著者
福井 昌則 山下 義史 森山 潤 平嶋 宗
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.9-18, 2021 (Released:2021-06-01)

本研究の目的は,高校生の普段のゲームプレイ時間とプログラミングに対する態度およびコンピュータの重要 度の関連性について検討することである. 公立高等学校 3 校の 1 年生を対象に調査を実施した. 1 日の平均ゲーム プレイ時間が 1 時間より多い群(高プレイ群),1 時間以下の群(低プレイ群),普段ゲームをしない群(非プレイ群)を設定し,ゲームプレイ時間とプログラミングに対する態度およびコンピュータの重要度(全 7 項目)との関連性について検討した. その結果,ゲームプレイ時間とプログラミングに対する態度およびコンピュータの重要度において有意な関連性を有する項目は,男女で異なっていた. また,非プレイ群と低プレイ群もしくは高プレイ群との間で有意差が見られ た項目が多かった. よって,ゲーム要素を取り入れたプログラミングに対する態度やコンピュータの重要度を高める活動や題材設定において,性差を考慮する必要性があること,そしてゲームを普段やっていない生徒にゲームを少しプレイさせるといった活動が有効である可能性が示唆された.
著者
阿久 津寿江 森 豊 村川 祐一 染谷 泰寿 中島 秀嗣 岡田 和久 上野 博嗣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.471-476, 1999-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
12

症例は36歳, 男性. 平成9年8月, 肥満の治療目的にて入院となる. 入院時, 身長168cm, 体重162kg, BMI57.0, 体脂肪率59.3%, 腹部腰高GT像によるV/S比0.32, 合併症として糖尿病, 高血圧, 睡眠時無呼吸症候群 (SAS), 低酸素血症に伴う二次性多血症を認めた. 超低力ロリー食療法 (420~968kal/日) による45kg余りの減量により, 腹部臍高CT像における内臓脂肪面積, 皮下脂肪面積は減少し, レプチン, PAl-1, TNF-α等のアディポサイトカインはいすれも低下した. さらに, 75g糖負荷試験における耐糖能は糖尿病型から正常型となり, 顕著なインスリン過剰反応も是正された. また, 血液ガス分析におけるPO2の増加, O2飽和度の改善や多血症の改善も認めたが, SASは改善しなかった.
著者
松下 戦具 柳澤 洋希 富田 瑛智 森川 和則
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第10回大会
巻号頁・発行日
pp.146, 2012 (Released:2012-07-20)

この研究では、人が自分の顔、知人の顔および他人の顔を見た時に知覚される歪みの大きさが調べられた。実験参加者は、標準刺激として正像の顔写真、比較刺激として正像と鏡像とが合成された顔写真を観察し、どちらがより歪んで(左右対称から離れて)見えるかを回答した。比較刺激の合成比率は系統的に操作され(正像20%:鏡像80%から正像-20%:鏡像120%のカリカチュア)、その比率によって歪みの度合いが操作された。実験の結果、正像と鏡像とを比較したときは、本人の顔においてのみ、正像がより歪んで知覚されることが明らかにされた。また、本人の正像の歪みの大きさ100%に相当する鏡像の歪みの大きさは約105%であることが示された。これらの結果は、自分の鏡像への順応が日常的に起こっており、知覚レベルの判断においても残効をもたらすことを示している。
著者
片岡 英幸 森川 茂廣
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-4, 2002-06-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
3

The Shiga University of Medical Science installed the first intraoperative MR unit in Japan, the GE SIGNA SP/i 0.5 T, and began clinical studies starting January 2000. This system, called a double-doughnut type open MR system, was designed especially for minimally invasive MR-guided surgery and interventional therapy. The MR imaging of the GE SIGNA SP/i 0.5 T is characterized by superior soft tissue discrimination and flexible MR planes.We report here on the use of this intraoperative MR system to assess vocal fold medialization by thyroplasty and arytenoid adduction. Intraoperative MRI can repeatedly assess by axial and coronal planes, and provided additional information about bilateral vocal fold symmetry, medial-to-lateral displacement, heights of both vocal folds, and the orientation of implants. An Intraoperative MRI unit is useful in assessing several aspects of vocal fold medialization procedures.
著者
山本 円 西村 美咲 西岡 香穂 曽和 正憲 西森 敬司
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.399-403, 2022 (Released:2022-08-01)
参考文献数
12

