著者
村川 由加理 作田 裕美 永井 春歌 島本 千秋 荒井 文恵 市村 由紀乃 田中 和代 松岡 仁美
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-9, 2020 (Released:2019-10-18)
参考文献数
14

目的:A病院救命救急センターにおいてシャドウイングによる新人教育を受けた新人看護師の気づきを明らかにすることである。 方法:A病院救命救急センターに勤務する新人看護師6名を対象に、シャドウイング新人教育後1カ月の時点において、「シャドウイング指導で学んだこと」をテーマに400字程度での自由記述を依頼し、収集した自由記述から、新人看護師の気づきを抽出し質的に分析した。 結果:シャドウイング新人教育による新人看護師の気づきは、①〈救命救急センター先輩看護師の看護の特徴〉と②〈救命救急センター看護師として私がこれから身につけなければならないこと〉に分類することができた。①では、【よりよい看護への使命】【ケアリングの実践】【安全と安楽と合理性の追求】【緻密な観察を重視する】【効果的なエビデンスの活用】【メンバーシップを発揮する】が抽出された。②では、【看護師に求められる姿勢の確立】【先輩から学ぶ】【貪欲な知識の摂取】【救急看護実践の習得】が抽出された。 結論:新人看護師育成に取り入れたシャドウイング新人教育により、新人看護師は、救命救急センター看護師の特徴をとらえながら同時に救命救急センターで必要な看護や看護専門職のアイデンティティの形成に必要な項目を能動的に導き出すことができていた。シャドウイングによる教育は、自己啓発や自己研鑽への意識を向上させる教育として効果が高いことが示唆された。
著者
池浦 義典 田中 崇裕
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.178-183, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

Axcelead Drug Discovery Partners(Axcelead DDP)株式会社は、日本の製薬業界では初となる統合的創薬ソリューションプロバイダーである。経験豊富な創薬研究者が、武田薬品工業から継承した創薬プラットフォームや知見を駆使し、最新のサイエンス・技術も取り入れながら、顧客と共に創薬研究を進め、革新的医薬品の創出に貢献する。本稿では、製薬業界を取り巻く環境変化と創薬研究の新たな潮流に触れるとともに、Axcelead DDPのサービス提供体制や保有する独自の強み、それを基に顧客に提供できる価値(ソリューション)を紹介する。さらに、日本のバイオコミュニティの現状を概観し、日本における真の創薬エコシステムの発展に向けたAxcelead DDPの果たすべき役割や、取り組みについて述べる。
著者
惣野 円彩 坂梨 秀地 中川 洸志 田久 浩志 高橋 宏幸 田中 秀治
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.71-76, 2022-10-07 (Released:2022-10-15)
参考文献数
10

【背景】昨今,本邦においてオートショックAEDが発売された【目的】ファーストレスポンダーを対象にオートショックAEDと一般的なAEDの操作時間の比較を行うこと【方法】ファーストレスポンダーを対象に,オートショックAEDと一般的なAEDを用いたクロスオーバーランダム化比較試験(n=39)を行い,操作時間を比較した【結果】オートショックAEDでは,到着から電気ショックまでの平均が77.1±10.9秒とAEDの82.9±10.6秒と比べ5.8秒短縮した【結語】ファーストレスポンダーにおいてオートショックAEDは適切かつ迅速に操作が可能である
著者
田中 邦雄
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.21-30, 2023-03-10 (Released:2023-08-11)
参考文献数
7

Already 50 years have past since the principle of MRI has been proposed. MRI has become the necessary clinical diagnostic tool such as X-CT. MRI techniques have been still in further progress. In this manuscript, the historical review of NMR and MRI were introduced, and the fundamental principle of NMR phenomena such as the principle of magnetic resonance, relaxation process and NMR information were introduced to understand MRI techniques. Following these introduction, fundamental MR imaging techniques such as 2-D Fourier Transform in relation to MR imaging, parameters of image construction, the role of gradient field, contrast enhanced images and fast MR imaging techniques were introduced.
著者
田近 正洋 田中 努 石原 誠 水野 伸匡 原 和生 肱岡 範 今岡 大 小森 康司 木村 賢哉 木下 敬史 山雄 健次 丹羽 康正
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.900-907, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

【目的】家族性大腸腺腫症(FAP)に対する大腸全摘術後に造設された回腸嚢における腺腫や癌の発生について解説する.【方法】FAP術後の回腸嚢に発生した腺腫あるいは癌に関する36論文をreviewし,その発生頻度,特徴,サーベイランスの方法について自験例も含めて検討した.【結果】回腸嚢における腺腫発生頻度は6.7%~73.9%で,回腸嚢造設から5年,10年,15年で,それぞれ7~16%,35~42%,75%と経時的に増加していた.癌の発生は22例の報告があり,発生までに術後中央値で10年(3~23.6年)を要していた.サーベイランスに関しては,術後6~12ヵ月ごとに内視鏡を行っている報告が多く,適切なサーベイランスを行う上では,最適な腸管洗浄とインジゴカルミンの使用が重要である.【結論】FAP術後の回腸嚢には,高率に腺腫,ときに癌が発生するため,術後早期からの定期的な内視鏡サーベイランスが重要である.
著者
柴田 浩気 田中 晴之 大谷 惇 久保 政之 長谷川 淳 天野 逸人
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1519-1521, 2021 (Released:2021-11-03)
参考文献数
5

