著者
杉木 翔太 喜熨斗 智也 羽田 克彦 櫻井 勝 原 貴大 武田 唯 中川 洸志 田中 秀治
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-44, 2021-06-15 (Released:2023-06-08)
参考文献数
13

【目的】群衆密集度が高い状況や,複数階を有する建築物において自動体外式除細動器(automated external defibrillator,以下AEDと略す)が到着するまでの時間の関連性を検討すること。【方法】模擬傷病者発生場所とAED設置場所の往復200mの道程にて,混雑群(10m四方に70名以上)と閑散群(10m四方に10名以下)のAED取得に要する時間を測定し,両群の往復時間について,t検定を用いて比較した。また,1階から6階までの階段にて,模擬傷病者発生場所からAED設置場所までの往復時間を各階層で計測した。【結果】混雑群は往復平均時間が有意に延伸した(混雑群 vs 閑散群;127.8±10.6秒 vs 102.7±6.5秒,p<0.001)。また,階層が上がるほど往復平均時間は延伸したが,いずれの階も往復2分以内にAEDの確保が可能であった。【結語】群衆密集度や上下の移動は,AED到着までの時間に影響を及ぼすため,高い群衆密集度が予想される場合やAEDを設置する建築物を考慮して,AEDの戦略的な配置が重要であると考える。
著者
星野 宏司 角田 和彦 佐々木 敏 蓑内 豊 武田 秀勝
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-53, 2013 (Released:2018-02-08)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Alpine skiers require both aerobic and anaerobic capacity particularly for knee extension and flexion muscle strength. As for most all athletes, lactic acid removal is of utmost importance. In past studies, athletes from various disciplines have had their anaerobic power test measured using the power max VⅡ, but these studies were limited to only three parameters: body weight per peak power(watt/kg);peak revolution(rpm);and peak weight load(kp).However, the data generated was not very useful for elucidating discipline specific characteristics. With that in mind, we felt it necessary to search for more meaningful parameters that could possibly distinguish between speed and strength type muscle power and their relative contributions for peak performance in a range of disciplines. We studied such parameters in alpine skiers and found that they do indeed provide extremely useful data that can be used to better fine tune their training regimen. This study consisted of 97 subjects in three categories: ALP; 32 alpine skiers, XC; 39 cross-country skiers, and a control group of 28 fit but not athletically competitive adults. The average max power outputs for each group were as follows: ALP group 14.8±1.5watt, XC group 13.9±1.4watt, CONT group 13.1±1.5; anoxia values for the power tests anoxia characteristics are not shown as the results are obvious(ALP>XC>CONT). The observed strength to speed ratios varied significantly among the three groups: ALP>XC>CONT, with only the CONT ratio being below 1. This suggests that for alpine skiers the best training regimen should focus heavily on developing power in strength type muscles.
著者
田中 恵 武田 真輝 小野 雅代 種田 遥美 古谷 陽一
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-94, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
20

【目的】骨盤位に対する鍼灸治療の効果と安全性を検討する目的で、当科における骨盤位の矯正率および有害事象を調査したので報告する。 【対象と方法】対象は当院の産婦人科で骨盤位と診断され、20XX-9年4月1日から20XX年10月31日までの期間に鍼灸治療を受療した妊婦とした。対象妊婦を診療録で後ろ向きに調査した。主な調査項目は、鍼灸開始時の妊婦の状態(切迫早産の有無)、施術姿位(座位もしくは側臥位)、鍼灸後に頭位になった率、経膣分娩の率、および有害事象の発生状況とした。矯正率は鍼灸後に頭位になった率と定義した。有害事象の定義は「因果関係を問わず治療中または治療後に発生した好ましくない医学的事象」とした。 【結果】対象の妊婦は371名。鍼灸開始時に切迫早産と診断されていた妊婦は57名、そのうち21名は入院中の切迫早産妊婦だった。施術姿位は座位が45.2%(168例)、側臥位が54.7%(203例)であった。骨盤位矯正率は72.2%(268例/371例)であった。鍼灸開始時に入院中の切迫早産妊婦では矯正率が28.6%(6例/21例)と、外来通院の妊婦に比べて有意に低かった。施術姿位による矯正率は座位と左側臥位との間に有意差を認めず、左側臥位での施術では迷走神経反射の有害事象が見られなかった。施術回数あたりの有害事象発生頻度は1.1%(21件/1916回)、症例数あたりでは5.7%(21件/371症例)であった。因果関係の明らかではない破水2件が見られた。 【結論】妊婦における安全な施術姿位は左側臥位と考えられた。有害事象はほとんどが軽症または中等度のものであったが、因果関係の明らかではない2例の破水がみられた。骨盤位矯正の鍼灸治療を実施する際には、主治医の産科医と十分に連携をとる必要がある。
著者
武田 志乃
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

