著者
三谷 祐史 細江 浩典 安井 敬三 林 優子 小坂 香織 古野 泰大 犬塚 加菜 河合 潤也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに】リハビリテーション(以下リハ)病院入院時のFIMにおいて軽症群の自宅退院率が高いことは言われているが,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった症例について検討した報告は渉猟したがなかった。【目的】当院の脳卒中地域連携パス(以下連携パス)を調査し,軽症にも関わらずリハ病院から自宅退院できなかった要因について検討すること。【対象及び方法】対象は2011年4月から2015年3月に当院から,連携パスを用いてリハ転院し,リハ病院から連携パスを回収でき,かつ記載不備のなかった1189名のうち,リハ病院入院時FIM91以上の399例とした。それをFIM別に91-100(以下91群)101-110(以下101群),111-120(以下111群),121-126(以下121群)の4層に分け,さらにリハ病院からの転帰で自宅退院群(以下退院群)と非退院群に分け,それぞれの特徴を回収された連携パスを基に調査した。調査項目は,年齢,当院ならびにリハ病院の在院日数,リハ病院退院時FIM(以下退院時FIM),FIM利得,FIM効率とした。検定には分散分析を行い,多重比較にはTukey法を用いた。有意水準は5%未満とした。【結果】退院群/非退院群は343/56例で,それぞれ91群95/24,101群100/22,111群107/6,121群41/4であった。各項目の平均値は,91群,101群,111群,121群の順に,年齢(歳)が72.0/67.6,73.4/63.9,64.4/67.7,60.8/62.0。当院在院日数(日)が28.2/27.7,27.4/32.6,25.4/24.3,25.7/29.3。リハ病院在院日数(日)が64.8/67.9,52.9/62.4,48.9/55.8,38.3/61。退院時FIM(点)が110.2/107.6,116.2/113.9,121.3/119.5,123.6/124.5。FIM利得(点)が154/12.3,10.5/8.6,6.1/4.2,0.2/2.3。FIM効率(点)が0.27/0.19,0.22/0.19,0.14/0.11,0.03/0.04であった。同じ層内での退院群-非退院群間には全ての項目で有意差は見られなかった。退院群内では,当院在院日数に有意差は見られなかったが,91群121群間でそれ以外の全項目で有意差が見られ,91群111群間では年齢,当院在院日数以外の項目に有意差が見られた。その他,各群間で有意差が散見された。【考察】軽症患者の機能的転帰や予後については,概ねリハ病院入院FIMに準ずることが示唆された。軽症でも非自宅退院となった具体理由を見てみると,再発及び他院での治療を要する他疾患合併によるバリアンス例が全群で13例あった。それ以外では,91群,101群において,入院期間が60日上限の施設へと転出され,60日後に転院となった例が半数近くを占めていた。これらの症例は運動失調や失語症が残存する例,若年で職業復帰を目指す症例などが散見された。その他では,同居者なしや生保にて施設入所となった例,精神症状により転院となった例などが見られたが大きな傾向はつかめなかった。【結論】同程度のFIMであっても,合併症や症状,家庭環境などによって治療が長期化する傾向が見られ,転院先を考慮する必要があると考えられた。
著者
浅野 尚美 小郷 博昭 池田 亮 閘 結稀 髙木 尚江 山川 美和 吉岡 尚徳 小林 優人 淺田 騰 藤井 敬子 藤井 伸治
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-8, 2017-02-28 (Released:2017-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

生後4カ月以内の乳児では,母由来のIgG型抗A,抗B抗体の有無を確認した上で適合血を選択しなければならない.当院では,生後4カ月以内の乳児の外科的手術症例における輸血が比較的多く,限られた検体量の中で輸血用血液製剤の正確で迅速な準備が要求される.今回,母由来のIgG型抗A,抗B抗体が陽性であった生後4カ月以内の乳児に対し,赤血球輸血の際に選択された血液型について後方視的に解析を行った.2009年4月から2013年3月の4年間に,輸血検査を行った生後4カ月以内のO型以外の乳児は309人で,間接抗グロブリン試験でW+以上の凝集を認め母由来のIgG型抗A,抗B抗体が検出された症例が44例(14.2%)であった.1+以上を示した31例のうち24例がO型赤血球輸血を選択したが,省略してもよいとされているABO血液型ウラ検査(カラム凝集法)で,児の血液型と同型のウラ血球に凝集を認めた症例が17例あった.生後4カ月以内の乳児の輸血前検査として,A1またはB血球との間接抗グロブリン試験で1+以上の凝集を認めた場合に加え,血液型検査のウラ検査も,母由来のIgG型抗A,抗B抗体を検出できる場合があり,O型赤血球輸血の選択基準のひとつになり得ると考えられた.
著者
小渕 千絵 原島 恒夫 田中 慶太 坂本 圭 小林 優子
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.29-36, 2020-02-29

