著者
才藤 栄一 木村 彰男 矢守 茂 森 ひろみ 出江 紳一 千野 直一
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.121-124, 1986-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
8 8

嚥下障害の治療指向的評価法としてvideofluorography検査を26例の機能的嚥下障害が疑われた患者に施行し,嚥下障害のリハビリアプローチ上,重要な-むせの意義,体位の影響,食物形態の影響-について検討した.誤嚥とむせは,約3分の1の症例で相関せず,むせのないことが安全な嚥下とはいえなかった.体位では従来,体幹垂直位が推奨されてきたが,体幹後屈位の方が誤嚥の程度が軽く,より嚥下しやすい体位であった.食物形態については,固形物は口腔期障害を増悪し,咽頭期障害(誤嚥)を軽減した.
著者
菅原 利夫 三島 克章 植野 高章 南 克浩 森 悦秀
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

身体各部の関節は加齢や種々の疾患により形態と機能が低下するため、人工関節による置換術によってその回復が行われている。しかしながら日本のおいては現在まで人工関節が開発されておらず、顎関節の構造的喪失による種々の障害に対しては有効な治療法がなかった。私達研究グループはヒト顎関節の形態計測、咀嚼時に顎関節に負荷すると考えられる力学的要件や運動性を基礎的に検討し日本で初めての臨床応用できる菅原式人工顎関節を試作し、臨床応用を行ってきた。私達研究グループは人工顎関節を開発する目的で、解剖実習用屍体、ヒト乾燥頭蓋骨の顎関節を三次元精密計測装置を用いた実例計測やCT三次元再構築画像からの立体計測を行った。またこれら形態計測から得られた関節頭と下顎窩の表面形状から咀嚼時に負荷すると考えられる荷重をHetzの理論式や三次元有限要素法を用いて解析して、人工顎関節の生体材料を選択し、形状をデザインして菅原式人工顎関節を試作した。臨床応用は主として慢性関節リウマチ(RA)の変形性顎関節炎により、下顎骨が後退し、咬合の異常による咀嚼障害と気道の狭窄あるいは閉塞による睡眠時無呼吸症候群をおこした患者であり、菅原式人工顎関節全置換術を行い、咀嚼機能については食物粉砕実験、顎関節の動きについては超音波画像、X線シネマグラフ、および顎運動の計測を行った。その結果、個々の患者間に相違が見られるものの吸収の起きた下顎頭を中心とした蝶番運動が主体をなし、滑走運動および側方運動はほとんど観察されず、健常人とは異なる顎運動が観察された。節電図での計測では、健常者に比べ術前の咬筋、側頭筋の筋活動は弱く、術直後は更に弱まり、術後の咬合位に開閉口筋が適応するためには数ヶ月の開口訓練の必要性が認められた。また、下顎骨の前方移動に伴い、気道腔が確保され、呼吸障害が解消され、発生機能も向上する傾向がみられた。これらの結果を基にし、更に機能性が高く安全な人工顎関節を開発するため人工顎関節のデザインを改良し、人工顎関節を開発してきた。また、この人工顎関節を作る過程で私達が開発したCT三次元再構築画像計測・評価システム、接触型および非接触型高精度三次元計測・評価システム、重ね合わせ評価法、曲面および球面定量評価法などの新しい研究法は口腔、顎、顔面、口蓋等の微細な発育様式や発育方向などが定量的に測定評価できるようになり、他の領域の研究にも貢献し、1997年第8回国際口蓋裂学会(Iutennational Congress on cleft Palate and Related,Craniofacial Anomalies)のOwen Cole記念賞の受賞に連った。
著者
浅谷 公威 大知 正直 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

集団の発展する過程の理解や将来予測のため、引用ネットワークをはじめとしたネットワークの発展を可視化する手法が提案されている。しかし、既存手法では 要素をクラスタに集約し離散的な時間で可視化するため各要素の役割が明瞭ではない。我々は連続的な空間内に各論文を一つの点として分野が徐々に広がっていく過程を2次元空間に描画する手法を開発し、実際のデータセットで領域の成長・分岐・融合の様子を確認した。
著者
森田 拓也 土橋 宜典 山本 強
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-6, 2012-11-26