劣化ウラン弾汚染や原子力エネルギーが再注目されていることなどを背景に、ウランの生体影響研究の必要性が生じている。ウランの組織局在性と組織障害との関係は十分に理解されておらず、ウランの生体影響評価に資する科学的根拠は乏しい。本研究では、ナノビームを用いた新たなウラン測定手法を確立し、これを用いてウラン蓄積と毒性発現の関係を調べた。ウランは腎臓の下流部位の近位尿細管に選択的に蓄積し毒性を生じること、そのウラン局在量は投与量の500倍以上に匹敵し、標的細胞においては高濃度にウランが濃集していることが明らかとなった。
著者
田中 美郷 芦野 聡子 小山 由美 吉田 有子 針谷 しげ子 熊川 孝三 武田 英彦
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.153-162, 2013-04-28 (Released:2013-09-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1

新生児聴覚スクリーニングで難聴が疑われ, 1歳頃より難聴が進行した自閉症スペクトラム障碍及び重度知的障碍を伴う難聴児に3歳11か月時人工内耳を装着させた。本児は聾学校へ入る前から手話を導入した言語教育を受けてきた。本児は現在12歳に達したが, 現在のコミュニケーションは聴覚的言語理解は発達しつつあるものの言語表出は専ら手話である。本児は一時期聴覚過敏症があって人工内耳を拒否するようになった。しかし現在はこれを克服して人工内耳を常用している。本児は社会生活を送る上で必要なskillを実体験を重ねて身に付けつつある。これには両親の熱意はもちろん, 地域社会のいろいろな分野の機関や人々の支援があった。両親は我々のアドバイスにも耳を傾けて, 各方面に働きかけてこの体制を築いてきた。この努力の成果として, 言語発達も含めて社会的経験も積んで本児になりに豊かに育ちつつある。
著者
武田 道寛 西野 智哉 滝沢 志絵 櫻井 馨士 若井 慎二郎 守田 誠司 中川 儀英 猪口 貞樹
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.326-328, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
11

浸水性肺水腫 (immersion pulmonary edema, 以下IPE) は, 本邦での報告例はいまだ少ないため認知度が低い。症例は既往のない50歳代女性で, 潜水中に呼吸困難を自覚し救急要請された。救急隊接触時の動脈血酸素飽和度は80% (室内気) であり, 来院時は両側肺野に水泡音を聴取し, 重度の低酸素血症と肺水腫を呈していた。心電図, 心臓超音波検査では心原性を示唆する所見は認めなかった。意識清明であったため, 非侵襲的陽圧換気 (noninvasive positive pressure ventilation, 以下NPPV) による治療を開始したところ速やかに自覚症状と酸素化は改善した。チョークスや動脈空気塞栓症を疑う所見に乏しく, また海水誤嚥のエピソードもなかったため, IPEの可能性が高いと考えられた。
著者
楊 若琛 劉 書昊 趙 建曄 武田 史朗 章 俊華
出版者
Center for Environmental Information Science
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
pp.150-155, 2022-11-30 (Released:2022-12-05)
参考文献数
14

