著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。
著者
揚戸 薫 武藤 かおり 阿部 里子 大塚 恵美子
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.25-33, 2016-08-29 (Released:2018-10-22)
参考文献数
9

高次脳機能障害は、本人が病識を持つ事が難しく、「見えない障害」とも言われ、周囲から誤解を受け易いという特徴を持つ。当高次脳機能障害支援センターは、この「見えない障害」の症状を明らかにし、本人、家族、支援者と共有することで、次の支援体系に繋ぐ役割を担う。高次脳機能障害者の生活実態調査ではADLは7割前後が自立しているが、契約・手続きなどの社会参加の自立は1割、金銭管理や調理の自立は2割余りと報告されている。今回、「出産後、家事が上手くいかなくなった。夕飯の支度が夫の帰宅に間に合わない。」という主訴を持つ、脳挫傷の既往がある主婦に対し支援を行った。評価では調理自体には問題はなく、遂行機能障害や注意障害により1日の家事の計画や献立作成に難渋していることが判明した。そこで代償手段を取り入れた結果、それを用いることで徐々に円滑に家事が行える様になり、さらに地域のヘルパー利用に繋ぐ事で「夕飯の支度が夫の帰宅に間に合うようになる」という目標を達成し、家事の一部自立が継続できた。高次脳機能障害者は変化する生活状況への適応の困難を抱える。病院や施設の生活では検出され難い実生活場面での問題点も、脳機能との関係で整理し、リハビリテーション専門職が関わることは、IADLの向上に大きな意味を持つと考える。

1 0 0 0 OA がんの告知

著者
武藤 輝一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.777-783, 1996-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

Truth telling to the cancer patients (TTCP) is a part of informed consent (IC). The name of IC was firstly used in a judgement of the Court of Appeal of California in 1957 and then in Helsinki Declare of the 18th Congress of World Medical Association. The core of IC is “self-determination” in every medical treatment including diagnosis and therapy. Self-determination should be respected to the utmost in TTCP.The rate of TTCP is more than 90% in USA and northern countries of Europe, but slightly higher than 20% in Japan. However, Dr. M. Sasago who is a surgeon of National Cancer Center Hospital in Tokyo has reported the high rater of TTCP (97.1%).In attitude of doctors, devices of manner in TTCP such as a stepwise truth telling are necessary in order to prevent or reduce shock of cancer patients following TTCP. In attitude of cancér patients, they are recommended to have usually their own views of life and thanatopsis or religions to be able to receive TTCP without perturbation.Patient's prepardness confronting to cancer and considerable support of doctor, nurse and family are necessary following TTCP.In conclusion, it is stressed that doctors have to endeavor to tell the truth to the cancer patients considering thinkings of patients and families as possible they can.
著者
吉田 勝美 松田 弘史 武藤 孝司 桜井 治彦 近藤 東郎
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.935-940, 1990-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
19

長期の体重変動が,肥満の健康影響を評価する上で,関心を呼んでいる。体重の増加量が及ぼす健康影響は知られるものの,体重増加の時間的経緯による健康影響については,ほとんど知られていない。本研究の目的は,体重増加の時間的経緯として,増加速度がもたらす健康影響を評価することである。某企業の1,627名男子従業員の中から,次の基準により,解析対象を選択した。選択基準は,以下のごとくである。1)対象者は,少なくとも20回以上の健康診断を受診している。2)対象者は,青年期より7kg以上の体重増加を認める。上記の基準により,437名が選択された。対象者の年齢は,46.2±5.1歳(M±S.D.)であった。体重の増加速度により,対象者を以下の3群に分けた。急速体重増加群は,5年間に5kg以上の増加を認めた者であり,167名が分類された。緩徐体重増加群は,5年間に5kg未満の体重増加を認めた者であり,212名が分類された。観察期間中に,一時的な体重減少を認めた残りの58名は,その他の群として,以下の解析から除外した。現時点の比体重を補正したMantel-Haenszel odds比は,空腹時血糖の有所見(110mg/dl以上)に関して,急速体重増加群で有意に高かった。また,体重増加速度以外の要因を含めたロジスティック解析の結果では,空腹時血糖の有所見に関するロジスティック式に,年齢とともに体重増加速度が取り込まれ,体重増加速度のodds比は,2.86(95%C.I.:1.35-6.06)であった。血圧,総コレステロール,中性脂肪,尿酸の有所見の発現に関して,体重増加の有意な関係は認めなかった。以上より,青年期から7kg以上の体重増加を認めた者において,体重増加速度が糖代謝異常の発現に関連していることが示され,体重増加速度が有する健康危険指標の意義が確認された。
著者
武藤 多津郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.849-852, 2011 (Released:2012-01-24)
参考文献数
10

