著者
横山 さつき 大橋 明 土谷 彩喜恵 海老 諭香 福地 潮人 堅田 明義
出版者
人間福祉学会
雑誌
人間福祉学会誌 (ISSN:13465821)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.39-48, 2022 (Released:2022-06-03)

高齢者介護に従事する介護職の倫理的行動に影響すると推定される共感的反応・行動の因子構造を明らかにす ることを目的として、A県下の特別養護老人ホームと介護老人保健施設(総数270施設)のうちの76施設(総数の28.1%) の介護職全数(3,142名)を対象として、独自作成の94項目から成る無記名自記式質問紙調査を実施した。有効標本 1,161(有効回答率40.0%)のデータを用いて探索的因子分析をした結果、20項目から成る 6 因子構造を抽出した。 6 因子の Cronbach’sα係数は.852~.934(全体.904)で、各因子の内的整合性が認められた。 6 因子を、「 1.ネガティ ブな感情の共有」、「 2.インテグリティ」、「 3.他者感情に対する敏感性」、「 4.協調性・融和性」、「 5.ポジティブな感 情の共有」、「 6.他者視点取得と共感的関心」と命名した。いずれも介護職の共感的反応・行動として解釈可能であり、 内容的に妥当であると考えられた。また、「インテグリティ」と「協調性・融和性」は介護職独自の因子であった。
著者
小出 裕之 浅井 知浩 畑中 剣太朗 清水 広介 横山 昌幸 石田 竜弘 際田 弘志 奥 直人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.12, pp.1445-1451, 2009-12-01 (Released:2009-12-01)
参考文献数
21
被引用文献数
10 12

Liposomes modified with polyethylene glycol (PEG) can stably exist in the bloodstream because the PEG on the liposomes attracts a water shell to the liposomal surface. Since these liposomes are long circulating nanocarriers, they are used as drug and gene delivery tools. Repeat injection of PEGylated liposomes, however, is known to induce the accelerated blood clearance (ABC) phenomenon. In the ABC phenomenon, PEGylated liposomes that are injected subsequent to the first injection are cleared rapidly from the bloodstream and accumulate in the liver, resulting in loss of their long-circulating characteristics. The induction of ABC phenomenon is related to the production of anti-PEG IgM from splenic B cells. To elucidate the mechanism of the phenomenon, we firstly examined the relationship between the induction of ABC phenomenon and the concentration of PEGylated liposomes, and observed that the high dose of those did not induce the phenomenon. Next, we investigated whether polymeric micelles trigger ABC phenomenon or not. Finally, the size-dependency of ABC phenomenon was investigated by use of variously sized PEGylated liposomes and polymeric micelles having PEG chains. Our data suggest that the initiation of ABC phenomenon would be size-dependent, and particles smaller than 30 nm did not induce ABC phenomenon. We anticipate that the elucidation of the ABC phenomenon will be helpful for the development of DDS formulations.
著者
横山 洋子 茂木 精一郎
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

全身性強皮症は、皮膚および内臓臓器の線維化、血管異常、免疫異常(自己抗体)を特徴とする原因不明の自己免疫性疾患である。我々は、間葉系幹細胞(MSC)から分泌されるエクソソームの膜に多く存在するMFG-E8が皮膚線維化の抑制機序の一部に関わると考え、MSC由来エクソソームおよびエクソソームに含まれるMFG-E8が強皮症の皮膚線維化に関与するのかどうかについて、MSC由来エクソソームおよびMFG-E8 WT/KOマウス由来MSCから産生されるエクソソームを強皮症マウスモデル(ブレオマイシン誘導皮膚線維化マウス、Tight skinマウス)に投与し、皮膚線維化への影響を明らかにする。
著者
斎藤 寛樹 横山 光
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

腰痛は有症率・再発率が非常に高く、休職等により労働生産力を減少させ、 医療費の増大に大きく寄与する。しかし腰痛を起こし得る異常な運動様式については未だ明らかになっていない。筋シナジーとは筋活動の集合体のことであり、ヒトの複雑な動きの運動制御機構を反映していると考えられている。本研究では、慢性腰痛の原因となる筋シナジーを明らかにすることで病状の変化や治療効果の指標となるバイオマーカーの開発を目指す。
著者
星野 由維 筒山 将之 杉本 博行 小林 大介 横山 裕之 望月 能成 谷口 健次
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.692-700, 2022-11-01 (Released:2022-11-30)
参考文献数
36