標準化された聴覚検査では,静寂下での単音節や単語の聴取検査が多く,雑音下での検査など聴取に負荷のかかる検査は少なく,日常生活での聞き取りの困難度を検査によって明らかにはしにくい.そこで本研究では,聴覚障害児者や聴覚情報処理障害が疑われる児者の抱える聞き取り困難を評価する臨床的な検査として,雑音下の単語聴取検査や両耳での分離聴検査,交互聴検査などの 7 つの聴覚情報処理検査を作成し,学齢児 60 名の適用について検討した.この結果,今回作成した検査については,就学後の学齢児で実施できない児はおらず,適用可能であった.検査ごとに比較すると,早口音声聴取検査および雑音下の単語聴取検査においてのみ,学年間で統計的に有意な差がみられたが,それ以外の検査では学年間差はなく,学齢児では同程度の得点を示した.今後は,幼児や成人例への適用,および聞き取り困難を抱える方への応用についても検討していく必要性が考えられた.
著者
東中 竜一郎 船越 孝太郎 荒木 雅弘 塚原 裕史 小林 優佳 水上 雅博
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.59-86, 2016-01-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
32
被引用文献数
6

対話システムが扱う対話は大きく課題指向対話と非課題指向対話(雑談対話)に分けられるが,近年Webからの自動知識獲得が可能になったことなどから,雑談対話への関心が高まってきている.課題指向対話におけるエラーに関しては一定量の先行研究が存在するが,雑談対話に関するエラーの研究はまだ少ない.対話システムがエラーを起こせば対話の破綻が起こり,ユーザが円滑に対話を継続することができなくなる.しかし複雑かつ多様な内部構造を持つ対話システムの内部で起きているエラーを直接分析することは容易ではない.そこで我々はまず,音声誤認識の影響を受けないテキストチャットにおける雑談対話の表層に注目し,破綻の類型化に取り組んだ.本論文では,雑談対話における破綻の類型化のために必要な人・機械間の雑談対話コーパスの構築について報告し,コーパスに含まれる破綻について分析・議論する.
著者
林 優子 末光 茂
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.237-244, 2001-12-25

重症心身障害児(重症児)施設旭川児童院では, 在宅訪問事業や通園事業, および外来の充実により, 短期入所利用が急増している.重症児では, 短期入所の際に不適応反応を示す例が多く, かつて環境変化や母子分離が引き金となり体調が悪化し, 死亡に至った例を経験した.今回, 我々は, 在宅重症児の重度化傾向が進む中, より安全に短期入所を受け入れられるよう様々な取り組みを行い, その成果と今後の課題について検討した.平成11,12年度短期入所利用者73名には医療的問題を有する例が多く含まれていたが, 利用時の死亡例はなく取り組みは有用であった.しかし, 大島分類1の40名中半数に, 摂食困難, 過緊張, 不眠, 呼吸障害の悪化などの症状が見られ, 特に呼吸, 摂食障害を伴う年少児の症状が重篤であった.また, 2名に骨折があり, より安全な受け入れに向けての対策が必要と考えられた.今後も, 医療ニードの高い重症児の短期入所が増加すると予測される.在宅重症児を支援していくために, 短期入所を単に一時的な預かりではなく, 重症児の自立への支援の一つととらえる視点が必要である.そのためには, 保護者と信頼関係を築き, 専門性を生かしたより安全で質の高い短期入所の受け入れ体制の整備が重要と考えられた.
著者
小林 瑞樹 林 優一 本間 尚文 水木 敬明 青木 孝文 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.266, pp.11-15, 2014-10-16