Many researchers now recognize the importance of glycobiological research achievements. Glycoside-containing substances such as proteins (glycoproteins) and lipids (glycosphingolipids) have been involved in many important and essential events for normal life. The production of glycoside residues of the proteins is only partially regulated by the genes. In this talk, I will make a brief description of what glycobiology can influence the future of neurological research arena and how glycoproteins and glycolipids affect the normal biology of the neurons. Furthermore, I will introduce you some evidences that many neurological disorders such as Alzheimer's disease and immune-mediated encephalitis have special relationships with glycobiological abnormalities. I also explain the structures and functions of lipid rafts, caveolae, and glycosynapse and their roles in the intracellular signal transduction and cell motility.

1 0 0 0 明解物語

著者
武藤康史編
出版者
三省堂
巻号頁・発行日
2001
著者
金城 衣良 脇田 夏鈴 植田 真一郎 松下(武藤) 明子
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.3-P-V-1, 2021

<p>【目的】現在世界中で感染拡大しているCOVID-19は呼吸器症状のみならず、血栓症を合併し臓器障害を引き起こす.血栓の形成には様々な要因が存在するが、COVID-19での血栓の原因の一つに、活性化した白血球が細胞外に自身のDNAを放出する細胞外トラップ生成がある.我々は過剰な細胞外トラップ生成の抑制が、血栓による臓器不全を防止できると考え、白血球活性化を抑制するコルヒチンの白血球細胞外トラップ生成に対する効果を検討した.</p><p>【方法】単球系細胞株THP-1をホルボールエステルによりマクロファージ様細胞(Diff.THP-1)に、またはリンパ球様細胞株HL-60をDMSOで好中球様細胞(Diff.HL-60)に分化させたものを使用した.刺激としてTLR9リガンド作用を有するウイルス由来DNAモチーフ、LPSまたはTNFαを用い、刺激4時間での核酸染色試薬Sytox Greenの蛍光により細胞外トラップ生成を、刺激1時間でのwestern blottingによりNFκB p65リン酸化とIκB-α発現をみることで細胞内炎症シグナルを、コルヒチン前処置(1x10<sup>-8</sup>M, 1x10<sup>-6</sup>M)の有無で評価した.</p><p>【結果】Diff.THP-1においてコルヒチン1x10<sup>-8</sup>M前処置はTLR9リガンド、TNFa刺激による細胞外トラップ生成を抑制する傾向がみられ、TLR9リガンド、LPS刺激による炎症シグナル亢進を抑制した.Diff.HL-60においてTLR9リガンド刺激で同様の結果だった.また、コルヒチン1x10<sup>-6</sup>M前処置にはこれらの抑制効果がなかった.</p><p>【結論】コルヒチンは適切な濃度でNFκB経路活性化および細胞外トラップ生成を抑制する.これはCOVID-19の血栓形成による重症化予防にコルヒチンが有効であることを示唆する.</p>
著者
脇田 夏鈴 金城 衣良 植田 真一郎 松下(武藤) 明子
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.3-P-V-5, 2021

<p>【目的】COVID-19が世界的規模で蔓延している現在、その治療薬や重症化予防法の開発は喫緊の課題である.コロナウイルスを含む病原体の多くはエンドサイトーシス(Edcs)で細胞内に侵入し、感染・増殖する.ヒトコロナウイルスはカベオラEdcsで取り込まれることが報告されているが、COVID-19原因ウイルスSARS-CoV-2に関しての知見は少ない.我々はSARS-CoV-2の細胞内侵入経路と、それに対する微小管阻害薬コルヒチン(Col)の効果について細胞を用い検討したので報告する.</p><p>【方法】ヒト単球系細胞株THP-1をマクロファージ様細胞に分化したものをガラス上に播種し、Col (1x10<sup>-8</sup>M, 1x10<sup>-6</sup>M)または溶媒を一晩処置し、カベオラEdcsを生じるコレラトキシンb (CTb)、またはリコンビナントSARS-CoV-2スパイクエンベロープ(Cv2SE)を1時間暴露後固定し、caveolin-1(cav1)またはゴルジ体マーカー(GM130 or Golgin97)と免疫染色し共焦点顕微鏡にて観察した.</p><p>【結果】[CTb 暴露] 溶媒処置では細胞内でcav1および ゴルジと共局在していたことからカベオラEncsを確認した.Col 1x10<sup>-8</sup>M処置は細胞膜上cav1発現部位にCTbは共局在しゴルジとは重ならずEdcs減少を認めた.Col 1x10<sup>-6</sup>M処置もCTbは主に細胞膜上に分布しcav1と共局在したが、ゴルジの細胞内局在が細胞内全体に分散し劇的に変化しており、高濃度Col処置では様々な細胞内シグナル経路の崩壊が起きていることが示唆された.[Cv2SE 暴露] 溶媒処置でゴルジと共局在を認めEdcsを確認した.Col1x10<sup>-8</sup>M処置は共局在が減少しておりEdcsが抑制されていた.ただしcav1とは局在せず、カベオラ以外でのEdcsが示唆された.</p><p>【結論】 SARS-CoV-2は非カベオラ経由Edcsで細胞内に侵入し、臨床用量ColのEdcs減少作用はCOVID-19感染抑制を期待できる.</p>
著者
髙橋 稔 武藤 崇
出版者
広島国際大学心理臨床センター
雑誌
広島国際大学心理臨床センター紀要 (ISSN:13482092)
巻号頁・発行日
no.3, pp.40-47, 2005-03-10

