著者
中澤 達哉 近藤 和彦 森原 隆 小山 哲 小森 宏美 池田 嘉郎 古谷 大輔 小原 淳 阿南 大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、「王のいる共和政」の国際比較を通じて、近代ヨーロッパ共和主義の再検討を行った。この結果、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、オーストリアにおいて、「王のいる共和政」というジャコバン思想と運動が存在したことを解明した。さらに、これらの地域における「王のいる共和政」論の源流を、16世紀の政治的人文主義(political humanism)による古代ローマ共和政の近世的再解釈に見出した。加えて、この思想が啓蒙絶対王政を正当化するための主導的原理として機能したことを実証した。このようにして、この原理が1790年代の中・東欧において広範に拡大することになったのである。
著者
藤森 宏明
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報 (ISSN:24241474)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.183-197, 2007-06-30 (Released:2017-12-02)

The purpose of this paper is to analyze the effectiveness for the teacher-training course of two policies in 1990s, which were the abolishment of the system of exemption of refund and new Scholarship system that was founded by the Japan Scholarship Foundation (Nihon Ikuei- Kai). The Japan Scholarship Foundation runs an exemption system of refund for the student that becomes a teacher. However, as a reconstruction of the system, this system was abolished and the new Scholarship was established, which was more need - based than usual and was a loan which charged interest. As a result, it is found that by these reforms the ratio of the students decreased, who had the higher academic ability, the bigger possibility of becoming a teacher, and belonged to the lower-income group. And the ratio of the students increased, who did not have higher academic ability, the smaller possibility of becoming a teacher, and belonged to higher-income group. It implies the two things shown below. One is that the abolished system had been running efficiently, the other is that the new system is not compatible with "academic ability", "household economy", which are the basic idea of the Japan Scholarship Foundation.
著者
橋本 伸也 野村 真理 小森 宏美 吉岡 潤 福田 宏 姉川 雄大 梶 さやか
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

東中欧諸国・ロシアで深刻の度を増している第二次世界大戦と社会主義時代の歴史と記憶をめぐる政治化と紛争化について、現地調査や国際研究集会の開催などを通じて、実相解明を進めた。6回の国内研究会の開催、個別研究論文の執筆に加えて、2014年度にはエストニアのタリン大学で夏季ワークショップを開催して成果をproceedingsとして公開するとともに、2015年には関西学院大学で国際会議を開催して、東アジアの歴史認識紛争との対比により問題構造の多元的把握に努めた。研究代表者の単著(既刊)や雑誌特集号に加えて、2017年中に国際的な論集と研究分担者らの執筆した共著書2点の刊行が決まっている。
著者
高尾 千津子 野村 真理 小森 宏美 中嶋 毅 原 暉之 鶴見 太郎 ウルフ デイビッド シュラトフ ヤロスラフ 宮沢 正典
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究はロシア革命後ユーラシアの東西に離散した亡命ロシア人社会と、それに付随して世界に拡散したロシアの「ユダヤ人問題」と反ユダヤ主義の諸相を、満洲、極東に焦点を当てて考察した。特にシベリア出兵期に日本に伝播した反ユダヤ主義、日本統治下満洲における亡命ロシア人社会とロシア・ファシズムの発展、シベリアと満洲におけるシオニズム運動の展開、ホロコースト前夜のユダヤ難民問題における日ソ両国の役割を解明した。
著者
村元 喬 森 宏仁 大圃 研
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.676-677, 2021-05-24

潰瘍底縫縮の意義 表在性非乳頭部十二指腸腫瘍(superficial nonampullary duodenal epithelial tumor ; SNADET)に対する内視鏡治療では,スコープの操作性や筋層が薄いといった解剖学的な特徴から,他の臓器に対する内視鏡治療に比べて術中に生じる偶発症の頻度が高いことはもちろんのこと,切除後の潰瘍底に直接胆汁・膵液が曝露することで引き起こされる遅発性穿孔や後出血が最大の問題である1).しかしながら,術後の潰瘍底を完全に縫縮することで,遅発性の偶発症が減少することもわかっている2)3).このため,術後の潰瘍底の縫縮が必須であり,いかにして確実に潰瘍底を縫縮するかが重要である.
著者
小森 宏美
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.47, pp.54-64, 2018 (Released:2019-10-08)
参考文献数
21
被引用文献数
1

