著者
西村 竜一 末永 司 鈴木 陽一 田中 章浩
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.63-72, 2008-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

近年,一定の音質劣化を許容した符号化法が多く開発されている。これらの技術にはマスキングなど比較的末梢系に由来する聴覚特性が用いられている。しかし,人間は音の知覚の際にこれらの技術に用いられている聴覚特性以外にも多くのものを利用していると考えられる。そのような高次機能も含めた聴覚処理機構によって音質劣化がどのように知覚されるのかを,音質劣化を直接評価する評定実験とSD法による印象評定実験によって解明することを試みた。その結果,音質劣化が大きくなると共に美的・叙情的因子,明るさ因子が低下することが分かった。また,一部の刺激では,直接的な評価によっては知覚されなかった音質劣化が,印象の差として知覚されている様子が観察された。
著者
佐竹 紀香 田中 美希 浜守 杏奈 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.136, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】漬物は、特徴的な香りを持つことから「お新香」「香の物」といわれている。漬物の中で、近年、市販の糠床や一夜漬けの糠漬けが流通するようになったが、その独特の臭いにより嗜好性が大きく分かれる。そこで本研究では、スパイスを添加した糠床に胡瓜を漬け込み、その糠漬けについて、香気成分分析および嗜好評価を実施し、糠漬けの糠臭軽減効果について検証した。また、スパイスの認知度を検証するために「スパイスの使用頻度等の意識調査」をあわせて実施した。【方法】糠床は、生糠に塩、唐辛子、昆布、水を混ぜ合わせ、1か月間キャベツで捨て漬けし、調製した。調製した糠床に各スパイス(八角、ナツメグ、クミン)を混ぜ込み、3種類の糠床を調製した。糠床に12時間漬けた胡瓜をすりおろしたものを香気成分用試料とした。香気捕集はMonolithic Material Sorptive Extrction 法に採用し、undecane(C11H24:東京化成㈱)を内部標準とし、GC/MSおよびGC/O分析を行った。また、官能評価(5段階評価法)を実施し嗜好評価を行った。【結果】香気成分分析の結果、糠漬けは胡瓜由来のグリーン様のHexenalと糠臭の3-methyl-butanolが確認できた。スパイスを添加した糠漬けは、いずれも糠臭の香気成分構成割合が半減し、糠臭は抑制された。また、胡瓜由来の匂いはスパイスによる差が顕著であり、八角の添加によって匂いが強調された。官能評価では、ナツメグが最も糠漬けとして好ましい評価を得た。本研究では、スパイス添加による糠臭のマスキング効果が期待できた。今後、食材によりスパイスの種類および添加量を検討する必要があると思われた。
著者
田中 博生 野村 忠慶 西山 昇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.154-155, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

過去のプロジェクトで実施した大型小売店舗の来客数予測の取り組みを紹介する。対象となった店舗は都心へ電車通勤できる郊外に位置する。大型小売店舗にとって毎日の来客数予測は、仕入れ数量に関係することもあり重要である。通常の来客数予測は、店長等の現場責任者がそれまでの経験から2,3日後の来客数を予測している。本プロジェクトでは、各店舗の来客数をモデルにより予測、情報共有する仕組みを検討した。予測するにあたり店舗の過去の来客実績、曜日などの季節性、安売り日等のイベント情報に加え、天候情報を組み合わせる事で予測力が向上するとの仮説のもと検証した。最終的には、過去の実績来客数と予測来客数の差異を「学習期間」のデータによる予測により「予測期間」通期で最小化する結果を得られた。
著者
庄司 裕佳子 千住 猛士 森田 祐輔 田中 ゆき 杉本 理恵
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.497-503, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
21

進行肝細胞癌に対するアテゾリズマブ(Atezo)+ベバシズマブ(Bev)併用療法開始直後に発症した腫瘍の胆囊穿破による胆道出血の1例を報告する.症例は70代男性.進行肝細胞癌に対して,day1に一次薬物療法としてAtezo+Bev併用療法を導入したところ,day2に心窩部痛が出現した.Day3に腫瘍の胆囊穿破による胆道出血から胆管閉塞を来したと判断し,緊急ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)で胆道ドレナージを行った.腫瘍からの出血に対しては,day6に腫瘍血管A6に対してTAE(肝動脈塞栓療法)を施行した.Bevが胆道出血に関与したと考えられ,Atezo+Bev併用療法は中止し,レンバチニブ(Len)を導入し,その後のCTでは腫瘍の縮小を認めた.
著者
飯塚 一幸 村田 路人 宇野田 尚哉 奥村 弘 高槻 泰郎 田中 康二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

