著者
森井 沙衣子 上田 眞理子 坂本 薫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.82, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】第1報の結果より,浸漬温度が異なる米の吸水率を検討する際には,流出固形物量を加味した吸水率の検討が必要であると考えられた。そこで浸漬温度の異なる精白米の吸水曲線を明らかにする目的で,浸漬温度を変化させたときの流出固形物量を加味した吸水率を経時的に測定・算出した。 【方法】第1報と同様の試料を用い,浸漬温度は5℃,10℃,20℃,30℃,40℃,50℃とし,それぞれ5,10,20,30,40,50,60,80,120,240分間,各設定温度の水に浸漬させた。浸漬後,小型遠心分離機を用いて3,000rpmで5分間遠心脱水を行い,米と溶出固形物を含む浸漬水をそれぞれ回収し,米の吸水量から単純吸水率を求めた。また浸漬水は定温乾燥機で恒量になるまで乾燥させ,乾燥した溶出固形物重量を吸水率に加味した補正吸水率を算出した。 【結果】単純吸水率を算出した結果,短時間浸漬においては浸漬温度依存的に吸水率が増加する傾向がみられた。しかし,長時間浸漬を行った場合では,低温浸漬は温水浸漬と比較して吸水量が多くなったことから,初速吸水率は温水浸漬米が低温浸漬米の吸水率よりも高値となり,長時間浸漬では,浸漬温度が低いほど米の吸水率が大きくなることが示唆された。しかし,温水浸漬では溶出固形物が浸漬液中に多く溶出されたため,乾燥溶出固形物重量を測定し,吸水率を乗じて補正吸水率を算出し,溶出固形物の影響を考察したが,補正吸水率は単純吸水率と同じ結果が得られた。これらの結果から低温長時間浸漬米は吸水率が高くなることが明らかになった。
著者
森 啓之
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.317-327, 2008-06-01
被引用文献数
2

欧米諸国を中心に世界的に電力の自由化が進むにつれて,電力システムは一社の地域独占で発電,送電,配電,小売の形態から,電力市場や相対取引を介して電力を売買する形態に様変わりつつある.その結果,電カシステムは競争的環境に変貌し,個々のプレヤーは従来よりも利益を最大化する傾向にある.同時に,多様化するプレヤーの存在や分散電源の利用により,電力システムにおける不確定性の度合いが増し,従来の電カシステムよりも停電が起き易い環境が内外で懸念されている.そのような環境下で,電力システムの運用・計画の観点から,発電機で発電された電力が,送電ネットワークを通して適切に需要家に送電されるかを検討する信頼度評価に対する関心が高まっている.本稿では,電力システムにおける信頼度評価法について概説する.
著者
西尾 敏和 塚田 伸也 森田 哲夫 湯沢 昭
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.519-524, 2016 (Released:2017-03-17)
参考文献数
30
被引用文献数
3

The purpose of the present study was to objectively chronicle regional activities, in particular the activities of an organization that is responsible for community development, before the Tomioka Silk Mill was placed on UNESCO’s World Heritage List. Based on previous studies, analysis using the text -mining was considered appropriate to objectively examine regional activities that preceded placement of the Tomioka Silk Mill on UNESCO’s World Heritage List. Using the text -mining, the present study examined occurrence frequencies and collocations of words and word classes extracted from articles in Jomo Shinbun, a regional daily newspaper. Subsequently, to verify collocations elicited by the text -mining method, an interview survey was administered to the Tomioka Chamber of Commerce and Industry and the Tomioka Community Development Promotion Council, focusing on their activities in the past.The study found that regional activities centering on the Tomioka Silk Mill preceding placement on UNESCO’s World Heritage List included coordination and cooperation among mu ltiple organizations, such as the Tomioka Chamber of Commerce and Industry and the Tomioka Community Development Promotion Council.
著者
園田 耕平 森山 徹 郡司 幸夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

知能情報学において、「車両感覚」は問題とされてきたが依然として漠としている。それは操作身体に関する感覚であるが、無脊椎動物のヤドカリが同様のメカニズムによって貝殻の大きさを知覚していることを著者らは実験的に示した(Sonoda et.al., 2012)。さらにその操作身体が車両に類するものでも可能ではないかと構想する。予備的な実験とともに「車両感覚」に関する知覚基盤について議論する。
著者
富川 光 森野 浩
出版者
広島大学大学院教育学研究科
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要 第二部 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-32, 2009

Amphipoda is a large order of Crustacea and contains more than 7,000 species from the World. In this paper, the basic illustrating methods for studying on Amphipoda are provided: methods for preparing materials, preliminary drawings using a light microscope with the aid of camera lucida, ink drawings, and layout of figures.
著者
森田 登代子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.317-328, 2015

