著者
小池 敏靖 渕崎 晶弘 一杉 芽美 小野寺 秀一 金子 祐次 岩間 輝 平山 順一 柴 雅之 宮島 晴子 林 宜亨 有澤 史倫 布施 久恵 内藤 祐 若本 志乃舞 藤原 満博 茶谷 真 栗原 勝彦 森 純平 寺田 あかね 大橋 祥朗 永井 正 佐竹 正博
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.490-495, 2018-06-30 (Released:2018-07-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

今般,安定的な血小板製剤(PC)の確保を目的とし,成分採血装置Trima Accelに,一人の献血者から2本分の10単位PCを一度に採血できるプログラムが搭載された.この採血方法では従来の方法と異なり,一つのポリ塩化ビニル製採血バッグ(PVCバッグ)に通常の2倍量の血小板原料が入る.さらに,その状態で採血当日または翌日まで保管後,2分割する必要がある.本検討では,採血翌日に分割した分割対象血小板原料血液由来10単位PC(分割PC)の品質を解析した.採血後4日目までのTrima Accel由来の分割PCとCCS採血由来の非分割PCの品質を比較した結果,補体であるC5a濃度とpHは分割PCにおいて有意に高値であったが,正常範囲内であった.また,その他の血小板機能等に差はなかった.そのため,分割PCの品質は,従来の非分割のPCと同等であることが明らかになった.
著者
森田 紀代造
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.liv-lxviii, 2022-11-15 (Released:2022-11-30)
参考文献数
84

現在までに臨床導入された心筋保護法には多くの組成・方式があるがいずれも有効性や安全性に遜色なく,その選択は理論的特徴や基礎臨床研究よりもむしろ施設や術者の好みに委ねられてきた.このため心筋保護はすでに確立した術中手段としてその基礎理論の重要性や臨床的な検証が軽視される傾向にある.しかし現代の心臓外科においては手術適応拡大による重症例や拡大手術症例の増加,MICSの導入や修練外科医の教育などを背景に,予期しない長時間心停止あるいは心筋保護灌流不均衡など想定外の事態において,心筋保護法が生死をわける事態をまねくことも稀でない.また最近ではさまざまな心筋保護に関する前向きランダム化比較試験randomized controlled trial(RCT)が報告されるようになり不十分ながら客観的検証に基づくエビデンスがようやく構築されつつある.このため心臓血管外科医にとって学術的意義のみならず医療安全の観点からも心筋保護理論の習熟と最新情報の周知はきわめて重要であることが再認識されるにいたった.現在開心術のための臨床的心筋保護法とは,心筋保護液組成crystalloid/blood cardioplegia,心筋保護液温度cold/warm/tepid, 投与方式continuous/intermittent(multidose)/single dose,投与経路antegrade/retrograde deliveryなどさまざまな要素によって構成されるハートチーム全体で連携すべき総合的補助手段である.本稿では代表的な心筋保護法についてその適正な選択のための基礎的理論と臨床成績を概説するとともに,Del Nido cardioplegia,Microplegiaなど新たな心筋保護戦略,比較臨床研究結果などの最新の臨床知見を紹介する.
著者
塚越 大智 山本 周平 和田 洋典 寺島 さつき 大澤 竜司 松森 圭司 伊藤 駿 中村 幸男 長峰 広平 池上 章太 堀内 博志
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.92-98, 2022-01-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) has been spreading globally since 2019;however, comprehensive rehabilitation of elderly patients with COVID-19 pneumonia remains a challenge. A 76-year-old American woman with COVID-19 pneumonia was admitted to our hospital. Because her disease was complicated by acute respiratory distress syndrome (ARDS), she was treated with intensive care, including invasive ventilation and extracorporeal membrane oxygenation (ECMO). During and after intensive care, she exhibited physical symptoms such as weakness, pain, shortness of breath, and difficulty in movement and exercise. Furthermore, during approximately 3.5 months of hospitalization, she received swallowing and speech therapies along with physical therapy. These rehabilitation therapies enabled her to get home in the United States. Her rehabilitation schedule had to be carefully planned according to her symptoms and infectiousness of COVID-19. This paper highlights few important points regarding the difficulty in rehabilitation including that of physical function, mental health, and cognitive function of patients with COVID-19. Furthermore, this report provides a problem-solving approach for long-term rehabilitation in elderly patients with COVID-19 pneumonia.
著者
森保 尚美
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.11-24, 2020 (Released:2021-07-11)
参考文献数
37

本研究の目的は,小学校の音楽科鑑賞授業において,児童が舞踊の様式的運動の一部を経験することを通して,どのように舞踊音楽の「拍」概念の多様性を知覚・感受するのかについて,児童の気付きから構造的に明らかにすることである。この目的を達成するため,民俗舞踊と宮廷舞踊というルーツの異なる3拍子の舞踊音楽を比較鑑賞する授業を計画した。まず,2つの舞踊音楽を聴き,3枚の舞踊写真から組み合わせを予想した(Step 1)。次に2つの舞踊ステップを経験し(Step 2),「拍」の質的な違いについて考え(Step 3),2つの舞踊音楽のよさについて記述する(Step 4)。授業は,公立小学校2校において実践し,ワークシートの記述から児童の知覚・感受の状況をグラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいて構造化した。その結果,2つの舞踊音楽に関して,「拍」の質への知覚・感受,先人への共感的想像,動きと構成要素との関連等が述べられ,音楽文化や社会に関する情動が伴って「拍」概念の多様性に気付く様相が確認できた。
著者
藤森 正登
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.34-38, 2000-06-26 (Released:2014-11-21)
参考文献数
2

