著者
伊藤 憲佐 中山 恵美子 梶川 奈津子 清水 翔志 野田 剛 中村 隼人 村中 清春 林 真也 伊藤 太一 中井 智子 田中 研三 大橋 正樹 不動寺 純明 葛西 猛
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.419-426, 2011-10-20 (Released:2020-09-11)
参考文献数
36

鈍的胸部外傷による肋骨骨折患者の入院日数と, 初診時に得られる臨床情報について重回帰分析を行い, 入院日数の推定式を構築することを目的とした後ろ向き研究である. 肋骨骨折にて入院した患者92例を対象とし入院日数と, 性別, 年齢, HR, SBP, 血気胸の有無, 胸腔ドレーン挿入の有無, 硬膜外麻酔・神経根ブロックの有無, 肋骨骨折の本数を調査した. これらの項目に対し入院日数を目的変数として, 探索的に重回帰分析を行った. 最終的に推定入院日数=4.9+肋骨骨折の本数×0.9日に, 年齢が60歳以上の場合, +3.3日, 胸腔ドレーン挿入が施行された場合, +3.6日が加算される, 単回帰推定式が得られ, 95%信頼限界は±15.6日であった. この推定式により鈍的胸部外傷による肋骨骨折患者の入院日数が, 初診時に得られる情報から推定可能と思われる. また入院期間を短縮するためには肺炎の予防が重要である事が暗示された.
著者
森田 尚樹 佐藤 幸男 櫻井 裕之 横堀 將司 石川 秀樹 梶原 一 海田 賢彦 松村 一 福田 令雄 濱邉 祐一 磯野 伸雄 田上 俊輔 藤原 修 副島 一孝 新井 悟 佐々木 淳一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.76-89, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
17

東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した.  総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった. 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった.  年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
著者
沖 良祐 内野 彰子 和泉 唯信 小川 博久 村山 繁雄 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.12-16, 2016 (Released:2016-01-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

症例は死亡時74歳の男性である.小児期の急性灰白髄炎罹患後に左下肢麻痺が残存した.60歳頃より四肢筋力低下,72歳頃より呼吸機能障害・嚥下障害が進行し,発症約14年後に死亡した.神経病理学的には脊髄にポリオ後遺症と思われるplaque-like lesionのほか,脊髄全長にわたりグリオーシスを伴う前角細胞脱落を認めたが,Bunina小体やユビキチン・TDP43陽性封入体などamyotrophic lateral sclerosis(ALS)に特徴的とされる構造物は認めなかった.ポストポリオ症候群は稀に呼吸機能障害や嚥下障害が急速に進行して致死的となる場合があり,これらの病理所見はポストポリオ症候群による運動麻痺の進行と関連していると考えられた.
著者
江口 圭一 戸梶 亜紀彦
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.84-92, 2009 (Released:2009-08-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3 5

本研究は,使用が簡便な労働価値観測定尺度短縮版の開発を目的として行ったものである。開発にはこれまでに蓄積された全データ(n=720,平均年齢41. 4歳±13. 3,18~74歳)を使用した。労働価値観測定尺度の原版(38項目版)の探索的因子分析の結果に基づき,因子負荷量が高い3項目が短縮版の項目として選択された。短縮版の下位尺度はいずれも高い内的一貫性を示した(α=.814~.878)。いずれの下位尺度についても,労働価値観測定尺度の原版(38項目版)と短縮版の間に高い相関係数が示され(r=.906~.976),基準関連妥当性は支持された。また,検証的因子分析でもモデルの高い適合度が示され(GFI=.929, AGFI=.902, CFI=.953, RMSEA=.056),因子的妥当性が支持された。以上の結果から,短縮版はより少ない項目数で38項目版と同様の構成概念を測定できることが示唆された。
著者
岡村 かおり 梶原 啓資 中尾 真 飯田 則利
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.1278-1283, 2017-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
22

症例は胎児期に重複膀胱が疑われ,出生後に鎖肛を伴わない直腸膣前庭瘻の診断で人工肛門を造設した女児.術中に管状型回腸・全結腸重複症が判明し,また重複尿道,重複膣,重複子宮を合併していた.6生月に会陰部横切開で直腸膣瘻閉鎖術および重複直腸側々吻合術を施行したが,直腸膣瘻が再発し,8生月に後方矢状切開で直腸膣瘻再閉鎖術,10生月に重複回腸・上行結腸切除,隔壁部分切離および人工肛門閉鎖術を行った.術後2年の現在,腸管の通過障害はなく経過は良好である.今後,妊娠・出産を含めた長期的フォローアップが重要である.
著者
梶原 公子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.59-67, 2006 (Released:2006-07-28)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