伊丹市の小西家は日本を代表する酒造家である。本研究は、小西酒造の蔵から発見された新資料を対象に、①その目録化を図る、②新資料を基に学際的研究を行う、③学際的研究の成果を書籍として刊行する、ことを目的とした。本研究の成果は以下の通りである。(1)文書については2万8133点、典籍については1279点を目録化した。(2)「小西家資料研究会」を立ち上げ、小西家を取り巻く人的ネットワークと、それを基に小西家が伊丹地域の近代化を支えた実態を明らかにした。(3)研究代表者・研究分担者、研究会に参加した若手研究者により、論文集を刊行することで出版社と合意した。
著者
中村 育子 前田 佳予子 田中 弥生 本川 佳子 水島 美保 前田 玲
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.19-27, 2023 (Released:2023-08-29)
参考文献数
18

本研究は人生の最終段階において,管理栄養士が多職種と連携して食支援を行うことは,できるだけ自分の口から食事を摂取し,最期まで食べる喜びを感じることができる等,QOL 向上に対する管理栄養士の在宅訪問栄養食事指導の介入効果と,その中で,疾患の違いによる介入効果についても検討する. 在宅訪問栄養食事指導における食支援は,管理栄養士が介護者の困りごとの相談に応じて,介護者の調理技術の向上や簡単に食事を用意できることを可能にし,介護者の食事作りの負担を軽減させ,在宅療養者の最後に食べた物は好物であったことに貢献していた.
著者
勝間田 明男 中田 健嗣 藤田 健一 田中 昌之 西宮 隆仁 小林 昭夫 吉田 康宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

1998年7月にパプアニューギニアにおいて発生したMw 7.0の地震の後に10mを超える津波が沿岸に押し寄せ、この津波により2,200名を超える犠牲者が出ている(Tappin et al., 2008).この津波は,地震の規模に比べて高すぎること,津波の発生が地震の発生よりも10分ほど遅れているとみられること,海底地形において地すべりを起こしたとみられる場所が確認されていることなどから,海底地すべりが発生源であるとみられている(例えば,Tappin et al., 1999; Synolakis et al., 2002).通常の地震による津波の場合には,地震計で記録される地震波が警戒の最初のトリガとなることが多い.しかし,この1998年のパプアニューギニアのような事例が発生した場合には,地震波から予測される規模の津波には備えるものの,それを超える規模の津波への警戒は通常なされない.もし,海底地すべりが地震計で捉えられるならば,この種の津波に備えることが可能となる.以前の調査(勝間田・他, 2016)に,調査対象の観測点の追加,理論波形の再検討を行ったので報告する. 海底地すべりが発生した地点から900km離れた場所にPMG観測点がある.PMG観測点の地震データをIRISより入手し,0.2秒から50秒までの様々な帯域のフィルターを施して特異な信号有無を確認したが,直前のMw 7.0の地震の後続波の振幅を超える特別な相は確認されなかった.PMG観測点において,海底地すべりに対応した相が確認できないことはSynolakis et al.(2002)によって既に指摘されている.東京大学地震研究所の海半球観測研究センターにPMGよりも更に地すべり地点に近いJAY観測点(約150km)のデータがアーカイブされている.JAY観測点のデータについても確認したが,顕著は相は確認されなかった. Watts et al. (2003)の津波発生源モデルによると,この規模の津波を発生させることができる地すべりは長さ4.5km,幅5km,厚さ760m(半楕円体)の規模のものであった.それが傾斜角12度の下で特性時間32秒の地すべりを起こしたとされる.地すべりが進行している時にはそれまで摩擦力で支えられていた地塊が加速度運動をしていると考えられる.それ以前に地塊を支えていた力が減ずるのでその分の地面に加わる力が変化したと考えられる.その力を,密度(2.15×103kg/m3)×体積(9 km3)×加速度(0.36m/s2)として見積もると7×1012Nとなる.この程度の力が作用したと仮定した場合の理論波形をTakeo (1985)により計算した.震源時間関数として数十秒程度の継続時間のものをいくつか仮定してみた.その結果,理論波形は直前の地震の後続波に比べて同程度以下の振幅にしかならず,理論波形からみても地すべりにる地震波は検知可能レベル未満であると見積もられた(図).海底地すべりによる津波の検知には,沖合い津波計のような別の手段が望まれる.謝辞IRIS及び東京大学地震研究所海半球観測研究センターに保管されていた地震記録を用いた.理論地震波形の計算にTakeo (1985)を用いた.
著者
田中 充
出版者
九州大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2021-09-10