近年,流体シミュレーションを利用した映像生成が盛んに行われている.本稿ではとくに爆発現象の映像生成に着目する.流体シミュレーションを利用した爆発現象の映像生成を行う手法はいくつか開発されているが,いずれにおいても多くのシミュレーションパラメータを設定する必要があり,所望する形状を持つ爆発の生成は困難である.そこで本研究では,所望の爆発アニメーションを容易に生成することができる制御システムを提案する.提案手法では,爆発規模最適化ステップと爆発形状編集ステップの 2 段階による制御を行う.提案システムを適用することで,ユーザが所望する形状に従って制御された爆発アニメーションを生成することができる.Recently, many methods for creating fluid animation based on fluid simulation have been proposed. We focus on the simulation of explosions. Some methods for simulating explosion were already developed. Although these methods can create realistic shapes and movement of explosions, the resulting shapes and motion depend on many simulation parameters. Therefore, it is very difficult to create the explosions with desired shapes. In this paper, we propose a system for controlling explosion shapes towards desired shapes. Our system consists of the following two steps: scale-optimization step and shape-editing step. Using the proposed system, the animation of explosions controlled into specified shapes can be generated.
著者
森田 重充 横山 洋 大島 幹雄 小野沢 康弘 萩原 信子
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2012年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.730, 2012 (Released:2013-07-03)

セシウムを様々な構造物から剥離・溶解させる薬剤として,酸化力が極めて強いオゾンに着目した。しかし,一般的なオゾン水には生成後すぐに脱気,分解してしまう。そこで,本研究ではオゾンを水クラスタの間に高密度に分散させた超微細気泡含有高濃度オゾン水を生成して除染に使用した。このオゾン水は,濃度が数十ppmと高く,貯留できるという特異な性質を持つ。したがって,オゾンが有する強力な酸化力により,様々な対象物とセシウムとの結合を切断し,剥離・溶出させることが可能である。本技術は,以下に示すとおり除染技術として具備すべき優れた特徴を有する。①    森林など原位置で処理できる②    高圧洗浄で除染できないコンクリートやアスファルトも除染できる③    作業が単純で簡単に除染できる④    散水するだけなのでスループットが高い⑤    低圧で散水することから構造物を壊す可能性が低いなお,本研究は内閣府除染技術実証試験事業の助成を受けて実施した。
著者
福島 道子 北岡 英子 大木 正隆 島内 節 森田 久美子 清水 洋子 勝田 恵子 黛 満 奥富 幸至 菅原 哲男 藤尾 静枝 山口 亜幸子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.38-46, 2004-03-25

都内某保健所において児童虐待事例として援助した家族8例,および関東圏某児童養護施設において虐待事例として入所した児童の家族17例を対象に,「家族生活力量」の概念に基づいて事例検討し,児童虐待が発生している家族の問題状況を分析した.各事例を「家族生活力量アセスメントスケール」や家族システム論を用いて分析した後,全体像を短文で記述し,それをグルーピングしたところ,「精神疾患から虐待が発生し,それに伴って生活困難が生じている」「不健全な夫婦関係が虐待問題をより解決困難にしている」「生活基盤が弱いことによってネグレクトが生じている」「家族形態が成立しないまま出産し,出産直後から育児放棄している」「世代間境界の曖昧さが虐待問題をより解決困難にしている」「未成熟な家族ゆえに虐待が発生している」の6つに類型化された.また,「家族生活力量アセスメントスケール」で家族の生活力量を測定した結果,虐待が発生している家族は家族生活力量が低値であり,特に「役割再配分・補完力」と「関係調整・統合力」が顕著に低かった.虐待事例各々についてスケールの得点をみると,同スケール9領域のいずれかが0%である事例が21例みられた.虐待支援に当たっては,家族生活力量を査定したうえで働きかけることが必要であることが考えられた.本研究の限界として,事例数が少なく,虐待重症度や対象選定機関等に偏りがある.今後は,地域保健・福祉機関からの事例を積み上げていきたい.
著者
川西 康之 出口 光一郎 森下 巖
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.90(1992-CVIM-080), pp.161-168, 1992-11-19

