著者
恒川 佳世 梶村 恒 松永 孝治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第126回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.417, 2015 (Released:2015-07-23)

電気インパルス(人工的に発生させた静電気による衝撃)はマツノザイセンチュウ(以下、線虫)を駆除できるかもしれない。本研究では、技術開発の基礎データを得るために、水中での線虫殺虫試験と線虫接種した2年生クロマツ苗木における線虫殺虫試験を行った。まず、今回用いた電気印加機器で、苗木の樹幹に7.0±2.8A(平均±SE)の電流を流すことができた。そこで、同程度の電流をシャーレ中の線虫懸濁液(250頭/ml)に流した。この場合の線虫殺虫率は、1分印加で39.5%、5分印加で64.0%、10分印加で82.1%となった。苗木には5000頭の線虫を接種し、約1カ月後に1分印加と15分印加を行った。その結果、15分印加では、対照区に比べて線虫密度が有意に低くなり、樹幹内における殺虫効果が実証された。なお、15分の電気印加を行っても、樹幹部に通水阻害は確認されなかった。ただし、内樹皮が変色した様子が見られた。以上の結果から、水中と樹幹内共に7A前後の電気印加によって線虫を殺虫することが可能であり、高い殺虫効果を得るには10分以上の印加が必要であることがわかった。一方で、内樹皮の変色によって苗木にどのような影響が生じているのか更なる検討が必要である。
著者
梶 龍兒 坂本 崇 和泉 唯信 西村 公孝
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は発病後数年以内に呼吸筋の麻痺を来たし、人工呼吸器につながったままの生活や死をまねく神経難病である。その治療にはriluzoleが用いられているがその効果はわずかであり、限られている。ALSの病因として近年グルタミン酸の神経毒性が注目されている。グルタミン酸は脊髄での上位および下位運動ニューロン間の神経伝達物質でありその毒性により興奮性神経細胞死がおこると考えられている。我々は超大量のビタミンB12誘導体であるメチルコバラミンがこのグルタミン酸毒性を抑制することから本症の治療薬として用いられないかを検討した。本研究の結果、従来から継続しているALS患者のさらに長期の経過を分析することができた(Izumi et al. submitted)。その結果は、少数例の観察ながら、無作為割付の対照試験で統計的に有意の生命予後の改善が見られるものであり、現在日本の企業により欧州において大規模な臨床試験が準備中である。ALSのモデル動物であるSOD1-transgenic mouseでは継代飼育中に発症時期が遅延したり不均一になったため十分な検討ができなかった。近年東北大学で開発されたSOD1-transgenic ratに切り替えて検討中であるが3月末現在、発症数が少なくさらに時間を用することになった。結果が得られ次第、英文誌に投稿する予定である。一方、経頭蓋磁気刺激法を用いたALS患者での研究では、脊髄のグルタミン酸放出による興奮性シナプス後電位は、病初期において振幅が増大していることが示された(Kaji, Kohara, in press)。従来ALSの病態を調べる方法としては、死後の病理所見が中心であったが、本法は疾患の病期の伸展を非侵襲的に患者で検討する方法としてこれからさらに臨床応用が発展することが期待される。

1 0 0 0 OA 冠循環の力学

著者
梶谷 文彦 友永 轟
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.145-150, 1983-06-30 (Released:2011-10-14)
参考文献数
32
被引用文献数
1
著者
齋藤 慎之介 和三 史弥 梶並 知記
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第13回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.29-34, 2023 (Released:2023-03-30)
参考文献数
7

本稿では,ガンダムアクションゲームを対象とした,試合中の任意時間帯における優劣を可視化する振り返り支援インタフェースを提案する.対象ゲームは,味方プレイヤと連携しながら戦うゲームであるが,試合後に味方との連携に関連する要素を考慮した振り返りを行うことが難しい.本稿では,味方との連携に関係する4 つの要素に着目して,試合の優劣を判定し,優劣の度合いを可視化する.評価実験を通して提案システムの有効性を示す.
著者
飯嶋 曜子 梶田 真 山本 充
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、ヨーロッパのボトムアップ型農村開発のガバナンスと領域性に着目して分析し、その意義を考察しようとするものである。事例として、周辺部の農山村としてこれまで多様な政策の対象となってきたアルプス地域を取り上げる。その理由として、アルプスでは、EU、国、州、県、市町村、さらにはアルプス広域地域等の多層的な領域において政策が遂行されていることが挙げられる。さらに、アルプス地域ではEUのボトムアップ型農村開発であるLEADER事業も積極的に実施されているからである。2021年度は現地調査を予定していたものの、コロナ禍が収束せず安全かつ円滑に調査を実施することが不可能であったため、実施を断念せざるを得なかった。その対応策として、2022年度に改めて調査を実施することを想定して、主にインターネット上の新聞記事や公的機関の情報などから現地の最新情報の収集に努めた。さらに、それらを踏まえて翌年度の調査計画案を検討した。一方でボトムアップ型農村開発のガバナンスとその領域性についての制度等に関する整理や分析、および理論的検討については各自が進めてきた。EUの共通農業政策(CAP)や、国、州、市町村等による農村開発政策、LEADER事業などについて、報告書や文献等による情報収集や分析を進めるとともに、それらに関連する理論の整理を行った。さらに、これまで実施してきた現地調査で得られた情報やデータを整理し、その分析を進めた。
著者
馬殿 恵 今川 彰久 阿比留 教生 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 及川 洋一 大澤 春彦 梶尾 裕 川﨑 英二 川畑 由美子 小澤 純二 島田 朗 高橋 和眞 田中 昌一郎 中條 大輔 福井 智康 三浦 順之助 安田 和基 安田 尚史 小林 哲郎 花房 俊昭 日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.37-46, 2019-01-30 (Released:2019-01-30)
参考文献数
34
被引用文献数
5

抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病について,日本糖尿病学会員への調査と文献検索を行い22症例を検討した.初回の薬剤投与日から発症までの平均期間は155日,発症時の平均年齢63歳,平均血糖値617 mg/dL,平均HbA1c8.1 %,尿中C-ペプチド4.1 μg/日(中央値),空腹時血中C-ペプチド0.46 ng/mL(中央値)であった.31.6 %に消化器症状,27.8 %に感冒様症状,16.7 %に意識障害を認め,85.0 %でケトーシス,38.9 %で糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.50.0 %が劇症1型糖尿病,50.0 %が急性発症1型糖尿病と診断された.膵外分泌酵素は52.6 %で発症時に,28.6 %で発症前に上昇した.1例でGAD抗体陽性であった.抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病は,劇症1型糖尿病から急性発症1型糖尿病まで幅広い臨床病型を呈し,高頻度に糖尿病性ケトアシドーシスを発症するため,適切な診断と治療が不可欠である.
著者
亀井 智子 山本 由子 梶井 文子 中山 優季 亀井 延明
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_24-2_33, 2011-06-20 (Released:2011-07-15)
参考文献数
28
被引用文献数
11 9

目的:COPD HOT実施者を対象として,在宅モニタリングに基づくテレナーシング(TN)を3ヵ月間提供し,急性増悪(primary outcome),および再入院(secondary outcome)をエンドポイントとして,ランダム化比較試験により効果を検討した.方法:対象は,COPD HOT実施者37名を介入群20名(平均年齢76.0歳),対照群17名(77.7歳)に無作為に割り付けた.方法は,介入群には毎日TNを提供し,対照群は従来の診療のみとした.結果:対象特性として,介入群の介入直前の在院日数は対照群よりも有意に長かった.介入群はTNにより急性増悪発症者が32.9%減少した.また,発症までの日数は有意に長く,介入前・中一人当たり急性増悪発症回数は介入群のみ有意に減少した.再入院割合は3.5%減少したが有意差はなく,介入前・中一人当たりの再入院回数は介入群のみ有意に減少した.生存分析(Kaplan–Meier法)では,急性増悪について両群間に有意差が認められた.結論:在宅モニタリングに基づくTNはCOPD HOT実施者の急性増悪発症予防,および発症回数を低下させる可能性があると示唆された.
著者
岩島 聰 荻野 恭平 梶原 峻 青木 淳治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.1157-1162, 1968-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
3

ベンゼン環6個からなるベンゾ[g,h,i]ペリレンは,合成ならびに高温石炭タールからの今離によってえられる。合成法としてはニトロベンゼン中で無水マレイン酸とペリレンを反応させるか,あるいはペリレンを無水マレイン酸およびクロルアニルとともに加熱してベンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物を合成し,この無水物をソーダ石灰と350℃ で加熱脱水し,さらに440℃ で減圧昇華することによってベンゾ[g,h,i]ペリレンをえることができる。しかし,この合成法では精製したペンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物を用いても,それから生成したベンゾ[g,h,i]ペリレンの一部が高温反応のため酸化され,ソダ石灰と作用してペリレンが生ずることを見いだした。高純度ベンゾ[g,h,i]ペリレソは,粗ベンゾ[g,h,i]ペリレンと無水マレイン酸およびグロルアニルを再度反応させ混入している微量のペリレンをベンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物としてクロマトグラフィーにより分離し,さらに昇華,再結晶によって精製を行なった。この高純度ペソゾ[g,h,i]ペリレンを標準試料とし,ペリレンを10-1~10-8mol%添加した二成分系のべンぜン溶液をつくり,その吸収スペクトル,ケイ光スペクトルを測定し,ベンゾ[g,h,i]ペリレン中に混入する不純物としてのペリレン濃度を測定した。この結果から合成単離した高純度ベンゾ[g,h,i]ペリレン中のペリレンの混入量を少なくとも10-6mol%以下におさえることがまできることを見いだした。また既知の合成法-ペリレンと無水マレイン酸を作用させてえる方法-およびタールから分離した芳香族炭化水素は,再結晶,昇華など通常の精製法を適用してもなお試料中のペリレン混入垂は10-2~10-3mol%であることがわかった。
著者
阿部 周司 遠藤 優人 阿部 洋一 村上 由里子 北上 誠一 朝倉 一好 梶原 一人
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.45-53, 2015-04-15 (Released:2017-06-15)
被引用文献数
1

