著者
赤崎 正一 戸田 ツトム 寺門 孝之 橋本 英治 Shoichi AKAZAKI Tztom TODA Takayuki TERAKADO Eiji HASHIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2010
巻号頁・発行日
2010-11-24

現代アートの表現手法は多様であり、その記録のための「アートブック」も様々な形式がある。また近年、アートの世界では言語表現・文字記号表現を含むものの重要性が増している。したがって従来の画像類の掲載・再現ではすまない記録法が求められている。本研究では考察されることの稀だった文字・組版表現とアートの記録について検証を行う。事例として2008年10月29日、ビジュアルデザイン学科による独自開催特別講義「Art /内藤礼」を取り上げる。その繊細を極めた表現で国際的に活躍している美術科・内藤礼氏は、また寡黙な作家としても知られている。この特別講義は、自らの作品を語ることにきわめて稀な作家自身の言葉の貴重な記録となった。そうした内藤氏の表現の内実に対応した「本」をつくりあげることが本研究の課題であった。2009年12月、それは単行本「内藤礼〈母型〉」として刊行された。戸田ツトム教授の全面デザインによるこの単行本化の作業は、そうした高度なデザイン課題への挑戦でもあり、また現代デザインの隘路たる「デザインの消滅を企図するデザイン」への回答とも位置づけられるものとなった。作家の言葉の背後に広がる深い世界をいかに組版と図版により読者に伝えうるかという、デザインの試行である。As means of expression in contemporary art are diversied, art books as a medium for recording art also take many different styles. On the other hand, linguistic and character expressions have recently become increasingly important in the art scene.In this context, there should be a new means of recording art that goes beyond the simple presentation of graphic images in the conventional art books. This course studied typographic and compositional expression in art books as a medium for recording art.The course focused on exploring "Art / Rei Naito," a special lecture presented by Department of Visual Design on October 29, 2008.Rei Naito is an artist whose refined sensitivity is highly reputed in the world. She is also renowned for being taciturn about her work. The lecture was a very rare opportunity in which the artist talked about her art. The purpose of this course was to make a "book" that reflects the essence of her artistic expression.The book, Naito Rei <Bokei>, was published in December 2009. Designed entirely by Professor Tsutomu Toda, the whole process of making this book was a challenge to an advanced design issue as well as an answer to the "design intended to vanish design," an aporia in contemporary design.
著者
倉田 信彦 蜂須賀 丈博 栃木 宏介 鹿野 敏雄 橋本 好正 森 敏宏
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.569-577, 2016-06-01 (Released:2016-06-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

腎移植後に悪性腫瘍の罹患率が上昇することがわかってきたが,手術や周術期管理に関する報告は少なく,周術期の最適な免疫抑制療法,腎機能への影響,術後合併症などはわかっていない.我々は腎移植患者における直腸癌3例,膵腫瘍1例(1例は同時性重複腫瘍)の手術を経験した.周術期に経口摂取が不可能となる消化器癌手術であっても,免疫抑制剤を周術期は静注とし,術後早期に経口へと切り替えることで,特に腎機能を悪化させずに管理可能であった.ステロイド長期内服に伴う創傷治癒遅延,縫合不全などは大きな問題とならなかったが,1例に回盲部炎,クロストリジウム腸炎を認め,免疫抑制剤が関与している可能性があった.感染に対しては,より慎重かつ迅速に対応する必要がある.また,通常とは異なる術後合併症が起こる可能性があるため,移植医療に従事していない科が手術を担当している場合は,密に連携をとって周術期管理を行うべきである.
著者
橋本 斉
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.p112-125, 1994-05
著者
橋本 直樹
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.114-118, 2011-06-30 (Released:2013-12-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1

脾摘後症例は,肺炎球菌を中心とした莢膜保有菌により重症感染症に罹患しやすくoverwhelming postsplenectomy infection(以下OPSI)として知られている.急激な臨床経過と高い死亡率のため治療法よりもむしろ予防に重点がおかれ,肺炎球菌ワクチンの接種,抗菌薬の予防的投与などが臨床的に推奨されている.欧米においては,OPSIの予防のため脾摘後患者に対する肺炎球菌ワクチンのガイドラインは普及している.しかし,我が国では,ITPに対するガイドラインのみであり,また脾摘後患者に対するアンケート調査においても,肺炎球菌ワクチンの投与はほとんどされていなかったのが現状であり,いまだ我が国においては,欧米のように脾摘後患者に対する肺炎球菌ワクチンのガイドラインが普及しておらず,早急に消化器病医,消化器外科医,救急医が中心になり,欧米のようなガイドラインの作成が急務のように思われる.
著者
石原 久代 橋本 令子 内藤 章江 井澤 尚子 成田 巳代子 橘 喬子 芦澤 昌子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.244, 2011