これまで意図的な電磁妨害については,注入する妨害波の周波数とその強度のみに着目しており,妨害波を注入するタイミングについては十分な検討が行われていない.これに対し,本稿では,タイミングを制御した数V程度の妨害波を注入し,機器内部で特定処理が実行されたタイミングで電磁妨害を行った場合,機器に発生する故障について検討する.本検討では,機器の内部で実行される処理として暗号処理に着目し,その処理に応じて機器外部に伝搬するコモンモード電流を観測することで妨害電磁波を印加するタイミングを取得し,これを基に数百MHz程度の正弦波を数V程度の強度で電源ケーブル上に印加する.実験では,評価対象機器の内部に実装された暗号モジュールにおいて暗号処理を実行し,機器に接続された電源ケーブルから暗号処理に応じて発生するコモンモード電流をカレントプローブにより観測する.この様にして得られたコモンモード電流をトリガ信号として用い,妨害波を注入するタイミングを制御する.上述の手法を用いて意図的な電磁妨害を行った結果,暗号処理が実行されるタイミングにおいて高い確率で故障が発生することを確認した.また,故障により生ずる誤り出力から,暗号化に用いる秘密鍵が漏えいすることも確認した.
著者
寺林 優 山本 啓司 亀井 淳志
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.599-612, 2017-08-15 (Released:2017-09-05)
参考文献数
41

領家帯は,白亜紀の花崗岩類とそれらに密接な関係をもつ変成岩類からなる地体構造単位である.これまでに,構造地質学,変成岩および深成岩に関する岩石学,地球化学,年代学などからの研究が数多くなされてきた.領家帯は,下部グラニュライト相に達するような広域変成作用を被っていることから,かつての島弧の地殻断面が隆起・露出していると考えられている.島弧地殻内部で発生する地震の震源は,地下約20kmよりも浅い領域に集中し,それよりも深い領域で稀なのは,地殻の深部では岩石が流動的に変形するために地震を引き起こすような脆性破壊が起きにくいことが理由とされている.島弧地殻を構成している珪長質岩石の変形機構は,石英と長石のレオロジーから,300°Cから450°Cの間の温度条件で脆性から塑性に遷移すると推定され,島弧の地温勾配を25°C/km程度と仮定すると,脆性-塑性遷移領域は12kmから18kmの深さの範囲にある.本巡検では,島弧の深部地殻での花崗岩質マグマの挙動,中部地殻でのコンピテントレイヤーの形成とその破壊における流体の挙動という視点から岩国-柳井地域の領家帯を案内する.
著者
山本 啓司 寺林 優 大麻 広幸 金子 慶之 安間 了
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.119-122, 2004 (Released:2005-01-07)
参考文献数
15
被引用文献数
8 8

Pelitic metamorphic rocks of the Ryoke Belt are distributed in the Rokuroshi area, southern part of Iwakuni district. Dark-brown biotite schist was locally silicified and decolorized to form milky-white “silicified domain”. Quartz veins were developed in both of the biotite schist and silicified domain. The veins in biotite schist are generally parallel to the schistosity and form boudinage due to ductile flow of the host rock. The veins in silicified domain are oblique to the schistosity with medium to high angles and have not undergone ductile deformation except for some schistosity-parallel veins. The mode of occurrence of these veins indicates that the silicified domain is much more competent than the biotite schist. Ductile deformation after the silicification was accommodated by viscous flow of biotite schist. The silicification probably results from dissolution-precipitation processes which may have raised pore pressure to cause hydraulic fracturing.
著者
南 朱音 小林 優希奈 甲野 佑 高橋 達二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2I5GS203, 2020 (Released:2020-06-19)

複雑な入力情報から取るべき行動を推論する深層強化学習は,強力な関数近似器での学習(Deep Learning)が発展の核となった.強化学習には教師あり学習とは異なり,自分でデータ収集しなければならない探索の概念を持ち,単純な強化学習の一種であるバンディット問題では最適な探索アルゴリズムが明らかになっている.しかしながら関数近似を用いる文脈付きバンディット問題では最適な探索が保証されなくなる.そこで本研究では従来とは異なる探索アルゴリズムの検証を行った.人間は報酬の目標水準を持ち,それを満たす行動を速やかに探索する性質(満足化)が知られている.この満足化を応用した文脈付きバンディットアルゴリズムに応用した linear Risk-sensitive Satisficing (LinRS) は人工的な分布を用いた課題では既存アルゴリズムと比較しても良い成績が得られている.本研究では実世界から実測データでの文脈付きバンディット問題での検証を行った.人工データより実世界データの成績は悪化すると言われており,その対処法として LinRS における適切な探索のための目標水準の調整について議論する.
著者
石井 雄隆 菊地 正弥 舟山 弘晃 松林 優一郎 乾 健太郎
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.1-7, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

