著者
松森 直美 野中 淳子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護研究学会誌 (ISSN:13404377)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.80-87, 1994-12-20 (Released:2017-09-08)
被引用文献数
1

本研究では、注射や採血などの単発性の痛みを伴う処置が、小児のがまんにいかに影響を及ぼすかについて、3才から9才の小児を対象に、チェックリストを用いた参加観察法と個別の面接により調査した。そして、小児のがまんの力を最大限に引き出す援助の要因を考察した結果以下のような結論を得た。1.強制や命令ではなく、自分からがまんの力を発揮して、平衡を保つという自律心が、安定した人格の形成にプラスとなる。2.「がんばろうね」という姿勢が小児の自律心を引き出すことに効果的である。3.小児ががまんする力を自分で発揮できる状況を整えるために、反応に対して受け身ではない姿勢や意識をもって援助していくことが必要であるということが示唆された。
著者
吉川 祐一 村上 浩 森本 茂雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.126-133, 2016-02-01 (Released:2016-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

This paper proposes a new structural dual rotor SPMSM (Surface Permanent Magnet Synchronous Motor) using ferrite magnets having high torque density, small size, and low noise. In addition, the advantages of having a toroidally winding and adual rotor are examined through analysis, and it is confirmed that the torque density of the proposed motor is competitive to the rare-earth IPMSM (Interior Permanent Magnet Synchronous Motor).
著者
森脇 潤 下鶴 倫人 山中 正実 中西 將尚 永野 夏生 増田 泰 藤本 靖 坪田 敏男
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.242, 2013 (Released:2014-02-14)

動物が高密度に生息する地域において,集団の血縁関係を明らかにすることは,その地域を利用する個体毎の繁殖,行動および分布様式を解明する上で重要である.そこで知床半島ルシャ地区におけるヒグマの繁殖,行動および移動分散様式を解明することを目的として,個体識別調査および集団遺伝学的解析により,個体間の血縁関係を解析した.材料は,同地区でヘアートラップ,ダートバイオプシー等により収集された遺伝子材料 51頭(雄 21頭,雌 30頭)分と,周辺地区(斜里,羅臼および標津地区)で学術捕獲あるいは捕殺個体 164頭分の遺伝子材料および各種メディアの情報を利用した.遺伝子解析には 22座位のマイクロサテライト領域を利用した.その結果,ルシャ地区には 15頭の成獣メスと,その子供からなる集団が生息しており,血縁は大きく2つの母系集団に分かれていた.また,最大で 3世代が共存していた.ルシャ地区で繁殖に関与する父親は,現在までに 5頭認められ,近親交配やマルチプルパタニティーが存在することが明らかになった.ルシャ地区を利用する個体の中で,5頭の亜成獣オスが斜里および羅臼地区側へ移動分散して捕殺されていることも明らかになった.このように,高密度に生息する知床半島ルシャ地区でのヒグマ集団の血縁関係を明らかにすることは,従来の野外調査では明らかには出来ないヒグマの繁殖システムの解明に寄与するだけではなく,繁殖個体の周辺地域への移動分散を明らかにすることができる.尚,本研究はダイキン工業寄附事業 「知床半島先端部地区におけるヒグマ個体群の保護管理,及び,羅臼町住民生活圏へ与える影響に関する研究」の一環として行われたものである.
著者
大森 美佐
出版者
一般社団法人 日本家政学会家族関係学部会
雑誌
家族関係学 (ISSN:09154752)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.27-39, 2014 (Released:2020-06-09)
参考文献数
23
被引用文献数
3