Geometric Hashingとは、データの整理方法であるハッシュ法を画像認識に応用したものであり、予め用意したモデル画像を用いて観測画像を認識するModel?Based Matchingのその認識過程の処理時間を短縮するのに有効な手段である。しかし、外乱の入った観測画像に対してのパフォーマンスはまだ充分に明らかにされていない。今回、画像に点集合画像を用い、アフィン変換を施した観測画像についてgaussian noiseに対する認識結果の影響を解析した。それに基づいて新しい投票プロシージャを考案し、Geometric Hashingのロバスト性の向上に努めた。実験の結果、外乱により通常は認識できなかった観測画像を認識し、更にその認識の信頼性がこの新しい方法によって向上し得ることを確認した。
著者
村上 光右 山口 邦雄 森偉 久夫 内藤 仁 宮内 大成 伊藤 晴夫 島崎 淳
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.1395-1401, 1982-11-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
25

尿路結石症の再発防止, あるいは今後の治療方針の手がかりを得るため, 千葉大学医学部泌尿器科において診療した過去16年間の尿路結石症を集計し検討を加えた.1) 尿石症は新患総数の5.3%を占めた. このうち再発結石が12.6%を占めた.2) 男女比は2.1対1で, 好発年齢は上部尿路結石は30歳代, 20歳代, 次いで40歳代に多く, 再発結石においてはピークが10歳高年齢にずれていた. 下部尿路結石は60歳代にこピークがあつた.3) 結石成分は蓚酸Ca+燐酸Ca結石が最も多く, 次いで蓚酸Ca結石であつた(両者で71%). 女性は燐酸塩系結石が多かつた(47%).4) 自然排石については9×6mm以下のものでは4カ月以内に自然排石する可能性が大である.
著者
森本 浩行 西田 一彦 西形 達明 玉野 富雄 森 毅
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-268, 2000

1959 (昭和34) 年の「大坂城総合学術調査」において, 現大阪城が豊臣秀吉創建のものではなく, すべて江戸時代初期の徳川幕府による築造であることが判明した. またこの調査により, 本丸天守台南側で地下深く埋れた石垣が発見された. その後, ガスや水道の埋設管敷設に係わる調査において, いくつかの地下石垣が発見された. 特に, 1984 (昭和59) 年に行われた大手前配水池南側の調査において, 大規模な石垣垣の隅角部が発見された. これらの地下石垣は地上の石垣とは規模も積み方も異なり, 豊臣時代の大坂城ではないかと考えられている. 本研究では, 筆者らが提示している数値評価法を用いて, この地下石垣の特徴について考察するとともに, 石垣構築の技術的な面から構築年を推定した.
著者
森下 洋一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1009, pp.86-89, 1999-09-27

