著者
上田 成子 天野 恵里子 門田 ちはる 藤間 基朱 槇野 瑞枝 吉沢 美和子 桑原 祥浩
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.453-455, 1980-09-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

小麦粉及びその製品の微生物汚染状態を検討すると共に,汚染菌叢のうちBacillus属の同定を行なった。(1) 小麦粉の汚染菌数は一般細菌及びカビ・酵母とも全検体104/g以下であった。しかし,パン粉(乾燥及び生製品)については小麦粉と比較して汚染度が高い傾向にあり,とくに生パン粉の汚染度が高かった。(2) 小麦粉,乾燥パン粉及び調味加工小麦粉製品間には菌叢に差異がみられ,とくに調味加工小麦粉製品ではbacilliが多く,生パン粉ではグラム陽性球菌が多く検出された。(3) 各製品から分離されたBacillus spp.の同定を行なった結果, B. licheniformis, B. subtilisが最も普遍的に検出され,その他, B. cereus, B. pumilusも多くの材料から検出されたが,各製品ごとのspeciesの分布にはほとんど差がみられなかった。
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 高井 啓介 月本 昭男 高橋 英海 菊地 達也 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 小堀 馨子 鎌田 繁 中西 恭子 土居 由美 嶋田 英晴 志田 雅宏 櫻井 丈 小野 塚拓造 山野 貴彦 アヴィアム モルデハイ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ユダヤ教の歴史を調べていくと、のちに出現する二つの一神教、キリスト教とイスラーム、を生み出す基盤になっていることがわかる。宗教学の歴史は信仰を基盤とする西欧のキリスト教を宗教の一般モデルとしたため、このモデルから外れる諸要素は関心から外れた。しかし、イスラームとラビ・ユダヤ教はそれぞれ、シャリーアとハラハーを特徴とする啓示法の宗教であり、預言者に啓示された神の意志は、日常生活の行動様式を詳細に規定している。これら一神教の二つの異なる類型がともに古代ユダヤ社会に起源を有することを示して、一神教の歴史全体を動態的に理解する道筋を示すことは、人類の宗教史を考察する上で文明史的意義を持つものである。
著者
桑原 久男 山内 紀嗣 日野 宏 巽 善信 飯降 美子 橋本 英将
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、イスラエル、下ガリラヤに所在するテル・レヘシュ遺跡の発掘調査を3シーズンにわたって遂行し、前期青銅器時代の建築遺構(東斜面)、中期青銅器時代の壮大な城壁の一部(テル頂部西端)、初期鉄器時代のオイル・プレス(テルの各所)やカルト・スタンド、土製仮面などの宗教的遺物(テル下段北側)、鉄器時代の要塞建築(テル頂部)、ローマ時代の「ファームハウス」など、居住の歴史と様相に関する貴重な所見を得ることができた。
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 上村 静 高井 啓介 月本 昭男 土居 由美 勝又 悦子 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 高久 恭子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今年度の主たる実績は、以下の三つに分けられる。第1に、2017年8月に、イスラエルのテル・レヘシュ遺跡で、シナゴーグの全容を解明する発掘調査を実施した。これによって、本シナゴーグは、モーセ五書の巻物を置く台座と思われた石は、天井を支える支柱の礎石であることが判明し、全体は簡素な矩形の部屋に過ぎないことが明らかとなった。ここから、シナゴーグの用途を、安息日のトーラー朗読にのみ限定して考える必要がないものと想定された。第2に、出土した西暦1世紀のシナゴーグの発見がもたらす意義に関して、同時代的、宗教史的、比較宗教学的視点から、研究成果を持ち寄って、公開シンポジウムを実施した。シンポジウムの全体テーマは、「イスラエル新出土シナゴーグから 一神教の宗教史を見直す」である。