AIの判断結果の理由の説明や,品質を評価できる説明可能なAIについて近年盛んに議論されている.本研究では,説明可能なAIを指向した和文英訳自動採点システムの開発と評価を行った.このシステムでは,複数の評価観点を採点項目として反映したモデルにより自動採点を行い,学習者に診断的なフィードバックを行うことが可能となる.日本人大学生を対象とした刺激再生法を用いた実験の結果,システムを用いた修正の傾向やシステムの利点と改善点が明らかとなった.
著者
林 優 赤羽根 良和 近藤 照美 笠井 勉 林 典雄
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O064, 2007 (Released:2007-11-02)

【目的】鵞足炎とは、薄筋、縫工筋、半腱様筋で形成される鵞足が、ランニングを主体とした反復する膝の屈伸により生じる鵞足部での摩擦障害と理解されている。鵞足炎は日常よく遭遇する疾患ではある一方でまとまった症例数の中での具体的な運動療法や治療成績に関する報告はほとんど散見されない。今回、鵞足炎と診断され運動療法が依頼された症例について、その臨床的特徴を検討すると共に、当院における運動療法の成績について報告する。 【対象・検討項目】平成14年8月より18年までに当院を受診し、スポーツ動作時に膝内側部周辺部疼痛を訴え、鵞足炎と診断された19例(男性13例、女性6例、平均年齢16.6歳)を対象とした。競技種目はバスケットボール5例、陸上5例、サッカー2例などであった。検討項目は_丸1_圧痛の局在部位_丸2_林によるトリガー筋鑑別テスト_丸3_走行時のmalalignmentの有無_丸4_下腿外旋テーピングによる症状の変化_丸5_治療成績は、スポーツ復帰率、スポーツ復帰後のスポーツレベル、運動療法期間について検討した。 【治療】原則として薄筋、縫工筋と半腱様筋停止部へのtraction forceを排した形での選択的ストレッチングを実施し、疼痛が軽減しないもの及び本人の都合上早期スポーツ復帰を希望するものにはインソールを作成した。 【結果】_丸1_圧痛は全例に認め、鵞足部単独1例、鵞足部+薄筋腱部11例、鵞足部+薄筋腱部+縫工筋腱部5例、鵞足部+縫工筋腱部1例、鵞足部+半腱様筋腱部1例であった。_丸2_トリガー筋鑑別テストは全例に陽性であり、薄筋単独18例、薄筋+縫工筋1例であった。_丸3_走行時のmalalignmentは、程度の差はあれ全例knee in toe outを呈し、大腿の過内旋が主体のもの11例、下腿の過外旋が主体のもの8例であった。_丸4_全例下腿の外旋制動テーピングによりランニング動作時の疼痛が軽減した。_丸5_治療成績は筋のストレッチングのみで疼痛が消失したもの9例、インソール併用で疼痛が消失したもの10例であった。スポーツ復帰率は100%であり、完全スポーツ復帰までの期間は平均4.9週であった。ストレッチングのみで復帰した症例の治療期間は平均4.2週、インソールを併用にて復帰した症例は平均5.4週であった。また、スポーツ復帰後の競技レベルの低下例はなかった。 【考察】薄筋には圧痛局在部位及びトリガー鑑別テストの所見が高率に発生しており、鵞足炎の主症状には、薄筋が関与したenthesopathyが大きな割合を占めると考えられた。また全例すべてにMalalignmentを認めた。大腿の過内旋や下腿の過外旋などのmalalignmentをベースに、ランニングなどの反復する機械的ストレスが作用し、鵞足部での滑走障害が生じた結果、疼痛が発現するものと考えられた。治療としては、選択的ストレッチングのみで47%の症例で疼痛の消失が得られたことより、鵞足炎に対する運動療法のファーストチョイスは鵞足構成筋に対する選択的筋ストレッチングが実施されるべきと考えられた。その後の経過の中で、Malalignmentの影響が強いと判断されたケースにおいて、alignment是正目的のインソールが適応となると考えられた。
著者
渡邉 研斗 松林 優一郎 深山 覚 中野 倫靖 後藤 真孝 乾 健太郎
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLP-116, no.16, pp.1-12, 2017-05-08