The purpose of this study is to clarify how young adults in Japan establish their romantic relationships with particular reference to mobile communications. It is said that as mobile phone use has spread among young adults, interpersonal relationships and communications have been transformed qualitatively. Moreover, the resulting decrease of interpersonal communication skills between young adults has been viewed as a problem. The increase in the number of young adults who are not dating and the reduction in the marriage rate in recent years have been attributed in part to the weakness of their “interpersonal communication skills” (Ministry of Health, Labor and Welfare, 2013). However, the “youth society” must have its own means to build relationships, therefore we should clarify in detail how they communicate with others and build romantic relationships.  Qualitative research methodology was utilized in this study. The qualitative research data consisted of four discussion groups and four semi-structured interviews. Each group was divided by occupation (students or company employees) and gender, and the total number of participants in the discussion groups was 24 people, 14 of them female and 12 male. An interviewee was chosen from each group.  The results of the analysis show that the communication by means of mobile phone (“ke-tai”) can be a device for measuring the distance between people. In addition, youths tend to be excessively concerned with interpersonal skills and the paradox of communication skill: the more effort that is put into developing better communication and paying attention to the attitudes and remarks of the interlocutor, the harder it is to build a romantic relationship.
著者
長谷川 恭子 吉田 歩 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.25-30, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

平成 20 年の小学校学習指導要領の改訂により,「月の満ち欠け」に関する内容が,小学校第 6 学年において再び取り扱われるようになった。吉田らは,天動説の立場から,小学校第 6 学年「月と太陽」で取り上げる「月の満ち欠け」について,月早見板の作成活動を取り入れた授業を構想し,実践を行った。本研究では,小学校第 6 学年の「月の満ち欠け」に関する効果的な学習指導法の検討を行うため,吉田らの授業を受けた子どもを対象に,月の満ち欠けに関わる理解がどのように維持され,あるいは崩壊しているのかを明らかにした。
著者
杉森 真樹 水野 誠 笹原 和俊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4A2J305, 2019 (Released:2019-06-01)
被引用文献数
1

熱狂は、人間が有する重要な性質であり、個人の行動の原動力となるとともに、人々を結びつけ社会的、集団的な活動を引き起こす、などといった人間特有の集合現象を引き起こす。熱狂の本質を理解するために、日本で最も人気のあるスポーツの一つである日本プロ野球(NPB)に関するソーシャルメディア(Twitter)のデータ分析を行った。ツイート数とリツイート数の増加の共起を測定することによって熱狂現象を検出、定量化するとともに、NPBにおける熱狂現象と試合の結果や記憶、記録に残る出来事(例:スター選手の引退など)の間に関連性があることを確認した。さらに、投稿から形成される集合注意を分析し、球団ごとの意味的性質を比較することで、球団によって単語の関連性のパターンが異なっており、球団の性質などを反映していることを明らかにした。
著者
濱名 篤 川嶋 太津夫 山田 礼子 森 利枝 塚原 修一 深堀 聡子 齊藤 貴浩 白川 優治 合田 隆史 近田 政博 芦沢 真五
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、大学設置の「入口規制」として大学設置基準が、日本の高等教育の発展にどのように貢献してきたか、を分析するとともに、今日の規制緩和の流れの中で従来型の質保証体制がどのように変容するのかについて考察を加える。設置基準と認証評価がどのように連動して質保証システムとして機能してきたか、この両者が相互補完する体制が実質的な成果を挙げているか、についても検証する。また、比較可能な諸外国の設置基準と認証評価制度の関係を調査し、国際比較研究を通じて、日本固有の課題や将来への課題を明示する。さらに、日本の現状に見合った大学設置基準と質保証体制の在り方を模索し、将来の設置審査に関する提言を行う。
著者
原田 貴史 中村 明美 友竹 正人 大森 哲郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.33-40, 2007-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

