著者
池田 真一 鈴木 智也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.477, pp.19-24, 2008-01-31
参考文献数
9

自然界の実システムは,一般に各要素がネットワークを構成しており,互いに相互作用して時間発展している.我々はその様子を時系列データとして人手し,システムの理解や将来変動の予測などに利用することができる.例えば経済システムにおいては,ネットワークの構成要素は各企業であり,企業間で相互作用することで,株価変動などの複雑な振る舞いを見せる.このような複雑な株価変動を予測する場合,大企業や中小企業といったノード毎で異なる特徴に応じて,予測難易度や最適な予測モデルが異なる可能性がある.そこで本研究では,実システムを模擬するために,数理モデルとしてスモールワールドネットワークを生成するWSモデルをベースにカオス結合系を構成し,各ノードが生成した時系列データに対して非線形予測を行った.さらに,次数中心性,媒介中心性,近接中心性といった各ノードの特徴と予測精度の関係を調べ,経済システムなどの複雑システムの予測可能性について議論した.
著者
安浦 寛人 佐藤 寿倫 松永 裕介 井上 創造 池田 大輔 石田 浩二 馬場 謙介 吉村 正義 ウッディン モハマッド・メスバ 稲永 俊介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

社会に不可欠になっている「価値」や「信用」を搭載するLSIについて、ディペンダビリティの定義と評価尺度を提案し、その阻害要因の明確化と要因間の関係の解明を行った。また、LSIのディペンダビリティを向上させる対策を提案し、ディペンダブルLSIの設計フローを提示した。独自技術によるICカードを大学の学生証・職員証として発行し、設計から運用まで一貫してディペンダビリティの一万人規模の社会実験を行える環境を実現した。
著者
小澤 正基 渡邉 雅之 佐々木 祐二 三村 均 池田 泰久 大橋 朗 須郷 由美 森田 泰冶 佐伯 盛久 橋本 和幸
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高レベル廃液中で酸素酸イオンTcO4-として存在するTc(Tc-99)回収のための効果的な抽出剤を開発した。新しい配位子(2,2’-メチルイミノビスジオクチルアセトアミドMIDOAは、ジグリコールアミド(DGA)の中央のエーテル結合の部位に窒素を導入した中心骨格を持ち、Tcに対し強力な抽出能を示す。MIDOAは安定で毒性がなく、検査(治療)対象の臓器に無理なく取り込まれるTc (あるいはRe) 錯体を創製できた。クロマトグラフィ分離法による高レベル廃液処理分離プロセスを構築した。中性子捕獲による使用済み核燃料の核分裂生成物の元素変換挙動と創成元素の資源としての利用可能性を評価した。
著者
池田 大樹
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】睡眠短縮(5時間睡眠)時において、自己覚醒が起床直後の睡眠慣性と日中の眠気に及ぼす影響を検討した。【研究方法】自己覚醒習慣のない労働者15名(平均年齢40.5歳,27-49歳)を対象に実験を実施した。実験は、参加者宅での3目間の生活統制(5時間睡眠)と1日の実験室実験からなっていた。生活統制期間は就床前と起床後に主観的・行動的眠気を測定した。また、実験室実験時は、1時間おきに主観的・行動的・生理的な眠気を測定した。なお、生活統制期間中は、毎朝目覚まし覚醒あるいは自己覚醒した。その後、再びもう一方の覚醒方法で自宅での3日間の生活統制と実験室実験を実施した。【研究結果】睡眠短縮により、起床直後や日中に強い眠気が認められた。一方で、自己覚醒すると、目覚まし覚醒した時と比べて、起床後や日中の覚醒度(ヴィジランスパフォーマンス)が高かった。このことから、自己覚醒は覚醒維持能力を高める可能性が示された。【意義】夜型化が進む現代社会において、人々の睡眠時間は減少している。特に労働者の中には、残業や交代制勤務などにより睡眠時間を十分に確保できない者も少なくない。そのようななか、睡眠不足はQOLの低下だけでなく,労働意欲の減退や就労場面での健康と安全を阻害する問題につながる。これに対して、本研究の結果から、自己覚醒は睡眠時間が短い場合でも睡眠慣性や日中の眠気予防に有効であることが示された。
著者
菅野 裕臣 菅原 睦 柳田 賢二 池田 寿美子 ムハメ フセーゾヴィチイマーゾフ ラシド ウマーロヴィチユスーポフ アリ アリーイェヴィチジョン マネ ダヴーロヴィチサヴーロフ マハンベト ジュスーポフ アジズ ジュラーイェフ ブルット インノケンチイェヴィチキム 劉 勲寧
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

クルグズスタンとウズベキスタンのドゥンガン人計4名を日本に招聘してドゥンガン人に関する国際集会を持ったが,これはドゥンガン人研究者の初めての日本訪問であり,これを基礎に日本ドゥンガン研究会が発足することになり,その論集を作成することが出来た.さらに研究組織は上記2国を訪れ,またウズベキスタンのウズベク人,カザク人,高麗人研究者を招聘して,中央アジアの多言語状況についての研究・報告を行った.