問 先月、東芝、米サンディスクと次世代の小型メモリーカード開発の提携を発表しました。松下電器産業はこのところ米マイクロソフト、任天堂など外部企業との提携が目立ちますね。 答 確かにこの1、2年、包括提携、部分提携など、世界の各企業と様々な形でアライアンスを組んでいます。
著者
鈴木 陽介 世良田 拓也 森 大志 小笠原 一生 鈴木 薫 牧野 孝成 伊藤 彰浩 大町 聡 二瓶 伊浩 今村 省一郎 竹原 良太朗 畠中 陽介 草場 優作 仁賀 定雄 中田 研
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1227, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】上肢の平衡反応は姿勢制御に寄与しており,ジャンプ着地時には足圧中心(以下COP)ピーク速度時間に影響することを健常人で明らかにした。しかしながら,肩関節機能障害を有する場合,上肢平衡反応を有効に利用できないことが考えられる。そこで,本研究は肩関節脱臼の既往が動的バランスに与える影響を探索することを目的とした。【方法】対象は肩関節脱臼の既往を有する患者9名(平均24.0±9.1歳)(以下,脱臼群),重篤な既往歴がない健常成人9名(平均24.6±9.6歳)(以下,健常群)であった。測定は,前方または側方へ20cmの高さから片脚ドロップジャンプ着地テストを行わせ,同側の脚で着地した時の床反力を計測した。上肢は胸の前で組ませる(以下,RES),制限なし(以下,FRE)の2条件とし,前方・側方へ右脚・左脚各6回測定した。床反力はダイナミックバランス評価システム(テクノロジーサービス社製)を用い,サンプリング周波数1kHzで計測した。動的バランス能力は,床反力データから,緩衝係数,鉛直方向の床反力ピーク(以下,Fz)およびピーク時間(以下,Tz),着地後20-200msのCOP軌跡長,前額・矢状各方向のCOPピーク速度,ピーク速度時間について検討した。統計は,前方と側方ごとに利き脚と非利き脚に分け,脱臼の既往と上肢の条件を要因とした1要因に対応がある二元配置分散分析を行い,有意水準5%とした。【結果】緩衝係数は交互作用に傾向が認められ,健常群のFRE条件では小さくなる傾向があった。Fzは利き脚・前方で条件と交互作用に傾向が認められ,健常群は脱臼群と比較してFRE条件でさらに小さくなった。Tzは非利き脚で脱臼群のみ早くなる傾向があり,側方ではFRE条件でより早くなる傾向があった。COP軌跡長は利き脚・前方で脱臼の既往に有意な交互作用が認められ,健常群ではFRE条件でCOP軌跡長が短かった(F(1,16)=16.19,P=0.001)。COPの矢状面ピーク速度には有意差が認められなかったが,ピーク速度時間は利き脚・前方のFRE条件で有意に短くなった(F(1,16)=9.86,P=0.006)。前額面ピーク速度では有意な交互作用が認められ,脱臼群のFRE条件では速度が有意に速くなった(F(1,16)=6.1,P=0.02)。【結論】肩関節機能障害が動的バランスに影響するかを探索するために,片脚ドロップジャンプ着地テスト中の床反力を計測した。FzおよびCOP軌跡長,矢状面ピーク速度時時間はFRE条件で小さくなったことから,上肢による平衡反応はこれらの要素を制御するために予測的に導入されていることが推察された。脱臼群では,特にFzやCOP軌跡長では健常群ほどの有効性がみられなかったことから,肩関節機能障害を有する場合,上肢の肢位に関わらず平衡反応を発揮できない可能性がある。本研究から,肩関節疾患患者でも動的バランスの低下から傷害の発生リスクが高まる可能性があり,バランス改善を促すアプローチの必要性が示唆される。
著者
斎藤 剛史 大森 茂樹 河原 常郎 倉林 準 八並 光信
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集 (ISSN:18848699)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.44-44, 2010

【目的】本研究は手関節と前腕における前腕回内外、手関節掌背屈の姿勢変化について、明らかにする事を目的とした.【対象】対象は前腕及び手関節に既往がない健常成人とした.【方法】前腕と手の姿勢変化について、3次元動作解析装置を用いて、6自由度で計測を行った.運動課題は肘関節90度屈曲位で、前腕回内外運動、前腕回内外中間位、最大回内位、最大回外位の各3肢位で手関節掌屈、背屈運動を施行した.【結果】前腕の回内位では、手関節背屈に比し、掌屈の方が明らかに大きいと言えた.また、手関節の掌屈角度は、前腕回内位に比して、回外位でより大きくなった.【考察】上肢全体の柔軟性を考える際には前腕の肢位を考慮した上で、日常生活動作や上肢機能の評価を行う必要があることが示唆された.
著者
小田 正秀 大角 直行 中林 邦子 宮城 昌治 森本 進 坂木 慎司 有馬 隆 今田 愛子 遠藤 邦彦 土江 健也 森本 克廣 小松 昭紀
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.694-705, 2002-07-15
参考文献数
34
被引用文献数
2

<b>目的</b> 高校生の喫煙の実態を把握するとともに,歯科医師による喫煙防止教育の効果を検討することを目的とした。<br/><b>方法</b> 広島市内の某男子校の高校生1,003名を対象とした。歯科医師による喫煙防止教育講演の前後に無記名による自記式アンケート調査を行った。また,歯科医師による歯科健康診査を別途行った。<br/><b>成績</b> 喫煙経験者率,喫煙者率ともに,高学年ほど高い値を示した。<br/> クラブ活動をしていない群では学年が上がると喫煙者率が増加した。<br/> 喫煙が及ぼす健康影響についての知識では,肺がんが最も多く,歯周病がそれに次いで多かった。<br/> 歯科医師による喫煙防止教育講演前後で行ったアンケート調査成績から,「家族がたばこを吸っているのを見てやめた方がいい」と答えた生徒は講演前の55.9%から講演後の62.2%と6.3ポイントの増加がみられた。<br/> 教育講演で印象に残った内容では,がんの写真,歯への影響の話,バージャー病があげられた。<br/><b>結論</b> 高校生に喫煙防止教育を行う場合には,がんの写真,バージャー病の写真と歯への影響の話が印象的であると考えられ,歯科医師による教育の必要性が認められた。
著者
森 滋勝
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.817-824, 1990-06-01 (Released:2010-05-07)
参考文献数
59

