著者
二宮 芳樹 坂 義秀 前野 俊希 根木 大輔 宮島 千代美 森 健策 北坂 孝幸 末永 康仁
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.435-441, 2008-03-01 (Released:2010-05-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

Voice activity detection is an important part of the development of speech functions for on-board car navigation and assistance systems. It is difficult to detect voice activity using only sound information in a vehicle environment that has a wide variety of sounds and noises. We propose an suitable image feature and integration method that can be used to develop a robust bimodal voice activity detection (VAD) systems using a driver's voice and facial images. We select the normal correlation value between sequential mouth images and the number of low-intensity pixels in mouth image, which we then used as the feature for VAD. We propose a system in which the discrimination function consist of the sum of weighted singles feature discrimination functions and combinations of logical addition and multiplication of singles feature discrimination functions. The experimental results show that the proposed sound and image features can be useful and that the proposed integration method has a 97% hit rate, which is 9 points better than the previous integration method at the point that false alarm rate is about 12%.
著者
森 健策 村垣 善浩
出版者
一般社団法人 日本コンピュータ外科学会
雑誌
日本コンピュータ外科学会誌 (ISSN:13449486)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.5-21, 2018 (Released:2018-08-08)

日本コンピュータ外科学会は2017年で設立25周年を迎えました. 2017年10月28日から30日に名古屋大学豊田講堂で開催された, 第26回日本コンピュータ外科学会では多数の参加者をお迎えし, 25周年特別企画が行われました.本学会の設立ならびにその発展に多大なる貢献をなされた先生方にご挨拶いただき, その後, 東京大学佐久間一郎先生から, 日本コンピュータ外科学会これまで何が研究され, そして, それが今後どうなっていくであろうかを予想する基調講演をいただきました. そして, 医学, 工学, 情報の各分野の若手を含めた研究者によるパネルディスカッションの時間が持たれました. このディスカッションでは, 日本コンピュータ外科学会のこれまでの25年, これからの25年について議論をするものでした. 日本コンピュータ外科学会がこの25年で達成してきたことを振り返り, 若手研究者が次の25年で目指すべき将来像についてそれぞれの立場から述べ, 今後どのようなイノベーションが生まれるかを予測する絶好の機会となったものと思います.本記事は, 第26回日本コンピュータ外科学会における 「25周年特別企画」 での, 橋爪誠先生, 北島雅樹先生, 土肥健純先生からのご挨拶, 佐久間先生の基調講演, ならびにパネルディスカッションを書き起こしたものです. 本学会を今後どのように発展させればよいのか, ひとつの道しるべとなれば幸いです.
著者
野田 浩司 齋藤 隆之 高橋 光成 中森 健之 稲田 知大
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

大口径の大気チェレンコフ望遠鏡を用いた観測により、高エネルギーガンマ線で見える宇宙の極限現象、特に突発天体と暗黒物質の理解を進める。本研究では、現在稼働中のMAGIC望遠鏡に加え、次世代計画チェレンコフ望遠鏡アレイ(CTA)の大口径望遠鏡1号基を用い、また同望遠鏡2~4号基の設置・調整を行う。現行の望遠鏡によって明らかになった様々な宇宙現象の理解を更に深め、CTAによる研究へと継続・発展させていく。 MAGIC・CTAともにスペイン・ラパルマ島で進行中の国際共同実験であるため、観測地現地や欧州各国にある関連研究所に直接赴いて研究を進め、今後同分野でリーダーシップを発揮していく。
著者
森 健策
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.20-25, 2022-01-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
4

本稿では,マクロとミクロを結ぶメゾスコピックの観点から,マイクロCTの紹介と,マイクロCT画像を用いたメゾスコピック領域における解剖学的構造の認識などについて紹介する.加えて,マイクロCT画像を用いたマクロCT画像の超解像化について触れる.マイクロCTを用いれば,細胞レベルでの解剖学的構造とマクロレベルでの解剖学的構造の中間である,メゾスコピック領域の解剖学的構造を撮像することが可能となる.マイクロCTによるメゾスコピック領域での解剖学的構造のイメージングとその前後の領域におけるイメージングとの統合によって,解剖学的構造のスケールシームレスな解析が可能となり,新たな学術分野の展開が期待される.
著者
森 健太郎
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.524-530, 2011-07-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
9