lronic Process Theoryは,思考を意図的に統制しようとするとむしろ逆の効果をもたらされるという現象を説明している。睡眠障者や不眠についてもこの現象が注目され,入眠時の思考統制について検討されはじめた。本研究では,入眠時に浮かぶ思考に対してどのような対処を行っているか調べるために, Harvey (2001)のTCQ-Iにより調査を行った。対象は大学生157名とした。因子分析の結果,思考妨害,思考の再評価,否定的な自己焦点化の3因子が関与していることが明らかになった。さらに,各因子で因子得点を基準に低得点群と高得点群を抽出し,睡眠の諸様相の違いについて検討した。否定的な自己焦点化では,高得点群は低得点群と比較して睡眠の質が低いこと,思考妨害,思考の再評価については,睡眠の質や睡眠リズムに関係がないことが示された。これらの結果から,臨床への応用可能性と今後の課題について討論した。
著者
梅井 凡子 小野 武也 十河 正典 沖 貞明 大塚 彰 大田尾 浩 梶原 博毅 武藤 徳男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.191-195, 2011 (Released:2011-06-07)
参考文献数
17
被引用文献数
4 3

〔目的〕虚血再灌流後の骨格筋の状態を経時的に確認すること.〔対象〕8週齢のWistar系雌性ラット41匹を7群に振り分けた.群わけは正常群と再灌流時間の異なる6群とした.〔方法〕駆血圧300 mmHg,駆血時間90分間で右大腿に駆血を行い異なる時間再灌流を行った.筋萎縮評価にはヒラメ筋相対体重比とヒラメ筋線維横断面短径を用いた.〔結果〕正常と比較し,ヒラメ筋相対体重比は再灌流時間が96時間群で,ヒラメ筋線維横断面短径は再灌流時間が72時間群で,それぞれ有意に減少していた.〔結語〕骨格筋において虚血再灌流後には浮腫が発生するとともに筋萎縮も発生していることが確認できた.
著者
(故) 江口 彌 谷垣 昌敬 武藤 邦夫 土屋 博嗣 後藤 英司 佐藤 俊樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.1102-1108, 1989-11-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
7
被引用文献数
6 7

気相が共存しない状態で, 均一水溶液中の亜硝酸の消失速度を, 288~313Kで測定して, 速度解析を行った.水溶液中での亜硝酸の自己分解は, 既往の気液系で行われた研究で導かれている素過程にしたがって起こるが, 気相が存在しない場合には, 溶解度の小さい生成物である一酸化窒素の放出が抑制され, 気液系では無視できる逆反応の影響が大きくなる.また, 亜硝酸は自己分解で消失するだけではなく, 溶存酸素による液相酸化によっても消失する.この反応系においては, 亜硝酸の自己分解における迅速な第1素過程で生成する一酸化窒素の溶存酸素による液相酸化が律速過程である.以上の考察に基づいて, 溶存酸素が存在する水溶液中における亜硝酸の総括消失速度を, 一酸化窒素の液相酸化速度を考慮して導いた.また, 総括反応速度定数および総括反応平衡定数の温度依存性を明らかにした.
著者
武藤 昌太郎 宮田 貞一 阿部 武
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
造船協會論文集 (ISSN:18842062)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.116, pp.169-183, 1964 (Released:2009-07-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

In recent years, the productivity in shipbuilding has greatly been increased by means of “block” or subassembly method with aid of advanced welding technique and more fruitful results may well be expected through “three dimensional block” method in lieu of conventional flat block method.However, when composing the massive, three dimedsional block is thought of, various problems must be solved such as the accuracy in dimension & shape of block, the area of assembly yard, crane capacity, and lifting pads etc.The present paper is concerned with the three dimensional block method which has been established and placed successfully in use of cargo ship construction in this yard as the first attempt in the ordinary shipyard except the newly built, special shipyard in Denmark.