ヒトは食品を咀嚼・嚥下する際に、口腔内に放出される呈味・香気成分を味覚・嗅覚(化学感覚)情報として検知するとともに、歯ごたえや舌触りといった食感を触覚(物理感覚)情報として検知しており、これらの感覚から食品の風味を認知して美味しさを評価している。しかし、現在の機器計測ではすべての風味成分と食感を一元化して捉えることはできず、風味が美味しさを決める機構は多くが不明である。本研究では、食品の風味・食感を完全にデジタル記録するための次世代技術を開発することで、呈味・香気成分の空間的な分布、ならびに食感を網羅的に可視化した「完全な風味設計図」の構築を目指す。
著者
田中 駿 牛山 道雄 郷間 英世 石倉 健二
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.90-97, 2023 (Released:2023-05-26)
参考文献数
12

本研究は,発達がアンバランスな幼児6名と定型発達児32名に対して,年少から年長にかけて身体模倣課題を実施し,身体模倣の獲得過程の違いを明らかにすることを目的とした。身体模倣の正中線交差なしは,アンバランスな児と定型発達児で有意な差は認められなかったが,正中線交差あり,および手指の模倣は,年中および年長で有意な差が認められた。また,身体模倣の発達については,アンバランスな児は,正中線交差なし,および正中線交差ありは,年少から年長にかけて伸びがあり,定型発達児は,年少から年中にかけて伸びがあると考えられた。本研究において,アンバランスな児の対象人数は少なかったが,アンバランスな児と定型発達児は共に年齢による発達がみられるものの,正中線交差ありや手指の複雑な模倣は,年中から差が生じ始めると考えられた。また,個別の検討により,アンバランスな児の模倣の発達には3つのパターンがあることが推測された。
著者
田中 圭 大塚 将之 清水 宏明 吉留 博之 加藤 厚 古川 勝規 吉富 秀幸 岸本 充 中谷 行雄 宮崎 勝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.11-17, 2014-01-01 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は61歳の女性で,嘔気を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡で十二指腸第2部に潰瘍性病変を認め,生検で低分化腺癌と診断された.CTで門脈前後区域枝分岐部に接する造影効果の乏しい腫瘤を認め,十二指腸癌,肝転移の診断で全身化学療法が提案された.本人・家族がセカンドオピニオンを希望され,2病院を受診したのち症状出現から4か月後に当院紹介となった.精査で十二指腸癌,および肝炎症性偽腫瘍などを含めた肝腫瘤の診断にて膵頭十二指腸切除術,拡大肝後区域切除術を施行した.病理組織学的検査で十二指腸および肝臓ともに癌は認めず,壊死巣を伴う肉芽腫を認めた.壊死巣では術前に十二指腸生検で見られた癌細胞に類似する壊死細胞が認められ,免疫組織学的に壊死細胞はcytokeratin陽性であった.以上から,十二指腸癌および肝転移が自然消失したものと考えられた.十二指腸癌の自然消失の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
著者
高砂 浩史 小野 元 伊藤 英道 大塩 恒太郎 田中 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.313-318, 2016 (Released:2016-09-23)
参考文献数
20
被引用文献数
6

【目的】水頭症を伴う脳室内血腫に対する治療として脳室ドレナージ(EVD)が一般的であるが,神経内視鏡を用いた脳室内血腫除去術の有用性と安全性をEVD 単独治療との比較により検討する.【方法】2010 年から2014 年までの水頭症を伴う脳室内出血28 例中,EVD 単独治療の9 例と神経内視鏡下血腫除去とEVD を行った9 例を対象とした.年齢,GCS,脳室内血腫量,EVD 留置期間,離床でのリハビリテーションまでの期間,在院日数,シャント術の必要性,合併症,退院時予後について検討した.【結果】EVD 留置期間と離床でのリハビリテーション導入までの期間は神経内視鏡治療群で有意に短かった.内視鏡治療はより重症例に適用されていたが,退院時の転帰に有意差がなかった.【結論】内視鏡下脳室内血腫除去術はEVD 留置期間を短縮もしくは不要にし,本格的なリハビリの導入期間も早まる.そこで神経学的予後の改善が期待される.
著者
吉田 省造 岡田 英志 土井 智章 中島 靖浩 鈴木 浩大 田中 卓 福田 哲也 北川 雄一郎 安田 立 水野 洋佑 宮﨑 渚 森下 健太郎 牛越 博昭 竹村 元三 白井 邦博 豊田 泉 小倉 真治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.129-135, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
24