看護職は高い専門性や自律性を求められると同時に,確認や清潔などの徹底も要求される.職場適応障害や燃え尽き症候群など心身医学的治療を要する症状を訴える者も多い.女性看護職に対する質問紙調査では強迫傾向が指摘される.われわれは,心身医学的見地より女性看護職の強迫傾向を検討し,強迫傾向と抑うつ度がQuality of Life (QOL)に与える影響の違いを比較した.自己記入式質問紙MOCI邦訳版(Maudsley Obsessional Compulsive Inventory)による強迫傾向群は16.3%と多かった.心身症患者の心理的特徴とされるアレキシサイミア(失感情症:alexithiymia)傾向は,強迫傾向に有意な相関を示した.アレキシサイミアの中でも「感情の同定困難因子」が,強迫傾向の「確認」「優柔不断」「疑惑」の高さと関係していた.抑うつ度は年齢層やQOL構成項目に限定されず,主観的QOLの低さと相関した.しかし強迫傾向は,若年女性看護職では「身体的領域」「心理的領域」の主観的QOLの低さと相関し,熟年看護職においては「社会的関係」の主観的QOLの高さと相関し,年齢や主観的QOLの領域により異なる影響をもたらす可能性が示唆された.若年看護職は強迫傾向と同時にアレキシサイミア傾向も高く,アレキシサイミアの中でも感情の同定困難と主観的QOLの低さとが関係していた.今後,このような若年看護職に対する心理的サポートをどのようなかたちで,どのような方法で行っていくのかが問われ,心身医学的検討が待たれるところである.
著者
稲森 雅子
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.8_15-8_18, 2022-08-01 (Released:2022-12-23)

1920~30年代、中国学の若手研究者たちが北京へ留学した。当時、政治の中心は南京に移り、北京には静かな環境が残されていた。目加田誠の留学記録『北平日記』及び新発見の資料から日中の学術交流の一斑に迫る。 1910年代後半に起こった文学革命により白話古典の価値が見直され、新分野の研究が始まっていた。 馬廉は、長澤規矩也と競い白話古典版本を研究した。他方、倉石武四郎と共同で挿絵写真集も作成、鄭振鐸『挿図本中国文学史』に転載され高い効果をあげた。 孫楷第は、1930年に文献調査のため来日した。直後に満州事変が勃発したが、日中の支援者を得て調査を完遂し、白話小説書目を編んだ。これらは、現在も活用され続けている。 少年期に日本で教育を受けた銭稲孫は、日本人留学生を親身に世話した。1930年元旦、日中の学術交流拠点を目指して自宅に日本語図書室を開設し、わずか1年で北京随一の日本語図書数となったが、残念なことに満洲事変により閉鎖に追い込まれていた。 周知のとおり、この時の日本人留学生たちは戦後の中国学界を牽引した。
著者
内山 雄介 西井 達也 森 信人 馬場 康之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_481-I_485, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

Oceanic response to a series of typhoon passages is investigated with a triply-nested oceanic downscaling model forced by the assimilative GPV-MSM reanalysis dataset for the coastal marginal sea off Kii Peninsula, Japan. Temperature is decreased about 2 degrees for 2 weeks during three typhoons passing by. An EOF analysis decomposes the modeled SST properly into 1) a seasonal signal as a linear trend attributed to enhanced vertical mixing and mixed layer deepening due to the seasonal surface cooling in the 1st mode, 2) coastal upwelling at several locations through the Ekman transport due to the stormy surface wind field in the 2nd and 4th modes, and 3) SSH changes caused by the meso- and submeso-scale, cyclonic cold eddies near the topography and subsequent eastward transport by the Kuroshio in the 3rd mode.
著者
谷村 眞治 王 虎 森田 浩章 海津 浩一 山崎 勝広 三村 耕司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.586, pp.1344-1348, 1995-06-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
6

The existence of critical impact velocity has been confirmed in experiments in which a sheet was perforated by a flying projectile. The experiments were performed to measure the values of parameters relevant to the normal impact of the cylinder against the sheets. By examining the relationship between the diameter of blanks and impact velocity, the phenomenon of the critical impact velocity was confirmed. The theoretical approach was also presented, for the same conditions as in the case of simple wave propagation, as in the Karman-Duwez solution. The comparison between theoretical examination and experimental results was also discussed.
著者
鈴木 尚登 花岡 茂樹 森瀧 亮介 柳浦 良行
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.97-100,a1, 2007-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