著者
野原 稔弘 池田 剛 桜田 忍 金城 順英
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

Incarvillateine (INCA)に関するこれまでの構造活性相関試験より、鎮痛活性発現に必要な基本骨格が明らかとなった。本結果を礎に、芳香環部あるいはアルカロイド部を多彩に変換することに依り、さらに強力な活性物質に導くことができるものと予想される。特にアルカロイド部分単独で強力な活性を有する化合物を本構造に導入することで、さらに活性を増強させることも可能であると考えられる。鎮痛作用発現のために重要な因子の中で、INCAの前駆体と考えられるモノマーのIncarvine Cが殆ど活性を示さなかったことより、特に二量体構造が、その強力な鎮痛活性発現に対して重要な役割を担っていることが示唆された。そこで、INCAと同様の立体構造を有するα型ジフェニルシクロブタンジカルボン酸:α-truxillic acid (TA)、および4,4'-dihydroxy-α-truxillic acid (DHTA)の二種を合成して鎮痛活性を検討した結果、腹腔内投与において、これら両者がホルマリンテストの第二相目の炎症性の疼痛行動を強力に抑制することが明らかとなった。特にDHTAはINCA以上の鎮痛活性を示し、NSAIDsの一般的な投与方法である経口投与においても、市販薬として繁用査されるロキソニンとほぼ同等の鎮痛抗炎症活性を示した。さらに、尿酸結晶を用いたラットの痛風モデルにおける痛みに対しても強力な鎮痛効果を示した。また、DHTAの大量経口投与時における潰瘍の発生は全く認められなかった。さらに多種のTAおよびその誘導体を合成し、鎮痛効果の比較および検討を行なった結果、同二相目における疼痛行動の抑制効果は、シクロブタン環の存在、α型の立体構造、シクロブタン環の遊離カルボン酸の存在、ならびに芳香環上の置換基の種類が重要な因子であることが判明した。
著者
三橋 弘宗 内藤 和明 江崎 保男 大迫 義人 池田 啓 池田 啓
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、国内で最後のコウノトリ生息地となった豊岡盆地の生態系の特性を明らかにするため、生態学的方法と博物館学的方法を用いて、データ解析と分析を行った。生態学的な方法として、円山川の河川高水敷きにおける湿地の再創造に関する操作実験や、行動追跡および冬季における利用実態について市民からの情報を集積して解析を行った。その結果、ワンドを再創造した場所では、魚類個体数は2~5倍に増加するほか、円山川流域全体の約40%の種が生息できることが確認できた。また、野外での詳細な行動追跡データの解析結果では、1)水深15cm以下で畦近くの湿田に集中すること、2)季節によってホームレンジが変化し、夏場が最も広く、冬場が狭いこと、3)河川本流では、潮位の変動によって水深が約40cm以下になると集団利用し、絶対的な水深ではなく、潮位の低下に呼応する傾向があった。博物館学的方法では、全国のコウノトリ標本の把握と分布記録の集積を行い、412地点(721記録)を収集し、生息適地モデルによる解析を行った。その結果、海岸近くの低地および河口干潟の存在が立地の好適性に寄与することが分かった。次に、コウノトリ標本の安定同位体による海起源寄与についての分析を行うために、豊岡市河口域および内陸部においてアオサギ類の羽の炭素・窒素・硫黄の安定同位体分析を行った。しかし、これらの結果では、データ分散があまりに大きく、残念ながら評価には至っていない。これらのアプローチを統合する形で、コウノトリが頻繁に利用する地区において、地域住民の参加による小規模な自然再生を実施した結果、簡便な方法でも両生類の生息密度を回復できることを示し、ツーリズムとしての自然再生への参画可能性について検討した。最後に、こうした取り組みについて、人と自然の博物館において、企画展「コウノトリがいる風景」を開催し、市民から提供を受けた写真資料や収集資料の公開、研究成果の発信を行った。
著者
沢辺 元司 村松 正明 田中 紀子 池田 仁子
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は遺伝子多型解析という最新の手法を用いて、心筋梗塞、脳血管障害などの基礎病態である動脈硬化症の発生に関係する遺伝子を同定する事である。対象症例はセンターで行われた約2,000例の連続病理解剖症例であり、冠状動脈、脳動脈などの全身10動脈の動脈硬化度と各種遺伝子多型の関連を解析した。その結果、炎症性サイトカイン、葉酸代謝に関係する酵素、リポタンパクの遺伝子が動脈硬化症に関係していることを見つけた。
著者
池田 美佐子
出版者
名古屋商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、1世紀以上にわたる近代エジプト議会の展開について、おもに議会議事録を資料とし、その議会議事録と議会機能の発展に注目して考察したものである。議会議事録の分析では、初期の段階から逐語的に議事が記録されており、立憲君主制期議会の議事録はきわめて精緻に議事録の編纂が行われたことを明らかにした。議会の機能については、初期の議会は諮問機関であったものの、限定的ながら近代議会の諸機能を有しており、立憲君主制期の議会では、独立性の高い議会に発展した。さらに、時代の政治環境と議会の活動や機能との密接な関係も明らかとなった。
著者
長谷川 紘司 加藤 伊八 池田 克己 高江洲 義矩 末高 武彦 加藤 熈
出版者