本研究では、世界遺産の首里城を例として、Web スクレイピングによる日本語、中国語及び英語の旅行口コミを収集し、テキストマイニングを通して、国内外の観光客の首里城に対する認識、観光動機と着目点を明らかにした。その結果、観光客は日中文化を表す首里城に高い満足度を持っていることが分かった。しかし、数年間続けている修復工事による国内観光客は消極的な気持ちを抱いていた。日本人が首里城のスポットをよく知っており、観光方法の選択、観光時期と認識も多様であった。中華圏の人は建築物の配置や文物などに興味を持ち、観光インフラの整備状況を重視していた。英語圏の人は主観的な感想もったり、高い場所から景色を見たりする傾向が強い。
著者
武田 幸子 仲俣 千由紀 渡辺 美代子 小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.117-130, 2015-09-15 (Released:2017-10-19)

Three women engineers discuss on issues: aims of diversity, globalization and diversity, getting the job, a role of a little older mentor, a healthy work-life balance, development of women leaders, women directors enhancing women managers, employment of women engineers and challenges of primary and secondary education.
著者
武田 克浩 佐々木 慎也
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

脳由来神経栄養因子(BDNF)は非外科的歯周治療と併用することで、過度の炎症を抑制し、セメント質や歯周靭帯、歯槽骨などの歯周組織の再生を促進することが示唆された。また、in vivoで認められた炎症制御の機序の一端として、BDNFがマクロファージの活性に及ぼす作用が考えられた。すなわち、BDNFはマクロファージの貪食能を亢進させることで創傷治癒の初期に起炎物質の排除を促進し、歯周組織再生の促進に寄与している可能性が示唆された。
著者
寺西 真聖 筒井 和詩 武田 一哉 藤井 慶輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS15b05, 2022 (Released:2022-07-11)

サッカーは22人の選手とボールが複雑に相互作用する競技である。サッカーの攻撃選手の定量的評価については、ボール保持状態に関する研究が多く、数は少ないがボール非保持状態に関する研究も行われている(例えば[1] Spearman et al. 2018)。しかし、ボールを保持せず、受け取らない攻撃選手の評価が難しく、典型的な(あるいは予測された)動きと比べて、どのように動いたことが得点機会の創出に寄与するかを明らかにすることが難しい。本研究では、軌道予測により生成された基準となる動きを実際の動きと比較して、オフボールの得点機会を創出する選手を評価する。提案手法では、まず正確に選手間の関係性をモデル化し長期軌道予測が可能な、グラフ変分再帰型ニューラルネットワークを用いて軌道予測を行う。次に、ボール非保持状態を評価する既存手法[1]の実データの値と軌道予測の値の差に基づき、基準となる予測された動きと比べて、どのように動いたことが得点機会の創出に寄与したかを評価する。検証では、Jリーグの全18チームとの得点との関連やある1試合の例を用いて、提案手法の評価が直観に合うことを示す。
著者
鈴木 健二 武田 綾
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.660-669, 2013-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

子どもをもつ摂食障害の女性患者が増加して,臨床でどう評価すべきかの課題が出ている.そこで摂食障害の患者の結婚,妊娠,出産,育児について,コントロールの女性と,面接調査による比較研究を行った.対象群は,筆者らが治療を行った子どもをもつ20名の摂食障害患者の女性で,コントロール群は子どもをもつ20名のボランティア女性であった.摂食障害の女性はコントロール群の女性と比較して,妊娠中も過食や嘔吐などの食行動異常は続くことが多く,妊娠で精神状態も悪化し,飲酒や喫煙が多かった.出産時異常に差はなかったが,産後うつ病が多く,育児期の精神状態も悪く,出産後に過食や嘔吐は増加し,子育て不安も強く,子どもへの虐待経験も多かった.また,結婚から出産後までの間に摂食障害が再発した者は30%存在した.結論として,摂食障害の患者は,食行動異常が回復しても,子どもの育児期間を含めての長期間のサポートの必要性があると考えられる.
著者
辺見 卓男 町田 智正 武田 宗矩 北詰 栄里 猪俣 徹 石垣 佳希 荘司 洋文 添野 雄一 出雲 俊之 柳下 寿郎
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.63-70, 2020 (Released:2020-09-22)
参考文献数
27

