著者
望月 典子
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.132, pp.255-280, 2014-03

特集 : 論集 美学・芸術学 : 美・芸術・感性をめぐる知のスパイラル(旋回)Nicolas Poussin, a French painter, was highly influential in the formation of French classicism in the arts. He spent most of his life in Rome, Italy, and from the 1640s, he produced works mainly aimed at amateurs in Paris. He left about 18 paintings focusing on the life of Moses as depicted in the Old Testament. Among these include The Finding of Moses, which he painted for the Parisian silk merchant Jean Pointel, and The Exposition of Moses, which he created for Jacques Stella, a French painter and old acquaintance. These works depict two episodes related to the birth of Moses as well as feature a sphinx as an attribute of the River God of the Nile. In these works, Poussin rendered two noticeably different types of sphinxes for each recipient. For Pointel, he concealed typological meanings in the Egyptian sphinx to embody prophesies from the Old Testament, whereas for Stella, he depicted the statue of a lion along with the statue of Moses in the fountain of the Acqua Felice( one of the aqueducts of Rome), in which he included syncretistic connotations while drawing on the works of Kircher. The relationship between providence of nature and fortune indicated in this particular work is a theme that Poussin dealt with through his so-called ideal landscape. Therefore, he sent this work to Stella, who understood his paintings more than anyone else, in order to receive critical appraisal.
著者
市川 玲子 望月 聡
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.96-100, 2014-12-20 (Released:2015-01-07)
参考文献数
13

Personality disorders (PD) include biases of cognition about the self or others in the general diagnostic criteria. Although the relationships between PDs and self-esteem have been clarified, the relationships of PD traits and evaluation affect about others have not been studied. This study examined relationships of PD traits and assumed competence in 304 undergraduates and graduate students. The results showed that individuals with the assumed type of competence had higher scores for borderline and obsessive-compulsive PD traits than other PD traits. The results suggest that maladaptive personality traits involve not only negative self-cognitions but also negative cognitions about others.
著者
唐 啓華 望月 直人
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.351-360, 2011-09

翻譯: 望月直人(MOCHIZUKI, Naoto)
著者
村山 恭朗 伊藤 大幸 高柳 伸哉 松本 かおり 田中 善大 野田 航 望月 直人 中島 俊思 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.477-488, 2014

反応スタイルは抑うつの維持もしくは悪化を引き起こす要因である。本研究は小学4年生から中学3年生の5,217名を対象とし小学高学年・中学生用反応スタイル尺度を開発することを目的とした。既存の反応スタイル尺度を参考に,「反すう」,「問題解決」,「思考逃避」,「気晴らし」の4因子を想定した原案16項目を作成した。探索的因子分析の結果,想定された通り小学高学年・中学生用反応スタイル尺度は4因子(「反すう」,「問題解決」,「思考逃避」,「気晴らし」)で構成されることが示された。さらに各因子間に認められた相関は先行研究の知見に沿うものであった。また信頼性に関して,各下位尺度のα係数は概ね基準以上の値であることが確認された。外在基準とした抑うつおよび攻撃性との相関を検討したところ,「反すう」は正の相関,「問題解決」および「気晴らし」は負の相関を示した。これらの結果は先行研究に沿うものであり,小学高学年・中学生用反応スタイル尺度の構成概念妥当性が確認された。
著者
天国 邦博 呂 恒倹 望月 利男
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.29-41, 1995

人口密集地域の直下で発生したM7.2の1995年兵庫県南部地震は、神戸市を中心として、阪神・淡路地域において極めて大規模な人的、物的被害を与えた。災害に備え、同じ被害を二度と発生させないために、多くの研究者は、今回の地震災害、震災対応などに対して、様々な角度から調査、研究を行っており、震災に関する情報が多く報告されている。しかし一方では、今までの震災や、調査報告は、その内容がほとんど被害の大きい地域に関するものであり、被害規模が相対的に小さい地域に関する報告が比較的少ない。例えば大阪府のような被災周辺地域の被害については、せいぜいトータル的な人的被害と物的被害の集計値を報じ、被害内訳に関する比較的詳細な報告が少ないと思われる。このことは、大阪府などのような被災周辺地域における被害の報告は、神戸市、西宮市、芦屋市などの大規模被災に比べて、その規模が小さいために生じた調査、報告の偏りであると考えられる。しかしながら、災害の全体像を把握するためには、被害の波及範囲の究明が重要であり、震災周辺地域における被災様態に対する調査は不可欠と考える。また、被害規模が比較的小さい地域に対する調査、分析は、重大な被害を受けた地域に対する相対的・副次的現象、また、見落としやすい現象や、被災者及び避難者の実状などの掌握の補充に寄与するものと考えられる。本論文では、大阪府内の主な被災地である豊中市において発生した家屋被害、ライフライン・道路の被害をまとめ、これらの物的被害と地盤・地形および市街地形成時期との関係について考察を加えた。また人的被害に対して、被害原因の内訳、被災者の個人属性などについて検討を行った。さらに、避難者の健康状況、住宅所有などに対して考察した。
著者
石井 浩史 望月 研二 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1805-1812, 1993-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
57

