著者
森岡 正芳
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.29-42, 2022 (Released:2022-06-05)

From the standpoint of the theory of the therapy in culture, this paper describes how the COVID-19 disaster has transformed the relationship with others, and how the contact with foreign individual, who have different physical experiences and appearances that no one has ever experienced before, is affecting the world of everyday life. In doing so, I drew on the theory of the affect and the empathy from Vygotsky, Spinoza, Bin Kimura, and Edith Stein. I focused on the micro-genetic change of bodily experience and the sensual experience of otherness. It is hypothesized that such a sense of difference could also be an opportunity to open unknown parts of the self. In the process of mind-body transformation, I can read the basic bi-directional movement of the strange into the familiar and the familiar into the strange. The incorporation of this basic movement into the reconstruction of empathic relationships with others suggests a path of self-reconstitution in a world full of threats to the unknown.
著者
西尾 麻里沙 長谷田 真帆 金森 万里子 荒川 裕貴 近藤 尚己
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.338-356, 2022-05-15 (Released:2022-05-24)
参考文献数
41

目的 健康格差の縮小が公衆衛生上の課題となっている。世界保健機関の「健康の社会的決定要因に関する委員会(CSDH)」は,1. 生活環境の改善,2. 権力・資金・資源の不公正な分配への対応と多部門連携,3. 課題の評価(健康格差のモニタリング)と活動のインパクトアセスメントの3項目の実行を推奨し,「健康の公正性サーベイランスの枠組み」の中でモニタリング項目を提案した。日本と諸外国のヘルスプロモーション施策を分析し,CSDHの提言との適合性を検討するとともに,日本のヘルスプロモーション施策に資する社会環境を整備するための提言を行うことを目的とした。方法 日本,アメリカ,イングランド,スウェーデン,タイのヘルスプロモーション施策に関する文書をレビューした。健康格差の定義とそのヘルスプロモーション施策における位置付け,評価指標を抄出し,CSDHが推奨する上記3項目と「健康の公正性サーベイランスの枠組み」に基づき各文書の内容を分類し,それぞれの内容について各国間の類似点と相違点を分析した。結果 健康格差の定義は,日本,アメリカ,イングランド,スウェーデンで概ね類似していたが,日本では健康格差対策がなぜ必要であるかといった具体的な記述が少なかった。生活環境の改善に向けたアプローチの位置づけや重視する点は各国で異なっていた。日本は社会参加の機会と社会資源へのアクセスの確保,アメリカは客観的指標による評価,イングランドは社会的に恵まれない個人や地区への重点支援,スウェーデンはライフコースにわたるユニバーサルな介入,タイは多部門連携を計画していた。すべての国が権力・資金・資源の不公正な分配への対応と多部門連携に関する活動の実施を計画していた。アメリカはレビューした国の中で最多である187項目の社会的要因をモニタリングしており,所得や障害などの健康格差に関する幅広い視点や,保健分野以外の情報を用いた評価,個人,地域,国の政策など多様なレベルの評価項目が含まれていた。結論 上記レビュー結果より,日本における健康格差縮小に向けた社会環境整備とその評価の充実に向けて次の3つを提案する。すなわち(1)健康格差をより多面的に捉え,対策の必要性を訴求し推進すること,(2)健康の決定要因の構造とその多面性を考慮して目標を設定すること,(3)保健分野以外の組織と協働した取り組みや指標の活用を行うことである。
著者
古田 勝経 溝神 文博 宮川 哲也 森川 拓 永田 治 永田 実 福澤 悦子 油座 マミ 櫻井 淳二 庄司 理恵 藤井 聡
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.199-207, 2013 (Released:2013-09-10)
参考文献数
15

褥瘡は寝たきり高齢者に多い慢性創傷であり,難治であり医療費や患者の生活の質に影響を与える。チーム医療で治療を行うことが治癒促進につながるが薬剤師の積極的な関与が少なく本来のチーム医療の有用性は示されていない。そこで,本研究では,薬剤師の積極的関与のある褥瘡チーム医療治療群と褥瘡ハイリスクケア加算群とで,褥瘡治癒に関する費用対効果を検討した。患者数は(褥瘡チーム医療治療群 / ハイリスクケア加算群) 295名/80名,DESIGN点数の減少を用いた費用対効果の比較では総費用(円/点) 6,709 / 24,549で,褥瘡チーム医療治療群はハイリスクケア加算群に比べ約4分の1におさえられていた(p<0.001)。
著者
浅野 大喜 森岡 周
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11159, (Released:2016-06-05)
参考文献数
30