今回われわれは,ペニシリン系抗菌薬により薬疹を発症したために,アセチルスピラマイシンで加療した妊娠梅毒の1例を経験したので報告する.症例は19歳,初産婦.自然妊娠成立し,当院を受診された.妊娠10週の妊娠初期検査でrapid plasma reagin test(RPR法)定性,treponema pallidum hemagglutination test(TPHA法)定性のいずれも陽性であった.妊娠12週の梅毒定量検査でRPR64倍,TPHA20,480倍と高値であり,症状はなく,潜伏梅毒と診断した.感染時期は不明であった.妊娠12週よりアモキシシリン1500 mg/日を処方したが,内服8日後に四肢に蕁麻疹を発症し,薬疹と診断し薬剤の変更を行った.妊娠15週よりアセチルスピラマイシン1200 mg/日を8週間投与した.内服後,RPR抗体価が治療前の1/4以下に低下したため治療効果ありと判定し,以降は経過観察を行った.妊娠41週0日に自然陣痛発来し,同日経腟分娩に至った.児は3644 gの男児,Apgar scoreは9/10点(1分値/5分値)であった.児の先天梅毒の感染は否定的であった.本症例ではアセチルスピラマイシンの投与により梅毒の母子感染を防ぐことができた.しかしアセチルスピラマイシン投与による妊娠梅毒の治療効果についてはエビデンスに乏しい.今後,ペニシリンアレルギー患者に対する妊娠梅毒の治療法確立のため,さらなる症例の蓄積と検討が必要であると考える.〔産婦の進歩74(3):399-403,2022(令和4年8月)〕
著者
山勢 善江 山勢 博彰 明石 惠子 浅香 えみ子 木澤 晃代 剱持 功 佐々木 吉子 佐藤 憲明 芝田 里花 菅原 美樹 中村 美鈴 箱崎 恵理 増山 純二 三上 剛人 藤原 正恵 森田 孝子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.37-47, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
20

2019年11月に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、わが国でも全国に拡大し、2020年4月には第一波、夏に第二波、そして11月には第三波が到来した。 本学会では、COVID-19緊急事態宣言下での救急看護の実態と課題を明らかにすることを目的に、学会ホームページを通じて、本学会員を中心にWebアンケート調査を実施した。調査内容は、COVID-19患者への所属施設の対応、具体的対応、感染防止策、看護師の認識や思い等である。調査には425名が回答した。 多くの施設で、待合室や診察室として「新設の専用エリア」や「陰圧室」を使用していたが、「他患者と同じエリア」を使用していた施設もあり、ハード面の迅速な設置の困難さが明らかになった。また、半数以上の者が、感染防護具、看護師の不足を感じていた。さらに、救急看護師は未知の感染症への対応で、自分自身や家族への感染の恐怖、行政や所属施設、上司への不満などネガティブな感情をもつ者が多く、調査時点で心理的不安定を経験していた看護師は29.6%いた。 今後の医療の課題と対策には、感染対策指針やマニュアルの整備、検査体制の強化、ワクチンや治療薬の開発促進、専門病院の整備、専門的スタッフの配置、日本版CDCの設置、医療者への報酬増額があった。
著者
新田 雅之 小森 隆司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.782-791, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

