著者
春日 郁馬 武田 義次 佐藤 健 森 みゆき
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.317-323, 2022-03-10 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】我々は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種後の抗体量を調べると共に、抗体量と関連する因子について明らかにすることを目的とした。【対象】2021年5月から7月にファイザー製もしくはモデルナ製のSARS-CoV-2ワクチンを2回接種した当法人職員のうち、SARS-CoV-2抗体量調査に参加した152名を対象とした。【方法】ワクチン2回接種終了日から7日以上経過後にSARS-CoV-2抗スパイクタンパクIgG抗体量を測定した。また年齢、性別、接種後の発熱、ワクチンの種類などが抗体量と関連するかどうかについて併せて調べた。【結果】測定した者全員に抗体量の上昇を認めた(中央値7,314AU/mL)。45歳未満の者は45歳以上の者より有意に高値であった(p<0.01)。接種後に37.5℃以上の発熱を認めた者は37.4℃以下の者より有意に高値であった(p<0.01)。モデルナ製のワクチンを接種した者はファイザー製のワクチンを接種した者より有意に高値であった(p<0.01)。また接種後の日数が経過した者は抗体量がやや低くなる傾向を認めた。【考察】年齢、発熱の程度、ワクチンの種類等が抗体量と関連する可能性が示唆された。また日数の経過に伴い抗体量が低くなる傾向があることから、今後の疫学的動向も踏まえてSARS-CoV-2ワクチンの追加接種を検討する必要があると考えられた。
著者
森 繁人 斎藤 等 木村 有一 高橋 昇 山田 武千代
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Supplement3, pp.220-227, 1995-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
27

エリスロマイシンをはじめとするマクロライド系抗生剤が慢性副鼻腔炎に対して有効であることが報告されており, 抗菌作用以外の作用が示唆されているが, なお不明な点が多く残されている。今回われわれは, マクロライド系抗生剤の有効機序の一端を明らかにする目的で, 14員環のエリスロマイシン (EM), ロキシスロマイシン (RXM) および16員環のアセチルスピラマイシン (SPM) を, 培養鼻副鼻腔粘膜に作用させ, 繊毛運動に与える影響を電気光学的に検討した。その結果EMでは内服の際の組織移行濃度である0.002%(2.0×101mg/L) 以上で充進を認めた。0.05%(5.0×102mg/L) 以上の高濃度になると, はじめ亢進し, やがて障害されるという二面性を呈した。RXMでも組織移行濃度の0.0005%(5.0mg/L) 以上で作用直後から充進が認められ, EMよりも長時間賦活状態が持続する傾向を認めたが, 0.005%(5.0×101mg/L) になると充進傾向は減弱した。SPMではほとんど充進作用を認めなかった。以上の結果から, マクロライド系抗生剤の慢性副鼻腔炎に対する作用機序の一つとして, 繊毛運動賦活作用が想定された。また14員環マクロライドは16員環マクロライドよりも, RXMはEMよりも優れた繊毛運動活性化作用を有していると考えられた。
著者
李 〓 森 勝義
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.115-119, 2006-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

中国沿岸では, およそ20種類のカキが生息し, 養殖対象としては主に近江ガキ (Crassostrea ariakensis) , 皺ガキ (C. plicatula) , マガキ (C. gigas) , 大連湾ガキ (C. talienwhanensis) と僧帽ガキ (Saccostrea cucullata) の5種類である。中国におけるカキ養殖は約2000年の歴史があるが, 1990年代以後, 人工種苗生産技術の発達とともに生産量と養殖面積は毎年上昇し続けた。2002年におけるカキ養殖の総生産量は殻付で362.55万tで, 貝類総生産量の37.6%を占め, 第1位である。しかし, ここ数年赤潮多発などの養殖海域の環境悪化, 大量斃死, 養殖ガキの質の低下などの問題が現れてきた。これらの問題点を克服し, 持続性のあるカキ養殖を行うためには, 合理的な養殖管理・漁場開発の実施, 病気予防対策の強化, 優良品種の開発などの対策が考えられる。
著者
高木 信二 倉田 岳人 郡山 知樹 塩田 さやか 鈴木 雅之 玉森 聡 俵 直弘 中鹿 亘 福田 隆 増村 亮 森勢 将雅 山岸 順一 山本 克彦
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLP-120, no.14, pp.1-9, 2018-02-13