症例は85歳の男性で,腹痛・嘔吐を主訴に前医を受診し,小腸閉塞の診断で保存的加療を行ったが食事摂取で再燃を繰り返したため,精査・加療目的に当院に紹介受診となった.腹部ダイナミックCTにて,空腸に造影効果を伴う壁肥厚とその口側の腸管拡張を認め,空腸腫瘍とそれに伴う腸閉塞と診断した.寛解・増悪を繰り返す腸閉塞を認めており,手術適応と判断し腹腔鏡下小腸部分切除術と所属リンパ節郭清を施行した.術後病理検査にて小腸組織内に膵腺房組織を認め異所性膵が存在し,異所性膵組織の一部と連続性を持って異型細胞を認め異所性膵癌と診断した.根治切除可能であったが,術後2か月で多発肝転移・腹腔内リンパ節再発を認め,S-1内服を継続し現在も外来通院中である.今回,術前診断が困難な小腸異所性膵癌の1例を経験したので報告する.
著者
坂田 敢海 岡村 遼 横山 拓 勝本 雄一朗
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.31-33, 2022-08-25

本研究は、腱駆動によって髪が逆立つフィギュア・超変シーンを制作した。アニメや漫画などの架空作品では、しばしば変身という表現が登場する。この変身を再現した玩具として、人型のものは少ない。そこで私たちは、漫画「ドラゴンボール」の孫悟空の変身をモチーフに、頭髪が逆立つ瞬間を機械機構をもちいて胸像化した。実現にあたっては、ロボットハンド研究における腱駆動を参照した。本発表では、超変シーンのデザインプロセスについて説明する。
著者
横山 幸浩
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.181-185, 2022-10-15 (Released:2022-11-15)
参考文献数
7

高度侵襲消化器外科手術では,術後感染性合併症の制御が大きな課題である.臨床の現場では,画像検査などで明らかな感染のフォーカスがなく,血液培養検査でも細菌が検出されていないのにもかかわらず,熱発や炎症反応高値が見られることをよく経験する.おそらくこの病態の多くが,あるいは少なくとも一部は血液培養で検出されない程度の微量の細菌が血中に存在する潜在的菌血症であると推測される.われわれは少なくとも消化器外科手術においては,その原因の多くが手術侵襲に伴う腸内細菌叢の乱れや,腸管バリア機能の破綻により宿主の腸内細菌が血液中やリンパ液中に入り込むことによる潜在的バクテリアルトランスロケーション(OB‐T,occult‐bacterial translocation)であると考えている.本稿では,高度侵襲消化器外科手術を受ける患者を対象に行ったO‐BTに関するいくつかの臨床研究の結果を紹介し,その臨床的意義および今後の課題について概説する.
著者
伊藤 博之 筈井 俊輔 平澤 哲 山田 仁一郎 横山 恵子
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.11-24, 2021-03-15 (Released:2022-12-01)

企業家研究は多元的な概念の発展を通して興隆してきたが、シュンペーターが当初描いた、意志の力を伴って創造的破壊に突き進むという企業家像よりも,富やイノベーション創出のための道具的存在としての企業家像が敷衍している。これに対して、本論文は、フーコーのパレーシア概念を援用することで、「既存の体制と異なる真理を語り、勇気をもって、リスクを冒し挑戦するという企業家の生き方」を「パレーシアステースとしての企業家」と捉える。小倉昌男の事例研究を通して、企業家的真理ゲームとして展開される企業家活動の政治的・倫理的実践のあり方を明らかにする。
著者
横山 真太郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.347-355, 1978 (Released:2008-02-26)
参考文献数
56