世界保健機関 (WHO) 脳腫瘍分類 (Classification of Tumors of the Central Nervous System) は1979年の初版以来, 診断技術の進歩に伴い改訂を重ね, 2016年に第4版の改訂版が出版された. 本改定では浸潤性神経膠腫および胎児性腫瘍に初めて分子分類が取り入れられ, 古典的組織分類から分子遺伝学的分類へと病理診断の概念が大きく変更された事実上の第5版といえる. これは腫瘍の定義をできるだけ厳密にして客観性を高めるという方針に基づくもので, 遺伝子解析ができない場合や診断根拠が曖昧な腫瘍はNOS (not otherwise specified) を付与した記述に留めることになった. したがって多くのNOS診断を生み出す問題点も生じている.
著者
森下 雅子
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.162-172, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本稿では,「共振」という概念を用い,フィールドワークが何を意味するのかということを探究する。ここでの「共振」とは,調査者とフィールドとの間に成立していると観察される相互関係を指す。それは必ずしも同調ではなく,むしろ多層・多面的に共同構築される現実の政治的な現れ方であり,葛藤・軋轢を経て相互の変容をもたらしたり,あるいはそれらが背景となり現実をつくったりする。 本稿ではこの概念を利用し,地域の日本語支援現場における筆者自身の体験に基づきながら,(a)フィールドワークの再定義,(b)フィールドワークの過程における自身の変容,(c)フィールドエントリーを通じて見えてきた種々の境界,さらに,(d)フィールドにおける行為者のポジションとその変化に伴う「共振」,について議論する。その上で,フィールドワークというのは集合的な学習経験であり,そのプロセスの中で学習を阻む特定の問題を協働で可視化しているのだということを,事例報告を交えながら示す。
著者
永易 あゆ子 鈴木 麻希子 近藤(比江森) 美樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.55, 2012 (Released:2012-09-24)

[目的] 加齢に伴う身体機能の低下は、高いQOLを営む上で重要な行為の一つである食事への興味・関心の低下につながる。高齢者の約90%は白内障をはじめとする視覚異常を患っている。食事に対して、その55%が視覚からの刺激を受けることから、料理の色彩や料理と盛り付け皿の色の組み合わせが食欲に与える影響は大きい。本研究では、煮豆を数種類の色の器に盛り付け、料理の判別やおいしさを感じる感覚について、正常観察および白内障模擬体験眼鏡をかけた場合を比較検討した。[方法] 調査は、本研究に対して同意が得られたO大学の栄養学科3年生40名を対象に、2011年6月に視覚調査を行った。異なる色を有する5種類の煮豆(白いんげん豆、大豆、赤いんげん豆、緑えんどう豆、黒大豆)を、白、黄、赤、青、緑、黒の6色の皿(今回は、各色のナプキンで色を演出した)に盛り付け、正常観察、次いで模擬体験眼鏡をかけた場合に、「判断しやすい」あるいは「おいしそう」と感じる組み合わせについて順位法による回答を求め、得点化した。[結果および考察] 正常観察では、「判断しやすい」と「おいしそう」の組み合わせはほぼ一致し、白皿が好まれる傾向にあったが、白いんげん豆の場合、「判断しやすい」のは黒皿であるが「おいしそう」は白皿で得点が高かった。一方、模擬体験眼鏡をかけた場合も同様の傾向を示したが、白いんげん豆では、「判断しやすい」と「おいしそう」ともにコントラストの強い黒皿で高得点となり、「おいしそう」と感じるためには、まずは「判断できる」ことが重要であることが示唆された。
著者
米澤 和 森 恵莉 鄭 雅誠 関根 瑠美 永井 萌南美 弦本 結香 小島 博己 鴻 信義
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.317-322, 2020-07-25 (Released:2020-07-25)
参考文献数
20

