著者
水野 淳太 渡邉 陽太郎 エリックニコルズ 村上 浩司 乾 健太郎 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3408-3422, 2011-12-15

情報検索技術の発展により,あるトピックに関連する多様な情報を容易に入手できるようになった.しかしながら,これらの文書に記述されている情報には,不正確な記述,偏りのある意見などが多数混在している.そのため,個々の情報や意見の信憑性を判断するためには,多様な情報源からの意見との整合性を調べる必要がある.しかし,限られた時間で数多くの情報源を調べることは難しいため,ユーザが持っている先入観が正常な判断を妨げてしまう場合がある.我々は,そのような状態を避けるために,言論マップ生成課題に取り組んでいる.これは,検索された文について,まず,トピックに対する賛成意見であるのか,それとも反対意見であるのかを分類し,次に,賛成および反対する根拠を含むかどうかを認識し,それらを俯瞰的に示すというものである.本課題において最も重要な問題は,1組の文対が与えられたときに,その間の意味的関係を分類する文間関係認識である.これは近年さかんに研究されている含意関係認識と重なる部分が多い.しかしながら,ウェブ上の実文に対して既存の含意関係認識を適用しても,その分類性能は限定的であるという報告がある.そこで,我々は,評価用データセットとその分析に基づく文間関係認識モデルを構築した.本論文では,検索された文において,クエリの内容に対応する部分を正しく同定することが,最も重要な技術的課題であること,また,いくつかの制約を変化させることで,関係分類の精度と再現率を制御できることを示す.
著者
田中 佐織 宮治 裕史 井上 加菜 田中 享 谷野 美智恵 加藤 昭人 金山 和泉 西田 絵利香 村上 秀輔 川本 康平 宮田 さほり
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯根破折歯接着治療法の予知性向上を目的として,封鎖材料のレジン表面を改変し培養細胞シートを貼ることでレジン上に歯周組織再生を目指した.レジン表面をカーボンナノチューブ(CNT)とナノβ-TCPでコーティングした.細胞付着試験では,CNTコートした試料に付着した細胞はコントロールと比較すると多く,細胞伸展が良好であった.また細胞増殖性試験でも高い細胞増殖性がみられた。皮下埋植試験では著明な炎症反応は認められず,CNTコートした試料に培養細胞シートを貼った試料周囲に骨様組織形成が認められた.以上よりレジン表面を改変することにによりレジン上に歯周組織再生の可能性が見出された.
著者
村上 成明
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-11, 2019 (Released:2021-12-14)
参考文献数
10

看護師の知識には客体化できない暗黙知が含まれ、具体的な経験から積極的に知識を掘り起こさなければ真の強味とはならない。また、知識は人間同士の関係性の産物であり、知識を共有する構造と過程の理解が不可欠である。そこで、看護ユニット内の知識共有に影響を与えている要因とマネジャーの判断および実践を、看護師長20名への半構成的面接を通して捉え、グラウンデッド・セオリー・メソッドで分析した。その結果、10個のパラダイムが抽出され、それらは知識共同体の成熟を伴う知識共有過程を構成していた。そのうちの6個は知識共有の進展過程を構成しており、“実践による練磨”→“材料としての知識”→“旬の役割”→“知識の常識化”→“態度の伝播”→“共同体の成熟”というステップで進展し、個人知が集合知として洗練され共有される。また、同時に知識共同体が成熟していき、そのためには肯定的で開示的な姿勢が重要との帰結に至った。
著者
吉田 憲司 赤塚 純一 石塚 只夫 伊藤 健 岩堀 豊 上野 篤史 郭 東潤 小島 孝之 進藤 重美 高戸谷 健 田口 秀之 多田 章 徳川 直子 富田 博史 中 右介 仲田 靖 永吉 力 野口 正芳 平野 義鎭 二村 尚夫 堀之内 茂 本田 雅久 牧野 好和 水野 拓哉 水野 洋 村上 哲 村上 義隆 山本 一臣 渡辺 安 大貫 武 鈴木 広一 二宮 哲次郎 静粛超音速研究機開発チーム Yoshida Kenji Akatsuka Junichi Ishizuka Tadao Ito Takeshi Iwahori Yutaka Ueno Atsushi Kwak Dong-Youn Kojima Takayuki Shindo Shigemi Takatoya Takeshi Taguchi Hideyuki Tada Akira Tokugawa Naoko Tomita Hiroshi Naka Yusuke Nakata Yasushi Nagayoshi Tsutomu Noguchi Masayoshi Hirano Yoshiyasu Futamura Hisao Horinouchi Shigeru Honda Masahiro Makino Yoshikazu Mizuno Takuya Mizuno Hiroshi Murakami Akira Murakami Yoshitaka Yamamoto Kazuomi Watanabe Yasushi Onuki Takeshi Suzuki Hirokazu Ninomiya Tetsujiro S3TD Design Team
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-10-007, 2010-07-10