This report describes how Emperor Meijis costume changed from the end of the Edo Period to the beginning of the Meiji Era. When he lived in Kyoto, he wore a traditional costume called a Kugeshouzoku (nobility dress). However, after he moved to Tokyo, his costume changed drastically, because he was forced to westernize his way of life in all respects. In Kyoto, he showed his authority as Mikado with Three Sacred Treasures beside him. In Tokyo, everything was different. He had to represent his authority, not by those symbols but through his new dress: he had to give dignity and nobility to his military uniforms. Emperor Meijis uniforms were henceforth decorated with epaulets, gold strings, and gorgeous chrysanthemum-pattern embroidery. This is clearly evident in the "Goyoudoroku" receipt lists of purchases by the Imperial Family owned by the Imperial Household Agency.
著者
松嵜 直幸 原澤 賢充 繁桝 博昭 森田 寿哉 伊藤 崇之 齊藤 隆弘 佐藤 隆夫 相澤 清晴 北崎 充晃
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.41-44, 2010-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
5

This paper investigated the effects of active/passive viewing on the visually induced motion sickness. Participants wearing a Head-Mount-Display (HMD) searched a target character in random dots and other characters projected on a screen using a video camera moved by them (active viewing). They could see a part of the screen and the movies displayed via the HMD were recorded. When they saw the recorded movie later (passive viewing) through the HMD, they felt motion sickness worth than before. This suggests that passive viewing induced severer motion sickness than active viewing.
著者
井関 雅子 中村 吉孝 森田 善仁
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.5, pp.326-329, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
7
被引用文献数
1

痛みの治療を専門とする医師の間でも,神経因性疼痛に対して患者が満足するような確実な除痛効果が得られないこともあり,しばしば治療に難渋するのが現状である.その中でも,鎮痛補助薬である抗鬱薬,抗痙攣薬,NMDA受容体拮抗薬などの使用により,痛みに関与する神経伝達物質の促進・抑制,各種チャネルや受容体の作動・遮断をおこなうことで,痛みを緩和することが可能な場合もある.欧米ではCaチャネルブロッカー(α2 δ1subunit)としてシナプス前で神経伝達を抑制すると考えられているプレガバリンが有望視されているが,残念ながら本邦では未発売である.一方,以前は神経因性疼痛に無効と考えられていたオピオイドに関しても,近年では有効性を示す論文も散見される.今後も,副作用の少なく除痛効果の高い薬物の開発が望まれる.
著者
鮫島 和行 大森 隆司
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.144-154, 1999-09-05 (Released:2011-01-17)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

For the application of reinforcement learning to real-world problems, an internal state space has to be constructed from a high dimensional observation space. The algorithm presented here constructs the internal state space during the course of learning desirable actions, and assigns local basis functions adaptively depending on the task requirement. The internal state space initially has only one basis function over the entire observation space, and that basis is eventually divided into smaller ones due to the statistical property of locally weighted temporal difference error. The algorithm was applied to an autonomous robot collision avoidance problem, and the validity of the algorithm was evaluated to show, for instance, the need of a smaller number of basis functions in comparison to other method.
著者
齋藤 亮 大森 庸子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.1, pp.56-62, 2016 (Released:2016-01-09)
参考文献数
25

トレプロスチニルは,米国United Therapeutics社で開発された肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬である.PAH治療薬として,プロスタグランジンI2(PGI2)製剤,ホスホジエステラーゼ5阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬が国内外で用いられており,トレプロスチニルはPGI2の化学構造を改変することにより,消失半減期および室温下での溶液安定性を改善した皮下投与および静脈内投与が可能なPGI2誘導体である.本剤は,血管拡張作用,血小板凝集抑制作用および肺動脈平滑筋細胞増殖抑制作用を示し,これらの作用により肺動脈圧および肺血管抵抗を低下させ,肺高血圧症患者において有効性を示すと考えられる.PAH患者を対象とした国内第Ⅱ/Ⅲ相試験では,トレプロスチニルの投与によりエポプロステノール(Epo)未使用例にて6分間歩行距離の延長が認められたものの,血行動態パラメータ(心係数,平均肺動脈圧,肺血管抵抗係数)の改善は認められなかった.また,Epo切替え例ではいずれの評価指標も改善が認められなかったものの,18例中15例は臨床的悪化なくEpoから本剤へ切替えられた.一方,第Ⅱ/Ⅲ相試験よりさらなる投与速度の増量が許容された国内第Ⅱ/Ⅲ相追加試験では,6分間歩行距離の延長および肺血管抵抗係数の低下が認められた.両評価指標で改善を示した有効症例数は5例中4例であり,PAH患者に対するトレプロスチニルの有効性が確認された.安全性に関しては皮下注射部位の局所反応(疼痛,紅斑等)および他のPGI2製剤でも報告のある有害事象(下痢,悪心,頭痛等)が比較的よく認められた.持続皮下投与における疼痛対策が今後の課題ではあるものの,本剤は既存のPGI2製剤にはない特徴(在宅療法に適した持続皮下投与が可能,薬剤調製が簡便,室温での安定性が良好,消失半減期が比較的長い,など)を有しており,国内のPAH治療に対して新たな治療選択肢を提供できることが期待される.
著者
山森 亮
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.28-37, 2004-07-20

