著者
古林 万木夫 谷内 昇一郎
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.144-151, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1

醤油は大豆と小麦を主原料とする日本を代表する発酵調味料の1つであるが, これまで醤油中の両アレルゲンの残存性について詳細な研究が行われていなかった. そこでわれわれは, さまざまな免疫学的検査手法により醤油醸造工程中の小麦アレルゲンならびに大豆アレルゲンの消長を調べた. その結果, 小麦のたんぱく質に比べて大豆のたんぱく質は諸味中では完全に分解されず, 生揚には小麦アレルゲンが残存しないが, 大豆アレルゲンは残存することが確認された. 次の火入工程により, 生揚に残存する大豆アレルゲンが熱変性を受けて火入オリとして不溶化することや, 不溶化した火入オリが, その後のオリ下げ・ろ過工程で除去されることで最終の火入醤油には大豆アレルゲンが残存しないことが確認された. 醤油中のアレルゲンの分解・除去には, 麹・諸味工程に加えて, 火入・オリ下げ・ろ過工程が重要であることが示された.
著者
小林 ふみ子
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.21-37, 2020-09-30

This article introduces a manuscript recording one of the gatherings of a series of kyōka verse contests held for the first time in Edo in 1783. This record is known from a published edition, but that version lacks the scores and comments on each contest added by the judge Ōta Nanpo(1749-1823), a central figure in the kyōka boom of the time. Although this manuscript includes the results for only the last of ten kyōka gatherings, it provides useful insights into how poems were evaluated during this formative period of the kyōka movement. This paper attempts to clarify the various criteria used to evaluate kyōka poems of Nanpo by analyzing the points and annotations he added to each of the poems in the manuscript.The basic requirement for kyōka poems of the day seems to be the emphasis on choosing suitable vocabulary and expressions for the respective subjects in order to express consistent themes, while incorporating the use of punning and other kinds of wordplay. In addition, it seems to be important to avoid trite or commonplace expressions for which there were many precedents.This manuscript version is also noteworthy for including kyōbun (playful prose) by popular kibyōshi writer Koikawa Harumachi(1744-1789), which was inexplicably omitted from the published edition.
著者
西原 義之 高木 律男 小林 龍彰
出版者
新潟大学
雑誌
新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.31-34, 2001-12

顎関節脱臼、特に両側の前方脱臼では、開口不能、顎関節部の痛み、流涎などの自覚症状を訴え、早期に整復処置が行われれば、陳旧化することは稀である。したがって、脱臼の病態についてのMRIによる軟組織を含めた画像所見、関節開放手術時の所見についての報告は少ない。今回私達は、心筋梗塞発作直後より気管内挿管下に1か月間管理され、咀嚼障害を自覚するも、痛み、口裂閉鎖、嚥下等の障害が軽度であったため、3か月間の入院加療後、閉口障害を主訴に受診した両側性顎関節脱臼症例を経験し、MRIによる精査も行いえたので報告する。患者は83歳女性で、初診時所見として、両側耳前部の陥凹および下顎の前突を認めた。口腔内は、上下顎とも無歯顎で、前歯部顎堤間で37mm以下の閉口は不能であるが、口裂の閉鎖は可能で流涎は認められなかった。MRI所見にて下顎頭は、関節結節前上方に位置し、関節円板前方月肥厚部の前まで転位していた。下顎窩に相当する上関節腔後方は、液体の貯留を示す高信号を呈していた。初診日に徒手整復を試みるも奏効しなかったため、心疾患につき内科対診後、全身麻酔下に整復手術を施行した。まず関節鏡による剥離と徒手による整復を試みたが、整復不能で関節腔を開放した。手術は、下顎頭の整復を妨げていた関節円板を切除し、下顎窩内に下顎頭を復位させた。術後数日間は、上下顎義歯を介しての開口制限の後、開口練習を開始した。現在術後1年2か月を経過し、開口量は義歯正中部で25mmを維持し、脱臼の再発なく経過良好である。A long-standing dislocation of the bilateral temporomandibular joints is rare. Farthermore, there are few reports concerning the use of magnetic resonance imaging (MRI) in determinig, the pathogenesis of dislocation, including the relationship between the condyle, the articular disc, and the external pterygoid muscle. A 83-year-old woman was referred to our department, complaning of masticatory dysfunction over 4months. Bilateral condyles were anteriorly dislocated beyond both the articular tubercle and the anterior band of the articular disc. T-2 weighted MRI showed high signal intensity in the posterion-superior articular cavity. Finally the articular discs were excised bilaterally, because they interfered with reduction of the condyles. At 1 year 2 months postoperatively, there was no evidence of dislocation and the patient had regained masticatory function.
著者
岡本 宗司 久保 道也 林 智秀 堀 聡 堀 恵美子 柴田 孝 堀江 幸男 桑山 直也 黒田 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.159-165, 2014
被引用文献数
3

