著者
国分 紀秀 中澤 知洋 渡辺 伸
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ガンマ線を用いた天体観測における観測限界感度を大幅に引き上げ、新世代のラインガンマ線天文学を開拓するため、ガンマ線を集光することが可能なガンマ線レンズの開発と、集光したガンマ線を高感度で観測する検出器の開発を行った。ガンマ線レンズの試作機を用いた基礎特性の測定と、人工衛星搭載用焦点面検出器のプロトタイプの開発を行い、性能実証を行うことが出来た。
著者
神山 孝吉 紀本 岳志 江角 周一 中山 英一郎 渡辺 興亜
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.30-40, 1994-03
被引用文献数
2

雪氷試料の化学的解析方法を, 現場運用環境を考慮しつつ検討した。現地で雪氷試料の化学的情報に接することができれば, 現場環境に応じてサンプリング間隔などを調整でき, 現場での研究活動に大いに貢献する。イオン交換性濾紙の利用は, 現場での雪氷試料の全ベータ放射能強度測定のための前処理方法の省力化・持ち帰り試料量の削減などに有効である。またイオンクロマトグラフィーを利用し, 微少量の試料で多種イオン(F^-, (CH_3COO)^-, (HCOO)^-, (CH_3SO_3)^-, (SO_4)^<2->, (C_2O_4)^<2->, (NO_3)^-)を分析する小型イオン分析システムを検討し, その機器構成と分析条件について議論した。さらに硝酸イオンの簡易測定システムについて問題点と有効性を考察した。このような方法を随時改良して行くことによって現場と同期した迅速な解析体制が確立可能である。
著者
渡辺 明
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、屈折率が2を超える超高屈折率ポリマーの創製を目指し,主鎖がGe-Ge結合のみからなるハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーにおいて,その主鎖構造や側鎖の有機置換基構造の分子設計・合成を行い,そのポリマー構造と屈折率との関係を明らかにする。さらに,そのポリマーの塗布薄膜を前駆体として,レーザー光照射や加熱処理による化学構造変化を用い,無機ゲルマニウム系薄膜への変換により,さらなる高屈折率化を行うことを目的とした研究を行った。ハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーの合成は、四塩化ゲルマニウムを出発原料としてMgを用いたGrignard反応と有機臭化物を用いたキャッピング反応によって行った。これによって、種々のアルキルおよびアリール基を有するハイパーブランチ型のGe-Ge骨格を有する有機ゲルマニウムナノクラスター(OrGe)を合成した。OrGeのスピンコート薄膜は、加熱によって300℃付近から有機側鎖の脱離を伴う無機ゲルマニウム化し、さらに500℃での加熱によって結晶性ゲルマニウムへと変換されることが、顕微ラマンスペクトルやXPSスペクトルによって明らかにされた。これによって、屈折率が2.5を超える高屈折率薄膜を形成することができた。また、高屈折率のGe微細パターンを、レーザー直接描画法によって形成することが可能であった。さらに、干渉露光法やナノインプリント法によって、高屈折率微小構造体を形成し、波長フィルターとしての機能を得ることができた。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 橋口 浩之 渡辺 明 上田 博 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.569-596, 1997-04-25
参考文献数
39
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU・気象(C・X・Ku帯)レーダーを用いた梅雨季3週間連続観測を行った. MUレーダーの観測データから, 下部対流圏の降雨エコーの影響を完全に除去して, 信頼性の高い高分解能の3次元風速のデータセットを作成した. 梅雨前線は最初の約1週間(6月17〜24日)はMUレーダー観測所の南方にあり, その後一旦(6月25〜28日)は北方に移動した. 6月29日以後は中間規模低気圧の地上の中心がレーダー観測所近傍を次々と通過し, その際の水平風の変化は, 下層から圏界面ジェット高度にかけて高度とともに遅れて強まる傾向がみられた. 次に, 中間規模低気圧との相対的位置関係に基づいた数時間スケールの鉛直流と降水雲との対応を(i)低気圧を伴った梅雨前線の北側, (ii)地上の低気圧中心付近, (iii)低気圧からかなり離れた梅雨前線南側の3領域について調べた. (i,(ii)のケースでは, 上昇流領域は対流圏界面付近の層状性乱流下端高度(LSTT)と前線面高度に大きく依存し, その後者のケースの上昇流は温暖前線北側では発達した降水雲を伴い, 寒冷前線北側では中規模スケールの領域にわたって卓越しているが, 降雨を伴わないことが多かった. さらに, (iii)の期間ではいくつかの上昇流領域はLSTTを突き抜けていた. これらの中規模変動は, 積雲規模擾乱に対応する上昇流領域のピークを含んでおり, またそれらのいくつかは地上降雨と一致していた. 以上の観測事実に基づき, 梅雨前線近傍の鉛直流変動の階層構造の概念図を作成した. この特徴は, よく知られている中間規模低気圧, 中規模クラウドクラスター, 積雲規模降水雲から成るマルチスケール構造と部分的には一致しているが, 本観測で得られた結果は過去の研究で主に用いられている気象レーダー・気象衛星では観測できない晴天領域についてもカバーしている.
著者
渡辺 四郎 船川 正哉 馬越 立郎 山本 茂 堀川 武
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会誌 (ISSN:03899101)
巻号頁・発行日
no.141, pp.25-31, 1971-09-30