本研究では楽曲のメロディを考慮した歌詞の自動生成手法を提案する.人間の作詞現場においては,予め作曲されたメロディに対して歌いやすい歌詞を創作する 「曲先」 と呼ばれる方法が広く行われている.しかしながら,自動歌詞生成の既存手法の多くは,韻やシラブルに基づく生成手法を提案しているものの,メロディと歌詞の関係を考慮しておらず,メロディの区切りと単語の区切りが一致しないような不自然な歌詞を生成してしまう問題がある.本研究では,メロディの音符と歌詞の読みが対応づいたデータを用いて,メロディの音の長さ ・ 休符の位置 ・ 繰り返し構造などの特徴と歌詞の相関を詳しく分析し,その結果をもとにした自動歌詞生成モデルを構築する.結果として作成されたモデルにより,休符や長い音符付近で行や段落 (連) が区切れている自然な歌詞が自動生成された.
著者
大友 一輝 遠藤 美芽 村林 優樹 安部 圭亮 小野寺 真奈 鈴木 友裕 高橋 拓己 一ツ木 康晶 稲葉 洋平 千田 浩一
出版者
日本放射線安全管理学会
雑誌
日本放射線安全管理学会誌 (ISSN:13471503)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.2-10, 2020 (Released:2020-06-17)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Recently, portable radiography has been performed in many facilities. In portable radiography, the distance between the radiological technologist and the patient is often close. Thus, exposure assessment and radiation protection for radiological technologist is important. However, the use status of personal protective equipment and the recognition of exposure differ depending on the facility and the individual. In addition, no detailed survey on the current state of portable radiography has been reported. Therefore, we conducted a questionnaire survey for radiological technologist involved in portable radiography. As the result of the questionnaire survey, it became clear that the protection status of radiological technologists during portable radiography varies depending on the facility, gender, and age. There were some opinions that it was difficult to keep away from the patient during portable radiography. In that case, it is desirable to wear protective equipment such as a protector.
著者
小林 優介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.213-218, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
27

本研究は、都市計画や緑地計画のために、斜面林の環境経済価値の評価することを目的とする。このためにヘドニック・アプローチを用いて分析を行う。本研究の対象地域は、東京都の南西部の7区とする。まず、斜面林の外部経済効果を評価するために、ヘドニック・アプローチにより、地価と傾斜別の樹林地との相関について考察する。そして、傾斜の閾値により、地価評価地点から250m以内に含まれる傾斜の閾値未満の樹林地セル数と、地価評価地点から250m以内に含まれる傾斜の閾値以上の樹林地セル数の2つの説明変数により分析を行う。この2つの説明変数について、5%有意水準を満たすかどうかを明らかにする。次に、自由度調整済み決定係数が最大でAICが最小となった閾値により、各区の斜面林、平地林、斜面の非樹林地、平地の非樹林地の分布の分析を行う。その結果、以下のようになった。1)両線形型、半対数型ともに、閾値を14度以下にした場合の斜面林の外部経済効果はプラスとなり、5%有意水準を満たした。2)両線形型、半対数型ともに、2度を閾値とした場合の外部経済効果が地価と最も相関が高かった。
著者
林 優佳 西本 創 谷田部 良美 森茂 亮一 桃井 貴裕 谷口 留美 高見澤 勝
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.117-122, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
10