頭蓋底外科練習用モデルの作製方法について報告した.削開可能な市販の頭蓋骨モデルを基に,海綿静脈洞の内外壁をシリコーン製の硬膜2層構造で再現するとともに,人工脳神経や人工内頚動脈を再現した.Periosteal bridgeを人工骨膜で再現したり,動眼神経を前床突起の外下方に留置するなど,頭蓋底外科に重要な構造物の再現に留意した.電線を用いて椎骨脳底動脈を再現し,シリコーン製の小脳テントを再現した.これらの構造物を作製しながら,頭蓋底外科に必要な3次元的解剖の理解が可能である.
著者
森 健太郎 佐々木 裕亮 酒井 淳 赤須 功 山川 功太 北川 亮 吉田 浩貴 沼澤 真一 伊藤 康信 渡邉 貞義
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.464-469, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
14

微小脳血管減圧術を施行したが再発, あるいは未治癒の突発性三叉神経痛でカルバマゼピン非耐性の5症例に対して, 再手術の際に三叉神経知覚枝のnerve combingを施行した. 全例術直後からカルバマゼピン内服なく疼痛発作が完全消失したが, 5例中4例 (80%) に三叉神経第3枝領域を中心とした顔面知覚障害が残存した. 術後1~5年の時点で再発を認めずQOLも良好である. 再発三叉神経痛で責任血管が明らかでなく, かつカルバマゼピン非耐性例に対してはnerve combing法は有効な治療法と思われる. なお, nerve combing法を予定する場合は術前に顔面知覚障害をきたす可能性が高いことを説明すべきである.
著者
尾縣 貢 木越 清信 遠藤 俊典 森 健一
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.117-124, 2015-02-01 (Released:2015-01-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2

Purpose of this study was to examine the recovery process of delayed onset muscle soreness, jump performance, force to contact with the ground and lower limbs movement after intensive jump exercise (IJE), and the relationships between muscle soreness, changes of jump performance and lower limbs movement. Nine males who have experience in special jump exercise participated in this study voluntarily. For the measurement, subjective investigation of the muscle soreness, drop jump performance using a 30 cm high box [jump height, contact time and drop jump index (jump height / contact time)], ground reaction force and movements of lower limbs. This measurement was carried out before IJE (Pre), and at 4 hours (P4), 24 hours (P24) and 72 hours (P72) after IJE. Main results are as follows ; at the time of P24 when intense muscle soreness appeared, significant jump height decreases and contact time increases were shown, and the jump index decreased markedly. This decrease of performance correlated to the change of knee and ankle joint movements during the eccentric phase. At P4, for a subject who felt strong muscle soreness, the decrease of jump height and jump index were considerable. At P72, most subjects recovered to the levels of jump height and contact time to the Pre level. The findings reveal that the jump performances are related to the degree of delayed onset muscle soreness.
著者
村田 真一 松田 崇弘 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.3, pp.229-239, 2022-03-01

無線信号が送出されている位置を推定する波源推定技術は,現在あるいは将来の無線通信技術における周波数有効利用のための一つの重要な技術である.本論文では,複数の無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を用いて波源推定を行う技術について検討する.各UAVはアレーアンテナを搭載し,アンテナ信号処理推定された信号の到来方向(DOA: Direction of Arrivals) より,波源推定を実現する.波源とUAVの間で見通し内(LOS: Line-of-Sight)伝搬路が確保されている場合,複数のUAVで推定された到来方向を組み合わせることにより波源の位置を推定することができる.一方,波源とUAVの間が見通し外(NLOS: Non-Line-of-Sight)伝搬路である場合には,到来方向から直接波源位置を推定することはできない.本論文では,到来方向分布の広がりが波源とUAV間の距離が大きくなると狭くなることに注目し,NLOS環境における最ゆう推定を用いた波源推定手法を提案する.提案手法では,各UAVにおける信号の到来方向は単峰型の角度分布として知られるvon-Mises分布に従うと仮定し,複数のUAVで推定された到来方向よりゆう度関数を構成し,繰り返し推定により波源の位置とvon-Mises分布のパラメータを推定する.
著者
亀谷 均 堀江 克明 幸田 憲明 久間 英樹 松本 浩介 内村 和弘 小森 健一 増木 新呉 東 裕人
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00147-17-00147, 2017

