著者
五十嵐 誠 望月 優子 高橋 和也 中井 陽一 本山 秀明 馬場 彩 望月 優子 高橋 和也 中井 陽一 本山 秀明
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果の概要:南極ドームふじ基地において掘削された氷床コアおよそ100m分についてイオン濃度分析を実施し、硝酸イオン濃度プロファイル中の十数箇所に超新星爆発起源と思われる高濃度スパイクを検出した。本研究ではこれらの発現年代を正確に推定するため、ドームふじ氷床コアの硫酸イオン濃度測定結果と大規模火山噴火年代との関連性を考慮して、誤差1年以内の氷の堆積年代(深度と年代の関係)を求めた。
著者
井上 克弘 横田 紀雄 村井 宏 熊谷 直敏 望月 純
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.265-274, 1993-06-05
被引用文献数
17

富士山麓森林水文試験地のブナ林とヒノキ幼齢および壮齢林において,林外雨,林内雨,樹幹流および土壌浸透水を採取し,水質分析を行った.また,林外雨量,林内雨量,樹幹流下量と各雨水の化学成分の濃度から,ブナ林およびヒノキ林の林相部分の養分収支について考察した.その結果,次の点が明らかになった.1)富士山麓の雨水中にはかなりのレベルの大気汚染物質(SO_4^<2->, NO_3^-, NO_2^-, NH_4^+)が含まれていた.各無機イオン海水中の Na^+ に対する富化率から,Mg^<2+>, Na^+, Cl^- は風送塩起源,SO_4^<2->, NO_3^-, NH_4^+ は工場や自動車など排気ガス起源であるということが判明した.雨水中の SO_4^<2->, NO_3^- 濃度が高い場合は雨水の酸性が強かった.このうち,NO_3^- (NH_4^+ も部分的に硝化作用を受け NO_3^- に変化する)の一部は樹木の養分として吸収利用されていると考えられる.ブナは樹体が塩基類に富,酸性雨に対して高い中和機能を示した.2)ブナからは多量の塩基成分とくに K^+, Ca^<2+> が降雨に伴って,雨水中に溶出した.雨水によるブナの樹体からの K^+ の浸出は落葉機にとくに顕著であった.Ca^<2+> の一部は樹体に付着している風成塵などの乾性沈着物から溶出したものであると推定した.雨水の H^+ はブナの樹間,樹幹を通過・流下する過程でかなり中和され,林内雨および樹幹流の RpH 値が高くなった.一方,ヒノキからの塩基成分の雨水中への溶出はブナに比べるとかなり小さかった.また,林外雨の RpH 値はヒノキの林内,樹幹を通過・流下する過程で低下した.これはブナに比べ樹体からの塩基類の溶出が小さいこと,またヒノキの樹体から水溶性有機酸の浸出があったためだと考えられる.3)土壌浸透水の水質は,調査地域の土壌母材である富士山起源の玄武岩質火山灰やスコリアの岩石学的性質の影響を強く受け,Ca^<2+>, Na^+ 濃度が高かった.土壌浸透水中の Ca^<2+>, Na^+, SO_4^<2-> 濃度は下層ほど高く,下層への浸透が容易に進行していることがうかがわれる.一方,土壌浸水中の NO_3^- 濃度は土壌全体で低く,樹根により植物養分として吸収利用されていると考えられた.また,塩基類に富む玄武岩質火山灰土壌のもつ高い緩衝能のため,土壌浸透水のpH はほぼ中性で,樹種や土壌層位による水質の違いは余り認められなかった.
著者
相澤 一美 山崎 朝子 野呂 忠司 望月 正道 細川 博文 河内山 晶子 杉森 直樹 飯野 厚 清水 真紀 藤井 哲郎 磯 達夫
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

テキストのカバー率を95%にするための語彙レベルと,読解テストで十分な得点を取るための語彙サイズの間にはギャップがあることが明らかになった。例えば,大学入試センター試験の読解問題で,約3000語を学習することになっており,テキストも3000語の語彙知識があれば,95%をほぼカバーできるが,実際に理解度を試す問題に正答するには,5000語の語彙知識が必要であった。同様に,アカデミックテキストは,約5000語でほぼ95%をカバーできるが,十分な得点を取るためには,6500語が必要なことがわかった。
著者
角田 哲也 望月 信介 大坂 英雄
出版者
山口大学
雑誌
山口大学工学部研究報告 (ISSN:03727661)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.331-337, 1990-03