Recent years, the young often eat meals outside their home. When “Shoku-no-Gaibuka” increases, it seems that the young's awareness on eating changes. This study was undertaken to investigate the “Shoku-no-Gaibuka” aspect on the part of young people. An interview survey was conducted with special focus being placed on each interviewee's personality and life-style. The interview sample included 52 young peoples 20-25 years old living in the Metropolitan area. Twenty six of the subjects were men and 26 were women. The result of the interview showed that about 30% at the young usually eat meals away from home. Many of them work until very late at night, moreover they do not eat breakfast. The amount of “Shoku-no-Gaibuka” is not related to the awareness of eating, but the young who usually eat these meals have less interest in their dietary culture and spiritual aspect. The young who usually eat “Shoku-no-Gaibuka” in addition to being unsatisfied with the meal, desire an improvement in their dietary conditions.
著者
神間 唯 丸谷 宜史 梶田 将司 間瀬 健二
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011-HCI-142, no.26, pp.1-7, 2011-03-10

毎日衣服を着ることは必須であるが,ファッションに関して興味がない人やコーディネートに関して悩みのある人がいる.そこで良いコーディネートを推薦することでコーディネートに関する 「気づき」 を促して,悩みを解決し積極性を持たせることが必要だと考えられる.本研究ではファッションにあまり積極的ではない人たちにコーディネートを推薦し,気づきを促すシステムを提案する.コーディネートを決める基準として,ファッションを記述する感性語として定義されているイメージキーワードを用いた.イメージキーワードと気づきの関係を調べるための実験を行い,イメージキーワードがコーディネート推薦に有用であることを示した.
著者
梶田 叡一
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-21, 2017-03-10

潜伏キリシタンの伝承物語『天地始之事』の基本性格や、この物語が発見された経緯などについては前稿で述べた(1)。本稿では、その内容の全体像について検討する。
著者
梶川 裕矢
出版者
東京工業大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2016

科学技術イノベーションをもたらす研究開発を効率的・効果的に推進するために、客観的根拠(エビデンス)に基づいた政策立案が不可欠である。しかしながら、データ分析やシミュレーションなどのエビデンスを「つくる」科学に比べて、エビデンスとして「活用する」科学や仕組みが不足しており、政策策定や評価にエビデンスが十分に反映されていない。 本プロジェクトでは、科学技術イノベーション政策、とくにエネルギー技術政策を事例として取り上げ、政策立案から実施過程において、どのようなエビデンスが、いかに収集・作成・活用・継承されているか、そのプロセスを分析する。また、組織における意思決定とエビデンスに関する理論研究の体系的な調査により、エビデンスの活用を通じて政策効果を高めるための枠組みの構築を目指す。
著者
梶川 武信
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.303-306, 2004 (Released:2004-07-01)
参考文献数
12

Recent innovative research and development of high performance thermoelectric materials for power generation in the temperature range from room temperature up to 1300K has been investigated. The concept of guiding principle for the enhancement of thermoelectric performance was briefly summarized including PGEC materials and independent control of the structure and function. In this paper as some of the promising materials, modified Bi-Te system, (filled) Skutterudites, clathrates and layered oxides were discussed.
著者
梶川 勇作
雑誌
金沢大学文学部論集. 史学科篇 (ISSN:02856522)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A1-A19, 1985-02-27

金沢大学文学部
著者
新城 邦裕 石井 (堤) 裕子 長岡 功 梶山 美明 鶴丸 昌彦
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.494-501, 2009-12-31 (Released:2014-11-21)
参考文献数
32

目的: 食道癌はいまだに予後不良の疾患である. 肉眼的・病理組織学的に癌遺残がない根治手術例に再発・転移が起きたり, 同一病期症例で予後に差異が認められることもあり, これらの原因のひとつとして微量癌細胞の存在が示唆されている. 今回われわれはCEA mRNAをターゲットとしたリアルタイムRT-PCR法を用いて食道癌患者における骨髄微量癌細胞の検出・解析を行い, その臨床的意義について考察を行った. 対象: 対象は当科において2003年3月から2004年4月までにリンパ節郭清を伴う食道癌切除術を施行した65例である. 術後の観察期間は82-564日間 (中央値316.6日間) であった. 方法: 手術開始直後の開胸時に肋骨から骨髄を採取し, 精製してtotal RNAを抽出した. CEAmRNAの陽性コントロールにTE-9を用い, そのtotal RNAを使ってリアルタイムRT-PCRを行い検量線を作成した. それをもとに骨髄検体中のCEA mRNA量を内部標準のGAPDH mRNAの比から補正し求めた. 定量PCRは2回行い再現性を確認し, さらにPCR産物を電気泳動し疑陽性を排除した. 結果: 65例中14例 (21.5%) が骨髄検体中CEA mRNA陽性であった. 陽性群と陰性群を背景因子および病理組織学的因子から比較したが有意差はなかった. 両群の生存曲線を求めたところ, 陽性群は有意に予後が悪かった (p=0.0369). また予後因子を判断するために多変量解析を行ったところ, CEA mRNAの検出 (p=0.031) とリンパ節転移の個数 (p=0.004) が選択された. CEAmRNA陽性となる危険因子についてロジスティック回帰分析を用いて解析したが, 各因子において全て有意ではなかった. 結論: 食道癌骨髄中微量癌細胞の有無は従来の臨床病理学的予後因子とは独立した, 新たな予後予測因子である可能性が示された.