<p>Lower to middle tier regions of dam reservoirs often fall into the anoxic states in summer. When the anoxic state is reached, living things die, heavy metals such as manganese and iron, hydrogen sulfide and methane are eluted from mud deposited on the lakebed. Since it is not possible to release heavy metals exceeding environmental standards, an improvement of dissolved oxygen concentration in dam lakebed is required. So far, there is no system that can automatically improve the dissolved oxygen, in the lower to middle tier regions of dam lakebed. This study was carried out for developing an automatic system to improve the lakebed dissolved oxygen concentration to 6mg/L or more. The developed oxygen dissolution apparatus can diffuse a high concentration oxygen water horizontally at a rate of 1km per day. Thus, by raising and lowering this oxygen dissolution apparatus in water, a system that creates 3 - dimensional spreading of the dissolved oxygen not only to the lower tier but also to the middle tier regions was developed. The demonstration experiments, reported of the effectiveness of the system that can raise the dissolved oxygen concentration from the low oxygen-free state to the target of 10 mg / L in 5 days. Moreover, the system demonstrated its ability to automatically raise the dissolved oxygen concentration to 10mg/L in the 10m region from the bottom of lakebed.</p>
著者
萩田 賢司 森 健二 横関 俊也 矢野 伸裕
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1023-I_1030, 2014
被引用文献数
2

交差点における自転車事故の実態を把握するために,事故当事者の進行方向別の事故発生頻度を明らかにした.千葉県東葛地域の交差点自転車事故を分析対象として,緯度経度情報,当事者の進行方向矢印と事故類型などをもとに,自動車と自転車の相対的な進行方向を求めた.その結果,信号の有無により自転車事故の発生形態が大きく異なっており,信号交差点では,自転車と平行して道路を走行している自動車の右左折に伴う事故が大半を占めていた.無信号交差点では,自動車が交差点を通過する際の手前側の交錯点を走行している自転車との事故が多発していることが示された.また,夜間においては,自動車は交錯する自動車と逆方向から進入してくる自転車と衝突しやすいことが示された.
著者
江森 健太郎 北脇 裕士 岡野 誠
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.34, 2012

2001年9月頃からBe拡散処理が施されたオレンジ/ピンクのサファイアが大量に日本国内に輸入され話題となった。当初は輸出国側から一切の情報開示がなく、"軽元素の拡散"という従来にはなかった新しい手法であったことから、鑑別機関としての対応が遅れる結果となった。その後の精力的な研究によってBe拡散処理の理論的究明には進展が見られたが、軽元素であるBe(ベリリウム)の検出にはSIMSやLA-ICP-MSなどのこれまでの宝石鑑別の範疇を超えた高度な分析技術が必要となり、その後の検査機関のあり方を問われる結果となった。<BR>LA-ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)は、軽元素を含む多元素同時分析による高速性と、ppb~ppmレベルの分析が可能な高感度性能を持つ質量分析装置である。鉱物等の固体試料の測定にはレーザーアブレーションにより直径数10μm程度の極狭小な範囲を蒸発させる必要があるが、Be拡散処理サファイアの鑑別には欠かせない新たな分析手法として宝石学分野においても活用されるようになった。さらにLA-ICP-MSは蛍光X線分析では検出できない微量元素の検出が可能であるため、それらの検出された微量成分の種類や組み合わせがケミカル・フィンガープリントとして宝石鉱物の原産地鑑別に応用されている。既にコランダム、エメラルド、パライバ・トルマリンなどでは多くの研究例があり、一定の成果が上がっている。<BR>本研究では、これらのLA-ICP-MS分析法の宝石学分野における他の重要な応用例の1つとして、天然及び合成ルビーの鑑別法について検討した。<BR>1990年代初頭、新産地であるベトナム産ルビーの発見と同時期に大量の加熱処理されたベルヌイ法合成ルビーが宝石市場に投入された。加熱が施されることにより、鑑別特徴であるカーブラインが見え難くなり、さらに液体様のフェザーが誘発されることで、識別が困難となった。1990年代半ば以降にはフラックス法によるカシャン、チャザム、ラモラ等の合成ルビーに加熱処理されたものが出現した。特にフラックス法合成ルビーは加熱によって内部特徴が変化すると、標準的な鑑別手法では識別が極めて困難となり、他の有効な鑑別手法の確立が必要とされている。本報告では、ベルヌイ法、結晶引上げ法、フラックス法、熱水法等の合成ルビーをLA-ICP-MSで分析し、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等の遷移元素や希土類元素等の相違について纏めた結果を紹介する。
著者
佐古 和恵 森 健吾
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1_48-1_57, 2008-07-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2008 年1 月に開催された暗号と情報セキュリティシンポジウム(通称SCIS) において、恒例のSCIS 論文賞投票が従来の紙投票に加えて電子投票も可能になりました.本稿ではそのネットワーク型電子投票のしくみならびに実施結果について紹介します.
著者
ホァン ブイフイ 小田 昌宏 二村 幸孝 北坂 孝幸 三澤 一成 藤原 道隆 森 健策
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.389, pp.395-400, 2012-01-12
参考文献数
8