昭和大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

歯周炎予防プログラム作成に当たり最も重要な基礎的知見はその自然史である。岡本、長谷川は各々異なる特性集団にて、同一個体の経年的調査を行った。長谷川の調査ではポケットの変化よりもアタッチメントレベルの変化が大きく、年齢とともに増加し、特に25才以降で顕著であった。またポケットが深い方が浅い方よりもアッタチメントロスがおきやすかった。岡本の調査では、歯周病の進行は個人差、部位差が大きく、高齢者ほど進行が顕著であった。また歯肉炎から歯周炎への変遷を明解にし、若年者からの予防対策が必要である。この観点から、堀内、高江洲は若年者における歯周病変の実態とコホート調査および予防処置の効果について検索した。同時にCPITNの問題点の指摘も行われるとともに、被予防処置群では全体的には指標の改善が見られたことが報告されている。末高、加藤熈は成人の多数集団についてCPITNの調査を行った。その結果、年齢階級が高まるにつれて最大値が高くなり、さらに口腔清掃状態との関連についてその強い相関を報告している。高齢者における歯科的所見について中垣はケースコントロールスタディーで面接法にて報告している。その結果、残存歯は前歯部が、欠損歯は臼歯部に多く、8020達成者においては、若い時期における甘味に対する依存度や間食傾向がその残存歯数に大きく影響していることが示された。岩山は咬合回復可能年齢を検討した結果、50才前半で治療を行うことが安定した臼歯部の咬合支持を維持するのに必要だと示唆した。歯科保健状況については地域差が極めて大きい。これについては加藤伊八が高齢化地区でかつ常勤歯科医師の存在しない離島にて調査し、残存歯が歯科疾患実態調査と比べ著しく悪いことを報告し、現在は口腔衛生指導実施による改善程度について検索している。池田は歯周炎患者の生活習慣・環境と病変の進行程度との関連を調査し、環境要因としては、居住地域、職業、喫煙、飲酒、歯磨き習慣や歯磨き時の出血、宿主要因としては性別、全身健康総合判定などが、歯周病の進展程度と強く関連していることを示唆している。集団保健指導のあり方は、個別指導と異なる点が多くその有効性からの検討が渡邊により実施された。その結果、歯科保健指導は毎月一回、三回行うことが有効であった。宮武は歯科疾患実態調査、国民生活基礎調査、患者調査などの結果を分析し、有所見者率が高率であるにも関わらず、有訴者率が低率であることを指摘した。しかし近年歯周病の有訴者のうち、受療者は43.1%(1986)から59.0%(1992)と増加していた。これは歯科保健事業の拡大の結果とも考えられ、今後さらに進展が期待される。歯周病に対する行動科学的状況について、岩本は自己記入式質問紙(デンタルチェッカー(R))の結果と歯周病の状況に高い関連性を認め、また集団への利用により歯周病の自己確認や予防プログラムの確立への可能性を示唆した。以上の結果より、歯周病予防を行う上では比較的若年者を対象とした方が予防効果が高いと思われた。また歯周病の自己認識も乏しいことから集団を対象とした質問用紙などの利用により、疾病の自己認識を高めていくことも予防を行う上で重要であると思われる。
著者
徐 章 池田 郁雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.557, pp.117-123, 1993
被引用文献数
1

The destructive phenomenon of brittle and fatigue fracture is becoming extremely important in the problem of structures' safety. In this paper, to elucidate the fracture mechanism, it is tested experimentally to explicate the destructive phenomenon of the fractured section and fissure progression occurring due to thermal shock in typical brittle glass materials. Specifically, by the application of the newly developed method of applying electric resistance-vacuum evaporated thin films, it became possible to accurately measure the velocity of fissure propagation and also each block of glass and ceramics. As a result, the maximum velocity of fissure propagation for the glass was approximately 1 500-1 700 m/s and its average velocity was 650 m/s. It is also found that the velocity of fissure propagation in the glass by thermal shock under the condition of adding load by four-points bending is almost approximatrely 3 000 m/s.