宇宙航空研究開発機構では,将来のブレイクスルーとしての超音速旅客機実現を目指し2005年10月に飛行実験に成功した小型超音速実験機(NEXST-1)に引き続き,新たな飛行実験プロジェクトとして,2006年度より「静粛超音速研究機」(S3TD:Silent SuperSonic Technology Demonstrator)の予備設計に着手し,2008年~2009年度に基本設計を実施した.S3TDは,完全自律離着陸及び超音速飛行可能な無人機で,ソニックブーム低減技術を飛行実証することを目的としたものである.本報告書では,超音速飛行実験計画及び飛行実験システム(研究機システム及び実験場システム)の設計検討について,JAXAが独自に検討した成果及びJAXAとプライムメーカの契約に基づき実施された成果をまとめる.
著者
吉田 祐 森川 充洋 呉林 秀崇 横井 繁周 小練 研司 村上 真 廣野 靖夫 片山 寛次 五井 孝憲
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.2389-2396, 2018 (Released:2019-06-28)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

目的:一時的回腸瘻造設術後のoutlet obstruction(以下OO)の危険因子や腹腔鏡手術との関連を明らかにし,予防策を検索する.対象・方法:過去10年間に一時的回腸瘻を造設した51例を対象に,OOの有無でOO群(5例)とNon-OO群(46例)に分け,患者背景,腹直筋の厚さ,挙上腸管と腹直筋との関係について後方視的に検討した.結果:OO群は全例男性であった.OOの危険因子は腹腔鏡手術(p=0.014),腹直筋の厚い症例(p=0.001)であり,特に腹腔鏡症例では挙上腸管が有意に腹直筋の中央付近を(p=0.010),そして腹直筋を斜め(p=0.041)に貫いていた.結論:腹腔鏡手術で回腸瘻を造設する際はOOを考慮すべきである.対策として,術前に腹直筋の厚さを評価すること,脱気後に腹直筋に垂直に腸管を挙上することが有用である.

1 0 0 0 OA 浪六全集

著者
村上浪六 著
出版者
至誠堂書店
巻号頁・発行日
vol.第8編, 1923
著者
名和一成 村田泰章 駒澤 正夫 森尻 理恵 広島 俊男 牧野 雅彦 村上 文敏 岸本 清行 大熊 茂雄 志知 龍一
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5-6, pp.183-208, 2005-08-15 (Released:2014-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 2

産総研地質調査総合センターでは,20 万分の1重力図の系統的整備を行っている.新たに測定したものを加えた陸域の重力データと,地質調査所GH83-1航海で測定した海域の重力データを統一的に処理・編集して,「宮崎地域重力図(ブーゲー異常)」を出版した.この重力図には,宮崎沖堆積盆地や九州外帯の屈曲構造に対応する長波長の異常や,人吉・小林・都城盆地に対応する短波長の異常が見られる.また,短波長を抽出したフィルター図では,宮崎平野下の負異常や,過去の研究でも指摘された宮崎平野北部と西部の高重力異常が確認できる.一方,九州山地にも高重力異常が分布するが,重力補正に用いた仮定密度と実際の山体の密度との差から生じる見かけのものである.このため,基盤構造推定に利用する際には,地形の影響を考慮する必要がある.
著者
藤原 悌三 佐藤 忠信 久保 哲夫 村上 ひとみ
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. A (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.A, pp.71-95, 1989-04-01

