著者
桑原 博道
出版者
公益社団法人 日本小児科医会
雑誌
日本小児科医会会報 (ISSN:09121781)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.108-110, 2020

<p>新型コロナウイルス感染拡大に伴い,医療機関においても労務問題が発生している。業績が悪化し,従業員が同意したからといって,必ずしも基本給をカットできるものではない。休職をさせた場合にも,40%を超えて賃金カットすることには慎重になった方がよい。緊急事態宣言発令に伴う協力要請により休業した場合には,別途考慮が必要であるが,医療機関は要請対象外となるであろう。賞与のカットについては,就業規則等の定め方による。雇用関係の終了については,使用者としては,整理解雇の4要件(4要素)を意識して対応したり,退職勧奨を検討する。有期契約であれば,雇止めができる場合とできない場合がある。労働災害という側面から見た場合,医療職が新型コロナウイルスに感染した場合には,業務外で感染したことが明らかである場合を除き,原則として労災保険給付の対象となる。</p>
著者
瀬田 和久 桑原 千幸 仲林 清
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.82-93, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
16

This tutorial explains principles of writing papers for transactions of JSiSE. In this paper, we first roughly classify the research conducted in the research field of information and systems in education, introduce the paper categories of JSiSE, and explain the guidelines for selecting the paper category. Then, we will introduce principles for clarifying research questions, which are important points for papers to be accepted, and introduce concrete examples of research questions by picking up from practical papers that have been accepted. In addition, by introducing the editorial board’s underlying philosophy of reviewing papers in more detail, we hope authors utilize it for writing papers.
著者
桑原 牧子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第43回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.82, 2009 (Released:2009-05-28)

タヒチ社会では西欧人接触以前から現在に至るまで、生物学的には男性として生まれたが、家事や子育てなど、女性としての役割を担うマフ(mahu)と呼ばれる性を生きる人々がいる。近年になり、このマフに加えて、女装や化粧をする人々に対してラエラエ(raerae)という呼び名も使われるようになった。本発表では、そのようなマフとラエラエの名称の呼び名の使われ方をタヒチ島とボラボラ島の事例を比較して分析する。
著者
時岡 良太 佐藤 映 児玉 夏枝 田附 紘平 竹中 悠香 松波 美里 岩井 有香 木村 大樹 鈴木 優佳 橋本 真友里 岩城 晶子 神代 末人 桑原 知子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.76-88, 2017-07-01 (Released:2017-04-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

LINEとは,友人とのコミュニケーションを主眼としたアプリケーションのひとつである。近年,LINEは特に若者にとって欠かせないものとなってきている。本研究の目的は,高校生のLINEでのやりとりに対する認知のあり方について探索的に把握することと,その認知に対して現代青年に特有の友人関係のあり方が及ぼす影響について明らかにすることであった。高校生423名を対象に,本研究において作成したLINE尺度と友人関係尺度への回答を求めるオンライン調査を行った。LINE尺度の因子分析により「既読無視への不安」「気軽さ」「やりとりの齟齬の感覚」「攻撃性の増加」「即時的返信へのとらわれ」「つながり感」の6つの因子が抽出された。次に,友人関係による影響について多母集団同時分析を用いて検討した。その結果,友人から傷つけられることへのおそれが,LINEでのやりとりへのアンビバレントな気持ちを生む一因であることが示唆された。
著者
桑原 一良
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-10, 2000-12-25

元皇太子妃ダイアナがパパラッチの追跡によってあたかもキツネ狩りに遭遇したキツネのように死去した。このダイアナのあまりに悲惨な死を,神話学的,記号論的に解釈し,さらに同年英国で提案されたキツネ狩り禁止法案を重ね合わせると,ハンティングスポーツの終焉が見えてくることを考察した。
著者
Lindemann Erich 桑原 治雄
出版者
大阪府立大学社会福祉学部
雑誌
社会問題研究 (ISSN:09124640)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.217-234, 1999-12

Erich Lindemann "Symptomatology and Management of Acute Grie."(Americαn Journal of Psychiatry, 101, 141-148, 1944)の翻訳
著者
西田 公昭 浦 光博 桑原 尚史 榧野 潤
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.46-55, 1988-11-25 (Released:2016-11-22)