【目的】神経線維腫症に合併した頭蓋外巨大内頚動脈瘤破裂例に対してtriple coaxial system を用いて内頚動脈トラッピング術を施行したので報告する.【症例】症例は41 歳の神経線維腫の女性.左頸部の急激な腫脹,嗄声,嚥下障害が生じ,当院に入院した.頚部CT では長径約40 mm の頭蓋外内頚動脈瘤を認め,咽喉頭部が対側に偏位していた.MRI では,動脈瘤からの出血を示唆する所見があり,再出血防止目的で緊急血管内治療を行った.血管脆弱性と術後のmass effect 増大防止の観点から動脈瘤の前後で内頚動脈をトラッピングする方針とした.バルーン付きガイディングカテーテルをproximal flow control 用に内頚動脈起始部に留置し,動脈瘤の遠位にマイクロカテーテルを誘導したが,支持性が弱く,コイル挿入時に動脈瘤内にキックバックした.そこでインナーカテーテルとして4FrセルリアンGTM を組み合わせ,triple coaxial system とした.その結果,瘤の遠位・近位ともに内頚動脈にコイルをコンパクトに留置でき,トラッピングすることができた.術後,症状は改善し,MRI では,動脈瘤の血栓化を認めた.【結論】頚部内頸動脈瘤に対して母血管のトラッピングを行う場合,バルーン付きガイディングカテーテルに4Fr インナーカテーテルを組み合わせたtriple coaxial system は有用と思われた.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
吉田 達見 山本 圭一郎 中澤 栄輔 瀧本 禎之 赤林 朗
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.87-98, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
82

生体腎移植においては、医学的不適合により移植を行えない場合や、移植結果が望ましくない場合がありうる。こうした問題への対策として、免疫抑制療法に加えて、海外ではドナー交換腎移植と呼ばれる方策も実施されている。ドナー交換腎移植では、医学的不適合性のある生体腎提供者とレシピエントの組を複数集め、彼らの間でマッチングを行うことで、移植数および移植成績を向上させる。本稿ではシステマティック・レビューを行い、世界におけるドナー交換腎移植一般の実施状況を包括的に捉えた上で、ドナー交換の利点ならびに医学的・技術的問題と倫理的問題を網羅的に整理した。このような整理に基づいて、日本移植学会による「ドナー交換腎移植に関する見解」を批判的に検討した。
著者
平林 由紀子 藤田 雄介 吉永 智明 北原 義典
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.425-434, 2016-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
28

With the objective of developing a persuasive voice-interaction system for making presentations to large groups, we analyzed the nonverbal characteristics, especially the prosody and face motion, of 35 Japanese speakers and used the results to model the persuasive prosody and face motion for the system. In regards to prosody, the maximum and average voice pitches of the persuasive speakers were high and the dynamic range of the persuasive speakers' voice pitches was wide. Additionally, the maximum and average lengths of silent pauses of the persuasive speakers were long and the dynamic range of silent pause lengths of the persuasive speakers was wide. In regards to face motion, we found that the persuasive speakers mainly moved their faces from side to side and sparingly moved their faces during utterances. We have reproduced these nonverbal characteristics of prosody and face motion by synthesized voice and computer-generated (CG) animation and confirmed that these characteristics enhanced speakers' persuasiveness.
著者
山田 雅行 山田 真澄 羽田 浩二 藤野 義範 Jim MORI 坂上 啓 林田 拓己 深津 宗祐 西原 栄子 大内 徹 藤井 章男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_216-I_224, 2017 (Released:2017-09-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 5

