著者
中村 稔 小森 敦正 石橋 大海
出版者
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の新しい病型分類と長期予後診断法の確立のために、全国のPBC症例を対象として、血清自己抗体の測定、HLA-DRB1 typing、免疫関連分子や胆汁酸代謝に関連した遺伝子多型の解析を行った。PBC発症の危険因子としてHLA-DRB1*0803、CTLA4 SNPs、門脈圧亢進症進行の危険因子として抗gp210抗体、抗セントロメア抗体、CTLA4 SNPs、HLA-DRB1*1502と*0901、 肝不全進行のバイオマーカーとして抗gp210抗体、MDR3やintegrin・VのSNPsなどが同定された。これらの中で特に抗gp210抗体の肝不全進行への相対危険度は30倍と高く、抗gp210抗体をバイオマーカーとして用いたPBCの治療が可能となった。また、遺伝子レベルからも、PBCを抗gp210抗体陽性型の進行と抗セントロメア抗体陽性型の進行に分類することの妥当性が示唆された。
著者
高浦 勝義 河合 久 有本 昌弘 清水 克彦 松尾 知明 山森 光陽
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、従来の標準テストに代わる新たな評価法としてのポートフォリオ評価(portfolio assessment)に着目し、その理論的検討を行うとともに実践レベルにおける具体化方策を探ることを目的にした。その結果、理論面においては、問題解決評価観なる新たな評価観を提唱し、このもとで(1)指導と評価の一体化、(2)自己学習力の向上及び、(3)保護者等外部への説明責任に向けた評価という3つの評価のねらいを同時に、かつ統一的に実現するための基本モデルを開発した。また、実践レベルにおいては、これら(1)〜(3)の基本モデルの具体化のために、公立小・中学校からの研究協力を得ながら、すべての教科、道徳、特別活動において「生きる力」より導かれた評価の4観点(「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」)を基にルーブリック(rubric)を含む単元指導計画を作成するとともに、授業と評価の実際に取り組んだ。
著者
才藤 栄一 木村 彰男 矢守 茂 森 ひろみ 出江 紳一 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.121-124, 1986-05-18
被引用文献数
15

嚥下障害の治療指向的評価法としてvideofluorography 検査を26例の機能的嚥下障害が疑われた患者に施行し, 嚥下障害のリハビリアプローチ上, 重要な-むせの意義, 体位の影響, 食物形態の影響-について検討した.誤嚥とむせは, 約3分の1の症例で相関せず, むせのないことが安全な嚥下とはいえなかった.体位では従来, 体幹垂直位が推奨されてきたが, 体幹後屈位の方が誤嚥の程度が軽く, より嚥下しやすい体位であった.食物形態については, 固形物は口腔期障害を増悪し、咽頭期障害(誤嚥)を軽減した.
著者
長岡 鋭 坂本 隆一 斎藤 公明 堤 正博 森内 茂
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.309-315, 1988 (Released:2010-02-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3 6

In order to clarify the diminution characteristics of terrestrial gamma ray exposure rate due to snow cover, measurements were performed on the ground with and without snow cover. The diminution factors observed were 0.36-0.17 for 12-23g/cm2 of water equivalent of the snow cover. According to a calculation by the Monte Carlo method, the corresponding diminution factors were 0.32-0.16. They agreed well as a whole, while the fluctuation of the diminution factors based on the measured exposure rate were fairly large. The fluctuation is deemed to be due to the inhomogeneity in the distribution of the snow cover as well as the gamma ray field. The fluctuation is expected to decrease with increase in the degree of their homogeneity.
著者
北畑 歩 雨宮 聡 山本 美智雄 大日向 純子 沖 潤一 藤枝 憲二 引地 泰一 森 文彦
出版者
小児愛育協会
雑誌
臨床小児医学 (ISSN:0035550X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-22, 2004-04
被引用文献数
2

著者版7歳2カ月男児,5歳8カ月女児.皮膚症状や骨折,頭蓋内出血を伴わない眼症状のみの被虐待児症候群の兄妹例を報告した.兄は6歳4カ月時に右白内障手術を受けたが,術後1カ月半に新たな右の水晶体偏位を認め,妹にも同側の白内障,網膜剥離および眼窩周囲の出血斑が確認された.兄妹とも同側の眼外傷を呈したため,虐待による眼症状と判断し,児童相談所で一時保護となった.本症例は,母の育児不適切のため乳児期から地元の保健師・児童相談所・母子通園センターが関わって在宅指導を行っていたにもかかわらず,眼症状の発生を防ぐことができず,介入の困難さを再確認した
著者
坪井 潤一 森田 健太郎 JUN-ICHI TSUBOI KENTARO MORITA 北海道大学大学院水産科学研究科:(現)山梨県水産技術センター 東京大学海洋研究所:(現)(独)水産総合研究センター北海道区水産研究所 Graduate School of Fisheries Sciences Hokkaido University:(Present address) Yamanashi Fisheries Technology Center Ocean Research Institute University of Tokyo:(Present address) Hokkaido National Fisheries Research Institute Fisheries Research Agency
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.365-367, 2004-05-15
参考文献数
17
被引用文献数
4