近年,喫煙と嗅覚障害の関連について様々な研究がされており,喫煙が嗅覚を悪化させる原因の一つであるとの報告も多くされている。今回,当院で2009年4月から2016年3月までにT&Tオルファクトメーター(T&T olfactometer; T&T)を用いて基準嗅力検査を行い,1年以上経過が追え,かつ2回以上嗅力検査が施行できた208名の患者を対象に,嗅覚障害の程度と嗅覚の改善度について,喫煙患者と非喫煙患者に分類して比較検討を行ったので報告する。208名のうち,喫煙者と非喫煙者の内訳は,喫煙者が51名,非喫煙者が157名であった。疾患の内訳は,感冒後が32.7%,慢性副鼻腔炎が28.4%,特発性が19.2%,外傷性が11.1%であった。喫煙頻度は,全疾患で24.5%であり,感冒後が17.6%,慢性副鼻腔炎が28.8%,外傷性が30.4%であった。重症度は,喫煙者で高度・脱失群が84.3%であり,有意に低下していた(p < 0.05)。また,感冒後における改善度は,喫煙者で不変・悪化群が66.7%(12名中8名)であり,有意に改善しない患者が多かった(p < 0.05)。嗅覚障害は喫煙により,重症化する可能性が示唆された。さらに,喫煙者において感冒後嗅覚障害の改善が乏しい結果となった。喫煙は嗅覚障害のみならず,人体に様々な影響を与えるため,禁煙指導は積極的に行うことが望ましい。
著者
溝上 喜久男 相 三衛 北 昂 荒木 貞勝 笹森 喜弥太
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬保健研究所報告 (ISSN:03685543)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.4, pp.107-111, 1967-12-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
1

われわれは蹄壁欠損および釘傷を防ぐための蹄鉄装着方法として,瞬間接着剤を応用することに着目した。その手始めとしてウマの蹄角質片にプラスチック片または金属片をイーストマン910で接着して作製した実験材料につき,常温および40℃ に加温した状態,15℃ および40℃ 水中に浸漬した状態,さらにペイント塗布による耐水処置の効果について経時的な剪断力および抗張力の変化を"Shopper万能試験器"を用いて測定した。 1.常温および40℃ における剪断力および抗張力は,アクリルレジンによる材料が最も優れていたが,各材料は40℃ においては減少することが認められた。 2.アクリルレジによる材料は,15℃ および40℃水中に浸漬した結果,剪断力ならびに抗張力は減少し,水分により影響されることが認められた。 3.ペイントにより耐水処理をしたアクリルレジン材料は,耐水処理をしなかつた材料に比べ,約2.6倍も剪断力を維持することができた。
著者
小森 瞭一 Ryoichi Komori
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 = Keizaigaku-Ronso (The Doshisha University economic review) (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.61-85, 2006-06-20

小論文は第2次大戦後先進諸国における加速償却政策を比較研究したものである.加速償却政策は民間設備投資を効率的に増加させるもので,1960年代世界的に見られた高度経済成長に貢献した.小稿ではまず加速償却を定義づけ,さらに加速償却政策を歴史的に考察し,理論的側面を検討する.次に企業会計上減価償却が最近の所得課税メカニズムを通じてどのように加速効果をもたらすかを論ずる.本稿の主な課題として第2次大戦後の先進工業国における加速償却規定を比較研究する.最後に加速償却政策の経済的制約として企業会計上の取得原価主義を挙げる.
著者
遠藤 真遊 前野 隆司 森川 利哉 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.449-452, 2012-11-20 (Released:2013-02-20)
参考文献数
14

石鹸で洗った皮膚の手触りとその摩擦物性を評価する方法を開発した。被験者に石鹸を塗布し硬水ですすいだウレタン製人工皮膚の手触りを評価して貰った。このとき,指の動きと皮膚と人工皮膚の間に加わる摩擦に基づいて各石鹸の手触りの違いを説明した。本研究の成果は新しい身体洗浄料を設計・開発するうえで有用である。
著者
森川 繁樹 川田 健太 岩田 裕美 東山 雅人 西村 公寿 左達 美佐 福見 善之
出版者
徳島県立農林水産総合技術支援センター畜産研究課
巻号頁・発行日
pp.15-20, 2016 (Released:2019-04-01)

家畜市場において高く評価される子牛を生産し,農家の収益向上を図るため,新たな人工哺育技術および自給飼料を活用した育成技術について検討した。黒毛和種人工哺育技術について,5日齢時の体重比3%を代用乳の最大給与量とするプログラムを検討したところ,従来の方法と比較して増体が良くなる傾向があり,28日齢時点におけるDG(1日増体量)は対照区と比較してして有意に高かった。育成期の粗飼料としてイタリアンサイレージを給与したところ,チモシー乾草を給与した区と比較して同等の発育が得られ,9,926円/頭の生産コスト削減効果が得られた。