著者
柴田 里程 清水 邦夫 神保 雅一 加藤 剛
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

神経細胞網の発火,心拍,降雨,地震,金融商品の取引発生,店への客の来店など,さまざまな点過程データに共通に適用可能なデータオリエンテッドなモデル構築手法を開発するとともに,ひとつのモデルライブラリーとして蓄積した.また,適切なデータ取得に必要な実験計画,データ解析をトータルにサポートするソフトウエア環境の構築,時系列モデルとの関連性の研究も並行して進めた.本研究は,現象と数理モデルを結びつける道筋を明らかにし,その道筋つまりメタデータを蓄積し,支援環境として実現する一般的な研究計画の一環であり,特に点過程データに焦点を絞ったものである.ライブラリーは,クラスタリングのある点過程に対する汎用なモデル,隠れマルコフ点過程モデル,隠れ準マルコフ点過程モデル,混合点過程モデル,多変量点過程モデル,ゼロにリセットされたのち単調に増加する強度関数モデル,モデルそれぞれに関する最尤解探索離散化アルゴリズムなどからなり,その適用事例は,神経細胞の膜電位,心拍,降雨,地震発生,美容院来店,金融商品取引発生など多岐に渡る.また,モデル構築を容易にするための統合環境も構築した。本環境はDandDに基づくものであり,Textile Plotをはじめとするさまざまなデータヴィジュアリゼーション手法の充実が一つの特徴である.
著者
清水 千弘
出版者
公益社団法人 日本不動産学会
雑誌
日本不動産学会誌 (ISSN:09113576)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.29-38, 2011-07-20 (Released:2015-10-19)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The advent and collapse of real estate bubbles, or the sharp rises and falls in real estate prices, have posed major economic issues in many contries. Real estate prices soared sharply in Japan and Sweden in the 1990s and recently in many Western countries (until the mid─2000s), until plunging in the wake of the financial crisis in the United States. The rapid rise and fall of real estate prices in Japan from the mid-1980s to the 1990s is said to represent the most significant real estate bubble of the 20th century. Following the collapse of this bubble, Japan experienced a long period of economic stagnation, often cynically described as the“l ost decades.” What have we learned from these ups and downs in the real estate market? Have recent real estate investment risk management efforts incorporated these lessons? To answer these questions, this paper would like to pay attention to the severalty of each real asset. The lesson learned from last century's economic bubble and from the expansion and shrinkage of the real estate market in the wake of the latest financial crisis is that real estate investment risks cannot be dispersed by diversifying investments, and major risks will remain unless assets are carefully selected.
著者
清水 学
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.3-19,184, 1994-02-28 (Released:2017-02-15)

Erving Goffman remarks in passing that "[there exists] what may be worse than a sociological demise, namely, a sociological double. " This paper seeks to explore some of the sociological implications of this passage from the viewpoint of the literary sociology of loneliness. The experience of a sociological demise is portrayed as one of the "invisible man. " Hitherto studies about loneliness used to conceptualize the "loneliness" from this imagery, namely, as the feeling caused by "the absence of any social relationships." But, "what may be worse" than this, the experience of the "double" exists. I shall propose that this experience would describe the tragedy of loneliness more properly. For loneliness means, as Georg Simmel once suggested, rather the excess of social relationships than the absence of them. This may seem a bit of a paradoxical social phenomenon, but it also is the paradox of society itself. In conclusion, I will show, through the analysis of "the scandal of the double, " the reason people use the representation of the "invisible man" rather than that of the "double" when they try to depict the experience of loneliness.
著者
谷岡 大輔 清水 克悦 水谷 徹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.104-109, 2019 (Released:2019-08-10)
参考文献数
30

原発性アルドステロン症は,良性な高血圧症と認識されていたが,最近の研究から生命に危機を及ぼす危険な高血圧症であることがわかってきた.今回,われわれは血圧コントロールが良好であったにも関わらず,原発性アルドステロン症が一つの要因と考えられた脳被殻出血の一例を経験した.症例報告により原発性アルドステロン症を加療することの重要性について報告する.63歳女性が失語症,ミギ片麻痺を呈して来院した.既往歴として高血圧症を指摘され,良好にコントロールされていたが脳出血を発症した.脳出血の加療後にヒダリ副腎病変による原発性アルドステロン症と診断された.副腎鏡視下切除術により降圧剤が不要となった.単に血圧を正常化させることが,原発性アルドステロン症を有する患者を治療する唯一の目標ではなく,高血圧,低カリウム血症および心血管イベント・脳血管イベントによる罹患率および死亡率を減少させることに主眼をおくべきである.原発性アルドステロン症に対する診断的アプローチは単純であり,治療により脳血管疾患,心血管疾患を予防することは重要と考えられた.
著者
鈴木 恵子 梅原 幸恵 井上 理絵 秦 若菜 清水 宗平 佐野 肇 中川 貴仁 山下 拓
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.240-247, 2019-06-30 (Released:2019-07-17)
参考文献数
16