目 的 社会において色は重要な情報伝達手段であるが、色弱者への配慮は一部を除いてほとんどされていない。特に衣服は、コーディネートの観点から色そのものを把握する必要がある。そこで、我々は色弱者に配慮した衣服の色表示を提案するために、これまで色票を用いて色弱者の色認識や色弱模擬フィルタを用いた判別、色名の認知について検討してきた。本報では衣服の色を想定して布地の色の認識について実験を行い、検討した。方 法 試料は、前報の結果から選出した125色に「色覚の多様性に配慮した案内・サイン・図表等用のカラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」の20色を加えた145色の綿ブロードを用いた。被験者は、正常色覚者14名、色弱者6名、色弱模擬フィルタを装着した正常色覚者7名で、実験は各試料の色名を回答させる方法で行った。色名はJISの基本色名に推奨配色セットの色名を加えた赤・黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫、白、灰、黒、茶、ピンク、水色、肌色、紺色、クリーム、焦げ茶、ねずみ色、空色、ベージュの23語とし、付与できる修飾語は、うすい、濃い、明るい、暗い、鮮やかなの5語とした。結果及び考察 色弱者は、正常色覚者や色弱模擬フィルタ装着者に比べ、修飾語の使用率が高かった。修飾語について正常色覚者は「うすい」を多く用いているのに対して、色弱者は「明るい」「鮮やかな」の使用率が高く、模擬フィルタ装着者は「暗い」が多かった。色名について、色弱者はピンクや赤紫の使用が多かった。また、色弱者には本来識別しにくいとされる赤や橙、緑、青緑などの使用率も正常色覚者や色弱模擬フィルタ装着者より多く使われた。なお、色名の選択については色弱模擬フィルタ装着者について有意な差が認められた。
著者
高原 光恵 津田 芳見 橋本 俊顕 成瀬 進
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.58-63, 2009

We examined the gaze point of adults who didn't have the symptoms of dyslexia when looking at a child's handwritten characters. Subjects were 14 adults, and half of them were teachers. They looked at 10 photo images that showed a boy writing characters, hiragana and kanji. Their gaze points were analyzed by using an eye tracking system. Three kinds of indices were as follows ; time to first fixation (TFF), fixation length (FL), and fixation counts (FC). The results showed there was no gaze point difference in all indices whether they have an experience as a teacher or not. But there was a difference among the areas as for "TFF" and "FL". Most subjects have a tendency to pay attention early to near the center and the first line. And longer fixation length areas were the final line and the central upper area. These results partly correspond to the preceding research.
著者
橋本 幸成 宇野 彰 水本 豪
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.96-106, 2017-06-15

濁音,半濁音,拗音を表す仮名文字の書字障害を認めた失語症例に対して,キーワードを用いた書字訓練を行った.本症例は漢字の形態想起が困難であったため,仮名単語をキーワードとして用いた.キーワードの語彙特性として,親密度,表記妥当性,および心像性が高い単語を選択した.訓練方法としては,言語聴覚士が1モーラを音声呈示し,症例が呈示された音声をもとにキーワードの音韻列,仮名文字列を想起したうえで,1モーラに対応する仮名文字を書字した.訓練は,ABABデザインによる単一事例実験計画に基づき有効性が認められた.最大13日間という短い訓練期間で濁音,半濁音,拗音表記のすべての仮名文字が書字可能となり,訓練経過後1年半においても仮名書字が実用的であったため訓練効果は維持されていると思われた.
著者
晴佐 久満 鍋嶋 詢三 石垣 薫 橋本 典子 豊田 由賀理
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.100-104, 1985
被引用文献数
8

Mutagenicities of the toothpaste ingredients, which were on the market, were investigated on salmonella typhimurium TA98 and TA100 by the Ames test.<br>The test samples used were four humectants, five binders, three foaming agents, two sweettening agents, four flavouring agents, four preservating agents, four abrasive agents, and ten medicinal ingredients, which were the materials for a toothpaste.<br>As a result of experiments, no mutagenic activity was shown with all samples studied.
著者
橋本 裕蔵
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.35-59, 1997