A unique technique of measuring the stress of propeller blade under service condition was developed, and applied to the stress measurement of a controllable pitch propeller of an actual ship. In this report, the measuring apparatus and methods are mainly stated, outline of which is as follws; The strain gauge wire is connected from the propeller to the steering engine room through the slip-ring on the rudder-horn. The strain gauge wires are loosened between the blade and propeller boss, and the loosened wire is covered for protection from the damage by the water flow. By this unique method, the measuring can be accomplished without extracting and boring of propeller shaft. Adhesion and coating of strain gauges were studied and it was made clear that epoxy type adhesive for strain gauge adhesion and the coating by rubber type bond are best. The flexibility of the rubber type bond is especially effective to overcome the cracks in the coating even after drying. Stress measurement is conducted under the stational sea-going condition and the crash astern test. The obtained records at these tests are shown. According to these records, the double amplitude of oscillating stress of the blades is in the same extent as the mean stress.
著者
生方 英幸 春日 照彦 本橋 行 片野 素信 渡辺 善徳 後藤 悦久 中田 一郎 佐藤 茂範 田渕 崇文
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1581-1586, 2003-11-01
被引用文献数
18

症例は65歳の男性で, Billroth II 法・結腸後吻合を施行されている残胃に発生した早期胃癌にて残胃全摘, Roux-Y法・結腸後吻合を施行した.術後3日目より肝機能障害出現,術後4日目上腹部痛出現,術後9日目CTにて十二指腸の著明な拡張を確認,術後12日目黄疸が出現した.術後13日目超音波ガイド下経皮経腸ドレナージを施行.造影所見より輸入脚閉塞症と診断された.上部消化管造影では食道空腸吻合部下部の空腸に狭窄を認めた.翌日より腹痛は劇的に改善し,術後27日目カテーテルを抜去し経口摂取を開始した.以後は順調に回復し術後38日目退院となった.輸入脚閉塞症は急速進行性に致命的経過をとる重篤な疾患である.これまではほとんどの症例で手術が施行されてきたが,死亡率は11%〜28%と高率であった.今回我々が施行した経皮経腸ドレナージは簡便で患者侵襲が少ないため,症例によっては輸入脚閉塞症に対して有効な一手段となると考えられた.
著者
幸田 正典 宗原 弘幸 渡辺 勝敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

協同的一妻多夫魚(J.transcriptus)を用い,(1)体サイズが婚姻形態形成にもたらす影響2)トリオ内でのαとβ雄での精子競争の実態,(3)協同繁殖トリオでの雌の父性の操作,(4)さらに雄による自分の子供の父性の認知様式の,主に4点について飼育実験を行った。特に本研究(3),(4)について集中的に検証研究を実施した。(3)については,ペアとトリオでの比較から,効果的に実験成果として示す事ができた。まず巣場所選択をみると,ペアの場合は幅広巣とくさび巣ともに選好性はないが,トリオの場合雌は明らかに楔巣を好む。これにより,卵の受精は大型のα雄と小型のβ雄の両雄がクラッチを受精させている。この際,巣の奥の狭い場所に産む事でβ雄が,手前の幅広い場所に産むことで,大型のα雄がより多く受精に成功している。すなわち,雌は巣の奥あるいは手前にと産卵場所を変更する事により,二雄の受精率を操作する事ができる。その際,β雄に受精させる事により,雌は自分自身の保護量を減らしていると考えられる。このような,雌による受精の操作ははじめて検証されたものであり,また魚類での雌の父性操作としてもはじめての例である。(4)のために,我々は,摺ガラスで作った半透明巣を用意した。この巣を使うことにより巣の内部での雌雄の関係をビデオに納めることができる。結果はまだ流動的ではあるが,今の所以下の点が示唆されている。β雄は飛び込み放精をするが,その飛び込み頻度と父性に優位な相関があり,β雄は飛び込み回数で父性を評価している可能性がある。逆にα雄は飛び込みを阻止する頻度と父性が相関しているようであり,これにより雄は父性を判定している可能性がある。また今後雌はこれらの雄の父性の指標を操作し,より多くの保護を雄からひき出している可能性も有る。このような視点での研究はまったくなく,これら一連の経緯は今後さらなる実験による検証が必要である。
著者
幸田 正典 中嶋 康裕 宗原 弘幸 狩野 賢司 渡辺 勝敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