【目的】脳室周囲白質軟化症(以下,PVL)児,知的障害(以下,MR)児の行動について調査し,健常児と比較した。【方法】PVL児15名(平均月齢55.2 ヵ月;PVL 群),MR児15名(平均月齢53.3 ヵ月;MR 群),定型発達児14 名(平均月齢52.3 ヵ月;Normal 群)を対象とした。行動評価はChild Behavior Checklist(以下,CBCL)を使用し,子どもの行動を母親に評価してもらい,3 群間で比較した。また母親の養育態度についても調査し,CBCL の結果との関連を調べた。【結果】PVL 群は依存分離尺度,MR 群は引きこもり,攻撃,注意集中尺度と内向,外向尺度,総得点でNormal 群よりも有意に高い得点であった。[内向/外向]の値はPVL 群が他の2 群より有意に高い値であった。PVL 群の依存傾向は養育態度や歩行能力とは関係がなかった。【結語】PVL 児は外在化行動よりも内在化行動が高いという特徴を示した。
著者
谷内 涼馬 原 天音 森岡 真一 松川 佳代 植西 靖士 長谷 宏明 牧野 恭子 原田 俊英
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.339-346, 2022-07-25 (Released:2022-09-07)
参考文献数
20

目的:高齢パーキンソン病(PD)患者の短期集中入院リハビリテーション(集中リハ)開始時の評価から,2週間後の転倒リスク変動を判別する予測モデルを検討すること.方法:対象は当院にて集中リハを実施した65歳以上のPD患者のうち,集中リハ開始時のTUG-cognitiveが転倒リスクカットオフ値である14.7秒以上であった17名(平均年齢76.5±6.1歳)とした.集中リハ開始2週間後のTUG-cognitiveから転倒リスク低下/残存の2群に分類した.低下群と残存群間における各評価項目の比較および,2週間後の転倒リスク残存/低下を従属変数にしてロジスティック回帰分析を行い,転倒リスク変動に影響を及ぼす要因を検討した.結果:ロジスティック回帰分析の結果,最終的に最大歩行速度が転倒リスク変動の予測因子として抽出された.また,ロジスティック関数から転倒リスク残存の発生率を求め,最大歩行速度が0.84 m/秒以下でハイリスクと判定された.結論:集中リハ開始時のTUG-cognitiveと最大歩行速度から,2週間後の転倒リスク変動を判別できる可能性が示唆された.転倒リスクの低下には,最大歩行速度の向上が重要である.
著者
テーウェン マーク ペーチュ ニネッテ 幸子 森 新之介
出版者
東北大学大学院文学研究科日本思想史学研究室
雑誌
日本思想史研究 (ISSN:03868974)
巻号頁・発行日
no.42, pp.1-34, 2010-03

「Mark Teeuwen, "Comparative perspectives on the emergence of jindo and Shinto", Bulletin of the School of Oriental and African Studies, Volume 70(02), pp.373-402, 2007」の翻訳(ニネッテ・幸子・ペーチュ、森新之介訳)
著者
寅丸 真澄 江森 悦子 佐藤 正則 重信 三和子 松本 明香 家根橋 伸子
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.240-248, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

本稿では,言語文化教育研究学会第 4回年次大会(2018年 3月)において筆者らが企画したパネル「留学生のキャリア意識とキャリア支援の『ずれ』を考える ―日本語学校・短大・大学(首都圏・地方)の留学生の語りから」における発表とディスカッションの内容を踏まえ,言語教育者の視点から,日本語学校,短期大学,四年制大学(首都圏・地方)における留学生のキャリア意識と現行のキャリア支援の「ずれ」のありようを報告し,その問題点を指摘する。まず,留学生の語りの事例から,各機関の留学生がどのようにキャリアを捉え行動しているのかを紹介し,言語教育の観点から留学生に必要とされるキャリア支援と実際に提供されているものとの「ずれ」を報告する。次に,「ずれ」の改善のため,言語教育者は留学生と教育機関の双方にどのように関わり,働きかけていけばよいのか,パネルで議論した内容を共有する。最後に,これらを踏まえ,「ずれ」を改善するための今後の課題を指摘する。

