著者
佐藤 康男 森 淳
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.3-22, 1998-03-31 (Released:2019-03-31)

本稿は会計情報システムのうち,管理会計情報システムの予算管理情報システムにおける会計情報システム上のデータベースモデルの問題点に焦点を絞り,データウエアハウス(Data Warehouse)の適用可能性について論述している.近年の著しい情報システムの発達が会計情報システムに大きな影響を与えている.情報技術の進歩が特にデータベースシステムに対して決定的に影響を及ぼすことでこれまで当然とされていたリレーショナルデータベース(Relational Database)を核とした情報システムに疑問が投げかけられている.会計学は財務会計と管理会計のという二つの分野に分類することができるが,会計情報システムもまた,財務会計情報システムと管理会計情報システムという二つの分野に分類することができる.この二つの大きな違いは,財務会計情報システムでは財務データを扱うが,管理会計情報システムでは財務データに加えて非財務データを含めて扱わなければならない点である.したがって予算管理情報システムは財務データだけでなく,非財務データを取り扱うことができなければ評価価値は相対的に大きく低下する.一般に会計情報システムにおいてデータベースはすなわちリレーショナルデータベースが当然とされていたが,リレーショナルデータベースに向く業務はいわゆるOLTP(Online Transaction Process)としての業務であり,予算管理のようなOLAP(Online Analytical Process)に分類される業務にリレーショナルデータベースを適用することに関して様々な技術的問題が存在する.管理会計情報システムのうち特に予算管理情報システムが多元的な情報を必要としており,これに適しかデータベースを考えると現在の情報システムにおけるデータベースモデルとしてはデータウエアハウスが最も適したデータベースである.データマイニングツール(Data Mining Tool)がまだ十分に成熟してはいないが,今後はこのデータウエアハウスが管理会計情報システムの核となるであろう.
著者
小林 聡 森 淳和 安川 慎二 伊澤 幸甫 藤井 康一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.747-751, 2016

<p>8カ月齢,避妊雌,体重4.6kgのイタリアン・グレーハウンドが右側の前肢跛行を主訴に紹介来院した.X線及びCT検査において右側前腕の重度変形を認めた.過去に橈尺骨骨折の治療履歴があったことより骨折時の外傷に起因する前腕変形であると診断した.変形が重度であり,従来のコンピュータ画面上での三次元立体構築像のみを使用する変形矯正方法ではランドマークの設定が行いにくく,術中の矯正程度の判断が困難で術後にアライメント不良が生じる可能性があった.そのため,CTデータより3Dプリンターモデルを作成し事前にシミュレーション手術を実施し,骨切り部分の確認やインプラント形状設定を行い矯正が問題なく実施できることを確認した後,実際の手術を行った.術後の経過は良好で骨癒合が認められ患肢の使用も良好であった.</p>
著者
堀井 道明 土性 裕彦 森 茂博 馬場内 隆男 内田 雅士 Horii Michiaki Dosho Hirohiko Mori Shigehiro Babauchi Takao Uchida Masashi
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 低推力・連続加速を用いた宇宙ミッションに関する研究会論文集 = JAXA Special Publication: Collection of Papers Presented at the Meeting on the Study of Space Missions Propelled by Low-Thrust and Sustained Acceleration (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-07-020, pp.7-12, 2008-02-29

Geostationary satellites need yearly velocity increment of 40 to 50 m/s for the North-Sounth (NS) station keeping. JAXA's recent satellites are adopting low-thrust and high Isp (specific impulse) engines such as DC arc jets and ion engines for the NS station keeping. This paper reports the operation results of such NS maneuvers for the Data Relay Technology Satellite (DRTS: KODAMA) and the Engineering Test Satellite-8 (ETS-8: KIKU No.8).
著者
森田 陽子 福内 靖男 厚東 篤生 鈴木 則宏 五十棲 一男 後藤 淳 清水 利彦 高尾 昌樹 青山 正洋
出版者
The Keio Journal of Medicine
雑誌
The Keio Journal of Medicine (ISSN:00229717)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.120-127, 1997 (Released:2009-03-27)
参考文献数
25
被引用文献数
10 15