Esping-Andersen's influential analysis for de-commodification is one of powerful conceptualization of need fulfillment under modern capitalism. Feminists' critique against his analysis and his effort to reply to these criticisms has contributed to the academic enquiry for "the welfare state and family". In his response, Esping-Andersen introduced concept of de-familialization. I discuss both consepts (de-commodification and de-familialization) have two analytically distinct contents; say, Polanyian de-commodification (policies for maintenance of commodification), and Esping-Andersenian de-commodification(policies beyond such a institutional rationality); De-familialization for maintenance of family, and De-familialization beyond such a institutional rationality. I argue both latter contents are crucial if we consider both concept as "emancipatory potential", as Esping-Andersen wrote. I also argue his conceptualizing de-familialization is problematic because it means eventually commodification. We could recognize really existing both latter contents and de-familialization beyond his conceptualization, in terms of "moral economy".
著者
松石 昌典 森 壽一郎 文 允煕 沖谷 明紘
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.163-170, 1993
被引用文献数
7 1

牛肉は熟成で軟化するとともに加熱香味も向上することが報告されている.本研究では牛肉の香味のうち特に報告の少ない生肉の香り(生鮮香気)の熟成中の変化を調べた.屠殺4日後の乳牛のロイン部を貯蔵し,その生鮮香気を官能評価した結果,含気下で0°Cに20日間熟成させたものは熟成させずに-80°Cに18日間貯蔵した後に解凍したものよりも有意に好ましいと判定された.このとき熟成肉には甘いミルク臭に似た香気が感じられた,この香りは熟成肉を加熱した後にも残存し,熟成牛肉の加熱香味を優れたものにしていると推定された.われわれはこの香りを牛肉熟成香(ぎゅうにくじゅくせいか)と命名した.ステーキ店への実地調査の結果,和牛肉でも熟成香があり,にれは乳用牛肉と同様牛肉全般に見られるにとが判明した.牛肉を真空包装下あるいは脱酸素剤存在下で貯蔵すると熟成香の生成は抑制された,熟成香は赤身,脂身の単独部よりも赤身と脂身の共存部で強く生成した.クロラムフェニコールあるいはNaN3の水溶液を噴霧して含気貯蔵すると熟成香の生成が抑制された.以上の結果は,熟成香は酸素存在下で赤身と脂身の共存部においてある種の細菌の作用で生成することを強く示唆した.加熱殺菌脂肪と赤身の水抽出液を吸着させた各濾紙および両濾紙を接触させたものを含気貯蔵したが,いずれにも熟成香と同じ香りは生じなかった.市販のラクトン類,マルトール,シクロテンなどには牛肉熟成香と同一の香りを示すものはなかった.
著者
野村 郁也 鮫島 和行 植田 一博 鷲田 祐一 岡田 浩之 大森 隆司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第10回大会
巻号頁・発行日
pp.64, 2012 (Released:2012-07-20)

新商品が次々と発売される消費社会において,既知の商品と未知の商品との間の選択は日常的に行われており,いずれを選択するかは消費者行動の重要な一面となっているが,このような選択に関する実験的研究はまだ少ない.本研究では,ミネラルウォーターを用いて,実験参加者にとって既知の商品と未知の商品との間の選択を繰り返し行い,その選択に関わる個人特性について検討した.さらに,商品選択を行っているときの脳活動をfMRI計測によって調べた.その結果,情報探索的な実験参加者ほど未知の商品を選択する割合が高くなる傾向が見られ,また,未知の商品の選択時には右前頭極に活動が見られた.これらの結果はともに未知の商品を選択することが情報を得るための行動であることを示唆するとともに,損得勘定に基づく判断であるとする従来のマーケティング現場の通念を変えうるものである.