著者
山下 美樹 遠藤 孝夫 池田 幸夫 神山 貴弥
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は、東奥義塾における教育の実態を探る為の基本的資料の発掘、並びにその収集という平成16年度の取組みの上に、さらに下記6項目についての資料収集を行った。1.昨年度収集した外人教師ジョン・イング(JHON ING)以外に、東奥義塾草創期からその衰退期にいたる外人教師に関する資料。2.昨年度からの継続として、弘前第二小学(現和徳小学校)の教員の質を裏付ける履歴書、並びに諸資料の発掘。3.弘前第二小学の教員によって組織された「自他楽会」と称する読書会、勉強会にかかわる諸資料の収集。その中には、約600冊に上る「書物」の一覧表、貸出簿等が含まれている。4.地元新聞「東奥日報」における、学校記事を含む明治期の教育関係関連記事に関する全資料。5.明治10年から18年に西津軽郡山田小学校で学んだ成田らくの授業ノート(算数、理科)。6.藤崎村における外人教師ジョン・イング(JHON ING)の動向。特に青年教育(農業指導)に関する資料の発掘。これらの資料は、直接的に、また間接的に東奥義塾における教育の実態を明らかにするものである。なお、本研究成果は平成18年度中に下記8章で構成される図書として広く公に資する予定である。1.福沢諭吉がめざした日本の近代化-窮理に託した福沢の願い-2.藩校「稽古館」から東奥義塾へ-全国にあった文化の原点-3.東奥義塾での革新的な動き-自然科学の授業はかくあるべし-4.天覧授業(授業再現)-明治天皇を仰天させた5人の塾生-5.東奥義塾生海を渡る(留学の記)-私費による留学-6.文学社会(総合学習の精神ここにあり)-これぞ福沢のめざした近代の精神-7.自由民権運動への流れ(東奥義塾党)-東奥義塾の光と陰-8.東奥義塾が果たした役割-地方には地方の意地があり、それが革新的な教育を生む
著者
野村 亨 WOLLNIK H. MEUSER S. ALLARDYCE B. SUNDEL S. 稲村 卓 RAVN H. 中原 弘道 松木 征史 HANSEN G. D'AURIA J.M. 永井 泰樹 篠塚 勉 藤岡 学 和田 道治 池田 伸夫 久保野 茂 川上 宏金 福田 共和 柴田 徳思 片山 一郎 NITSCHKE J.M BARNES C.A. KLUGE W.K. BUCHMANN L. BARMES C.A. MEUSEV S. D´AURIA J.M. SUNDELL C.