北海道に生育した群(HK群)とそれ以外の群(非HK群)から成る被験者について,至適環境から寒冷環境移行に伴なう shivering による局所筋産熱と循環機能の心拍数変化を検討した。心拍数評価では,諸家の報告の検討を経て,それが冷刺激による副交感神経性の抑制と産熱の酸素消費増大に伴なう運動時と同様な交感神経性と思われる促進との拮抗関係の上に成り立ち,下降は個体全身にとって軽度の,上昇は重度の寒冷環境条件に対応していると考えるに至った。その観点に立って両群の寒冷適応の異同の説明を試みた。筋電図による局所筋産熱の評価では今回の設定条件においてHK群は体幹部のみを中心に増大していること,及び非HK群ではHK群と同様なグループと体幹部並びに下肢部の筋に増大がみられるグループに分かれ,両群には差異が存在することが明らかとなった。併せて,軽度と重度との間の心拍数の変動に関して,至適時に比して余り変化のない場合と増加状態へ転ずる場合の違いは,shivering が体幹部のみならず四肢部特に下肢部の巨大な筋にまで波及しているか否かによると考えられ,寒冷環境下の心拍数変化の意味付けが深まった。
著者
菊地 良介 金 貞姫 鈴木 敦夫 度會 理佳 横山 覚 齋藤 尚二 八木 哲也 松下 正
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.546-553, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の補助診断法として血清学的診断法が期待されている。抗SARS-CoV-2抗体試薬は,SARS-CoV-2のspike protein S1 domain(S)とnucleocapsid protein(N)に対する抗体を検出する2種類に大別される。今回我々は,COVID-19と診断された症例の経時的試料を用いて,SとN抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬の検証を行った。S抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は,EUROIMMUN S-IgA,IgG試薬とVITROS S-total,IgG試薬を使用した。N抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は,ARCHITECT N-試薬とcobas N-試薬を使用した。その結果,来院時点(第X病日)からEUROIMMUN S-IgA試薬によるIgA抗体は陽性であった。第X + 5病日よりVITROS S-total試薬による抗SARS-CoV-2抗体は陽性となり,第X + 8病日よりARCHITECT N-試薬によるIgG抗体は陽性であった。本症例において,S抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は早期より抗SARS-CoV-2抗体が陽転化した。特に,抗SARS-CoV-2 S-IgA抗体はCOVID-19の早期補助診断に有用な可能性が示唆された。
著者
月森 隆雄 高木 義幸 横山 昌 一井 翔 大村 匡弘 伊藤 政之
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.581-584, 2019 (Released:2019-03-25)
参考文献数
2

薄膜平滑なアルミ光輝材を塗装した金属調意匠は自動車メーカー各社で最高級グレードに位置づけられているが、光輝材分布の不均一による色ムラで到達意匠に限界があった。本稿では蒸着アルミ光輝材等の超薄膜光輝材を用いた場合でも色ムラなく極めて高い金属感が得られる次世代型自動車用水性塗料開発について報告する。
著者
相馬 ゆめ 横山 実紀 中澤 高師 辰巳 智行 大沼 進
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.11-23, 2022-09-15 (Released:2022-09-23)
参考文献数
26
被引用文献数
1

An enormous amount of removed soils were produced by the decontaminated works derived from the Fukushima nuclear power plant accident. Public understanding and dialogues are required to realize the final disposal of the removed soils. This study contemplated the plural principles of common goods surrounding the removed soils. A group discussion experiment was conducted, setting three arguing points. Before the experiment, the Discourse Quality Index (DQI) was developed to visualize the discussion qualities by plural evaluators, which was confirmed the validity showing sufficient matching rates between the evaluators. Results of the experiment by the analysis of DQI score showed that statements from the points of Utilitarianism were observed the most, while the statements from maximin were fewer. However, many decisions of the groups gave priority to the inequity alleviation and the maximin principles.
著者
宮川 俊夫 渡辺 信 横山 明 黒田 貴一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.168-172, 1972-06-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

The light fading rate of magenta dye, 4-aza-(p-diethyl-aminophenyl)-pheny1-3-methyl-pyrazole-5-one, was studied. The dye was prepared by the method of coupling development, and extracted from the reaction product. Then, it was dispersed into a cellulose acetate film.According with spectral fading of the dye, absorptions of 270 nm and 540 nm contributed to the fading reaction each other, but 440 nm did not.The kinetic expression of fading rate for 540 nm light was as follows.-dC/dt= (K/C0)ΔI·CK: rate constant Co: initial concentration of the dyeI: absorbed light C: concentration of the dye
著者
横山 聖美
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.55-64, 2015-08-31

わが国の医療機関で行われるグリーフサポートへの示唆を得ることを目的に研修に参加した。アメリカのホスピス・緩和ケアの中でグリーフサポートは保険適応されており、医師、ソーシャルワーカー、チャプレン、ボランティアなど多職種が担っていた。アメリカでは、人種や宗教の多様性から、様々な対象特性に合わせた遺族のためのサポートグループが継続的に開催されており、遺族が自ら選び取れるシステムになっていた。わが国の医療機関で行われるグリーフサポートを主に担っているのは臨床看護師であるが、専属業務ではなく、遺族の多様なニーズに対応できていない現状がある。また、グリーフサポートに関わる専門的な教育システムや、専門職種が不足していることも課題である。本研修を通して、わが国におけるグリーフサポートを誰が担うことが適切なのかを含めた検討と共に、現在グリーフサポートを担っている臨床看護師への教育的支援の必要性が示唆された。