路上荷さばき車両の路外転換実験の調査結果をもとに、特に近隣商業地を対象とした路外荷さばき施設の配置計画を検討し、社会実験の結果から配置計画の考え方の再考を行った。その結果、路上駐車の多く存在する商店街通りにおいて、PLからの横持ち距離を 100mとして200m毎に直線的に配置を行った路線型の配置計画では、十分な効果を得ることが不可能であり、特定の地区における車両の走行規制なども含めた総合的な交通対策として路外荷さばき施設を配置していく必要があると考えられる。
著者
東 朋美 神林 康弘 藤村 政樹 大倉 徳幸 吉崎 智一 中西 清香 西條 清史 早川 和一 小林 史尚 道上 義正 人見 嘉哲 中村 裕之
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.29, no.S1, pp.s212-s217, 2014-02-20 (Released:2014-04-01)
参考文献数
33

The frequency and scale of Asian dust events have increased rapidly in East Asia since 2000. In connection with this, the effects of Asian dust (kosa) on human health, especially on allergic diseases, are major concern in Japan. We herein discuss the effects of kosa on allergic diseases, including asthma, chronic cough and Japanese cedar pollinosis. Epidemiological studies, as well as experimental studies, have demonstrated the association between kosa and the exacerbation of asthma and allergic diseases.The kosa particles increase airway inflammation as one of the major sources of atmospheric particulate matter. Furthermore the kosa particles absorb various atmospheric gases, including air pollution. Such environmental pollution enhances the response to allergens, including Japanese cedar pollen. Recently, some epidemiological studies used the kosa data obtained by the light detection and ranging (LIDAR) system, which distinguish between mineral dust and other spherical particles, by identifying differences in the shape of the particles. Further studies using the LIDAR system will help to identify the kosa aerosol components that have adverse health effects, leading to provide new strategies to prevent environmentally induced allergic diseases.