可知氏が国営第1号の巨椋池干拓の初代所長に就任してから4年間, 毎日, 書き綴った「作業日誌」をベースにして, 氏が著した「農業水利学」および地元新聞に掲載した「平易解説」等も参考に, 巨椋池干拓とはどの様な事業で作業日誌は何のために書かれたのか等を考察する。
著者
黄 啓徳 田中 齊太郎 泉 唯史 森谷 敏夫
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F4P2297, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】 高齢社会が進む昨今、高齢者がADLやQOLを保ち続けるためには、機能的自立度を維持・向上することが、不可欠である。特に、歩行能力は機能的自立度の大きな要因となっており、例えば、歩行速度の改善により、死亡率が改善することが報告されている(Hardy et al. 2007)。また、高齢者における歩行制限は、転倒・骨折、寝たきり、認知症などの問題に関連し、ADL低下(Guralink JM.1995)などの予測因子になる。このことから、高齢者の歩行能力の維持・向上は大きな課題といえよう。 近年、筋力が低下した高齢者や糖尿病などの疾患保有者に対する運動療法として、筋電気刺激(以下EMS)が着目されている。EMSの特徴は、運動弱者に対しても、弱い強度で、選択的に速筋線維を動員する(Hamada et al. 2003)ことで、筋肥大を引き起こす可能性が示唆されている。 本研究では、通所リハビリテーション(以下デイケア)を利用する高齢者に対し継続的にEMSを行い、機能的自立度、特に歩行能力に及ぼす影響を検証することを目的とした。【方法】 実験参加者は当院併設のデイケア施設の利用者のうち、10m以上の歩行が可能な18名(mean ± SE, age = 76.3 ± 1.9 yr, 介護度 = 1.9 ± 0.2 )とし、EMS群10名(通常のデイケアプログラムに加えて、EMSを行う群)とCON群8名(通常のデイケアプログラムのみを行う群)にランダムに振り分けた。EMS群は1日20分週3回のEMSを下肢4箇所(大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、下腿三頭筋)に対して8週間行った。 EMS群、CON群とも8週間の実験期間の前後に、10m歩行テスト(通常歩行の歩行速度・歩調・歩幅)、チェアスタンドテスト(5回の立ち上がり)、関節可動域(膝関節屈曲角度・股関節屈曲角度)、握力、ファンクショナルリーチテスト、ステッピング、開眼片脚立位、膝伸展筋力の体力テストを行い、機能的自立度を評価した。【説明と同意】 本研究に対しては、実験計画書を当院倫理委員会に提出、承認を得た。また、実験参加者に対しては口頭および文章にて本研究の趣旨、研究内容、期間等を説明し、同意書にて署名をし、本研究の同意を得た。【結果】 EMS群では、10m歩行テスト中の歩行速度、歩幅、歩調、チェアスタンドテスト、膝関節屈曲角度、股関節屈曲角度、握力、ステッピングについて、実験後の体力テストにおいて、実験前に比べ、有意に上昇した(p<0.05)。また、それ以外の項目に関しては、有意な変化は見られなかった。 一方、CON群は、すべての項目について、有意な変化は見られなかった。【考察】 本実験では、EMS群においてのみ、歩行速度の有意な増加が確認された。歩行速度=歩幅×歩調で表されることをふまえると、歩行速度の増加は、歩幅、歩調の両方の増加によるものであると示唆された。また、歩幅の増加は、チェアスタンドテストで表される筋パワーの増大と関節可動域の改善によるものと示唆される。一方、歩調の増加は、ステッピングによって表される敏捷性の改善によるものと示唆される。 このことにより、通常のデイケアのプログラムにEMS20分を週3回・8週間付加することにより、歩行速度を中心とした機能的自立度の改善の可能性が示された。【理学療法学研究としての意義】 本実験では、通常のデイケアプログラムのみを行った群では、実験前後の変化が確認されなかった。このことは、通常のデイケアプログラムのみを8週間行うことにより、機能的自立度が維持されることを示唆している。だが、電気刺激を短期間(8週間)付加することにより、機能的自立度の維持だけではなく、一部の機能において向上することが認められた。 脳血管疾患、転倒・骨折、関節症、認知症などの理由で、通常の運動療法では、機能的自立度の改善に必要な運動強度に達しない高齢者は少なからず存在する。そのような高齢者に対してEMSは、能動的な運動療法が困難な高齢者に対しても、今後非常に有用な手段になると考えられる。
著者
森 健治 森 達夫 郷司 彩 伊藤 弘道 東田 好広 藤井 笑子 宮崎 雅仁 原田 雅史 香美 祥二
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.281-286, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) を用い, 顔表情の模倣課題を施行中の前頭葉活動について, 自閉症と定型発達の小児例で比較検討する. 【方法】対象は定型発達の男児10例, 知的障害を有さない自閉性障害の男児10例. NIRS測定のため左右前頭部にそれぞれ17チャンネルのプローブを装着した. 【結果】自閉症群において初回検査時, 両側下前頭回弁蓋部 (Broca野) での酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) 濃度の上昇は, 定型発達児に比べ有意に低かったが, 同じ課題を複数回練習してから, 再度, NIRSを施行したところ, 同部でoxy-Hb濃度の有意な上昇が認められた. 自閉症群におけるoxy-Hb濃度の変化量と感情ラベリング成績の間には正の相関関係が認められた. 【結論】自閉症においても模倣運動を繰り返すことによりミラーニューロンを賦活できる可能性が示唆された.
著者
森山 徹 Toru Moriyama
出版者
基督教研究会
雑誌
基督教研究 = Kirisutokyo Kenkyu (Studies in Christianity) (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.75-94, 2009-12-03