2017 年 8 月 20 日から 8 月 24 日にかけ,ストックホルム ・ スウェーデンで Interspeech 2017 が開催された.Interspeech は音声言語情報処理の分野におけるトップカンファレンスと位置付けられており,今後の本分野の動向に大きく影響を与えている.本稿では,本会議における研究動向,注目すべき発表について報告する.
著者
瀬戸 花香 笹木 悟 本多 和茂 小森 貞男 立澤 文見
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.413-423, 2022 (Released:2022-12-31)
参考文献数
13

サルビア・スプレンデンス(S. splendens Sellow ex Schult.)とサルビア・コクシネア(S. coccinea Buc’hoz ex Etl.)の園芸品種の合計9品種の花色と花弁に含まれるアントシアニンを調査した.‘フラメンコレッド’ と ‘アカプルコ’ は,花色の値が近い赤色系であり,主要花色素がいずれもペラルゴニジン3-カフェオイルグルコシド-5-マロニルグルコシド,ペラルゴニジン3-カフェオイルグルコシド-5-ジマロニルグルコシド,ペラルゴニジン3-p-クマロイルグルコシド-5-マロニルグルコシドおよびペラルゴニジン3-p-クマロイルグルコシド-5-ジマロニルグルコシドであった.‘フラメンコレッド’,‘フラメンコローズ’ および ‘フラメンコサーモン’ におけるアントシアニンの化学構造を比較したところ,‘フラメンコローズ’ では ‘フラメンコレッド’ の主要アントシアニンのうちマロン酸2分子が結合したアシル化アントシアニン,‘フラメンコサーモン’ ではp-クマル酸が結合したアシル化アントシアニンが含まれておらず,また,含有アントシアニン濃度の低下も確認され,これらの要因が色調に影響している可能性が考えられた.‘フラメンコパープル’ と ‘フジプルコ’ では,花色の値はどちらも紫色系であったが,主要アントシアニンは異なっていた.‘フジプルコ’ の主要アントシアニンは,シアニジン3,5-ジグルコシド,ペラルゴニジン3,5-ジグルコシド,シアニジン3-グルコシド-5-マロニルグルコシドおよびペラルゴニジン3-グルコシド-5-マロニルグルコシドと同定され,これら4種のアントシアニンは,サルビア・コクシネアの園芸品種の花弁に含まれるアントシアニンでは新たな報告となった.
著者
森川 昌登
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.351-356, 2020-06-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
9
著者
森田哲至
出版者
日本橋学館大学
雑誌
日本橋学研究 (ISSN:18829147)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.35-51, 2012-03-31

明治末期から大正初期に日本橋高等女学校で学んだ天野喜久代は、昭和初期に日本最初の女性ジャズ歌手となった。彼女は同校を卒業する前に、帝国劇場の洋劇部に研修生として入り、イタリア人で振付師兼演出家のローシーや世界的に有名になったプリマドンナ三浦環から、オペラ女優となるための声楽・舞踏・演技の指導を受けた。ところが、帝劇オペラの奥行成績は不振を極め、洋劇部は数年で解散となってしまった。演技をする場を失った天野は、脚本家、演出家兼俳優の伊庭孝と作曲家の佐々紅肇に出会った。彼らは一般大衆に理解されるオペラを創作することによって時代を切り開く先端的芸術運動を試みており、天野はその二人から影響を受け、浅草でオペラ女優として活躍する。彼女はモダン化される大都市東京で大衆の心を捉えようと、舞台だけでなくお伽歌劇のレコードにも挑戦し、先駆的な活動を続けた。彼女は、この時に培った能力で、昭和初期には日本最初の女性ジャズ歌手としてラジオやレコードに登場し、昭和歌謡にモダンな旋律とリズムを提供する役割を果した。本稿では前編として、大正期における彼女のオペラとお伽歌劇での活動の軌跡を迫ってみた。
著者
森田 健太郎 高橋 悟 大熊 一正 永沢 亨
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.206-213, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
50
被引用文献数
9 26 3