The earthquake we have investigated took place in the Nepal-India border region in the earlymorning on 21 August 1988. This earthquake in the southeastern zone of Nepal close to the bor-der of the State of Bihar, India registered 6.6 on the Richter Scale. Its focal depth was assumedto be 57 km. In Bihar State, India, 282 persons died, 3766 were injured and 150, 000 houses weredamaged. In Nepal, 721 persons died, more than 5000 were injured and 100, 000 houses weredamaged. Most the houses damaged had been constructed of stone cemented with mud mortar, unburnt bricks, or burnt brick masonry. There are many wooden houses and few reinforced con-crete buildings in the effected area. We did not find any serious damage to those structures.This is a survey report, in which the damage to human loss and the collapse of buildingstructures done by the earthquake are introduced and discussed. We estimated the fault zone ofthis earthquake from the post-earthquake records. The intensity of ground shaking around theeffected areas is discussed in terms of assumed fault parameters and the geological condition ofthe surface layer. We also prepared a questionnaire asking inhabitants. The intensity distribu-tion estmated from their information is compared with the intensity derived from seismographicdata. Based on our laboratory tests of sand specimens collected from riversides where liquefac-tion occurred during the earthquake, the maximum acceleration near the epi-center is also esti-mated. The strength of the structures in the effected areas is estimated and compared with theactual damage done. On the basis of our survey and analytical results we present some recom-mendations for the mitigation of earthquake disasters in these areas.
著者
立岡 良夫 小野 ゆき子 海法 悠 大西 詠子 村上 衛 山内 正憲
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.259-262, 2018-10-25 (Released:2018-11-07)
参考文献数
14

【背景】市販メントールクリームは,皮膚に清涼感と侵害刺激と類似した感覚を生じさせる.その主成分であるL-メントールは,鎮痛効果と痛覚過敏の誘発という二面性を持つことが報告されている.メントールクリームが痛覚と知覚に及ぼす影響を詳細に検討することは,痛み発生メカニズム解明の一助となる可能性がある.【目的】メントールクリームが機械刺激と電流刺激の感受性に及ぼす影響を明らかにする.【対象と方法】健常者80名の前腕にメントールクリームを塗布し,塗布前後でピン刺激に対する視覚アナログスケール(VAS)値とPainVision®[ニプロ(株)]の電流刺激に対する知覚閾値と痛覚閾値を測定した.【結果】ピン刺激に対するVAS値と知覚閾値は塗布前後で有意に変化しなかった.塗布後に痛覚閾値は平均19.2%(95% CI 18.6~19.8,P<0.01)低下し,塗布前の痛覚閾値が高い被験者ほど塗布後の低下が大きい傾向があった(r=−0.39,P<0.001).【結語】メントールクリームは電流刺激に対する痛覚過敏を惹起し,その程度は電流刺激で痛みを感じにくい被験者ほど大きかった.
著者
加藤 尚徳 森田 朗 鈴木 正朝 村上 陽亮 花原 克年
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2021-CSEC-95, no.24, pp.1-6, 2021-11-01

2021 年 2 月 1 日,欧州委員会は "Assessment of the EU Member States' rules on health data in the light of GDPR" を公開した.これは,GDPR におけるヘルスケアデータについて,加盟各国の国内法の整備をはじめとした影響評価について調査されたものである.EU 加盟国間で起こりうる相違点を調査し,医療,研究,イノベーション,政策決定を目的とした EU における保健データの国境を越えた交換に影響を及ぼす可能性のある要素を特定することを目的としている.本稿では,この影響評価において分類されている 3 つの機能のうち機能 2 について概観する.