( 2018年3月2日(金) 13時-18時 東京大学本郷キャンパス 法文1号館 113教室。)第3に、シナゴーグがユダヤ社会において果たした役割の変遷を、古代から中世にかけて考察するシンポジウムを実施した。シンポジウムの全体テーマは「ユダヤ共同体とその指導者たち -古代から中世へ-」である。(2018年1月21日(日)13:00-18:00 東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室。)カイロで発見されたゲニザ文書から推定される、中世旧カイロ市(フスタート)のシナゴーグと共同体の関係について、イスラエル人の専門家の知見を得られたことは、歴史的変遷を明らかにするうえで非常に有益であった。
著者
桑原隲藏著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1968
著者
加藤 文男 寺田 宙 柴田 尚 杉山 英男 桑原 千雅子
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1.キノコ生息土壌の調査:富士山麓のキノコ生息土壌を採取し、土壌pH,^<137>Cs, Cs, K量を測定した。土壌pHは3.5-5.5と大きく酸性に偏っていた。2.キノコ生息土壌に生息する微生物のCs感受性:13の土壌サンプルについて、生息微生物のCs感受性を調べ、一般に細菌のCs感受性は低く、放線菌は感受性が高いという結果を得た。三宅島で採集した土壌より200mMCsで増殖可能な高度耐性株Streptomyces sp TOHO-2を分離した。3.分離培地のpHの影響:分離培地のpHを5,6,7に調製し、分離される細菌、放線菌の数を測定した.細菌数はpH6で最も多く、pH7の1.6倍、pH5ではpH7の1.15倍であった。放線菌数はpHの低下と共に菌数が減少し、pH7のおよそ50%であった。4,キノコ生息土壌より分離した放線菌のCs取込:これらの菌株に蓄積されるCs量は20mg/g dry wt mycelia程度であった。K202株について菌体内Cs, K量および増殖についてpH5と7で比較すると、Csによる増殖阻害はpH7の方で強く現れ、Cs蓄積量の増加とK量の減少もpH7の方が強く現れた。5.チャンネル阻害剤4-aminopyridine(4-AP)の影響:4-AP存在下でのCs取込量の変化を調べた。4-APによる阻害作用はpH7で強く認められたが、pH5では4-APによるK量の減少は認められたが、Cs量は増加し、増殖にも影響は認められなかった。6.キノコ生息土壌より分離した細菌のCs取込:生息環境に近いpH5でCsによる増殖抑制が強く見られた。また、細胞内Cs蓄積量は調べたいずれの菌株でも5mg/g dry wt前後であり、放線菌の1/4程度であった。7.細胞内Csの局在化:土壌分離放線菌、細菌、いずれの場合も低真空SEMで輝点が観察され、輝点部分にはP. OとともにCsが認められた。輝点以外の領域には、Csのシグナルは観察されず、局在化による毒性の軽減が示唆された。8.ポリリン酸の関与:^<31>P-NMRによりS.lividanns TK24にポリリン酸が存在する事を確認した。ポリリン酸合成に関わるpolyphosphate kinaseをコードする遺伝子ppkの破壊を試みている。
著者
橋本 康弘 土井 真一 根本 信義 佐伯 昌彦 小山 治 橋場 典子 吉村 功太郎 桑原 敏典 磯山 恭子 中原 朋生 渡部 竜也 三浦 朋子 小澤 昌之
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、日本の中・高校生の持つ法的知識や意見に基づいた法教育プログラムの開発にある。本研究では、日本の高校生を対象とした質問紙調査を実施した。その調査結果では、法知識は正しく有していても、法意見は反対の考え方を示すなど、「法知識と法意見の乖離」が生じている項目が散見された。本研究では、「法知識と法意見の乖離」が生じている「黙秘権」と「自白強要の禁止」について、授業を開発し、それを実施した。
著者
岡本 昭 濱田 友貴 三浦 勝貴 野中 健 桑原 浩一 大迫 一史 三嶋 敏雄 橘 勝康
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.918-923, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
22
被引用文献数
7 8