The effect of the separating shear layer characteristics on the structure of the flow downstream of the reattachment region of a backward-facing step is examined using wall pressure distribution and mean velocity data at a unit Reynolds number of 9.92×(10)^5m^<-1>. The reattachment length X_R/h is 6.78 in this study. Log plots of the mean velocity profiles downstream of reattachment show that the disturbance in the boundary layer is primarily in the outer part of the log region. The inner part of the profile relaxed rather quickly.
著者
望月 伸悦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

色素体の機能に依存した光合成関連遺伝子の転写制御において、これまでの定説ではテトラピロール合成中間体MgProtoIXの蓄積量が重要であると考えられてきたが、本研究によって、その蓄積量は転写制御と直接の関連性がないことが明らかとなった。更に、CRY1およびHY5とテトラピロール合成系GUN遺伝子との間に、遺伝学的相互作用があることを見いだした。
著者
軸屋 和明 立花 博之 平松 修 望月 精一 松本 健志 後藤 真己 OGASAWARA Yasuo KAJIYA Fumihiko
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

心筋内の血流分布は微小循環レベルで著しい空間的不均一性を示すことが知られ、冠微小循環障害発症メカニズムの関連因子として注目されている。本研究では、放射性分子血流トレーサ(トリチウム標識のデスメチルイミプラミン:^3H-DMI)を用い、従来にない高分解能(100サンプル/mm^2、最小サンプルサイズ0.lmm)で麻酔開胸家兎の心内膜側心筋と心外膜側心筋の血流分布の全体的および局所的不均一性を評価した。その結果、心内膜側では心外膜側に比して血流の全体的不均一性(global heterogeneity)は大きかったが、逆に近接サンプル間の血流相関性すなわち局所的な血流の一様性(local homogeneity)が高かった。また、フラクタル解析によって、血流分布のランダム性は心内膜側で小さく、クラスター様の分布パターンであることが明らかになった。以上より、心内膜側心筋は不均一な冠血管構造と心筋メカニカルストレスの影響下にあるために全体的な血流分布のバラツキは大きいが、高い心筋酸素需要に応じて局所血流調節が強く働き、血流分布を局所的に一様化していることが示された。また、サンプルサイズを変数とした近接サンプル間の血流相関値にあらわれる増加→プラトー関係から、血流調節ユニットが心外膜・内膜側ともに約400μmであった。この大きさは臨床的に知られる散在性の心筋虚血の個々の虚血領域の大きさに対応している。
著者
San Gabriel Maria Concepcion S. 遠矢 幸伸 杉村 崇明 清水 孜 石黒 信良 望月 雅美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.97-101, 1997-02-25
被引用文献数
1 11

日本で分離されたイヌカリシウイルス(CaCV)No.48株をMDCK細胞で大量培養し, 塩化セシウム平衡密度勾配超遠心により精製した. 精製ウイルスをSDS-PAGE解析したところ, 約60キロダルトンの1種類の主要ウイルス蛋白のみの存在がクマシー染色により示された. カプシド蛋白と考えられる同一のバンドはマウス高度免疫血清を用いたウェスタンブロッテイングにより検出され, 本カプシド蛋白はMDCK細胞において感染後少なくとも2時間で合成されていた. 実験感染犬における抗CaCv抗体の産生がマイクロ中和試験とウェスタンブロッテイングにより示された. 同様に, 血清調査においても中和抗体の存在が示されるとともに, 精製ウイルスのカプシド蛋白に野外血清が反応することが明らかとなった. これらの結果はCaCV No.48株のカプシド蛋白が免疫原性を有し, 本蛋白に対する抗体をウェスタンブロッテイングにより検出しうることを示している.
著者
脇本 健弘 苅宿 俊文 八重樫 文 望月 俊男 酒井 俊典 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.209-218, 2010
被引用文献数
1

本研究では,初任教師の育成として授業に関するメンタリングに注目をした.メンタリングとは,経験を積んだ専門家(熟達教師)が新参の専門家(初任教師)の自立を見守り,援助することである.初任教師を対象に授業に関するメンタリングを行う際は,初任教師が授業を行い,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行うことが有効である.しかし,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行う際に,(1)対話内容が授業技術や理論的なもの中心で,具体的な子どもの話がでてこない,(2)熟達教師の子どもの話が初任教師に伝わらない,(3)振り返る子どもに偏りが出るという問題がある.上記問題を解決するために,メンタリング支援システムFRICA(読み方:フリカ)を開発した.その結果,FRICAを利用することにより,子どもの話が引き出され,初任教師に伝わるように熟達教師が子どもの話ができるようになった.また,子どもの偏りに関しても効果がみられた.
著者
望月 源 本田 岳夫 奥村 学
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.37-38, 1995-09-20
被引用文献数
2