花粉症の主要症状は, 発作性反復性のくしゃみ・鼻水・鼻づまりです. この他に眼・鼻・のどの痒み, 喘息様の発作を伴うこともあります. これらのアレルギー反応は, 本来異物が身体に入るのを防ぐための防衛システムです. けれどもこの防御反応の起こり方には個人差があります. 何の反応も出ない人もいれば, 反応が過敏になり, くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が過剰に出現して生活に支障を来たす人もいます. 花粉症の予防は花粉を回避することにあると考えられます. 日常生活では次のような点に気をつけてはいかがでしょうか. 風の強い日の外出を避ける. 帰宅後は, 洗顔やうがいをしたり, 鼻をかむ. 鼻の洗浄は鼻粘膜の剥離や損傷を招くので, あまりおすすめできません. 外出時には, マスク・帽子・めがねカバーやゴーグルなどを着用する. ごく一般的なガーゼマスクで十分花粉を防御でき, 少ししめらせてあげることでその効果がさらに大きくなります. 花粉が付着しにくい衣類. 外出から帰ったときには花粉がついているので, 玄関で衣服をよくはたいたり外で干した布団や洗濯物には, 取り込む前にはよく払うことがいわれていますが, これは生地によりけりです. 化繊や化繊と木綿の合繊布地は24時間屋上に干しても花粉の付着がなく, 毛織物でも付着数はごくわずかなので, ほとんどの洗濯物の場合は通常通りの干し方でかまわないと思われます. 布団を干す場合ならば表面に布を1枚かける程度で良いと思われます. 帰宅時には花粉を家に持ち込まないようにする. 外出には化繊のコートの効果が期待されますが, 帰宅時に衣類をはたくとこれにより花粉を吸入して症状を引き起こす可能性がありますので, そのまま玄関にかけておく程度で十分と思われます. 窓や戸をしっかり閉める. 室内の清掃などの, 日常一般的な対策をまずとりましょう.
著者
アハマドアティフ モハマドファウジ 鈴森 康一 大賀 淳一郎 後藤 達彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2017 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P1-L06, 2017 (Released:2017-11-25)

This paper presents the intrinsic muscles of a Human-like Robotic Hand (HR-Hand), with a focus on dorsal interossei and palmar interossei muscles. Three links of palmar and four links of dorsal interossei muscles were fabricated according to human hand anatomy using 1.3 mm thin McKibben actuators. The experimental result using single index finger shows that the robotic hand could achieve palmar adduction and dorsal abduction and assist in flexion of fingers that imitate the actual function in the human hand.
著者
森田 悌
出版者
弘前大学國史研究会
雑誌
弘前大学國史研究 (ISSN:02874318)
巻号頁・発行日
no.94, pp.1-8, 1993-03-30
著者
神森 忠敏
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.156-160, 2000-03-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
8
著者
福山 佑樹 床鍋 佳枝 森田 裕介
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.31-40, 2017 (Released:2019-10-01)

近年、ゲームデザインの要素をゲーム以外の文脈で活用する「ゲーミフィケーション」が教育の 分野でも注目されている。本研究では、タブレット端末で動作するゲーミフィケーションの要素を取 り入れた電子教材「アプリゼミ」を使用して、2 つの小学校においてその影響を検証するための 2 週間 の実践を行った。実践前後に行ったテストとアンケートの結果、ゲーミフィケーション教材は児童のモ チベーションを高め、算数の能力、特に計算分野の能力を高める効果があることが分かった。また、実 践前後に行った教員へのインタビュー調査からゲーミフィケーション教材には教室における児童のエン ゲージメントを高める効果がある一方、授業における実施には通常授業への切り替えの難しさを教員が 感じるなど、ゲーミフィケーションならではの困難があることが示唆された。
著者
坂田 晴香 中川 耕三 北澤 健二 山本 澪 森 航大 高柳 和史 菊田 昌義 合田 賀彦 立花 義裕
出版者
日仏海洋学会
雑誌
La mer (ISSN:05031540)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3-4, pp.79-100, 2022 (Released:2022-06-27)

Using data collected from 2004 to 2018, the relationships between fluctuation in water quality and river loads were analyzed in eight areas within Osaka Bay, comprising the A-, B-, and C-type areas as designated by the chemical oxygen demand(COD)environmental quality standards. Different trends were confirmed in each area, related to their location in the bay. Decreasing COD concentrations were observed around the Muko River mouth, while concentrations near the Yodo River mouth, near the Yamato River mouth, and in areas at the center of the bay remained unchanged. These stable trends might be attributable to the high COD concentrations in the inflow water at the inner part of the bay, as well as the in situ COD production in the center of the bay. In summary, changes in water quality reflecting river loads were observed in the inner part of the bay, but the effect decreased toward the center of the bay where in situ production might be greater. Therefore, for the future restoration plan in Osaka Bay, different approaches will be required, depending on the characteristics of the individual sea areas.
著者
藤郷 森 河田 達男 高嵜 裕圭 遠藤 敦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.421-429, 1990-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24