2 0 0 0 佐々木導誉

著者
森茂暁著
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
1994

2 0 0 0 OA 青森県史

著者
青森県 編
出版者
青森県
巻号頁・発行日
vol.第7卷, 1926

2 0 0 0 OA 青森県史

著者
青森県 編
出版者
青森県
巻号頁・発行日
vol.第4卷, 1926
著者
金子 賢人 松田 雅弘 千葉 康平 山下 智幸 刀祢 麻里 粟野 暢康 久世 眞之 猪俣 稔 林 宗博 出雲 雄大 森本 正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.547-551, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

〔目的〕新型コロナウイルス感染症(COVID-19)群と細菌性肺炎群の身体機能と経過について検討する.〔対象と方法〕入院前ADLが自立していた患者で,入院中に人工呼吸管理を行ったCOVID-19患者12例,または細菌性肺炎患者10例を比較検討した.〔結果〕COVID-19群の入院からリハビリテーション開始までの期間は,細菌性肺炎群の入院からリハビリテーション開始までの期間と比較して有意に遅延していた.しかし,リハビリテーション介入を実施することで身体機能や基本動作能力が向上する傾向にあり,対照群との身体機能の回復傾向は同等であった.〔結語〕COVID-19患者においても早期からリハビリテーションを開始する必要性があることが示唆された.
著者
南出 竜典 和田 将弥 谷口 洋平 福島 政司 森田 周子 占野 尚人 井上 聡子 鄭 浩柄 杉之下 与志樹 今井 幸弘 猪熊 哲朗
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.150-157, 2016-04-25 (Released:2016-04-29)
参考文献数
13

症例は19歳女性.発汗過多,高血圧を主訴に当院を受診し,精査の結果両側副腎褐色細胞腫だけでなく多発する膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;PNET)を認めた.多臓器腫瘍,家族歴を踏まえてvon Hippel-Lindau病(VHL病)の診断に至った.膵病変に対しては,膵機能温存の観点から膵全摘を回避し,膵体尾部切除術,膵頭部腫瘍核出術を施行した.病理組織学的検討では,切除標本内に術前に指摘しえたPNETに加えて複数のPNETが認められたが,これらは病変サイズが小さいことからも診断困難であったと考えられる.VHL病においては,膵病変を含めて同時性・異時性に腫瘍が多発しうることに留意し,慎重な術式選択,経過観察が重要である.
著者
森岡 孝二
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.22-33, 2005-04-20 (Released:2017-04-25)

This paper discusses the transformation of employment relations inspired by market individualism and major structural changes in contemporary capitalism. Recent decades in Japan, the USA, and other countries have witnessed the rapid growth of contingent employment. Workers have become polarized into those who work shorter and longer hours. At the same time, average annual working hours have risen, reversing what had been a trend toward long-term decline. Behind these trends are the deregulation of the labor market and market individualism, which treat employees as if they were independent craft workers, and leads to calls for the diversification of employment patterns and individualization of working hours. Four elements of "new economy" capitalism are the source of this transformation. First, the process of globalization has caused intensified competition, forcing the restructuring of production methods and work organization, leading to deteriorating working conditions in the home countries of multinational corporations. Second, advances in information and communication technologies have promoted the outsourcing of business operations and the replacement of full-time employees by part-time and temporary workers. Moreover, the information revolution in offices has given rise to a "24-hour economy," with matching job stress that erodes the private sphere of workers' lives. Third, today's consumer society and the accompanying feminization of the labor force have produced overconsumption driven by a spirit of emulation and unlimited desires, resulting in what Juliet Schor called "the cycle of work and spend." Consumers' pursuit of convenience and low prices has brought employment instability and longer working hours. Fourth, recent management style changes that make stock price performance the highest priority have encouraged downsizing and layoffs. Employees accepted these unpleasant outcomes without much resistance as long as they held stocks, especially when stock prices continued to increase in the 1990s in the USA. The paper concludes that there is an integral relationship between market individualism in worlds of work and structural changes in contemporary capitalism. Driven by developments in information and communication technologies, globalization spreads employment instability and longer working hours by encouraging competition for advantage among consumers and investors. However, contrary to what market individualists think, in this age we need labor policies that place emphasis on workers' common interests and trade unions that represent workers collectively.