養殖イサキの死後変化に及ぼす致死条件(延髄刺殺,苦悶死,温度ショック,脊髄破壊)と保存温度(氷蔵,5, 10, 15, 20℃)の影響を検討した。致死条件実験では ATP 量,IMP 量,K 値,硬直指数の経時変化は脊髄破壊が最も遅かった。夏期(飼育水温 25℃)と冬期(15℃)のイサキを用いた保存温度実験における死後変化は冬期群が夏期群に比較して遅く,10℃ 保存で K 値,硬直指数の上昇が最も遅延した。養殖イサキの死後変化の遅延は飼育水温に関らず,保存 24 時間以内で脊髄破壊後 10℃ 保存が最適であった。
著者
桑原 司 木原 綾香
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, 2012-10

本稿は、『桑原 司・木原綾香.社会問題研究とリアリティ.経済学論集=Journal of economics and sociology, Kagoshima University/ 鹿児島大学法文学部 [編]. 2011, vol.77, p.71-99』に対する査読の結果、『九州地区国立大学教育系・文系研究論文集. 2012, vol.6, no.1』に採択、掲載されたものである。
著者
桑原 佑典 Tore Eriksson 釣谷 克樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.144, no.6, pp.260-264, 2014

精神疾患領域には大きなアンメットメディカルニーズが残されており,治療薬開発や創薬標的探索に向けた研究が企業やアカデミアで行われているが,その基礎となる疾患の発症分子メカニズムさえも未だに不明な部分が多い.近年のゲノム解析機器のハイスループット化に伴い,一塩基多型(SNP)を用いたGWAS(ゲノムワイド関連解析)が開発され,精神疾患分野においても数千人以上の大規模患者集団を用いた疾患関連遺伝子探索に関する研究成果が数多く報告されている.統合失調症においては,TRIM26 やTCF4 等の遺伝子やmiRNA の関与が見出され,これらを含めた新たなメカニズムが検討されつつある.また,次世代シーケンサーの急速な発展によって,一塩基変異(SNV)やコピー数多型(CNV)といった個人毎の稀な変異を対象とするエクソーム解析や全ゲノム配列解析といった技術も開発され,これらからも統合失調症患者でARC の複合体やNMDA 受容体複合体に変異が多い等の一定の成果が得られつつある.動物モデルなどを用いる精神疾患に対する従来の研究手法には限界もあり,今後の新機軸の一つとして,患者のゲノム情報を中心とし,遺伝子発現等の既存情報をバイオインフォマティクス技術を用いて統合解析し,発症メカニズムの解明や創薬標的の探索に取り組む流れが現在注目されている.また,バイオインフォマティクス技術は,既存薬や開発中の化合物について新たな適応疾患を探索するドラッグリポジショニングにも応用されている.新たな適応疾患は臨床開発時や市販後の臨床研究で明らかになる場合が多いが,早期にその可能性を見いだすことが製薬企業には重要であり,この解析にバイオインフォマティクスは欠かせないツールとなりつつある.本稿では精神疾患創薬研究におけるバイ オインフォマティクスの活用として,新規創薬標的の探索とドラッグリポジショニングの2 つの観点から最新の知見を紹介する.
著者
桑原 司 Kuwabara Tsukasa
出版者
鹿児島大学
雑誌
Discussion papers in economics and sociology (ISSN:1347085X)
巻号頁・発行日
vol.203, 2002-09-03

The Chicago School of Symbolic Interactionism (one trend of the "Chicago Renaissance") represented by the works of Herbert Blumer, has been seen to be major alternative to functionalism and and social system theory in American Sociology. In addition, this approach also has been important in sociology as a critique of positivism. Furthermore, according to T. Shibutani, "it is too early for a final assessment of Blumer's work. That will have to wait until the twenty-first century, when future historians will be able to see what remains of current Sociology. It seems likely that many of his view will prevail." So far, We have done many reviewing about Blumer's Symbolic Interactionism. The results which could be gotten as the result are summarized in the following paper [Tsukasa Kuwabara, 2001,"Introduction to a sociological perspective of Symbolic Interactionism(3) (The Summary of a doctoral dissertation, Tohoku University), "KEIZAIGAKU-RONSHU- OF KAGOSHIMA UNIVERSITY (ISSN=0389-0104) :No.54, The Economic Society of Kagoshima University, pp.69-86]. In this article, we are trying to clarify theaspects which compose the reason why Blumer's Symbolic Interactionism is generally categorized as one trend of the "Chicago Renaissance".
著者
蛭田 雄一 桑原 悟 柴原 一友 但馬 康宏 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.13, pp.41-48, 2008-02-16