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は,原子核反応で生成するさまざまな短寿命の不安定核種を,その場で分離・選別し,さらに加速して二次ビ-ムとして実験に供する技術の開発とそれによる先駆的研究の実施であった。上記の実験技術は,現在世界的に注目されている先端的技術で,原子核物理学と関連基礎科学分野に全く新しい研究手法を導入するものと期待されている。本研究では,以下の研究課題を設定し,東大核研を軸にして,欧米の主な関係大学・研究所と共同開発・研究を実施した。その成果は,国際会議等に発表するとともに,論文として雑誌に報告されている。A.大効率・高分解能オンライン同位体分離器(ISOL)の開発・・・不安定核のその場分離・選別(ア)大効率ISOLイオン源の開発CERN(スイス)とTRIUMF(カナダ)等と共同開発を実施。表面電離型,FEBIAD型,ECR型イオン源を試作し,さまざまな不安定核原子のイオン化効率を測定。その結果を踏まえてイオン源の改良を行った。アルカリ金属元素については40%以上の大効率イオン化に成功した。また,ビ-ムバンチングについても成功した。(イ)超高質量分解能ISOLの光学計算M/ΔM【greater than or similar】20,000のISOLイオン光学系の設計を,東大核研・東北大・ギ-セン大学(独)の共同研究として実施。機械精度や放射線ハンドリングの観点から,そのフィ-ジビリティを検討。その成果は,東大核研の不安定核ビ-ムファシB.不安定核ビ-ムの加速技術の開発(ア)世界の現状の調査・検討不安定核ビ-ムの加速は,唯一例としてベルギ-の新ル-バン大学でサイクロトロンによって試験的に実施されている。そこでの現状を調査の上,CERN(スイス),GANIL(仏),TRIUMF(カナダ)等の加速計画を吟味し,種々の加速器の長所・短所を明らかにした。この結果は次の(イ)に反映されている。(イ)分割同軸型RFQリニアックの開発電荷質量比の極めて小さい,入射エネルギ-の非常に低い重イオンリニアックの設計・開発を東大核研で行った。そのさい,GSI(独)とTRIUMF(カナダ)の研究者に詳細な検討・批判をあおいだ。試作した分割同軸型RFQリニアックは順調に稼動し,世界的な注目を集めている。C.不安定核ビ-ムによる核物理・天体核物理学の研究(ア)レ-ザ-による不安定核の精密核分光GaAs,AlGaInPなどの固体結晶中に, ^<75>Br, ^<114m>In等の不安定核を打ちこみ,レ-ザ-による光ポンピングにより,娘核( ^<75>Seや ^<114>In)のスピン偏極を実現した。固体中の不安定核のスピン偏極は世界的に稀な成功例である。さらに,RADOP法により,娘核の核磁気能率を精密に測定した。これは,CERN(スイス)との共同研究である。(イ)不安定核の天体核反応率の測定東大核研・理研・GANIL(仏)との共同研究として宇宙における重元素合成機構において,不安定核の天体熱核反応に役割の研究を実施。 ^<13>Nの熱核反応率の測定に成功した。上述の研究成果の多くは,平成3年度に開催された国際会議(原子核・原子核衝突に関する第4回会議,於金沢;第2回放射性核ビ-ム国際会議,於新ル-バン大学[ベルギ-];第12回EMIS会議,於仙台等)の招待講演として発表されている。また,国際誌等に論文として報告した。本研究成果は国際的な反響をよび,東大核研の研究プロジェクトにその結果が活用されたばかりでなく,CERN(スイス),TRIUMF(カナダ),LANL(米)等の研究所から共同研究が期待されている。
著者
池田 友美
出版者
兵庫大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

在宅で生活する重症心身障害児(者)の睡眠の問題とその介護者の介護負担感を明らかにした。障害児の睡眠の問題は高率に認め、特に入眠の問題、睡眠の維持の問題、睡眠に関連する運動の問題が多いことがわかった。また、睡眠の問題をもつ児の介護者の介護負担度が高く、睡眠の質が悪いことから、重症心身障害児(者)の睡眠の問題を改善することが課題であることが明らかになった。
著者
相良 建至 寺西 高 池田 伸夫 橋本 正章
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

星の進化シナリオの解明には、低いエネルギーEcm=0.3MeVでの炭素-ヘリウム核融合確率が不可欠であるが、その測定は非常に難しく未だ誰も成功していない。本研究では、世界最厚さの膜無し気体標的を開発し、バックグランドを炭素ビームより15桁低減して、炭素-ヘリウム核融合確率を世界で最も低いEcm=1.5MeVで測定した。我々の目標は、Ecm=0.7MeVまで測定し、結果を外挿してEcm=0.3MeVでの確率を求めることである。その準備研究も行った。
著者
池田 忍 柴 佳世乃 久保 勇 伊東 祐子 亀井 若菜 水野 僚子 土屋 貴裕 成原 有貴 メラニー トレーデ 須賀 隆章 中村 ひの
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、日本の中世の物語絵画、とりわけ多様な知識や情報を共有し伝達する媒体であった絵巻の描写を手がかりに、身分と階層を跨る絵巻制作者と享受者の重層的な世界観を明らかにしようとするものである。本研究では、中世の人々の日常生活、労働、信仰、行事、儀礼、合戦の他、異国や異域、神仏化現の舞台となる「場」(型)を抽出・収集し、そこに描かれた建築や環境、多様な「もの」に、身分差や階層差、ジェンダーの差異がどのように描き分けられ、関連付けられているかを具体的に検証し、物語絵画、とりわけ絵巻という媒体の歴史的特性を明らかにした。