平成28年熊本地震によって被災した益城町の倒壊建物が集中している地域を対象とした悉皆調査から,狭い範囲における被害分布の急変が見られた.この説明のために,常時微動を用いた地盤調査に基づいて地表面での揺れの推定を試みた. 常時微動は極小アレイ+1点の5点を基本とし,約62.5mメッシュごとに108箇所の観測を行った.各箇所でインバージョンを行い,地盤モデルを作成した. 治水地形分布図に氾濫平野または旧河道と記された比較的被害の小さい地区は,非常に軟弱な堆積層が5m程度以上存在することがわかった.非線形地震応答解析を行った結果として,本震時の地表面の揺れにおいて,低周波数成分が卓越し,1-2Hz(周期0.5~1 秒)の応答倍率が小さかったことが,比較的被害が小さいことの一因である可能性が考えられる.
著者
喜多村 和之 大膳 司 小林 雅之
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

本年度は、4年制大学と短期大学の入学定員割れおよび統廃合の要因を分析するための理論作りおよび実証データの作成・分析を行った。さらに、大学・短大の設置者である学校法人の新設統廃合の分析も行った。そのために以下の3種類のデータ・ベースを作成した。第1に、各大学に関して昭和61年度の定員充足率、社会的評価(偏差値等)、構成員の特性(研究状況、年齢分布、学歴等)、就職状況などの属性的情報を収集した。第2に、昭和24年度以降新設統廃合された大学および短大の学部別の入学定員数と在籍者数を調べた。第3に、昭和25年以降の学校法人の許可と廃止の状況について調べた。さらに、以上の数量的情報を補うため、各大学の学校案内の収集や関係者へのインタビュー調査を行なった。その結果、以下の新たな知見が得られた。1.定員割れしている大学は27校ある。2.定員割れの要因を、経営戦略、内部組織特性、外部環境特性の3つの観点から検討した結果、地方所在で小規模で偏差値ランクが低いという傾向がみられた。3.さらに、伝統的な女子教育を支えた学部で定員割れが目立っている。4.廃止となった45校の短大の平均存続年数は、14.2年であった。国立私立別では、それぞれ26.7年、17.4年、12.7年で私立の短大が設置されてから最も早く廃止される比率が高い。5.昭和50年当時の学校数で廃校数を割った廃校率をみると、短大のそれは2.9%で、幼稚園の4.2%、小学校の4.9%、中学校の4.5%、高等学校の5.9%についで高い値となっている。しかし、大学の廃校率は0.2%で、相対的にみてかなりひくい。6.高等教育への参入以前、それらの学校法人の約8割は各種学校や高等学校などなんらかの学校経営していた。これは特に短期大学に参入した学校法人に著しい。
著者
山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 中川 朋美 林下 知惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0796, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80.9±5.2歳、C群(男性4名、女性6名)で79.4±5.5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1.5°、腰椎角で1.7°、全体傾斜角で0.5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11.4°腰椎角で10.4°、全体傾斜角で1.6°伸展方向へ変化した(p<0.05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0.05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0.55、p<0.05)。体幹伸展筋力はC群で0.32N/kg減少し、Ex群で0.84N/kg増加した(p<0.05)。エクササイズによる体幹伸展筋力が増加するほど立位姿勢は大きく変化した。(r=0.61、p<0.05)。【考察】 6ヶ月間の運動療法において脊椎の伸展は促され、前傾姿勢も改善された。視診および本人の自覚から十分に円背姿勢の改善を認め運動療法の効果を確かめることができた。安静立位の脊椎を伸展させるには脊椎の可動性を向上させ、体幹伸展筋力を増加させることが重要であると考えられた。【まとめ】 今回、運動療法介入により円背姿勢が改善するかを検討した。6ヶ月間のエクササイズにより脊椎は伸展し、円背姿勢が改善された。
著者
藤田 早苗 小林 哲生 南 泰浩 杉山 弘晃
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.604-620, 2015-12-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30
被引用文献数
7

