著者
北澤 正志 橋本 美香 國弘 保明 根来 麻子
出版者
川崎医療福祉学会
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.165-173, 2019

社会変動の激しい現代社会においては,確かな情報収集と論理的思考力に基づく課題解決能力の育成が重視されている.こうした学力の育成に,高等学校の学習指導要領で示されている「論理の構成や展開を工夫し,論拠に基づいて自分の考えをまとめること」という意見文の学習は有効である.「書くこと」に関する学習活動は「思考力,判断力,表現力」を鍛え,課題解決に対する資質・能力の向上に繋がる.しかし,大学に入学した時点では,主体的に情報収集を行うという姿勢が身についておらず,事実と意見を区別する表現さえあいまいである.そこで,本稿では,高等学校の「書くこと」に関する学習活動について,具体的にどういう点に課題があるのかを明らかにすることを目的とした.このための方法として,本学の必修科目「文章表現」の受講者を対象としてアンケートを実施し,高等学校の「書くこと」に関する指導の現状と学生の実態を分析した.その結果,高等学校においては,主体的な情報収集,客観性の高い資料に基づいて書くという経験が少ないことが明らかとなった.このことから,大学の初年次教育においては,こうした現状をふまえて指導しなければならないことが示唆された.また,課題解決能力の育成のためには,高等学校の「書くこと」の学習活動における情報収集から推敲にいたるまでの学習過程を具体的に構成する必要があるという今後の課題が明らかとなった.
著者
日本応用地質学会平成20年岩手・宮城内陸地震調査団 橋本 修一 千木良 雅弘 中筋 章人 日外 勝仁 亀谷 裕志 野崎 保 森 一司 高見 智之 菖蒲 幸男 小林 俊樹 山本 佑介
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.98-108, 2009-06-10
参考文献数
11
被引用文献数
6 5

平成20年6月14日朝,岩手県内陸南部を震源としてM7.2の地震が発生した.震源域の山地では,地中で1G超の加速度,地表で2mを超える隆起など大きな地盤変動が観測され,巨大な斜面崩壊や多くの河道閉塞が発生するなど,大小さまざまな規模の地盤災害が多発した.これらの地盤災害を理解するには,地質,地質構造および岩盤特性を正しく把握する必要があるものと考えられた.日本応用地質学会は災害実態を把握するために災害調査団を組織し,9月中旬に第一次現地調査を行い,その概要を平成20年度研究発表会(10月31日横浜)および学会誌(Vol.49,No.6)で速報し,その内容は同学会ホームページに公開している.本報告は,上記現地調査結果を中心にして,調査地区の特徴的な斜面災害状況を記載し,その発生の過程・メカニズムについて現段階までの知見を加えて考察したものである.
著者
田中 里奈 橋本 禅 星野 敏 清水 夏樹
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Special_Issue, pp.299-304, 2014-11-20 (Released:2015-11-21)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

In this study, we conducted a qualitative research to investigate how regional living conditions affect residents' subjective well-being. We did interviews with 21 people who lived in Suzu city, a rural area located at the northern edge of the Noto peninsula, Japan. A series of interviews was recorded and was transcribed after the interviews for coding and analysis. By coding the transcribed scripts, we found some common regional factors which affect residents' well-being. In general, factors related to natural capital and time usage have positive affect to well-being. On the other hand, factors related to social capital have both positive and negative influences to well-being while factors related to physical capital have mainly negative influences on well-being. These results suggest that we should add some regional factors reflecting characteristics of rural life when we conduct questionnaire survey to investigate residents' well-being in rural area.
著者
橋本 靖
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第52回大会
巻号頁・発行日
pp.24, 2008 (Released:2008-07-21)