臨場感通信会議等の仮想環境システムへの応用を目的として,ステレオ画像の解析によって,人物の全身動作画像を仮想空間内に合成する方式について検討した.仮想環境システム等の応用を考えるとき,要求されるのが実時間性であるが,その点で,画像から人体の動きの十分な3次元情報をボトムアップ的に抽出するアプローチは現実的ではない.そこでここでは,実時間で抽出できる限られた情報から,いかに自然な人物動作を仮想空間に再現できるかという観点から,方式の提案・検討を行う.本方式では,ステレオ画像から差分情報と色情報を用いて頭部,顔,手の3次元位置を検討し,それらの位置情報から得られるパラメータの時系列から,連想記憶を用いたマッチングによって,データベースに蓄えた人物動作のモデル動作の時系列を推定する.モデル動作での頭部の移動方向および人体スティックモデルの各関節角度のデータをもとに,画像から得られた特徴点の動きに一致する人物の位置,方向,各関節角度を求め,人物動作の再構成を行う.数種類の動作の時系列によって構成される実画像を用いたシミュレーションにおいて,ほぼ自然な人物動作画像の合成結果が得られた.
著者
豊田 充崇 中川 一史 中橋 雄 佐和 伸明 山本 朋弘 菊池 寛 加藤 悦雄 山口 修一 海道 朋美 遠藤 麻由美 有田 浩子 増井 泰弘 山中 昭岳 本岡 朋 寺田 好 望月 純子 中原 亜由美 高橋 美咲 広瀬 一弥 甲斐 崇 田中 健太郎
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

通常の教科(国語や社会科、生活科等)の単元に情報モラル育成の要素を含ませた学習場面を設計し、モバイル端末を活用したり、学校間交流等で積極的に情報発信・表現する授業を実践した。加えて、学校教育利用向けSNS(Social Networking Service)を設計・開発し、その実践的評価をおこなった。当システムは教育利用を前提に機能の絞込みやユーザーインターフェイスのデザインをおこない、全校種で活用可能な「スクールコミュネット」として公開中である。※当研究関連資料:http://www.wakayama-u.ac.jp/~toyoda/
著者
猿渡 敏郎 望月 賢二
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.299-304, 1985-11-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
3

目本近海から得られた2個体の標本を基に新種ミノアンコウLophiodes fimbuatusを記載した.本種は体の背面と腹面両方から分枝した細長い皮弁が出ていること, illiciumに色素胞が点在していること, escaが痕跡的であること, 第三遊離背鰭鰭条に対をなす皮弁が複数存在していることから, 同属の他種から容易に区別することが出来る.
著者
宮内 清子 望月 好子 石田 貞代 佐藤 千史
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.433-441, 2009-01
被引用文献数
1

目的:中高年女性の就業形態が更年期症状にどのように影響しているかを明らかにし,今後の健康支援において主たる対象とすべき集団の特性とその課題をみつけることを目的とした。方法:対象者は40〜65歳までの女性とし,都内および近郊に在住の某女子大学学生の母親および大学関係者から公募した。調査協力に同意の得られた220名を対象として,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,属性,生活習慣,健康情報入手方法,健康相談相手,将来の健康不安,更年期症状とした。更年期症状は簡略更年期指数(SMI)を用いて調査した.また,医学中央雑誌で先行研究を検索し,SMIの得点を比較した。結果:SMI得点は先行研究における一般女性とほぼ同様の結果であった。SMIの得点を就労形態別に5群で比較したところ,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた(p=0.049)。症状別にみると,自営業群は他の群と比較して「怒りやすくいらいらする」「くよくよしたり,憂うつになったりする」「頭痛・眩暈・吐き気がよくある」などの精神的症状が有意に高かった。結論:就業形態別に更年期症状を検討した結果,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた。特に自営業群の精神的な症状が,他の群に比べて有意に高かった。このことから自営業の中高年女性に精神面の支援の必要性が示唆された。
著者
望月 正哉 玉木 賢太郎 内藤 佳津雄
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.398-403, 2014