We investigated rapid changes in pial arterial diameter and in cerebral blood flow (CBF) caused by transient ipsilateral common carotid artery occlusion (CCA-O) in anesthetized rats in order to elucidate how the cerebral circulation reacts to acute stem artery occlusion. In separate groups of rats, pial arterial diameter was recorded through a dosed cranial window and CBF was recorded by laser-Doppler flowmetry. CCA-O was performed for 5 minutes under normotension and normocapnia (control) and under graded hypotension, hypercapnia and hypocapnia. In the control condition, pial arterial diameter increased rapidly, triggered by CCA-O. It took 12±3 s to reach the maximum of 204±42% of the value before CCA-O, and 60±24 s to become stable at 131±11%. CBF decreased rapidly to 66±11%, then increased reactively to 135±9%, and again decreased to 91±3%. The reactive increase in CBF caused by CCA-O decreased in parallel with the degree of hypotension, and also became barely detectable under hypercapnia. Our data suggest that active vascular dilation in the territory of the occluded artery is important for inducing collateral circulation.
著者
杉本 翔 岡部 稜 喜田 将生 宮森 恒
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.119-123, 2018-09-06

本稿では,自分の好きな画像群に周囲を囲まれる非日常的な没入体験により幸福感を提供するシステムGaZoneを提案する.人間が幸福感を得る手段の一つとして,嗜好に合ったモノを集めたり身の回りに並べたりすることが挙げられる.提案システムでは,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)によって実現されたVR環境において,Web上の画像を検索し,簡単にコレクションできる機能を提供する.検索された大量の画像群は自分の周りを取り囲むように表示され,コントローラで各画像の取捨選択,移動,拡大縮小といった操作が可能である.ユーザは,自分の嗜好に合った大量の画像群に周囲を囲まれる非日常的な環境に没入することにより,従来システムでは得られない幸福感を体験することができる.
著者
田中 博 森 竜樹 四ツ谷 晶二
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1-2, pp.53-57, 2018 (Released:2019-10-16)

高校数学の数列の学習において,「統一的な見方」の導入が重要であると考える.特に「累乗の和 の公式」については,統一性のない表記による指導法に工夫の余地があるのではないかと考える. ここでは,より統一性を持った表記を提案する.この表記法は単に覚えやすいというだけでなく, 4 乗和,5 乗和等への発展にも繋がる.また,その計算手法は,「等比数列の和の公式」等へも応 用できる.
著者
森田花野 小泉悠馬 伊藤克亘
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.267-268, 2013-03-06

本稿では、楽譜情報を用いて楽曲のギターパートの演奏難易度を推定する手法を提案する。バンド演奏で既存楽曲を再現する際、特に初心者にとって、前もって楽曲の難しさを判断するのは困難である。そこで、本研究では楽曲の難易度を数値で表現する難易度スコアを提案する。スコア算出には教則本のフレーズを利用する。それらの難易度を教則本音源の演奏の揺らぎにより定量化する。次にそれら難易度情報と主観評価によって得た代表フレーズ全体の難易度を組み合わせて各フレーズの難易度値を推定する。楽曲の難易度推定時には、楽譜情報を入力し類似度の高いフレーズを学習データから選択し、それらフレーズに予め付与された難易度値を用いてスコアを算出する。評価は提案法とバンド経験者による主観評価結果を比較することで行う。
著者
黄木 千尋 赤間 由美 森鍵 祐子 小林 淳子
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 = Bulletin of the Yamagata University. Medical science : Yamagata medical journal (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.25-35, 2021-02-15

背景】日本人の2人に1人ががんに罹患するといわれている。喫煙は、がんに最も大きく寄与する因子であり、がん患者のたばこ対策は大変重要であるが、がん患者の喫煙の実態や関連要因・社会的ニコチン依存度に関する報告は少ないのが現状である。外来化学療法を受けている患者の喫煙の実態と認識を明らかにすることを目的として、がん患者に対する効果的な禁煙指導、喫煙防止対策を検討した。【方法】対象はA病院において外来化学療法を行う患者のうち認知症や質問紙調査票への記入が困難な患者を除外した257名。調査内容は、基本属性、対象者と家族の喫煙状況(「非喫煙」「過去喫煙」「現在喫煙」とブリンクマン指数(一日喫煙本数×喫煙年数))、喫煙に対する認識(加濃式社会的ニコチン依存度(KTSND)と加熱式タバコに対する認識)、禁煙理由である。本研究は山形大学医学部倫理審査委員会の承認(2019-22)を得て行った。【結果】分析対象は257名、有効回答率100%であった。対象者の喫煙状況は、「非喫煙」106名(41.2%)、「過去喫煙」144名(56.0%)、「現在喫煙」7名(2.7%)であった。同居家族に喫煙者がいる割合は、「非喫煙」19.8%、「過去喫煙」25.0%、「現在喫煙」57.1%であった。「現在喫煙」のブリンクマン指数は「過去喫煙」よりも高く、喫煙による健康への影響を強く受けていることが推察された。KTSND得点は、「非喫煙」よりも「現在喫煙」「過去喫煙」が有意に高く、喫煙経験者は非喫煙経験者よりも社会的ニコチン依存度が高く喫煙を容認していた。「加熱式タバコは禁煙の場で使用してもよいと思う」割合は「現在喫煙」が「非喫煙」「過去喫煙」よりも有意に高い結果であった。また、「加熱式タバコを使う事は健康に対し害が少ないと思う」「加熱式タバコを使うことは禁煙に役立つと思う」者がそれぞれ約30%となり、加熱式タバコに関する正しい知識の普及啓発の必要性が示唆された。【結論】外来化学療法を受けているがん患者について、現在喫煙している患者への禁煙支援は重要な課題であり、家族を含め、過去喫煙者・非喫煙者に対しても喫煙による健康被害の知識の普及・啓発と継続した喫煙状況の把握に基づく禁煙支援の必要性がある。
著者
森田 亜紀 早川 文代 香西 みどり
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.13-23, 2020-01-15 (Released:2020-01-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1