Two processes intermediating conversation in social interaction of dyadic relationship were examined. In the first process, some antecedent factors such as task situation, interpersonal relationship and personal difference influence on conversation process. In the second process, the conversation influence on some interaction of the dyadic relationship. In our experiment, we set a topic of conversation into a decision making in problem-solving conversation as the task situation. And a degree of intimacy (high or low) as interpersonal factor and combinations of self-monitoring tendency (high-high high-low low-low) as personal factor were manipulated. 112 undergraduates were administrated self-monitoring scale. And 61 dyads were made of them and were measured their degrees of intimacy. After that, they are engaged in conversation about a given topic that is asked to make a decision. And then, they were asked to answer a questionnaire that survey social interaction. The results were as follows; (1) The total numbers of protocols in the conversation were influenced by intimacy. (2) The numbers of protocols which represent the qualitative differences of the conversation were influenced by intimacy and by combinations of self-monitoring tendency. (3) The qualitative differences of the conversation influenced on the cognitions and the evaluations to the conversation process and the partner.
著者
桑原 明大 松葉 成生 井上 幹生 畑 啓生
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.91-103, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
49

愛媛県松山平野には、イシガイ、マツカサガイ、ヌマガイ及びタガイの4種のイシガイ科貝類が生息しており、愛媛県のレッドリストでイシガイとマツカサガイはそれぞれ絶滅危惧I類とII類に、ヌマガイとタガイは準絶滅危惧に指定され、減少が危惧されている。これらの二枚貝は絶滅危惧IA類であるヤリタナゴの産卵床でもあり、その保全が重要である。本研究では、松山平野の小河川と湧水池において、イシガイ類の分布と生息環境の調査を行い、過去の分布との比較を行った。また、マツカサガイの殻長のサイズ分布、雌成貝によるグロキディウム幼生の保育、幼生の宿主魚への寄生の有無を調べた。マツカサガイは小河川の流程およそ3.3 km内の15地点で確認され、その生息密度は最大で2.7個体/m2であった。イシガイは小河川の2地点のみで、最大生息密度0.05個体/m2でみられ、ヌマガイとタガイを合わせたドブガイ類も1地点のみ、生息密度0.02個体/m2で確認された。いずれのイシガイ類も、1988-1991年の調査時には国近川水系に広く分布し、最大生息密度は、マツカサガイで58個体/m2、イシガイで92個体/m2、ドブガイ類で5個体/m2であり、この25年間に生息域と個体群サイズを縮小させていた。また、マツカサガイの在不在に関与する要因を予測した分類木分析の結果、マツカサガイの分布は河口に最も近い堰堤の下流側に制限され、砂泥に占める砂割合が38.8%より大きい場所で多く見られるという結果が得られた。このことから、堰堤が宿主魚の遡上を制限することによりマツカサガイの上流への分散が阻害されていること、マツカサガイは砂を多く含む砂泥を選好していることが示唆された。また、殻長51.5 mm未満の若齢個体にあたるマツカサガイは全く見つからなかった。一方、雌成貝は4-8月にかけ最大87.5%の個体が幼生保育しており、5-9月にかけ、グロキディウム幼生が主にシマヨシノボリに多く寄生していることが確認された。したがって、このマツカサガイ個体群では再生産がおよそ10年間にわたって阻害されており、その阻害要因は稚貝の定着、または生存にあることが示唆された。以上のことから、松山平野では、イシガイ個体群は絶滅寸前であり、マツカサガイ個体群もこのまま新規加入が生じなければ急速に絶滅に向かう恐れがあることがわかり、これらの保全が急務であることが示された。
著者
田中 敬雄 新開 五月 糟野 健司 前田 康司 村田 雅弘 瀬田 公一 奥田 譲治 菅原 照 吉田 壽幸 西田 律夫 桑原 隆
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.438-440, 1997 (Released:2010-07-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1