最近の流動層“工学”の進歩を述べなければならないのだが,ここでは,最近の研究と技術開発について現在注目を集めているテーマを例として取り上げ,その成果と課題を紹介する.鞭,森,堀尾による“流動層の反応工学”が刊行されてから既に5年余りが経過した.本書の1・2節で,流動層の歴史を4期に分け,“第3期で流動化現象を覆っていた未知のベールはほぼ取り除かれ,粒子分散系の挙動の総合的解明に大きな一歩を踏み出したのが現在の第4期である.”と述べたが,その後,流動化粒子や操作条件の拡大にともない,新しいベールに包まれたより一般的な粒子分散系の解明に向けてますます盛んに研究が行われている.この間に,特集記事や成書が刊行された.流動層に関する第4~6回の国際会議も開催され,それぞれのプロシーディングが刊行されている.さらに特筆されるのは,新しく循環流動層だけについての国際会議が既に2回開催されたことで,第3回が1990年10月に名古屋で開催されることになっている.新しい研究の展開に大きな影響を与えたのは,この間もやはり流動層技術の新たな展開であった.1980年代に入って1970年代の世界を巻き込んだエネルギー問題も石油価格の低下により一応鎮静化した.しかし,流動層燃焼技術の開発は研究費の削減などの逆風にもかかわらず大きな進展を見た.特に,新しい燃焼技術として登場した循環流動層燃焼装置(CFBC)は,中規模用ボイラーとしてヨーロッパにおいて大成功を納め,その後,米国やアジアにおいても主に産業用ボイラーとして急速に導入されている.このCFBCの成功により,循環流動層(CFB)に関する研究がいっせいに展開され,国際会議が開催されるまでになったのである.一方,エネルギー問題に続いて主に我が国において起こったファインセラミックスをはじめとする新素材ブームは,流動層を使用した化学気相成長法(CVD)等の新しい反応器の開発やサブミクロン等の微細粒子の流動化に関する研究の強い推進力となっている.さらに,石油製品のいっそうの白物化に対応するため,より重質な油分が処理できる流動層接触分解プロセス(FCC)の開発や,高度な環境保全に対応できる下水汚泥の焼却,廃棄物や都市塵芥の燃焼とエネルギー利用プラントの開発等は,流動層に対してより高度で精密な設計と操作を要求し,詳細な基礎研究がますます重要になっている.また,最近では石油化学製品の好調な需要に支えられて各種の新しい触媒反応器の大型化や建設が計画されており,一部では既に稼働しはじめているが,今後の動向は世界的な経済情勢の動向に大きくかかわっている.鉄鋼分野では,既に読者の方々もよく御承知のように,溶融還元プロセスのための流動層を用いた鉄鉱石の予備還元炉の開発が推進されている.ここでは,まず流動化現象に関する最近の研究として,循環流動層と微細粒子の流動化を取り上げその現状と課題を紹介する.次に,最近の流動層技術の展開の例として,FCCプロセス,燃焼プロセス,新素材製造技術を取り上げ,最近の展開を紹介する.
著者
金森 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.923-928, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

我々はプロバイオティクスとプレバイオティクスを併用するシンバイオティクス療法を1997年から重症小児外科疾患患児に応用してきた。これは、Bifidobacterium breve Yakult 株とLactobacillus casei Shirota 株の二種類のプロバイオティクスとガラクトオリゴ糖を用いる方法で、この治療により異常な腸内細菌叢を有した患児の腸内細菌叢を改善し、腸炎の頻度を低下させて患児の栄養状態を改善することが可能であった。最近では、重症患児において早期から上記二種類のプロバイオティクスと母乳を併用する予防的シンバイオティクス療法をおこなって、患児の腸内細菌叢をいち早く正常に誘導し、成長を促す試みをおこない、良好な結果を得ている。本稿では、予防的プロバイオティクス療法の実際を症例で提示し、その効果をもたらす理論的背景について解説する。