語義曖昧性解消などに使用される代表的な機械可読の日本語シソーラスには、国立国語研究所の分類語彙表[4](以下、[分類])と、角川書店の角川類語新辞典[5](以下、[角川])が挙げられる。これらは人手により、異なる語彙分類基準で構築されている。本稿では我々の語彙的結束性[1]に基づいた語義曖昧性解消アルゴリズム[3]を両シソーラスそれぞれを用いて実装し、実際のテキストで曖昧性解消の実験を行なう。その結果から、語彙的結束性に基づく語義曖昧性解消の観点からシソーラスの比較を行なう。
著者
川端 正久 勝俣 誠 原口 武彦 大林 稔 落合 雄彦 望月 克哉
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度は日本側研究者とナイジェリア側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとナイジェリア」および「世界の中の西アフリカとナイジェリア」であった。日本側研究者とナイジェリア側研究者は共同研究シンポジウム(1997年12月、ナイジェリア国際問題研究所)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施した。西アフリカにおけるポスト構造調整への移行、ナイジェリアにおける民政移管の進行、ナイジェリアの状況(ビジョン2010、民政移管のプロセス、ナイジェリア経済の現状、日本・ナイジェリア経済関係、ナイジェリアの政治経済社会、市民社会の形成など)について分析した。平成10年度は日本側研究者とコートジボワール側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとコートジボワール」および「世界の中の西アフリカとコートジボワール」であった。日本側研究者とコートジボワール側研究者は共同研究シンポジウム(1998年9月、社会経済研究センター)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施し、日本の援助案件のサイトを視察した。西アフリカの政治経済情勢、西アフリカにおける政治的民主化と民族・部族問題、CFA と非CFA、農業産品の生産と輸出、農業経済の状況、人民経済の可能性、アフリカ・アジア経済関係、日本のアフリカ外交などについて分析した。平成11年度は日本側研究者とアフリカ側研究者2人および研究協力者の共同研究を主たる内容とした。研究項目は研究課題全体の総括的研究であった。2回の共同研究シンポジウム(1999年9月と11月、アジア経済研究所)を開催した。西アフリカの持続的開発と金融制度、民族問題と民主化、人民経済の展望、宗教と社会、市民社会と新たなアクター、西アフリカの民主化、アフリカの民主化の成果と限界などについて分析した。研究分担者および研究協力者の論文12本で研究成果報告書を作成した。内容は西アフリカにおける政治的民主化、持続的経済開発、社会的変動などについて分析した論文から構成されている。
著者
秋田 恵一 山口 久美子 望月 智之 小泉 政啓
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

肩関節周囲の構造については、臨床の技術の向上にともない、ますます詳細な理解を必要とするようになった。そこで、本研究では肩関節周囲筋の解剖を見直し、総合的に新たに評価を行い、手術、診断といった臨床応用への基盤を形成する。また、肩関節の成り立ちを比較解剖学的に検討し、ヒトの解剖学的な理解に役立たせる。本研究の結果、非常に多くの解剖学的な新知見が得られ、臨床への応用が期待されることになった。また、比較解剖学的な知見から、ヒト肩関節の構造について、より理解が深まったと考えられる。
著者
合田 敏尚 望月 和樹
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

マウスの給餌を明期に制限すると、空腸における時計遺伝子Per2および糖輸送担体Sglt1の遺伝子の発現量は、給餌開始前後に最大となるように位相がシフトすることが明らかになった。これらの遺伝子上への核内因子BMAL1およびアセチル化ヒストンの結合は、遺伝子発現の日内リズムと対応して量的に変動していた。この結果は、小腸における糖輸送担体の発現は、食事のリズムに依存して、時計遺伝子の発信機構を介して制御を受けていることを示唆する。
著者
望月 聡 上野 洋子 佐藤 公一 樋田 宣英
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.495-500, 1999-05-15
被引用文献数
8 11

冬期および夏期に漁獲されたマサバを用い, 死後変化に対する貯蔵温度の影響を検討した。魚体が完全硬直に達するまでの時間は, 冬期夏期ともに5℃で貯蔵したときが最も長かった。背肉中のATP, IMP, イノシン, およびクレアチンリン酸の含量の変化は冬期では5℃で貯蔵したときに最も遅く, 夏期では0℃で貯蔵したときに比較して5℃および10℃で貯蔵したときの方が遅かった。K値は冬期夏期ともに10℃で貯蔵したときの上昇速度が速かった。筋肉破断強度の経時変化は冬期は顕著に, 夏期はわずかではあるが5℃で貯蔵したときに高い値を維持した。以上の結果から, マサバの死後変化を遅くするための貯蔵温度は, 漁期を問わず5℃程度が適当であると考えられた。