最終年度には,安房田,大田,守田の三名を調査地に3ヶ月間派遣し,それぞれ,共同繁殖種オルナータス,雄の繁殖多型種ビッタータス,ランプロロギニ族全体の精子競争の問題の解明にあたった。まず,今回の調査でオルナータスは,おそらく脊椎動物の中でも最も多様な婚姻形態をとる種であることがほぼ明らかになってきた。一夫一妻,一夫多妻,共同的一妻多夫,古典的一妻多夫,多夫多妻とこれまで知られるありとあらゆる婚姻形態が確認された。大きな個体が雄だけでなく,雌にも存在する事がカワスズメ科魚類のなかでも最も婚姻形態が多様であることの要因であると言える。雌が雄より優位に振舞える点そして社会の複雑性の点で,鳥類の繁殖では,ドングリキツツキの共同繁殖に類似している。精子競争や婚姻形態の成立過程だけではなく,共同繁殖での操作,雌雄の対立,相互利他主義という極めて興味深い問題の実験材料として優れた対象動物であることが明らかとなった。今後様々な実験系を組むことで,実証研究材料として研究の発展が期待される。また,カリノクロミスについては,大型雌が存在しないため,鳥類の共同繁殖としてはヨーロッパカヤクグリ型と言う事ができる。ここでは最優位個体は雄である。このように種によるちがいの輪郭が明らかになってきた。ビッタータスでは,雄の代替繁殖戦術は条件次第で大きく変わりうる事,大きな可変性を持つ事が明らかになった。また,パイレーツ雄やスニーカー雄の存在は,共同繁殖のα雄戦術,β雄戦術の基本型とも見なしうる。本族の分子系統解析から,Telmatochromis属とJulidochromis,Chalinochromis属は類縁関係が近い事がわかってきた。雄の代替繁殖寄生戦術と共同繁殖におけるα,β雄の起源は相同的である可能性が高いことも示唆された。
著者
長田 富香 渡辺 好子 鈴木 ミサ子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.430-430, 1963-09-25

第29回東京女子医科大学学会総会 昭和38年10月6日(日曜日) 東京女子医科大学本部講堂
著者
神田 千里 白川部 達夫 渡辺 尚志 黒田 基樹
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の成果の第一としては、井戸村氏関係史料として知られる現存の原文書六〇点の殆ど、及び『歴代古書年譜』と題される家譜に収録された三三三点の総てが翻刻され、活字によって解読可能になった点である。残り約一〇点の解読により、井戸村氏関係史料全体の刊行が実現可能な段階に至っている。また関連する『嶋記録』『妙意物語』などの記録類の翻刻にも着手しており、井戸村氏関係史料に関する基礎研究はさらに進展することが期待できる。
著者
渡辺 綾乃 永江 孝規 春口 巌
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.21, pp.67-68, 2003-03-18

あたたかいかい気持ちで自然に楽しめるインタラクティブな作品を作ろうと考えた.良い天気の日に,はっと嬉しくなるような気持ちを持てる,夢のあるものにしたいとも思った.本作品はUSBカメラを用いて人及び背景を撮り,手などを動かすことによってこぼれ出る「光」と「雫」を,地面に芽を出している植物に落とす.そうすることによって育っていき,やがて花が咲くというものである.植物の成長にいくつかの段階と花に複数の色を設け,条件によって変わるようになっている.このような作品は,小さい子やパソコンの操作が苦手と言う人でも比較的容易に楽しめるのではないかと思う.