This article takes the viewpoint of historical comparison to offer a reassessment of Estonia’s nationalization. Estonia has experienced several regime changes in its history and has faced the challenges of nation-building with every alternation. The independence of 1918 and the re-independence of 1991 are especially explored in this article with regard to nationalization, which includes the institutionalization of national cultural autonomy and citizenship policy.In general, national cultural autonomy is considered the means of guaranteeing its minorities the right to self-rule with respect to cultural affairs. Estonia’s independence manifest of February 1918 promised this right to the country’s minorities who included Germans, Russians, Swedes, and Jews. The enactment of the law on cultural autonomy in 1925 accorded Germans and Jews the right of self-rule with respect to cultural affairs in the interwar period. The right of cultural autonomy was also on the agenda during the period of perestroika and the related law was adopted in 1993.According to Brubaker’s definition, Estonia is a coercive nationalizer as well as an active pluralist, pursuing the nationalization as its primal goal along with the official recognition of national minorities. Extant literature explores this intricate situation using discussions on triadic or quadratic nexus, but the question why Estonians took the pluralist approach into consideration when it was still not clear whether their state would be established must be addressed. In this sense, the author of this article would argue that it is worth paying more attention to the continuity maintained with regard to the previous regime.While interwar Estonia’s cultural autonomy functioned rather successfully as a system, the current law is regarded to be completely symbolic. The emblematic nature of the current law emanates primarily from two causes. First, the number of Russians holding Estonian citizenship was quite limited immediately after Estonia’s re-independence. Therefore, most Russians were not entitled to use the associated right. Second, the Estonia’s school system uses the Russian language as its medium of education, which harked to the Soviet period. Hence, Russians as minority did not need to demand the right of education in their mother tongue; at least until the school reforms were instituted. Thus, cultural autonomy was not the priority for Russians.Almost 30 years after the re-independence, Russian politicians who are quite active in the field of Estonian politics compete to postulate discrete forms of nationalization in Estonia and propose varied means of social integration. As more Russians obtain Estonian citizenship, culturally and politically plural approaches to nationalization become increasingly necessary.
著者
高尾 千津子 鶴見 太郎 野村 真理 武井 彩佳 宮崎 悠 井出 匠 小森 宏美 Wolff David 重松 尚
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

独ソ戦によってナチの支配下におかれた地域のホロコーストの特徴は、ユダヤ人の殺害が現地で執行されたこと、ナチによる占領の初期段階で、現地住民の一部がユダヤ人に対するポグロムに関与したことに求められる。本研究は、ソ連・東欧におけるホロコーストの事例研究に取り組み、現地住民のナチ協力に関しては、新たにソ連の支配下に入ったバルト3国やポーランド東部地域とソ連本国内の東ベラルーシ等とで相違があることを明らかにした。
著者
中澤 正博 森 宏樹 半田 潤 佐藤 輝重 小島 武文 大木 志朗 浜 洋平 戸原 玄
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.63-69, 2018-09-30 (Released:2018-10-27)
参考文献数
26

目的:本研究は,健常な後期高齢者を対象に,咀嚼能力の維持・向上を期待した簡便なトレーニング方法を検討することを目的とした。 方法:千葉県八千代市とその周辺地域在住の健常な後期高齢者30名(男性:9名,75~89歳,女性:21名,75~89歳)を対象とした。簡便なトレーニング方法としてガム嚙みトレーニングを1日3回30日間実施した。咀嚼能力は,グミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムで,嚥下能力は,反復唾液嚥下テスト(Repetitive saliva swallowing test:RSST)で,身体機能は,開眼片足上げで評価した。 結果:咀嚼能力はグミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムともに有意に向上した。嚥下能力に変化はなかった。身体機能は有意に向上した。 結論:ガム嚙みトレーニングを30日間実施することによって咀嚼能力や身体機能が向上したことは,ガム嚙みトレーニングが優れた機能訓練方法であることを示した。
著者
森 宏之
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
経済科学論究 (ISSN:13493558)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.61-72, 2011-04