The effects of freeze-thaw cycles on the gelation of heat-induced gel from frozen surimi were studied. The rheological properties of the heated gel were measured by rheometer. The kinds of bands between the proteins of gel were estimated by solubilities of the gel for various solvents. Freeze-thaw cycles caused decreasing in breaking strength and breaking strain of the gel. The protein solubility rates of heated gel showed that rates of ionic bond and hydrogen bond were increased, whereas hydrophobic interaction, S-S bonding and more intensive bonding interaction were decreased by freeze-thaw cycles. From these results, it was suggested that the changes of protein solubility rates caused rheological property deterioration of the heated gel.
著者
梶田 勉
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.378-383, 1988-07-10 (Released:2009-11-11)
参考文献数
8

Co-Mn Conposite oxide films were formed on stainless steel electrodes by polarizing them slightly cathodically in a dilute aqueous solution containing Co2÷ and MnO4- ions. The solutions were supersaturated with sparingly soluble compounds, Co2O3 and MnO2, which were produced as a result of the redox reaction between Co2+ and MnO4- ions. Supersaturation was kept during the film formation. The [Mn] / [Co] ratio of the films varied with the concentrations of Co2+ and MnO4- ions in the solution, the elapsed time from solution preparation, and the electrode potential of stainless steel. This method is applicable to the film formation of sparingly soluble compounds on conductive materials.
著者
佐藤 隼介 梶並 知記
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第12回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.23-26, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
5

本稿では,First person shooter (FPS)ゲームにおける,角待ちに着目した試合の振り返り支援用の可視化インタフェ ースを提案する.角待ちとは,FPS に関する専門用語の一種である.任意のプレイヤーキャラクターが,部屋や通路の角 で,敵のキャラクターがプレイヤーキャラクターの視界に入ってくるのを待つ行動である.FPS の試合の振り返りにおいて, どれだけ角待ちが有効に機能していたか確認することは,有利な状況で戦闘できる機会を得られていたか分析するため に重要である.本稿では,非プロプレイヤーを対象とした,ゲームフィールド内の角待ち可能なエリアごとに,チーム別に, 角待ちしている時間に対して角待ちが有効に機能している時間を,帯グラフ状で可視化するインタフェースを提案する.
著者
梶谷鐶著
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
1992
著者
梶木 剛
出版者
法政大学国文学会
雑誌
日本文學誌要 (ISSN:02877872)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.2-14, 2002-03-24
著者
鈴木 統大 梶原 敦 宇佐美 智乃 中島 陽子 山宮 知 紺田 健一 下間 祐 打越 学 栗原 利和 吉田 仁
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.576-582, 2019-07-10 (Released:2019-07-10)
参考文献数
22

65歳男性,腎前性急性腎障害で入院歴あり.頻回の下痢と食欲不振があり,腎機能の増悪,低ナトリウム血症のため入院.大腸内視鏡検査で直腸に粘液分泌をともなう亜全周性の絨毛腺腫を認めた.絨毛腺腫による電解質喪失症候群(Electrolyte Depletion syndrome;EDS)と診断,腹会陰式直腸切除術を施行.病理組織学的に癌は認められず絨毛/管状腺腫と診断され,国内報告ではまれな症例であり報告する.
著者
牛久 智加良 曽雌 茂 井上 雄 篠原 光 篠原 恵 大川 杏里 梶原 隆義 中島 由晴 勝見 俊介 丸毛 啓史
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.51-55, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

はじめに:化膿性脊椎炎の保存的治療初期のCRP値改善率が治療期間と相関するか不明である.対象と方法:保存的治療で感染沈静化した41例を対象とし治療開始後1週目までのCRP値改善率を求め,その中央値(54.9%)から良好群と不良群に分け治療期間を比較した.結果:平均治療期間は,良好群37.9日,不良群69.7日であった(p<0.05).結語:1週目のCRP値改善率は治療期間に関連した.
著者
山中 雅也 奥村 徳夫 園原 史訓 小西 滋 杉本 博行 梶川 真樹
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.722-727, 2019-12-01 (Released:2019-12-28)
参考文献数
22

症例は18歳の男性で,突然の左肩痛と背部痛,腹痛を主訴に当院を受診した.腹部造影CTで,脾腫,脾周囲の血腫および遅延相での造影剤の血管外漏出像を認め脾破裂と診断した.循環動態は安定していたために保存的治療とした.また,顎下リンパ節の腫脹,疼痛があり,血液検査で単球の上昇,EB virus抗体VCA-IgM陽性,異型リンパ球の出現などを認め,伝染性単核球症による脾破裂と診断した.以後,再出血することなく軽快し21病日に退院した.脾臓は免疫において重要な臓器であり,若年者では脾破裂の場合も可能なかぎり温存することが望まれる.伝染性単核球症による脾腫が原因となって生じた脾破裂に対して,保存的治療で脾臓を温存することができた症例を経験したので報告する.