釣られやすさの種間差を明らかにすることは, 天然個体群保全や放流指針策定において重要である。本研究では, 野生化したニジマスと天然のイワナが生息する自然河川において餌釣りとフライフィッシングを行い, 釣られやすさの種間差を比較した。その結果, 餌釣りではイワナの方がニジマスよりも釣られやすかったが, 逆にフライフィッシングではニジマスの方がイワナよりも釣られやすかった。放流直後のニジマスは非常に釣られやすいと考えられてきたが, 自然水域に馴化した個体や再生産された個体では, 釣られにくくなることが示唆された。
著者
礒田 博子 安部 征雄 東 照雄 中村 徹 藤村 達人 永木 正和 宮崎 均 中村 幸治 繁森 英幸
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

北アフリカ乾燥地域を対象に生物資源・遺伝子資源関連情報収集・機能解析、生態環境調査を行なった。その結果、百数種類のアロマ植物、7種類のオリーブオイルおよびオリーブ葉抽出物の抗ガン、抗アレルギー、神経保護、美白、育毛活性を発見した。研究成果関連学術論文発表35編、国外・国内特許出願6件、国際・国内学会発表25件、シンポジウム開催1回、現地調査13回、データベース構築・公開などの活動を行った。
著者
武田 育郎 西野 吉彦 深田 耕太郎 佐藤 裕和 宗村 広昭 森 也寸志
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

自然水域の底質とともに存在する鉄バクテリア集積物は,リン吸着能を持つ鉄化合物を多く含むので,リン資源の循環利用に重要な役割を果たすことができる。しかしながら自然水域の鉄バクテリア集積物は,容易に水流によって流されてしまう事,また,嫌気性の泥を含む底質からの収集が困難である事などから,有効な利用が行われていない。本研究では,鉄バクテリア集積物を収集する担体を水中に浸漬させ,鉄バクテリア集積物をリン酸肥料又はリン吸着材として利用できる形態で効率的に収集する方法の開発を行った。
著者
森田 果
出版者
商事法務
雑誌
エヌ・ビー・エル (ISSN:02879670)
巻号頁・発行日
no.849, pp.35-43, 2007-01-15
著者
森 美穂子 堤 明純 高木 勝 重本 亨 三橋 睦子 石井 敦子 名切 信 五嶋 佳子 石竹 達也
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 = Journal of occupational health (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.113-118, 2005-05-20
参考文献数
13

交代勤務経験の有無と退職後の生活の質,特に睡眠の質との関連性を明らかにするために,ある製造会社の退職者777名を対象に質問紙調査を行った.質問内容は,既往歴,現在の健康状態,食習慣,アルコール,喫煙,運動,睡眠,在職中の勤務状況(職種,交代勤務経験,交代勤務経験年数,副業),現在の就業状況,社会参加,学歴,性別,年齢,退職後の年数であった.「現在の健康状態(オッズ比4,318,95%信頼区間2.475-7.534)」「交代勤務経験(2.190,1.211-3.953)」「現在の就業状況(1,913,1.155-3.167)」「食習慣(1.653,1.055-2.591)」が多変量解析によって退職後の睡眠障害と有意に関連した.退職後の睡眠障害を防ぐには正しいライフスタイル,良好な健康状態を保つことが,特に交代勤務経験者において大切である.
著者
佐藤 茂 森田 重人
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

カーネーションでは,雌ずいで生成するエチレンが花の老化の「スターターエチレン」として働いている.本研究では,雌ずいのエチレン生成誘導因子がアブシシン酸(ABA)であることを,切り花の寿命の異なる3品種のカーネーションを用いてABA含量の変動,及びABA生合成と作用の鍵遺伝子の発現を調べて実証した.また,開花と老化を制御する薬剤の作用の解析を行い,ピリジンジカルボン酸が,スプレーカーネーションの老化を抑制すると共に蕾の開花を速めること,および本来開花せずに寿命を終わる蕾の開花を誘導することを発見し,この薬剤を「夢の薬剤」として提案した.
著者
亀井 利久 内海 要三 森武 洋 戸田 耕司 鈴木 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1149-1158, 2002-12-01
被引用文献数
24

マイクロ波・ミリ波帯における可変遅延線などのアダプティブデバイスへの液晶の応用を目的に,5種類のネマティック液晶の複素誘電率と電圧印加に対する応答時間を測定した.誘電率については,液晶分子長軸が高周波電界と平行のときの比誘電率の実数部ε´_//と垂直のときの比誘電率ε´_⊥を,またtanδについてもtanδ_//,tanδ_⊥を求めた.これら液晶の誘電特性の測定においては,10kHz〜13MHzについては,ラビング処理を行ったITOガラスにサンドイッチされた液晶セルのキャパシタンスとコンダクタンスを直接測る方法を用い,100MHz〜40GHzについては,長さの異なる2本の同軸管に液晶を充てんし,それぞれの群遅延量及び伝送損失の差から求めるカットバック法を新しく提案している.低周波領域における誘電緩和を確認するとともに,特に3〜40GHzにおいては連続的な周波数変化に対応する形で誘電特性を示した.その結果ε´_//は3,ε´_⊥は2.5程度の値で周波数に依存せずほぼ一定となり,二つの配向方向による誘電率の差である△ε´は材料によって0.4から0.8と大きな差異を示し,最適材料選択の重要な指針となることがわかった.また,偏光方向を平行に配置した2枚の偏光子の間に液晶セルを配置し,He-Neレーザ(632.8nm)を液晶セルに照射し,透過光をホトダイオードで検出する方法で応答時間の測定を行い,液晶をアダプティブデバイスに用いたときの高速性について検討を行った.更に,二つのネマティック液晶の測定結果を用い,20,30,40GHzにおける可変遅延線の設計についての考察を行い,具体的な液晶材料選択の指針を与えた.