口腔扁平上皮癌の予後判断に用いられる病理組織学的因子の一つに,浸潤様式分類がある。本邦では口腔癌取扱い規約に収載されているYK分類や,腺癌の予後指標として知られるINF,近年,口腔扁平上皮癌への適応が報告された簇出などがある。一方,AJCC 第8版では,予後に関連する因子としてWPOI-5が新規収載された。本報告ではpT1/T2舌扁平上皮癌を対象として,これら4つの浸潤様式分類に基づく判定結果を比較し,予後指標としての有用性について検討した。4つの浸潤様式分類に基づき3名の口腔病理専門医が独立して判定した。YK-4C,INF c,簇出5個以上,WPOI-5陽性と判定された各群では,その他の判定群と比較し高率に頸部リンパ節転移を生じ,生存率の低下を示した。従って,これら4つの判定は予後不良のリスク因子であると考えられた。一方,YK-4C群,INF c群,簇出5個以上群,WPOI-5陽性群の4群の予後を比較すると頸部リンパ節転移率,生存率に統計学的有意差はみられず,YK分類,INF,簇出,WPOI-5の予後指標としての有用性はほぼ同等であると考えられた。4つの浸潤様式分類における相互関係を検討すると,YK分類,INF,簇出には一定の相関関係が認められ,これら3つの浸潤様式分類とWPOI-5は独立していることが示唆された。同一症例に4つの浸潤様式分類を併用判定すると,YK-4C,INF c,簇出5個以上,WPOI-5陽性の判定が重複する症例が大部分であった。以上よりpT1/T2舌扁平上皮癌に対する予後判断では,浸潤様式分類は複数を併用することが望ましく,実際に併用する場合にはWPOI-5と他の3つの浸潤様式分類のいずれかを組み合わせる方法が有効と考えられた。

1 0 0 0 OA 電子の大きさ

著者
武田 廣
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.136, no.5, pp.265, 2016-05-01 (Released:2016-05-01)

神戸大学長に就任する以前の私の専門は,素粒子実験物理学でした。別名「高エネルギー物理学」とも称せられます。科学技術の発展に伴い,素粒子 (あるいはその複合体) を非常に高いエネルギーに加速できるように
著者
浅尾 裕信 武田 裕司 斉藤 真一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

閉経後肥満症はヒト乳癌のリスク因子の一つであり、脂肪組織由来のエストロゲンがその主な要因と考えられる。膜型インターロイキン21(IL-21)を発現するマウスでは血中エストロゲンや脂肪組織が増加し、乳腺組織の異形成と乳癌が高頻度で発生する。この病態はヒト閉経後乳癌の発症基盤と共通するものがあると考えた。本研究では、IL-21が脂肪組織の増加を介してエストロゲンの産生亢進に至る機構と、その後の乳癌発生へのIL-21の関与を解明することを目的としている。ヒト乳癌発生においてもIL-21の関与が確認できれば、閉経後乳癌発症の予防法の開発が期待される。
著者
大嶋 孝志 小池 隆司 笹野 裕介 高須 清誠 安田 誠 山口 潤一郎 菅 誠治 跡部 真人 外輪 健一郎 滝澤 忍 椴山 儀恵 矢島 知子 宮尾 知幸 小島 諒介 武田 和宏 松原 誠二郎 矢田 陽
出版者
九州大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2021-09-10

本領域研究は、有機合成に破壊的イノベーションを起こすデジタル有機合成(実験科学と情報科学の異分野融合)の基盤を世界に先んじて築くことを目的とし、有機合成の多様性に対応した独自のデジタル化プラットフォーム(PF)を構築する。A01班、A02班、A03班の3班体制で、人工知能(AI)を徹底活用した自動化法(分子構造自動設計、合成経路自動探索、反応条件自動最適化、バッチ→フロー自動変換、自律的自動合成システム)でムダを徹底排除し、革新反応・革新分子創出の超加速化を実現するとともに、自動化法開発の基盤となる、有機化学の機械学習に最適化した本領域独自のデータベース(DB)の構築を行う。