ヨモギやシラカンバ花粉症は欧州で多くみられ, 交差反応性からスパイスアレルギー (Celery-birch-mugwort-spice症候群) を発症することが知られているが, わが国からの報告は少ない. 症例は14歳女児. セロリ入りミートソースやカレーの摂取で口腔内違和感, 咳嗽, 呼吸困難がみられた. 皮膚プリックテストではコリアンダー等セリ科のスパイスのみが陽性で, 食物経口負荷試験にてセロリとコリアンダーにより症状が誘発された. 吸入抗原の特異的IgE抗体はシラカンバ・ハンノキで陽性, ヨモギは陰性で, カバノキ科花粉の飛散時期に一致して新たに花粉症の症状が出現したため, カバノキ科花粉症により花粉-食物アレルギー症候群としてセリ科のスパイスアレルギーを発症したと考えた. セロリ, ヨモギのプロフィリンと, シラカンバのBet v 2は相同性が高く交差反応するとされているが, 本症例ではBet v 2が陰性であり他の部位に対する感作と推測された. 近年, カバノキ科花粉症が増加しており, 同様の症例に注意が必要である.
著者
平山 大作 小林 優希 吉田 雄大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.274_2, 2016

<p> スキー・モーグル競技においては、ターン技術および2つのエアでのジャンプ技術が競技力に大きく影響する種目である。モーグルの得点は、ターン点60%、エア点20%、スピード点20%の割合で構成されている。エア点は、技の完成度を示すジャッジ点と技の難度(エア難度)の積によって算出される。本研究の目的は、国際大会における予選通過群と予選不通過群の得点を比較することによって予選通過者の特徴を明らかにすることとした。対象は、FISフリースタイルスキーワールドカップ2016秋田たざわ湖大会モーグル予選出場のモーグル男子および女子選手とした。予選通過群と予選不通過群の比較において、男子女子ともに、ターン点、第1エア点、第2エア点に有意な差が認められ、スピード点に有意な差は認められなかった。エア点において、男子は、第2エアジャッジ点、第2エア難度に有意な差が認められた。女子は、第1エアジャッジ点、第2エアジャッジ点に有意な差が認められた。これらから、今回の大会において、男子は第2エアで挑戦する技の難度に違いがあり、女子は第1エアおよび第2エアでの技の完成度に違いがあると考えられる。</p>
著者
伊藤 進 黒岩 ルビー 浅川 奈緒子 本田 香織 森 祐子 林 優子
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-51, 2018-06-30 (Released:2018-06-29)
参考文献数
7

乳児期発症難治性てんかんにおける保育所就園及び保護者就業についての実態を明確とするため、ドラベ(Dravet)症候群及びウエスト(West)症候群の患者家族会は共同で実態調査を実施した。ドラベ症候群患者120名中70名(58.3%)及びウエスト症候群患者244名中136名(55.7%)よりウェブアンケートを回収した。保育所就園率は5歳以下児各25.0%及び36.8%(医療的ケア児0%、本邦乳幼児42.4%)であり、入通園制限は各66.7%及び19.6%にあった。抗てんかん薬の定時内服は各10.5%及び19.6%、発作時坐剤頓用は各36.8%及び16.7%で対応不可であった。通園中のてんかん発作は各85.0%及び44.0%、重積発作は各20.0%及び4.5%にあった。保護者就業率は、母親が各20.8%及び26.4%(本邦母親47.3~61.2%)、父親が各98.0%及び95.2%であった。難治性てんかんのある乳幼児においては、保育所の就園は低率、入通園制限は高率であり、その保護者、特に母親の就業率は低率であった。
著者
今林 優希 岡田 和典 岡田 朋美 川崎 智絵 中田 行重
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.97-105, 2015-03-15

本稿は、精神科診療という指示的なセッティング(治療環境)でいかにして非指示的でいるかについて論考したSommerbeck(2012)の論文を要約し、そうしたセッティングにおける非指示的実践について考察することを目的とする。彼は、指示的なセッティングにおいてセラピストが非指示的に実践する自由を与えられている場合と、指示的な業務を課せられる場合のそれぞれについて、非指示的なセラピーのプロセスを守るためのガイドラインを提示している。ただ、Sommerbeck の提案は、パーソン・センタード・セラピーのセラピストの内なる考えとしては十分理解できるものの、それが対外的に明示できる内容なのかといった点や、パーソン・センタード・セラピーの理論として言語化できるものなのかといった点については疑問が残る。また、彼が示した様々な提案のいくつかについては、既に行っているセラピストが日本にもいると考えられるだろう。しかし、彼が論文でそうした実践について改めて言語化したことは評価に価することである。病院臨床はパーソン・センタード・セラピーにとって大きな関心事であり、Sommerbeck の論文はそれを考えさせてくれる有益な材料を提示している。