「アウシュヴィッツ以後」、ユダヤ教とキリスト教の関係を考えた神学者や研究者たちは、キリスト論とキリスト教的反ユダヤ主義の共犯関係を批判してきた。しかし、これらの批判は、キリスト教的反ユダヤ主義の根源的な克服を要求するあまり、しばしばキリスト論までも毀損してきた。本稿の目的は、モルトマンのキリスト論とキリスト教的反ユダヤ主義の関係を明らかにすることにある。モルトマンは、イスラエルの歴史に基づくメシア理解と、十字架につけられたイエスの理解から、「途上のキリスト論」を主張する。このキリスト論によって、彼は、キリスト教的反ユダヤ主義を相対化するだけでなく、キリスト論をも保持することを可能にした。アウシュヴィッツとキリスト教の関係を問題にしている神学者ロイ・エッカートは、モルトマンのキリスト論を「先延ばしされた勝利主義」として批判した。しかし、モルトマンは、途上のキリスト論が、キリスト教的反ユダヤ主義と勝利主義を克服し、キリスト論を保持するのだと主張した。
著者
藤森 新
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.458-463, 2018-03-10 (Released:2019-03-10)
参考文献数
10
著者
森谷 博之
出版者
日本リアルオプション学会
雑誌
リアルオプションと戦略 (ISSN:21896585)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.17-22, 2020 (Released:2020-04-15)
参考文献数
11

CTAの行政上の取り扱い、歴史、投資戦略等をまず簡単に説明する。CTAとは金融先物、オプション、スワップを対象とした取り引きに関する投資のアドバイスやサービスを個人、ファンドに提供する個人、または組織に対する金融行政上の用語で、正式名はCommodity trading advisorである。CTAという用語は投資信託、ETFを含むヘッジファンド、プライベートファンドへの投資アドバイスにも適応される。CTAs は米国連邦政府による規制対象であり Commodity Futures Trading Commission (CFTC) への登録と National Futures Association (NFA) のメンバーになることが義務付けられている。また、CTAはヘッジファンドの投資スタイルのひとつ (Global Macro) でもある。