サケ資源はほとんどが放流魚で維持されていると考えられているが,これまで野生魚(自然産卵由来)の寄与率は調べられていない。本研究では,耳石温度標識による大量放流が行われている北海道の 8 河川において,サケ野生魚の割合を推定した。ウライで捕獲されたサケに占める野生魚の割合は,調査河川全体で計算すると 28.3±1.2%,放流魚の全数が標識されている河川に限定すると 15.9±0.6% と推定された。野生魚の割合は河川や年級群によって大きく変動したが(0~50%),野生魚も十分に資源に貢献しうると考えられた。
著者
阪本 昌志 兒玉 隆之 中野 英樹 植田 智裕 森 郁子 谷 都美子 村田 伸
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.279-283, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
23

We examined the effects of foot massage on healthy adult females’ mental and physical functions by electroencephalography as an emotional assessment method. We randomized 20 healthy adult females into 2 groups receiving a massage by a therapist (Group A) and mechanical massage using a commercially available massager (Group B), each of which consisted of 10 subjects. After massage, the lower limb volume significantly decreased in both groups, but Group A showed more favorable results related to comfort, pain, and feeling refreshed. Electroencephalography confirmed increased beta waves, indicating enhanced neuronal activity, in the medial prefrontal cortex and anterior cingulate gyrus of Group A after massage. The results suggest that foot massage by a therapist positively influences not only physical functions, but also mental conditions.
著者
後藤 吉郎 森 啓 横溝 健志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.93, 2008 (Released:2008-06-16)

19世紀中葉、上海美華書館においてWilliam Gambleは近代活版印刷技術を確立し、中国と日本の文化に多大な貢献をしたが、彼自身の記録は曖昧なままである。本研究は、W. Gambleの生い立ちから没するまで、その生涯を解き明かし、その間に起きた特記すべき点を織り込みながら印刷家としての功績をさらに浮き彫りにしたい。このための調査は、当時の資料がそのままの状態で保管されている米国議会図書館の協力で行われた。 この調査の結果、当時の種字(木活字)や活字さらにはGambleの肖像写真、その他多くのマニュスクリプトが発見され内容が精査された。 したがって、これまで実在しないと思われてきた電胎法にかかわる当時の資材について、さらには肖像写真等についても、初の公開となる。 本研究では、近代活版印刷の基礎を築いたGambleの印刷家としての実像に迫るとともに、近代活版印刷史の原点と潮流を解明することを目的としている。
著者
森脇 昭介 宇佐美 孝子 山本 陽子 山内 政之 村上 和重
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.83-96, 1976 (Released:2010-10-21)
参考文献数
69

The multinucleated giant cells (MNGC) were revie wed from various viewpoint and were examined cyto diagnostic significance.1. The definition of MNGC give normal cells-me gakaryocytes, osteoclasts, placental syncytial cells-, and above two nuclei and over twice as large as normal cells.2. The formation of MNGC were classified into two groups of syncytium-the fusion of the cells-, and plasmodium-ivision of the nuclei without cyto plasmic division.3. The etiologic classification of MNGC were as follows: In normal tissue, the physiologic MNGC revealed the above cells.The pathologic MNGC origi nated in various conditions-infectious granulation, metabolic and neoplastic lesions.4. The histologic classification were as follows: The epithelial MNGC were included placental syncytial cells, virus infected cells and neoplastic cells. And the others nonepithelial origin were found of histiocytes (macrophages), mesothelial, blood component and other mesencymal cells of numerous conditionsforeign body giant cells, Langhans', Sternberg's giant cell, et al.5. The relation between various lesions of MNGC, and diagnostic value of MNGC were differe from diseases. Specially, Langhans'cells, herpes infected cells, foreign body giant cells, and a few neoplastic cells were diagnostic value. Mostly neoplastic MNGC were nonspecific anaplastic atypical features.6. It is difficult that the cytologic identification of MNGC were differ from various giant cells. There fore, it is necessary that differentiation of allid MNGC is with reference to histopathologic, clinical features and laboratory data colectively.
著者
森田 明理
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.6-10, 2013-03-31 (Released:2014-04-28)
参考文献数
21