死刑廃止論が盛んである.実務では,最高裁判所がいわゆる保険金詐取目的殺人等被告事件に関する平成8年9月20日の第二小法廷判決(白建土木3億円保険金殺人事件上告審判決)で共謀共同正犯として第一審及び控訴審で死刑判決を受けた被告人のうち一名につき死刑判決を破棄し無期懲役刑を言い渡して自判し(判時1581号33頁),東京高等裁判所は平成9年5月12日,強制猥褻等の非行により初等少年院送致を受け2年間収容され,その後,別罪の有罪判決の執行猶予中に強姦致傷の犯行に及び刑に服した前歴を持つ被告人が,その後犯した2件の強盗強姦,強盗強姦殺人で第一審裁判所において死刑を言い渡された事件においてこの死刑判決を破棄し無期懲役刑を言い渡している(判時1613号150頁). わが国の死刑制度は寛刑の傾向にある.しかし,この傾向は,単なる寛刑傾向と評するには無理がある.上記東京高裁の事例は凄惨を極める. 他方,死刑廃止論は世界の「潮流」を背景に盛んにその主張を展開している.しかし,その死刑廃止論は「死刑」それ自体の廃止論であり,わが国の死刑制度を前提としてはいない.だが,死刑存廃の問は主権行使と文化の問に直結する. わが国の法状況を前提に,現在展開されている死刑廃止論を批判的に検討し,果たして,死刑はわが国において本当に廃止されなければならないのかどうか.この点を検討する.
著者
尾之上 さくら 橋本 修一 今井 敏夫 丹羽 源男
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.570-585, 1999-12-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
41
被引用文献数
2

アルカリ性ホスファターゼ (ALP) は, 細胞表面のグリコシルホスファチジルイノシトール (GPI) アンカー型タンパク質の一つであり, 骨芽細胞の石灰化と密接に関わっている。本研究では骨芽細胞様細胞株MC3 T3-E1のALP活性量におよぼす培養環境の影響を明らかにするため, この細胞をさまざまな播種密度と継代頻度で培養した。MC3T3-E1細胞を6, 500cells/cmcm2の播種密度で週1回継代培養すると, 130日以上たってもこの細胞 (W1/HD) は高いALP活性と石灰化能を保持していた。しかし1, 300cells/cmcm2の播種密度で, 週2回継代培養すると, この細胞 (W2/LD, W2/HD-LD) は培養50日以内にもとの細胞のもつALP活性と石灰化能のいずれも90%以上を失ってしまっていた。これら形質変化した細胞を130日間培養すると, ALP活性とコンフルエント時の敷石状形態を失ったW2/LDやW2/HD-LD細胞の細胞集団倍加時間とタンパク質生成能はいずれもW1/HD細胞の場合に比べてそれぞれ有意に短くまた低くなった。一方, W2/LDとW2/HD-LD細胞ではもう一つのGPI-アンカー型タンパク質である5'-ヌクレオチダーゼの活性もALP活性の場合と同様にW1/HD細胞の酵素活性の1/10以下にまで減少していた。しかしW2/LDやW2/HD-LD細胞の酸性ホスファターゼとβ-グルクロニダーゼ活性はW1/HD細胞に比べ逆に有意に増加していた。培養環境により誘導されるこれら細胞の形質変化は, 培養した培地中の生物学的因子や電離放射線の照射に起因するものではなかった。これらの結果から, MC3T3-E1細胞は高頻度・低密度の播種による継代培養を行うと, MC3T3-E1細胞の骨芽細胞様の特性からGPI-アンカー型酵素活性と石灰化能が特異的に失われることが示唆された。
著者
橋本 和明
出版者
京都産業大学通信制大学院経済学研究会
雑誌
京都産業大学経済学レビュー (ISSN:21880697)
巻号頁・発行日
no.1, pp.105-144, 2014-03

2006~2011 年度の中核市の生活保護費(扶助費)及び児童扶養手当(扶助費)の地方交付税の算入不足は、生活保護費は2006 年度に64 億円余りに達したが、2011 年度には逆に26億円余りの算入過大となり、児童扶養手当は2006 年度に48 億円余りに達したが、2009 年度以降算入不足は解消され、2011 年度には9億円余りの算入過大となった。しかし、各団体間の算入過不足の格差は解消されておらず、その要因を分析した結果、生活保護費は、各扶助費の費目毎に設定された扶助別単価が実単価と乖離するほど算入過不足が発生することが実証され、児童扶養手当は、密度補正に用いる単価が本来の地方負担分の単価よりも低く設定されていることで支給者数の多寡が適切に反映されないとともに、所得制限による一部支給者と全部支給者の差による団体間の単価差も格差の要因であることが判明した。地方交付税は地方公共団体の一般財源であり、各団体によりその多寡が生ずるのはやむを得ないことであるが、生活保護費や児童扶養手当のようにその事務執行に裁量の余地が乏しいものは、可能な限り算入過不足が発生しないように算定がなされるべきである。
著者
橋本 治夫
出版者
奈良学芸大学国語国文研究会
雑誌
文学研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-22, 1955-12-01
著者
中村 真里 中村 康雄 林 豊彦 福田 登 駒井 正彦 橋本 淳 信原 克哉 Chao Edmund Y.
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
no.16, pp.13-25, 2002-06-25
被引用文献数
9 4