大谷石はゼオライト鉱物の一種である斜プチロル沸石(Clinopti1olite;Na6(A16Si30O72)・24H2O)を約65wt%含有することに注目して,吸着剤などの化学工業材料として活用をはかる目的で,イオン径を異にするメチレンブルーおよびアンモニア性窒素(NH4+)を吸着質として用いる液相吸着法を用いて,その特性変化を検討して来ている。今回は,大谷石試料と同様に斜プチロル沸石を主要構成鉱物とする山形県板谷産および秋田県二つ井産の天然ゼオライトを,さらに高純度で構造も単純と考えられる合成ゼオライトを参照試料に用いて,天然ゼオライトを酸処理することによって,天然ゼオライトの構成鉱物類の集合状態とその存在状態に関して検討を加えた。その結果,次のような点が明らかになった。(1)大谷石試料に含まれる斜プチロル沸石は耐酸性に乏しい特徴を有する。(2)一般に小さな比表面積値を示す天然ゼオライトを塩酸水溶液で処理することにょって,構成鉱物類の集合状態に関してかなりの知見が得られた。天然ゼオライトが少さな比表面積値を示す原因は試料中に含まれる少量の粘土鉱物類によることが明らかとなった。(3)天然ゼオライトと合成ゼオライとの対比から,天然ゼオライトは構成鉱物類が特殊な集合状態を形成している。この集合状態を活用すれば,低濃度のNH4+水溶液中に含まれるNH4+除去剤として十分活用可能である。
著者
佐藤 重穂 谷地森 秀二
出版者
特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター
雑誌
四国自然史科学研究 (ISSN:13494945)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.30-33, 2007 (Released:2021-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Two specimens of the Tube-nosed bat Murina hilgendorfi, which was a vulnerable species on Red Data Book of Japan, were collected from Ino Town, Kochi Prefecture on September 2006. Those bats were trapped on adhesive sheets which were set for collecting insects. The environment where the bats were collected was a mature plantation of Hinoki Cypress Chamaecyparis obtusa with poor understory vegetation.
著者
内藤 久士 小林 裕幸 内田 桂吉 大森 大二郎 千葉 百子 山倉 文幸 米田 継武
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.203-210, 2000-10-25 (Released:2014-11-12)
参考文献数
28
被引用文献数
2

目的: 老化および持久的トレーニングがラット骨格筋の熱ショックタンパク質 (HSP72) の発現に及ぼす影響を遅筋および速筋に分けて検討することであった. 対象および方法: 若齢 (12週齢) および老齢 (100週齢) のF344雌ラットが年齢群ごとに, コントロール群および運動群の2群に分けられた (各群n=6). 両年齢群のトレーニング群は, トレッドミル上での持久的ランニングを75-80%Vo2maxの強度で1日60分, 週5日の頻度で10週間にわたって行われた. トレーニング期間終了72時間後, ヒラメ筋 (遅筋) および長指伸筋 (速筋) が摘出され, ウェスタンブロット法により, HSP72が定量された. 結果: コントロール群のHSP72の発現量は, ヒラメ筋の若齢群95±5ng・老齢群100±6ngおよび長指伸筋の若齢群22±2ng・老齢群20±5ngであり, 各筋とも年齢による差が見られなかった (P>0.05). 一方, トレーニング群のHSP72の発現量は, ヒラメ筋の若齢群116±3ng・老齢群116±4ngおよび長指伸筋の若齢群66±2ng・老齢群43±6ngで, 各筋ともに同年齢のコントロール群よりも有意に (P<0.05) 高い値を示した. しかしながら, その増加率は, ヒラメ筋 (若齢群+22%・老齢群+15%) と長指伸筋 (若齢群+200%: 老齢群+115%) では異なるものであった. 結論: 持久的トレーニングは, 骨格筋のHSP72の発現を増加させるが, 老化は速筋 (長指伸筋) において, その応答性を低下させる.
著者
森田 純哉 小嶋 暁 金野 武司 橋本 敬
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.557-574, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
48

To realize a harmonious society where various groups collaborate, it is essential to understand the characteristics of communication systems generated from the traits of different individuals. This paper describes a study exploring the relationship between the establishment of novel communication systems and autistic traits, which are conventionally viewed as indicative of a communication disorder. The participants engaged in coordination games based on experimental semiotics and completed the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Contrary to the traditional view of autistic traits, but consistent with the fact that individuals with these traits have been involved in many societal innovations, the results of this study show that autistic traits can facilitate the establishment of novel communication systems. Furthermore, correlation analysis suggests that various subcategories of autistic traits show differences in their relation to the stages involved in the establishment of communication systems. The findings contribute to our understanding of the process of language evolution and could promote communication among diverse individuals.