Skin aging following repeated exposures to ultraviolet (UV) irradiation and tobacco smoking results largely from the damage to cutaneous connective tissue, which is composed of collagen, elastin, and proteoglycans. The alterations of cellular component and the extracellular matrix of dermal connective tissue after exposure to UV and tobacco smoke extracts. Our findings indicated that the skin premature aging induced by UV and tobacco smoke extracts share molecular features including abnormal regulation of extracellular matrix deposition through elevated MMPs, reduced collagen production and abnormal proteoglycan accumulation via ROS generation. Tobacco smoke contains more than 3800 constituents, including numerous water insoluble polycyclic aromatic hydrocarbons that trigger the aryl hydrocarbon receptor (AhR; also called the dioxin receptor) signaling pathway. AhR knockdown abolished the increase in transcription of the AhR-dependent gene CYP1A1/CYP1B1 and MMP-1 upon treatment with either tobacco smoke extract. These findings suggest that the tobacco smoke extracts induced MMP-1 expression in human fibroblasts and keratinocytes via activation of the AhR pathway. Thus, the AhR pathway may be pathogenetically involved in extrinsic skin aging. In addition, natural sun light includes visible light and infrared A (IR-A). Although the effects of ultraviolet for photoaging have been largely investigated, those of IR-A remain unclear. Based on the recent studies, infrared A shares the mechanisms for photoaging with UV, including the induction of matrix metalloproteinase (MMP)-1 through ERK and p38 MAP kinase activation. IR-A is absorbed intramitochondrially. There might be a chromosphere for IR-A radiation.
著者
清水 誠治 横溝 千尋 石田 哲士 森 敬弘 富岡 秀夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.3-14, 2014 (Released:2014-02-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1

潰瘍性大腸炎とCrohn病はいずれも原因不明の慢性疾患であるが,慣例的に狭義の炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)と呼ばれ,それぞれに診断基準が定められている.診断においては画像診断が重要な役割を担うが,IBDと画像所見が類似する様々な疾患を鑑別する必要がある.近年,IBDの治療が進歩するとともに,さらに正確な診断が求められている.特に,カンピロバクター腸炎,アメーバ性大腸炎,腸結核,エルシニア腸炎などの腸管感染症をIBDと誤診することは回避しなければならない.また,潰瘍性大腸炎とCrohn病の鑑別が問題となる症例の対応にも注意を要する.本稿ではIBDと鑑別を要する疾患との大腸内視鏡による鑑別診断について解説した.
著者
局 伸男 渕 祐一 森崎 澄江 溝腰 利男 首藤 真寿美 藤井 幹久 山田 謙吾 林 薫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.561-564_1, 1986-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1

大分県内のフグ料理専門店において行われていたフグ肝臓調理方法の除毒効果について調査した. トラフグ及びカラスの有毒肝臓 (最低62MU/g, 最高1,270MU/g) 21例の調理後の毒力はすべて5MU/g未満にまで減少していた. また, 各例とも調理工程における毒性減少の傾向が類似していた. 除毒のメカニズムは, 溶出除去を主としたものと考えられるが, 加熱処理によるフグ毒の分解とその無毒化も関与しているものと推測された.