Previous studies demonstrated that observing another person's grasp action modulated the observer's attention to the object in a manner congruent with another person's action goal. These studies suggest that this grasp-cueing effect results from representation of the observer's understanding of action intention in the mirror neuron system. This system serves as the neural mechanism underlying action-oriented goals, regardless of whether they are those of the observer or others. The present study examined whether the grasp-cueing effect emerged even when a grasp action was observed from an egocentric (observer's own) perspective. Reaction times were faster when the target was presented over the object that was congruent with the action goal implied by the size of the hand aperture. This indicated that the grasp-cueing effect occurred when the stimulus was observed from an egocentric perspective, consistent with the view that this effect resulted from the observer's understanding of action intention as represented in the mirror neuron system.
著者
望月 久
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.192-196, 2005-06-20
被引用文献数
4 4

バランスは理学療法に関連の深い用語であるが, 姿勢の変化や外乱に対する立ち直り反応や平衡反応といった姿勢反応としてのバランス, 生体力学的分析に適した身体重心線と支持基底面の関連性としてのバランス, 特定の検査方法を通してみた結果としてのバランスなど, バランスに対しては様々な捉え方があり, その意味内容は理学療法士によって, また同じ理学療法士でも使用する文脈によって異なっているように思われる。本論では, バランスについての考え方を整理し, バランスの評価およびバランス改善へのアプローチについて検討したい。バランスの概念的整理 1. バランスをみる視点 一般的な意味におけるバランスは, 姿勢保持や動作時に転倒せず安定してその動作が遂行できること, または遂行していることを指していると思われる。Shumway-Cookらは, 姿勢調節には身体(姿勢)の方向付け(postural orientation)と安定性(postural stability)の2側面があり, バランスは後者に関する概念と捉えている。理学療法士は対象者のパフォーマンスを観察し, その状況から対象者が実施している動作の自立度や安定性, パフォーマンスを実現させている身体能力, 調節機構としての感覚, 運動神経系の機能を推測している。それら全てを漠然とバランスという用語で表していることもあり, 姿勢調節に関連する身体能力や神経機構を指していることもある。
著者
望月 源 岩山 真 奥村 学
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.101-126, 1999
被引用文献数
7

計算機上の文書データの増大に伴い, 膨大なデータの中からユーザの求める文書を効率よく索き出す文書検索の重要性が高まっている. 伝統的な検索手法では, 文書全体を1つのまとまりとして考え検索要求との類似度を計算する. しかし, 実際の文書, 特に長い文書では様々な話題が存在し, 文書中の各部分によって扱われる話題が異なる場合も多く見られる. そのため, 最近の文書検索では, ユーザの入力した検索要求と関連の高い文書の一部分を取り出して類似度を計算するパッセージレベルの検索が注目されている. パッセージ検索におけるパッセージとは, 文書中で検索要求の内容と強く関連する内容を持つ連続した一部分のことを言う. パッセージ検索では, このパッセージをどのように決定するかが問題となる. 良いパッセージを決定するためには, パッセージ自体が意味的なまとまりを形成し, パッセージの位置やサイズが検索要求や文書に応じて柔軟に設定される必要があると考えられる. 本稿では, 文書中の文脈情報である語彙的連鎖を利用し, 検索要求と文書の適切な類似度を計算できるパッセージ決定手法について述べる. また, このパッセージを使用し, 検索精度を向上させる検索手法について述べる.
著者
長島 浩二 久田 貴義 望月 淳
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.155-164, 2014 (Released:2014-10-29)
参考文献数
67
被引用文献数
1

近年,16SリボソームRNA遺伝子をターゲットとした分子生物学的手法は複雑な微生物群集の構造と機能を解明するための強力なツールとなっている.ここでは,同手法の一つであるT-RFLPとその関連技術ならびにT-RFLPを使って得られている研究成果について,著者らの考案した方法を中心に概説した.また,近年急速に普及してきた次世代シーケンサーによる網羅的解析とT-RFLPで得られた結果とが良く一致する幾つかの研究結果を紹介しながら,T-RFLPの今後の在り方について簡単に言及した.
著者
三橋 伸夫 佐藤 栄治 黎 庶旌 本庄 宏行 望月 瞬 宇賀神 直彬 榊 京太郎 陶 鋒 斉藤 太紀
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

中国広州市の城中村および近郊農村を対象に、急速な経済成長を背景として行われた都市化、高密度住宅化を防止するための産業振興および居住環境整備の方策について検討した。その結果、これら農村集落がその歴史文化的,産業的な特性を生かした経済的振興と居住環境整備を両立させることには多くの障がいがあることが明らかとなった。不安定な外部経済への依存は持続的な集落経営に結びつかず,村(村民委員会)による将来計画の策定が望まれる。広州市は近郊農村の農業・観光産業育成に向けた技術的支援と資金提供を行うべきことを提言する。