症例は50歳代の男性, キノコ狩りに行きキノコを焼いて食べた翌日に下痢・嘔吐などの消化器症状を自覚し近医を受診. 血液検査にて肝逸脱酵素上昇を認め入院となった. 翌日の採血で肝逸脱酵素の著明な上昇 (AST 5,000台, ALT 5,000台) を認め, 当院に搬送となった. 問診によりドクツルタケ摂取による肝障害を疑った. 入院当日より肝性脳症を認め, 昏睡型急性肝不全と診断. 挿管・人工呼吸管理として, 肝不全治療と同時に毒素除去, 高分子除去を目的として急性血液浄化療法を行った. 入院5日後に肝性脳症は改善し呼吸状態は良好で抜管, 経過良好にて入院9日後に転院となった. ドクツルタケ中毒における血液浄化療法は否定的な意見が多いが, 今回は肝不全を呈したドクツルタケ中毒に対し, 血液浄化療法を行い救命し得た. ドクツルタケの中毒を疑った場合には, 早急な血液浄化療法が有効である可能性が高いと考えられた.
著者
西貝 正彦 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.712-714, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

GnRH投与が凍結胚移植の受胎率に及ぼす効果を明らかにする目的で黒毛和種受胚牛80頭を無作為にA,B群に区分し,発情後6日にGnRH群40頭にはGnRH類似体(酢酸フェルチレリン)100μg,対照群40頭には生理食塩液2ml を筋肉内に注射し,発情後7日に胚移植を行った.発情後14日に両群の各10頭について卵巣の状態と血液中プロジェステロン(P4)濃度を調べた.胚移植後40~50日に妊娠診断を行った.その結果,誘起黄体の形成がGnRH群の90%(9/10頭)にみられたが,対照群ではまったくみられなかった.血中P4濃度の平均±標準偏差はGnRH群が4.57 ±1.55,対照群が3.72±2.39ng/ml,受胎率はGnRH群が50.0%,対照群が40.0%であり,有意差は認められなかった.これらのことから,凍結胚移植前日にGnRH類似体を投与することにより新たに黄体が形成されることが認められたが,血中P4 濃度上昇効果及び受胎率向上効果はみられなかった.
著者
田中 惠子
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.227-231, 2023 (Released:2023-08-21)
参考文献数
31

Newly identified autoantibodies in relation with autoimmune encephalitis have enabled the reclassification of diseases in neurology and psychiatry and its clinical scope has steadily grown. Many of them present with psychosis, memory disturbances, seizures, and movement disorders. Detection of disease–specific autoantibodies is useful for proper diagnosis and not missing immune therapy. Also, characterizing these antibody–binding antigens offer opportunities to investigate underlying pathogenesis of neurological features and understand general mechanisms of autoimmunity. However, the number of autoantibodies is increasing, which makes it difficult to use them as a diagnostic tool. Commercially available antibody–testing is limited to several autoantibodies. Others need to be sent to certain research laboratories. Additionally, several papers caution about frequently occurring false positive or false negative results and advise testing using several different detection techniques, such as brain tissue immunohistochemistry and live–cell based assays. It is crucial to think about the diagnosis of the patients very carefully not depending on only the results of the autoantibody–test, but rather observing detailed clinical features for proper treatments.
著者
若山 曉美 松本 長太 大牟禮 和代 松本 富美子 阿部 考助 田中 寛子 大鳥 利文 下村 嘉一
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.7-18, 2011 (Released:2012-02-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

両眼から得られた外界の視覚情報は、視覚野で統合され両眼の相互作用によって処理される。この働きについて検討することはヒトが両眼視下でどのように外界の視覚情報を処理しているかを知ることにつながる。本研究では両眼の相互作用である両眼加重に着目し、過去10年間に検討した正常成人における両眼加重の働き、さらに弱視や視野異常を伴う症例での両眼加重について述べる。 両眼加重の評価は、自動視野計Octopus 201、101、900の3種類の視野計を用い両眼刺激装置や両眼固視監視カメラを組み込むなど独自に開発して行った。また両眼からの視覚情報を収斂したことによる働きであるかは確率加重を超えているか検討した上で評価した。 両眼加重は、視標サイズ、網膜部位、認知課題による影響を受け、視標サイズは小さいほど、網膜部位では中心窩から偏心するほど、さらに認知課題では検出閾値よりも認知閾値で大きくなった。さらに閾上刺激を用いた反応時間についての検討では両眼の反応時間は単眼よりも短く、閾値で検討した両眼加重の結果と同様に視標サイズや網膜部位による影響を受けた。 以上の基礎的研究データから単眼で知覚困難な条件において両眼加重を働かせることによってより有効的に視覚情報を処理していると考える。さらに弱視や視野異常を伴う症例では明らかな両眼加重を認めず、正常成人とは異なる両眼での働きを示した。