1. はじめに2. グローバル化が進むリート市場3. 海外不動産投資の自由化4. おわりにリート(不動産投資信託)の海外不動産運用に関しては、諸外国では自由化されていたが、日本においては東京証券取引所の上場規定により、Jリート(日本版不動産投資信託)の海外不動産への投資ができない状態にあったが、2008年1月に国土交通省が「海外投資不動産鑑定評価ガイドライン」を策定したことに続き、同年5月に東京証券取引所が上場規定を改定し、Jリートの海外不動産投資組み入れについての制度面の制約は解除された。各国金融市場間との競争力向上の観点からも関係者の期待が高かった海外不動産投資解禁であったが、解禁時期がリーマンショック後の世界的な不動産市況悪化時期と重なった為、投資家保護重視の観点から、海外不動産鑑定評価基準は他国リート市場よりも厳格かつ実務上の負担も重い制度改正となった。海外投資の解禁後2年が経過し、海外の不動産市況も回復しつつある現在においても、Jリートの海外不動産投資は進まない状態にあることから、海外不動産の鑑定や情報開示の制度についても実務的な観点から改善を検討する余地があるといえる。
著者
的野 春樹 丸森 宏晋 加藤 寿宏 渡邊 昭信 小野 裕明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.424, pp.1-4, 2008-01-10

FPDのHD化の流れに沿って、家庭用ムービー市場もHD化が進んでいる。しかしながら、記録媒体としてはテープ、DVD、HDD、SDカードと乱立状態である。それぞれメリット、デメリットがあるが、ユーザにとって選択は難しい。今回開発したBDカメラは(1)5M画素CMOSセンサ、(2)HD対応カメラ信号処理LSI、(3)高圧縮H.264コーデックLSI、(4)BD記録対応により、家庭用ムービーとして十分な1時間記録が可能なHDカメラである。また、H.264/MPEG2/JPEGを1チップで処理可能なコーデックLSIを採用し、ソフトウェア制御も新たにマルチコーデック対応とした。
著者
篠原 琢 戸谷 浩 吉岡 潤 割田 聖史 青島 陽子 古谷 大輔 小森 宏美 秋山 晋吾 中澤 達哉 小山 哲 池田 嘉郎 平田 武 梶 さやか
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトは、ポーランド=リトアニア連合王国(ロシア帝国西部諸県)、ハプスブルク帝国、沿バルト地域を中心に、近世から現代にいたるネーション、およびナショナリズムの動態を分析してきた。ここでは近世から20世紀にいたる各時代の政治社会におけるネーションの多次元的な機能と構成が分析された。近世期のネーションは、多様な政治的、文化的文脈で構築され、さまざまな価値と関連付けられ、ネーション理解は単一の政治社会に収斂しない。近代のネーションは政治社会における多様な交渉を全的に文脈化する傾向をもつ。本研究は個別研究と比較史の方法で境界地域におけるこの過程を明らかにした。
著者
仙石 学 松本 充豊 井上 睦 馬場 香織 油本 真理 磯崎 典世 横田 正顕 出岡 直也 小森 宏美 中田 瑞穂 上谷 直克
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題「政党政治の変動と社会政策の変容の連関:新興民主主義国の比較」は、世界金融危機の発生以後の新興民主主義国(主に東欧・南欧・ラテンアメリカ・東アジア)における社会政策・福祉枠組みの変容について、危機後の政治経済状況の変化に起因する「政党政治の変動」を軸に検討していくことを目的とする。特に世界金融危機の後に生じた既存政党の弱体化とポピュリスト系を中心とする新興政党の台頭が、危機以前に存在していた社会政策や福祉のあり方をどのように変革させたかという点に注目し、各国ごとの政党政治と制度変容の展開を検討すると同時に、これを体系的な形で比較分析を行うことを進めることとする。