日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005では,国民全体に対して何らかのプログラミング教育が必要であるとしている.プログラミングはとても知的な活動であるが故に,その面白さを感じるまでに多くの時間を要する.多くの人がつまづく原因としては,キータイピングが億劫であることや,構文規則等を習得が難しいことがあげられる.そこで,本稿ではより考える過程に重点をおき,ソースプログラムを作成する段階から楽しめる学習環境「すご@ぷろ」を提案し実装した.本稿ではすご@ぷろの提案と,それらを約80名程度の学生に対し講義で実験を行った.その結果,半数以上の学生が一般的なプログラミング言語ではみられない双六のマスを並べて形を作ることを楽しんでいた.結論として,短い講義時間の中で約 80% 以上の学生に対し,プログラミングに対し興味を持たせることに成功した.In the proposal 2005 about the Japanese information education / computer science education, it is assumed that some kind of programming educationis necessary for the all Japanese. It need much tie because programming is very intellectual activity until the human feels the fun. Reasons why many people fail in are probably troublesome key typing and the difficulty of learning sentence structure rules. Therefore we put an important point by this report in a process to think about more and we suggested learning environment "sugo@pro" to be able to enjoy when coding the source program and implemented it. In this paper, we tested them by a lecture for about 80 students. As a result, it enjoyed that many students arranged and sat square of the sugoroku and made something shape. In concolusion, we succeeded in having them be interested for programming more than about 80% students in short lecture time.
著者
桑原 雅夫 和田 健太郎
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.042-053, 2013-04-22 (Released:2019-03-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究は,東日本大震災後の緊急支援物資に関する定量的な記録の収集と分析を行ったものである.震災による構造物の損壊状況や津波については詳細な調査が行われている一方で,緊急支援物資の流れに関する定量的な記録は残されていない(あるいは,散在している).本研究では,国および県が取り扱った緊急支援物資を対象として,一次集積所の搬入量・搬出量の傾向比較,主要物資の供給状況,避難者1人当りの供給量の推移を分析する.また,岩手県と宮城県の物資取扱量,一次集積所で必要となった人員などを比較することにより,県における物資供給体制について考察を行う.最後に,今後の緊急支援物資ロジスティクスの構築に向けた課題を示す.
著者
桑原 昌則 古野 貴志 西村 拓哉 吉本 光広 北岡 裕章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1342-1348, 2021-12-15 (Released:2022-12-18)
参考文献数
18

症例は54歳男性.役場の職員で,右視床ラクナ梗塞,脂質異常症,高尿酸血症などで近医通院中であった.昼休み中に突然,胸痛を訴えて,その場に倒れこみ心肺停止状態となった.すぐに同僚の職員がAEDを使用し心肺蘇生に成功した. 当院へ救急搬送時は意識レベル清明,血圧144/100 mmHg,脈拍数103/分であり,心電図,心エコー検査等より,急性心筋梗塞と診断した.緊急冠動脈造影検査を行ったところ,左冠動脈前下行枝#6に99%狭窄を認め,引き続き同部位に対して経皮的冠動脈形成術を施行した.当院搬送後は,術中術後とも心室細動を起こすことなく経過し,10日間の入院期間中も,致死的不整脈は起こさず,後遺症なく独歩退院した.バイスタンダーの一般市民による迅速なAED使用により,後遺症なく救命できた症例を経験したので報告する.
著者
鈴木 慎太郎 本間 哲也 眞鍋 亮 木村 友之 桑原 直太 田中 明彦 相良 博典 柳川 容子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.282-288, 2018 (Released:2018-10-20)
参考文献数
24