パルミジャーノ・レッジャーノを添加したチーズブレッドの風味に寄与する成分について,アミノ酸,脂肪酸,有機酸からなる32成分モデルチーズを用いた評価を実施した.チーズブレッドの風味に対して,オミッションテストにより,アミノ酸,脂肪酸の寄与が大きいこと,さらに,アディッションテストにより,グルタミン酸ナトリウム,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,プロリン,酪酸が風味に影響していることが確認できた.これら8成分を添加することによりパルミジャーノ・レッジャーノを添加したパンの風味に関する官能特性を再現できた.アディッションテストの結果を主成分分析で解析したところ,第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「パンらしい香ばしさ」,第3主成分は「発酵香」と解釈でき,これらの風味特性のバランスでチーズブレッドの風味が形成されていることが確認できた.グルタミン酸ナトリウムはうま味だけでなく,チーズブレッドの風味形成に大きな役割を果たしていた.揮発性成分の分析結果より,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニンを添加することにより,イーストの発酵により生成するアルデヒド類やアルコール類,メイラード反応で生成するアルデヒド類が増加しており,これら成分がチーズブレッドの風味を形成していると考えられた.本研究により,チーズブレッドの風味に寄与する8成分をパン生地に添加することで,チーズブレッドの風味を再現でき,その製パン性はチーズブレッドよりも良好であったことから,良好な品質のチーズ風味ブレッドを作成する手段を提案できた.
著者
宮島 恵樹 関 俊昭 高見澤 一樹 七尾 真理子 早川 政人 彦田 直 森 大 東 拓弥 岡田 亨 村永 信吾 秋葉 洋介 石田 隆 亀山 顕太郎 河田 聡巳 小串 健志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101926, 2013