要旨: 目的: 通所リハビリテーション (以下デイケア) 利用中の居宅高齢者の難聴の実態を明らかにする。対象: 介護老人保健施設のデイケア利用者74例 (78±8.1歳; 男42女32; MMSE 25.5±5.3, FIM 103.1±17.8)方法: 老健内で i. 耳内診察 ⅱ. 純音聴力検査を行い, ⅲ. 聞こえにくさの質問紙に本人, 家族が別個に回答した。結果: i. 耳垢栓塞を22例30%に認め, うち 7例は施設内で除去困難であった。 ⅱ. 58例78%に難聴があり (軽度31中等度27), 聴力と年齢に中程度の正の相関を認めた。検査では標準法に加え机上ボタン法, 玉おとし法を用い再現性ある反応を得た。玉おとし法群の MMSE, FIM 得点が他群と比べ有意に低かった。ⅲ. 悪条件下の語音で中等度群が他群と比べ聞こえにくさを強く感じていた。考察: 聴覚評価における耳垢への対応, 認知機能に応じた反応法の重要性が示唆された。中等度群が軽度, 正常群より聞こえにくさを認識しており, 補聴に向けた介入の可能性が示唆された。
著者
清水 淳子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.3, 2016 (Released:2016-06-30)

近年、アプリ開発の現場では、エンジニア、デザイナー、ビジネスマンと様々な専門性と視点を持った作り手が協力する ことが増えてきている。しかし、あまりにも多種多様なメンバーが集まることによって、認識の齟齬が生まれやすくなっ ている。本稿ではそのような現場でグラフィックレコード ( 注 1) を実践し、明らかになった効果を示す。実践内容として、 ある会議において開発メンバーに認識の齟齬が生まれた際に、リアルタイムで参加者の発言内容を可視化 ( 注 2) して情報の集約を行う。多様性のあるメンバーが集まる会議でも時間内で解くべき課題を見つけ解決できるグラフィックレコー ドのプロセスとスキルを明確にすることを目的とする。
著者
清水 典子
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.852, pp.3-5, 2020-03
著者
梅津 信幸 清水 勲 鵜野 克宏
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.281-282, 2015-08-20 (Released:2016-02-20)

画像処理による欠陥検出に適用可能な、画像間の回転角を高速に推定する手法を提案する。フーリエ変換後のスペクトルはシフト不変性を持ち、平行移動と回転を含む場合でもスペクトルの一部を用いて回転角が高速に推定できる。実際のプリント基板の画像に対する実験の結果から、提案手法は精度と処理時間の両面で実用上十分な性能を持つことを示す。
著者
髙清水 康博
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.805-817, 2017-10-15 (Released:2018-01-25)
参考文献数
76
被引用文献数
1 3

北海道太平洋側の古津波堆積物研究の現状と課題を,北方四島と北海道太平洋側の断層モデルに焦点を当てて示した.過去7000年間における国後島と色丹島の津波堆積物の層数は色丹島の方が多いことは,色丹島の方が海溝に近いため,規模の小さな津波でも地層中に記録されたためである.一方,国後島には規模の大きな津波のみが到達するため,巨大津波の履歴がよく記録されている.北海道の太平洋側の津波堆積物の分布を説明するために設定された複数の断層モデルの復元からは,北海道西部太平洋岸の波源として東北北部沖断層モデルの重要性が指摘された.北海道胆振海岸と青森県東通の津波堆積物履歴をあわせて考えると,少なくとも過去2500~2800年前以降に北海道西部太平洋岸に来襲した津波堆積物は1層のみであるということが見えてきた.
著者
周藤 行則 周藤 明美 清水 篤 石河 晃 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.121-123, 2005 (Released:2006-10-27)
参考文献数
8

5歳齢, 雄のミニチュア・ダックスフントに皮膚の過伸展と脆弱性がみられた。頚部背側の皮膚伸展指数は20.9%と著しい高値を示した。皮膚生検で真皮結合織は粗で, 電子顕微鏡検査では細線維束の太さや形態の不均一が観察された。以上より, エーラス・ダンロス症候群と診断した。姑息的ながらビタミンCの経口投与を実施したが, 皮膚の脆弱性は次第に悪化した。
著者
清水 麗 Shimizu Urara
出版者
筑波大学大学院地域研究研究科
雑誌
筑波大学地域研究 (ISSN:09121412)
巻号頁・発行日
no.19, pp.175-187, 2001-03-31

2000年3月の選挙結果を受けて新しい総統が誕生し,民主的な政権交代を達成した台湾に対して,今日本は新たな関係作りに迫られている。李登輝時代の日台関係からの転換期である現在,日本外交は今後日台及び日中関係をどのように展開させていくのかという課題に直面 ...