In 1993, Vanherweghem and his associates reported cases of rapidly progressive renal interstitial fibrosis in young women who were administered a slimming regimen including Chinese herbs. Subsequently, similar cases have been reported. In Japan, especially in the Kansai area, several cases of Chinese herbs nephropathy have already been reported. We experienced a patient suffering from Chinese herbs nephropathy(CHN), and further detected aristolochic acids from the Chinese herbs taken by the patient. Aristolochic acids are known to be causative agents of CHN. The danger of CHN should be noted as soon as possible and drugs containing aristolochic acids should be prohibited.
著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
桑原 住雄
出版者
新潮社
雑誌
芸術新潮 (ISSN:04351657)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.153-162, 1967-01
著者
桑原 渉 浦辺 幸夫 山中 悠紀 櫻井 友貴 冨山 信次 藤井 絵里
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H4P3259, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】体幹筋は体幹の運動と安定化に寄与し、腰椎部への負担を減少させる働きを担っている。Basmajian(1985)は、安静立位時であっても、脊柱起立筋群と腹筋群の持続的な活動がみられるとし、さらに基本的立位姿勢では脊柱起立筋の活動が優位であると述べている。しかし実際には脊柱起立筋群の活動が優位な人だけではなく、腹筋群を優位に活動させ、立位姿勢の保持をする人もおり、安静立位時の体幹筋活動には個体差が大きいのではないかと考えた。また、三谷ら(2008)は、腰仙椎アライメントと体幹屈曲力/伸展力(F/E)比との間に負の相関があり、腰仙椎アライメントの変化が体幹の筋活動に変化を生じさせ、その結果体幹筋力にも変化が及ぶと報告している。このように立位時における体幹筋活動や、体幹筋力についての報告は行われているが、体幹筋活動と体幹筋力の関係を報告した先行研究は見当たらない。そこで本研究では、安静立位時の脊柱起立筋群および腹筋群の筋活動の違いにより、体幹筋力に差があるかを明らかにすることを目的とした。仮説は、安静時に脊柱起立筋群を優位に活動させている対象はF/E比が小さく、腹筋群を優位に活動させている対象はF/E比が大きいとした。【方法】対象は体幹に整形外科疾患の既往がない健常男性12名とした。年齢(平均±SD)は22.0±1.0歳、身長は171.8±7.0cm、体重は60.9±7.0kgであった。筋活動の測定肢位は安静立位とした。閉脚立位肢位にて骨盤中間位で、両上肢を胸の前で組み、2m前方の視線と同じ高さのものを注視させた。その課題を20秒間保持させ、10秒後から5秒間筋活動の測定を行った。体幹筋力の測定は、等尺性体幹筋力測定装置GT-350(OG技研製)を用いて、股関節、膝関節それぞれ90°屈曲位の椅坐位で最大等尺性収縮の筋力を測定した。数回の練習後、屈曲力、伸展力の測定を各3回ずつ行い、ピーク値を体重比に換算し、屈曲力を伸展力で除すことでF/E比を算出した。筋活動の測定には、表面筋電図Personal-EMG(追坂電子機器製)を用いた。対象筋は右側の腰部脊柱起立筋と腹直筋の2筋とした。電極の貼り付けは下野ら(2004)の方法を参考に行った。各筋の活動量は最大等尺性収縮時(Maximal Voluntary Contruction:MVC)のroot mean square value(RMS)を100%として正規化した。対象12名のうち、安静立位時において腰部脊柱起立筋より腹直筋の筋活動が高い4名を屈筋群、腹直筋より腰部脊柱起立筋の筋活動が高い8名を伸筋群として2群に分類し、それぞれの%MVC、筋力、F/E比を両群間で比較した。両群間の統計学的検定には対応のないt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。【説明と同意】対象には事前に研究の説明を十分に行い、紙面にて同意を得て測定を行った。なお、本研究は広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会の承認を得て行った(承認番号 0949)。【結果】屈筋群の筋活動は腰部脊柱起立筋で14.0±4.5%、腹直筋で18.2±4.5%、伸筋群の筋活動は腰部脊柱起立筋で16.3±5.6%、腹直筋で10.2±4.8%であった。屈筋群の屈曲力は17.1±1.1N/kg、伸展力は12.6±2.3N/kgであり、伸筋群は各々18.0±2.8N/kg、16.1±3.3N/kgとなり屈筋群と伸筋群で筋力において有意差はなかったが、屈筋群のほうが低い伸展力を示す傾向がみられた。F/E比は屈筋群で140.9±25.8%、伸筋群で112.9±11.0%となり、屈筋群のほうが有意にF/E比が大きくなった(p<0.05)。【考察】本研究では、Basmajianの報告と同様に、安静立位時では腹筋群に比して脊柱起立筋群の筋活動が高い対象が12名中8名と多いことが確認できた。屈筋群は伸筋群と比して伸展力が低い傾向にあり、さらにF/E比が大きいことが示された。つまり、安静時の腹直筋の筋活動が高い者は、体幹の伸展力が低いことでF/E比を大きくしていることがわかった。これに対して、伸筋群は屈曲力も伸展力も大きく、F/E比が小さくなっていた。このことから屈筋群は姿勢制御方法が伸筋群と異なることが考えられた。つまり、本研究での屈筋群と伸筋群の違いは日常生活やスポーツを含めた活動のなかでの姿勢制御の結果かもしれない。Klausenら(1968)は、上半身を後方に傾け、重心線が後方に移動すると、脊柱起立筋群の活動は停止し、腹筋群の活動が高くなると述べ、姿勢と体幹筋活動の関連を述べている。本研究では、姿勢についての測定は行っていない。そのため、静的な姿勢、さらには動的な姿勢制御を分析し、屈筋群と伸筋群の違いを明らかにしていく必要がある。【理学療法学研究としての意義】安静立位時に脊柱起立筋群が優位に活動している者のみでなく、腹筋群が優位に活動する者が存在することを明らかにできたことが本研究の意義である。このような違いが、筋力発揮の面からも特徴を呈していることがわかり、今後の理学療法学の発展に資するものであると考える。