【はじめに、目的】高齢者の転倒予防の実践は,各個人の健康寿命延命のみならず,実益的な医療費削減や介護費削減,さらには地域,自治体の活性への貢献として今後の重要課題といえる.加えて運動機能の維持向上への取り組みは,現在,歩行機能の低下を自覚する世代から,その予備軍的な世代に対する幅広い働きがけが必要である.我々,千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開している.本取り組みは県内士会員による転倒予防を目的とした転倒予防セミナーの開催と歩行年齢測定会の実施を行なっている.測定会は,有志の県士会員の協力を得ながら県内各地で開催される健康増進,福祉関連イベントなどに千葉県理学療法士会として出展を行い実施している.各測定会では測定結果をもとに,その場でフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を合わせて行っている.今回は我々が実施した歩行年齢測定会の結果を基に今後我々理学療法士が改めて目を向けるべきであろう予防について考察する.【方法】測定項目は,体組成(身長,体重,体脂肪率),Functional reachテスト(以下FR),Timed up&goテスト(以下TUG),立ち上がりテスト,2stepsテストの5項目を行った.対象者は2010年10月~2012年10月イベントに参加した1437名(30~85歳,平均58.6±18.2歳,男性338名・女性1099名)であった. 2stepsテストは最大に2歩前進した距離を計測する方法であり,その後身長で正規化した.FRは両上肢を肩関節90°屈曲し,両肘伸展位で出来るだけ前方にリーチさせたときの指先の移動距離を測定した.今回は上記の項目のうち年齢における差をFR,2stepsテストの2項目について検討した.統計処理は年齢とFR,2 stepsテストの関係をPearsonの積率相関係数を用いて分析し,また30~90歳までを5歳毎に分類し,その分類でFRと2stepsテストに一元配置分散分析を行い,その後の検定としてTukeyの検定,サブグループの作成を行った.危険率は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】測定に参加する県民には文章ならびに口頭にて十分な説明を行い参加する意志を確認した上で,測定を行った.また,測定会運営スタッフに対しては事故対応としてスポーツ健康増進支援部でイベント保険に加入した.【結果】年齢とFR,2stepsテストでは,FRはr=-0.45,2stepsテストではr=-0.46と有意な負の相関があった.各年代とFRは近い年代で有意な差を認めるのは60~64歳と,65歳~69歳の間であり,6つのサブグループに分かれ若年者との境の年代は50~54歳の世代となった.各年代と2stepsテストは近い年代で有意な差を認めるのは65~69歳と,70歳~74歳の間であり,6つのサブグループに分かれ若年者との境の年代は45~49歳の世代となった.どちらのテストも65歳以上は細かなサブグループに分割され,年齢の上昇とともに数値が低下していた.【考察】年齢と2stepsテスト・FRには,有意な負の強い相関が認められ,年齢とともにバランス能力が低下していることが示唆された.また,各項目とも65歳以上にサブグループが細かく分類され,バランス能力の低下が急激に進行していることが考えられる.特にFRでは60~64歳,2stepsテストでは65~69歳で次の年代と比較して急激にバランス能力の指標でもある両項目とも低下しており,その急激に低下する以前の60歳前半で予防的に運動介入することに意義があると考えられる.また,その急激になる以前のグループの区切れの年代はFRで50~54歳,2stepsテストで45歳~49歳となり,この年代より段階的に運動指導を実施して,65歳以降の転倒を未然に防ぐことが可能ではないかと考えられる.このように幅広い年代のデータを集積することで,バランス能力の低下だけではなく,急激に低下をする年代の発見につながり,ロコモティブシンドロームなどに対する予防的な取り組みを段階的に各年代にそった運動プログラム作成への足掛かりとして進めていきたいと考えている.【理学療法学研究としての意義】理学療法士が国民の健康寿命延伸や,転倒予防活動に積極的に参加することで理学療法士の認知向上はもとより.理学療法士の知識技術が健康増進分野へも十分寄与することが示唆され,予防分野への職域拡大に貢献すること考える.また,測定会を継続することによって,千葉県民各年代の転倒リスク,運動機能の指標が示され,行政施策の中で理学療法士として役割が求められると考える.
著者
藤森 照信
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.680, pp.104-107, 2000-11-27

堀口捨己,佐藤秀,白井晟一の名作を引き合いに,クリの魅力を説く教授。ロフトはクリ普請でいくと宣言し,材料集めに奔走。 施主の谷口氏と藤森と大嶋の3名は,父と子で,製材所を営むカクダイさんのところで,トラックに山積みされたクリの丸太を迎えた。 建築用の丸太の扱いとしては,しばらく寝かして乾かすのが常道なのだが,そんなゆうちょうなことは言ってられない。
著者
結城 和博 佐藤 久実 中場 勝 櫻田 博 佐野 智義 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 中場 理恵子 横尾 信彦 森谷 真紀子 後藤 元 齋藤 信弥 齋藤 久美
出版者
山形県農業総合研究センター
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-40, 2010 (Released:2011-05-27)

「つや姫」(系統名:山形97号)は、1998年に山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において、次期主力品種の育成を育種目標に、「山形70号」を母に、「東北164号」を父にして人工交配を行い、選抜・育成した良食味の品種である。本品種は本県で育成された粳種では初の“晩生”に属し、短稈で草型は“中間型”、耐倒伏性は“やや強”である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii、Pik”をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち“強”、穂いもちは発病が少なく不明である。障害型耐冷性は“中”、穂発芽性も“中”である。「コシヒカリ」に比較し、収量性が高く、玄米千粒重は並で、玄米外観品質は白未熟粒の発生が少なく、光沢があり高品質である。「コシヒカリ」に比べ精米粗タンパク質含有率は並、精米アミロース含有率はやや低く、味度及び炊飯米の白色度はやや高い。食味は、炊飯米の外観と光沢が優れ、味と粘りも優り、「はえぬき」及び「コシヒカリ」を上回る。山形県における適応地帯は平坦部で、本県のさらなる良食味米の安定生産と「米どころ山形」として本県産米全体の評価向上を目指し、2009年に山形県の水稲奨励品種に採用された。さらに、同年9月には宮城県の奨励品種に採用された。