Baseball pitching involves a complicated and rapid movement that has been investigated to prevent injuries and to improve the pitching performance. It is difficult to assess the pitching motion with high accuracy and a high sampling rate, due to the limitations of preexistent camera systems. The current camera system, however, has enough capacity to measure pitching motions with high accuracy and a high sampling rate. We have been diagnosing shoulder joint injuries caused by pitching. The patients (N=939) felt pain during the pitching sequence as follows: top position (32.5%), maximum external rotation (27.2%), and ball release (14.5%). Hence the top position is one of the most important postures to investigate the mechanisms of shoulder joint injury in pitchers. There have been no studies that focused on the top position, however. The main purpose of this study was to develop a system to assess the pitching motion accurately. Another purpose was to estimate the instant of the top position and evaluate the kinematics of the shoulder and elbow joints. Pitching movement was assessed using a motion capture system (ProReflex MCU500, Qualisys Inc., Sweden) in a studio that has an official pitcher's mound and home base. This system can record the positions of reflective markers at 500 Hz using seven CCD cameras. Thirty-two markers were mounted on the joints and body landmarks of each subject. Two markers were mounted on the ball. The pitching motions of eleven subjects were assessed, after a period for warm up. Kinematics parameters were calculated using three-axis gyroscopic Euler angle. The instant of the top position was observed for all subjects before the lead foot touched the ground. The interval from the top position to ball release was 0.242±0.0438 [s] (n=11). The subjects were divided into two groups by the type of posture at the instant of the top position, as follows: internal rotation group (n=5), 11.8±6.08 degrees, and external rotation group (n=6), 38.1±19.97. Other kinematics parameters at the top position were adduction of the shoulder at 74.2±19.84 degrees, horizontal adduction of the shoulder at 37.3±14.10 degrees, and extension of the elbow at 92.1±21.63 degrees. The timing and posture of the estimated top position were almost the same as those of the conventional top position. From the top position to lead foot contact on the pitching sequence, there were three patterns of elbow leading. The three patterns did not depend upon experience. We interpreted them as individual variations.
著者
近松 啓明 金光 高正 橋本 安弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.351-357, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

プロキラル中心をもつ対称ジケトンに含まれる二つのエナンチオトピックなカルボニル基のうち,その一方のみを選択的に還元できれば基質の全量を一つの光学活性体に変えることが理論的に可能である。このような観点に基づいて,微生物の立体選択性を生かして8a-メチル-cis-2,7-デカリンジオン[4]の不斉変換を試みた。Rhodotorula rubra によって[4]は容易に還元され,ジアステレオマーである2種のケトール(生成比4:1)となる。これらはアセタート[6],[8]として分離精製したのち,加水分解して(+)-ケトール[5](収率54%,光学純度88%)と(-)-ケトール[7](収率13%,光学純度93%)を得た。(-)-ケトール[7]は(+)-(1R,3R,6S,8R)-6-メチル-4-ツイスタノン[10]に導くことによって(4aR,7S,8aS)-7β-ヒドロキジ-8aβ-メチル-cis-2-デカロンと決めた。一方,(+)-ケトール[5]は,そのヒドロキシル基の反転反応によって(+)-[7]を与えるので(4aS,7S,8aR)-7α-ヒドキシ-8aβ-メチル-cis-2-デカロンである。ロよって,R.rubraによる[4]の還元では基質中の二つのエナンチオトピックなカルボニル基のうちpro-S側が優先的に還元されることがわかる。また,ケトン[10]のWolff-Kishner還元により(+)-1-メチルツイスタン[11]が得られた。かご型炭化水素[11]の光学活性体が[4]から簡単な経路によって合成できることを示した。
著者
岡谷 恵子 小野田 舞 柏木 聖代 角田 直枝 川添 高志 小西 美和子 斎藤 大輔 澤柳 ユカリ 重富 杏子 任 和子 橋本 幸
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.559-563, 2021-07-10

救急外来を受診する高齢患者の約半数は入院に至らずに帰宅する患者である。これらの患者が再受診や予定外の入院をすることなく,住み慣れた場所で生活の質を維持しながら療養を継続するためには,初回受診時に帰宅後の生活を見据えた医療機関と地域・在宅での療養をつなぐ統合的な療養生活支援が必要である。 日本看護管理学会では,2022(令和4)年度の診療報酬改定に向けて,「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」への評価を要望する。これは上述の療養生活支援の役割を外来看護師が担うことへの診療報酬上の評価を求めるものである。救急医療の限られた資源を適切に活用することにもつながり,病院経営上,組織運営上の効果も大きいと思われる。 本稿では要望作成に当たった検討委員会の立場から,要望の目的と意義を述べる。