外科手術における医師の血管構造把握を支援するため,我々は腹部血管を対象とした血管名自動命名法の研究を行ってきた.この手法は,抽出した血管領域から血管木構造を作成し,血管木構造の各血管枝ごとに多クラスAdaBoostを用いた識別器により血管名を命名する.しかし,識別器の誤分類により誤った名前を命名されたり名前なしと命名された血管枝が多数存在した.そこで,新しい特徴量を追加し,更にAdaBoostに用いる識別器学習時の重み調整により,識別器の命名対象血管に対する命名性能を向上させた.提案手法を3次元CT像38症例に適用したところ,血管名命名の平均再現率と平均適合率はそれぞれ87.6%と72.5%であった. We have developed an automated anatomical labeling method for the abdominal arteries to support understanding of the structure of the arteries for doctors in abdominal surgeries. This method labels artery names by using classifiers constructed with the multi-class AdaBoost. However, miss-labelings of the classifiers were caused in many cases. In this paper, we present a method to improve artery name labeling performance by adjusting weights of the classifiers of the AdaBoost. We also introduce new future values for the classifiers. We applied the proposed method to 38 cases of 3D contrasted abdominal CT images. The average recall and precision rates of the proposed method were 87.6% and 72.5%, respectively.
著者
森 健 八幡 悠里子 築根 豊
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.283-289, 2011 (Released:2011-11-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 5
著者
秋山 陽子 西田 裕介 重森 健太 水池 千尋 金原 一宏 兵永 志乃 池谷 直美 福山 悟史 川久保 知美
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.8, pp.19-33, 2013-03-31

研究報告【はじめに】H-Ex.の実施状況と、動機づけの関連性を検討した。【対象】外来患者24名(平均年齢61±17歳、男性7名、女性17名)とした。【方法】質問紙調査法にて、H-Ex.の実施状況と動機づけの強さおよび個人属性を調査した。動機づけの強さの測定には『Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2』を一部修正して使用した。【結果】実施状況と動機づけの強さには、有意な相関はなかった。痛みが強いほど、H-Ex.を行わないという有意な相関があった。家族数が多いほど、内発的調整スタイルの得点が低いという負の相関があった。H-Ex.を行わない日が多い群と外的調整スタイルの得点の高い群との間に、有意な分布の差があった。就労形態と、同一視的・取り入れ的調整スタイルとの間にそれぞれ有意な分布の差があった。【考察】H-Ex.の実施状況と動機づけの強さの関係については、両者間に有意な相関がなかった。その要因として、介入そのものが動機づけを強くしたこと、実施状況調査の時期や期間が実施結果を良好にしたのではないかと考えた。
著者
江森 健太郎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.27, pp.5, 2005

<br> 最近市場でペリステライト、ハイアロフェン等の長石が見かけられるようになった。それらの長石についての特徴と鑑別に際する注意点について、通常見られる長石類と比較しつつ述べる。<br> ペリステライトは約2~19mol%のアノーサイト成分を持つ低温型斜長石でありイリデッセンスを放つラブラドーライトと同じように100nmオーダーのラメラ構造を呈している鉱物である。ムーンストーンと非常によく似た外観を持ち、屈折率、比重だけでは区別することが難しい。また、ムーンストーンと類似した外観をもつラブラドーライトについても述べる。<br> ハイアロフェンはバリウム長石であるセルシアン(celsian;BaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>)と正長石(orthoclase;KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>)の中間組成を持つ長石である。屈折率が斜長石系列の中間程度を示し、誤鑑別を生む原因となる。<br> これらの長石は赤外分光法(FT-IR)で簡易的に鑑別することが可能であるが、正確な鑑別には蛍光X線分析装置(EDS)を用いて組成を直接分析することが望ましい。