イチヤクソウ属植物は,菌従属栄養植物とされるシャクジョウソウ亜科と近縁な仲間で,生育環境も同様に光の少ない森林の林床である.一方,イチヤクソウ属の多くの種は,常緑の厚い緑の葉を持ち,比較的大きなコロニーを形成して生活することが出来る.そこで,イチヤクソウ属植物と共生菌の関係を,種子の共生発芽から親個体の菌根菌まで調べ,彼らの生存戦略と菌従属栄養性について考察した.種子の埋設実験を様々な環境下で行った結果,若齢カバノキ林でのみで発芽が確認され,親コロニーが存在する成熟林や,森林成立前の調査地では発芽が見られなかった.また,調べた全ての発芽実生から同一種の菌根菌が検出され,発芽時の菌パートナーは極めて特異的で,他の菌従属栄養植物と同じ傾向と考えられた.一方で,イチヤクソウ属の親個体の菌根菌は,様々な科・属にまたがる多様な種の菌が出現し,菌従属栄養植物で見られる,菌根菌パートナーとの特異的関係は見られず,また,その菌根菌の多くが,生育森林内の優占樹木の外生菌根菌と同じ種によって占められていた.つまり,イチヤクソウ属は生育環境に応じて周囲の菌と菌根を形成し,かつ周辺樹木と菌の共有を可能にしていると考えられた.さらに,イチヤクソウ属の葉の安定同位体自然存在比を,周囲の他の植物種と比較したところ,一部の群落で菌従属栄養性を示唆する値が示された.また,ポットを使った13Cトレース実験の結果,ベニバナイチヤクソウ葉から菌根菌経由での樹木光合成産物の移動が示唆された一方,検出された13Cの量は多くなかった.これらの結果は,本植物の菌従属栄養性の存在を間接・直接的に示すが,それへの依存度は高くないと考えられた.以上から,イチヤクソウ属植物は,種子発芽時には厳密な菌への特異性を持つことで,発芽適地の選択が可能となり,逆に親個体では,菌への特異性を低くすることで,周辺環境の変化への対応が可能になり,また,各森林の外生菌根菌糸ネットワークに接続できると推察される.イチヤクソウ属植物の生存戦略において,菌従属栄養性への依存度は高くはないが,共生菌の存在は重要な働きを持つと思われた.
著者
芳賀 嘉久 荻野 祥樹 大橋 秀一 味戸 忠春 橋本 和典 沢田 拓士
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.115-120, 1997-02-25
参考文献数
24

Actinobacillus pleuropneumoniaeの溶血性菌体外毒素であるA. pleuropneumoniae RTX-toxin I(Apx I)およびApx IIの防御効果を豚で評価した. 供試したヘモリジンは, A. pleuropneumoniae血清型1, HA-337株の培養上清から, Apx IおよびApx IIの両方を認識する単クローン抗体をリガンドに用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製した. 精製ヘモリジンにリン酸アルミニウムゲルアジュバントを混合したワクチンを4頭の豚に注射した. 対照群の4頭にはプラセボーを投与した. 溶血中和抗体は, ブースター注射後ワクチン接種群にのみ認められた. 同一菌株での噴霧攻撃後, 4頭の対照豚のうちの1頭が死亡した. 生残した3頭も重度の肺炎症状を呈し, 剖検時にはこれらの豚に広範囲に及ぶ肺病変が認められた. 対照的に, ワクチン接種群に死亡豚はなかった. 攻撃後, 2頭のワクチン接種豚に一過性の発熱だけが観察された. 剖検時に, 本群の2頭の肺にわずかな限局した病変が認められたが, 残りの2頭には肺病変はまったく認められなかった. これらの結果から, Apx IおよびApx IIから成るヘモリジンワクチンは, 血清型1に起因する豚胸膜肺炎に対して有効な防御活性を有することが示された.
著者
小林 文男 橋本 学 柴田 巌
出版者
広島大学平和科学研究センター
雑誌
広島平和科学 (ISSN:03863565)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.41-84, 1993