症例は38歳男性.自家製のお好み焼きを食べている最中から喉頭違和感,呼吸困難,眼球結膜の充血などを訴え救急搬送された.アナフィラキシーの診断で加療し,後日当科へ精査目的で来院した.患者には著しいダニ・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎の既往があった.お好み焼きの具材に対する抗原特異性IgEによるアレルギー検査とプリックテストを行ったが全て陰性だった.問診上,開封後密封せずに常温で6か月以上経過した市販のお好み焼き粉を用いて調理したことが判明し,お好み焼き粉に混入したダニによるアナフィラキシーを強く疑った.お好み焼き粉を鏡検した結果,多数のコナヒョウヒダニが検出され,さらに,Dani Scan®(生活環境中のダニアレルゲン検出を目的とする簡易型検査キット)を用いた検査においても強陽性を示した.近年,お好み焼きやパンケーキ等の小麦粉製品に混入したダニを経口摂取して生じるアナフィラキシーの報告が急増している.診断のためには,調理に用いた小麦粉製品の保管状況の聞き取りと,感作が成立した同種のダニを発症前に摂取した調理材料中に証明することが求められる.今回,使用したDani Scan®は,一般家庭においても食品中のダニ汚染を検知する簡便なキットであり,本病態の診断や発症の予防に一定の効果が期待できるものと推察した.
著者
齋藤 彰 石川 陽子 宮村 友輔 十河 健司 中島 匡貴 赤井 恵 桑原 裕司 平井 義彦
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.414-420, 2007-08-10 (Released:2007-08-18)
参考文献数
32
被引用文献数
2 1

The brilliant blue luster of Morpho butterflies is produced by their scale that does not contain a blue pigment. The origin of the coloration can be attributed to an optical effect on a specific nano-structure, which can explain both of the high reflectivity and the mystery that the blue appears from wide angle despite an interference effect. We have successfully reproduced the Morpho-blue by fabricating nano-structure by extracting the principles of the coloration. The reproduced Morpho-type materials are expected to serve to various industrial applications. However, the process to fabricate the nano-structure spends too much time and cost using conventional lithography. To solve this problem, nano-imprint lithography was applied to fabricate the nano-structure. As a result, Morpho-color was replicated successfully in low cost and short time. Its optical properties were estimated by optical measurements, and found to show the basic characteristics of the original Morpho-blue.
著者
桑原 恵介 金森 悟 鈴木 明日香 渋谷 克彦 加藤 美生 福田 吉治 井上 まり子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.23-007, (Released:2023-06-08)
参考文献数
26

目的 本邦の公衆衛生専門職大学院は疫学,生物統計学,社会行動科学,保健政策・医療管理学,産業環境保健学を基本5領域に据えて教育を行ってきたが,その現状と課題に関する知見は乏しい。そこで,帝京大学大学院公衆衛生学研究科を教育活動事例として,公衆衛生学修士課程(Master of Public Health, MPH)での教育の現状と課題,改善案をまとめることとした。方法 MPH教育の目標と授業科目の記述には,帝京大学大学院公衆衛生学研究科2022年度履修要項を参照した。課題と改善案は,同研究科での各領域の担当教員から意見を抽出し,要約した。活動内容 疫学では問題の本質を定式化して,データを収集・評価し,因果効果について推定できるように,討議を含む講義が行われきたが(計8科目),新たな公衆衛生課題への応用や技術革新へのキャッチアップの担保が課題である。生物統計学ではデータと統計学を理解し,解析を実践するための講義・演習が行われてきた(計9科目)。課題としては学生の理論の理解と講義難易度の設定,新しい統計手法の教材不足が浮かび上がった。社会行動科学では人間の行動を理解し,課題解決に向けて行動するための講義・演習・実習が行われてきた(計8科目)。課題としては,様々な行動理論の限られた時間内での習得,多様なニーズとの乖離,実践で役立つ人材育成が示された。保健政策・医療管理学では世界や地域の課題を発見・解決するために,政策や医療経済的視点も交えて講義・演習・実習を行ってきたが(計19科目),グローバル人材の輩出や行政実務者の入学不足,合理的・経済学的思考やマクロ経済的変化の認識の不足が課題である。産業環境保健学では産業・環境による影響と対策を法律・政策も含めて理解するための講義・演習・実習を行ってきた(計9科目)。課題としては最新技術や環境保健,社会的に脆弱な集団等のテーマの充実が挙げられた。結論 帝京大学でのMPH教育の振り返りを通じて,時代に即したカリキュラム編成,多様な学生,求められる知識・技能の増加,実務家の実践力醸成といった課題に対処していくことが,次世代の公衆衛生リーダーの育成に向けて重要であることが示唆された。こうした課題を解決していくために,公衆衛生専門職大学院での教育内容を全体像の視点から定期的に見直し,改革を行う不断の努力が求められよう。