We aim to create gradual readability (or target age) measures from infants to elder children. For Japanese texts, several readability measures have been proposed, none of which is applied to texts for infants. Therefore, in this paper, we employ 123 pic-ture books which are clearly decided fine-grained target ages as criterial corpus. Then we investigate the applicability of two previous works to these picture books. Both works show modelate performance. Then we propose a method using new learner and features, and we achieved higher performance to guess the target age.
著者
小林 大祐
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.287-302, 2011 (Released:2012-09-01)
参考文献数
28

フリーターと社会階層との関連を指摘する研究は数多いが,量的な研究においてはその関連性についての知見は必ずしも一致していない.この理由のひとつとして,フリーターには幾つかのタイプがあり,そのタイプごとに出身階層に幅があるという可能性を考えることができる.もしそうであれば,なんらかの基準でフリーターを分類することで,フリーターのサブ・カテゴリーと出身階層の関連がより明確になるかもしれない.そこで,フリーターをしている「理由」に着目し、3分類したフリーターに対して出身階層が効果を持っているのかを検討した。その結果,本人の教育達成をコントロールしても「やむを得ず型フリーター」へのなりやすさには「15歳時財産得点」がマイナスの効果を持っていることが示された.この結果は,意に反してフリーターをせざるを得ない層において,経済的困難が学力の低下や学校への不適応につながったり,就職先未決定のままでの大学卒業につながったりすることで,職業への移行において不利になることを示唆するものである.また,フリーターとして一括りにされてきた若年パート・アルバイト層が,階層的出自について幅を持つものであり,従来の量的研究ではそれを一括りに論じていたため,出身階層の効果が見えにくくなっていた可能性を示すものである.
著者
合山 林太郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究計画に基づき、以下のような調査・研究を行った。①江戸・明治期の詞華集などに掲載された中国古典詩について継続的な調査を行った。とくに、近藤石顛編、近藤元粋(南州)閲『詩作独学自在』(青木嵩山堂、明治25年〈1892〉)などの、明治期の詩学作法書、韻類書を集中的に検討した。なお、『詩作独学自在』は、石顛が編纂しているが、実際には、近代の大阪で活躍した儒者南州の手が相当に加わっているものと推測される。当時注目を集めていた森槐南の『古詩平仄論』(清の王漁洋、翁方綱の著述を槐南が参訂したもの)などに対する批判的な言辞が見られ、明治期多様な潮流を知る上で意義ある資料である。②近世後期以降に刊行された和刻本の漢詩集について分析した。その中でも、とくに先に言及した近藤南州が編集校訂を行ったものを重点的に調査した。南州は、自ら評訂した和刻漢詩集を、多数刊行している。これら南州校訂の和刻本が、どの程度、社会に読まれ、近代の中国古典詩受容にどのような影響を与えたかについて、検討した。③近世期の中国古典詩の受容について、特色ある言動をしている人物たちを取り上げ、重点的に調査を行った。具体的には、近世中期の儒者であり、明石藩に仕えた梁田蛻巌や、近世後期の京で活躍した文人梅辻春樵などを分析した。④近世後期以降、どのようなかたちで漢詩文化が形成されていったかについて、中国古典詩とともに、当時の人口に膾炙した日本の漢詩を例に考察した。近世最大の学塾咸宜園を運営した広瀬淡窓や、維新期の政治家である西郷隆盛の詩、さらには、近世期に作られた江戸の名所旧跡などを詠った詩などを例に、それらが、どのような媒体に掲載され、社会に流通・浸透していったかを検討した。
著者
小林 裕子
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.120-125, 2000-07-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
28