The purpose of this paper is to verify differences of the 'Peace Declarations' delivered in Hiroshima and Nagasaki in August 1993. Needless to say, both these 'Declarations' appealed the total abolition of nuclear weapons and complete disarmament in the earth. But, in practice, there were so many differences of content between them. The authors sent out questionnaires for 311 members of Hiroshima university students. The question is 'As to the 'Peace Declarations' made in Hiroshima and Nagasaki in 1993. Which 'Declaration' do you feel sympathy for Hiroshima's or Nagasaki's ? And give your reasons for choosing it'. As a result, Nagasaki 'Peace Declaration' proved to have far higher opinions of the subjects than Hiroshima. The main reasons are as follows: (1) It was easier to understand 'Peace Declaration' of Nagasaki than of Hiroshima. (2) Hitoshi Motoshirna, the Mayor of Nagasaki,admitted that Japan had aggressed the Asian countries from 1910 to 1945, showed more friendly attitude to these countries than Takashi Hiraoka, the Mayor of Hiroshima. Nagasaki 'Peace Declarations' have had higher opinions than Hiroshima since the authors began this investigation on 1990. However, the 'Declaration' of Nagasaki in 1993 have more faults than the past 3 years beyond doubt. Because the support rate against it have come down than before. The faults are as follows: (1) The Nagasaki 'Declaration' never mentioned 'PKO' (Peace Keeping Operation) which Japan come up against now. (2) The Nagasaki 'Declaration' didn't definite the concreate compensation and assistance to non-Japanese victims of Atomic Bomb.
著者
亀岡 慎一 礒田 修平 橋本 篤 伊藤 良栄 宮本 哲 和田 弦己 渡辺 直樹 亀岡 孝治
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-25, 2017

<p>高品質ワイン生産を目的とした最適ブドウ栽培管理のためには,ワイン用ブドウ栽培における科学的な理解に基づいた栽培環境の長期的なモニタリングが必要と考えられる.本研究ではワイン用ブドウ圃場の既設無線センサネットワーク(WSN)のシステム更新を行い,WSNによる圃場の生育環境情報取得と,生産者がその栽培環境情報を栽培に活かせるようなWebアプリケーション開発を行った.システムに関しては,無線規格の2.4 GHz帯からWi-SUN規格に準ずる920 MHz帯への変更とウェザーステーション・土壌水分センサの変更を伴う無線ネットワークシステムの抜本的な更新を行い,WSNからのデータ取得では,共通基盤クラウドを経由した圃場生育環境情報取得による観測項目名と単位名の標準化を行った.また,隣接して設置した気象庁の検定付きウェザーステーションのデータと比較することで,ウェザーステーションデータの精度検定を行った.開発したWebアプリケーションでは,栽培管理に有効な生育環境情報の二次栽培指標である有効積算温度(AGDD),Growing Season Temperature(GST),Coolnight Index(CI),Heliothermal Index(HI),Biologically Effective Degree-Days(BEDD),Dryness Index(DI)を求めることにより,科学的根拠に基づいた栽培管理に寄与する定量的指標の提供を可能とした.</p>
著者
今西 信幸 橋本 宗明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.211, pp.31-33, 2015-05

2011年に東京薬科大学の理事長に就任し、臨床教育を充実させるために大学附属薬局を開設するなど、改革を推し進めてきた今西信幸氏。第100回薬剤師国家試験について印象を聞くと、「ナイスジャッジ」とのコメントが返ってきた。そう評価する理由、大学改革の方…
著者
村川 徳昭 橋本 浩 大嶋 重則 豊田 幹夫 松木 明知 尾山 力
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.291-294, 1986

フルニトラゼパム+ブプレノルフィンによるNLA変法の副腎皮質機能に及ぼす影響について, 16~74歳の男女30人を対象とし, 開腹術群12人と非開腹術群18人の2群に分けて各々血漿コルチゾール濃度を指標として検討した. チオペンタール, サクシニルコリンで麻酔導入後, フルニトラゼパム20&mu;g/kg, ブプレノルフィン3&mu;g/kgを静注し, 70%笑気と30%酸素にて麻酔を維持した. 必要に応じて, パンクロニウム, d-Tcを投与した. 血漿コルチゾール濃度は本法自体により変化しなかったが、手術後漸増し麻酔覚醒時には最高値となった. 開腹術群に比べて非開腹術群では血漿コルチゾール濃度の上昇は少なく, 両群間の侵襲度の大小が原因と考えられた.
著者
橋本 道範
出版者
史学会 ; 1889-
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.986-1002, 2020-06
著者
橋本 英典
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部弘報
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.9-10, 1975-03

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