Because the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic is still rampant, vaccination is being promoted worldwide. However, the safety of various COVID-19 vaccines remains poorly understood. We herein report the case of a 37-year-old woman who experienced thrombocytopenia following BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination. The patient presented with purpura on the extremities 10 days after the first vaccination. She had marked thrombocytopenia and no thrombosis. Thrombocytopenia resolved spontaneously. Given the possibility of occurrence of post-vaccination thrombocytopenia, vaccinated persons should be instructed to consult a medical institution if they experience bleeding symptoms.
著者
田中 恵 武田 真輝 小野 雅代 種田 遥美 古谷 陽一
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-94, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
20

【目的】骨盤位に対する鍼灸治療の効果と安全性を検討する目的で、当科における骨盤位の矯正率および有害事象を調査したので報告する。 【対象と方法】対象は当院の産婦人科で骨盤位と診断され、20XX-9年4月1日から20XX年10月31日までの期間に鍼灸治療を受療した妊婦とした。対象妊婦を診療録で後ろ向きに調査した。主な調査項目は、鍼灸開始時の妊婦の状態(切迫早産の有無)、施術姿位(座位もしくは側臥位)、鍼灸後に頭位になった率、経膣分娩の率、および有害事象の発生状況とした。矯正率は鍼灸後に頭位になった率と定義した。有害事象の定義は「因果関係を問わず治療中または治療後に発生した好ましくない医学的事象」とした。 【結果】対象の妊婦は371名。鍼灸開始時に切迫早産と診断されていた妊婦は57名、そのうち21名は入院中の切迫早産妊婦だった。施術姿位は座位が45.2%(168例)、側臥位が54.7%(203例)であった。骨盤位矯正率は72.2%(268例/371例)であった。鍼灸開始時に入院中の切迫早産妊婦では矯正率が28.6%(6例/21例)と、外来通院の妊婦に比べて有意に低かった。施術姿位による矯正率は座位と左側臥位との間に有意差を認めず、左側臥位での施術では迷走神経反射の有害事象が見られなかった。施術回数あたりの有害事象発生頻度は1.1%(21件/1916回)、症例数あたりでは5.7%(21件/371症例)であった。因果関係の明らかではない破水2件が見られた。 【結論】妊婦における安全な施術姿位は左側臥位と考えられた。有害事象はほとんどが軽症または中等度のものであったが、因果関係の明らかではない2例の破水がみられた。骨盤位矯正の鍼灸治療を実施する際には、主治医の産科医と十分に連携をとる必要がある。
著者
水野 武郎 市村 秀樹 柴田 和男 田中 宏紀 山川 洋右 丹羽 宏 正岡 昭
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.55-62, 1985-02-28 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

原発性肺癌56例の腫瘍径とtumor doubling timeからGeddesのノモグラムを用いて予測生存期間 (PST) を算出した.このPSTの組織型別平均値は, 扁平上皮癌14.7±11.8月, 腺癌39.9±437.月, 小細胞癌10.4±9.8月, 大細胞癌13.3±9.4月であった.PSTは実際の生存期間 (AST) と密接な相関Y=2.33±0.82X (r=0.80, p<0.01) を示し, 肺癌治療の効果を判定する良好な指標になると考えられた.PSTを大きく上廻るASTを示したものは, 1例を除き全例切除例であった.
著者
瀬戸山 博子 野村 真希 矢田 ともみ 吉丸 洋子 楢原 哲史 稲田 浩気 田中 健太郎 蔵野 宗太郎 徳永 尭之 飯尾 悦子 長岡 克弥 渡邊 丈久 江口有 一郎 田中 靖人
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.583-586, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
5

Continuation of activities is important for the hepatitis medical care coordinators to fulfill their functions, which must be supported by regional core centers for liver disease management. Thus, we conducted a questionnaire survey among coordinators in Kumamoto Prefecture to identify factors that motivates them to continue their activities. Results showed that coordinators were mainly motivated by a sense of social contribution. The factors considered important in the continuation of their activities are self-evaluation and of others, resolution of concerns about their activities, and the presence of peers/consultants. The regional core centers should actively provide a place and means for the coordinators to be active.
著者
大須賀 崇裕 宮西 浩嗣 伊藤 亮 田中 信悟 久保 智洋 濱口 孝太 大沼 啓之 村瀬 和幸 高田 弘一 山本 彬広 眞部 建郎 久原 真 加藤 淳二
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.559-566, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

68歳,男性.右背部痛を主訴に近医受診,肝腫瘤を指摘され当院紹介.肝細胞癌,多発リンパ節・骨転移と診断し,アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法(ATZ+BV)を開始した.投与開始14日目に辻褄の合わない言動と傾眠,16日目にJCS10の意識障害を認めた.血中アンモニア値,頭部MRIに異常なく,髄液検査では僅かな細胞数上昇と蛋白細胞解離を認めた.自己免疫性脳炎を疑い,同日よりステロイドパルス療法を開始した.意識障害は著明に改善し,内服ステロイドに移行後,38日目に後遺症なく自宅退院となった.脳炎の再燃はなく,ATZ+BV開始60日目に2次治療としてレンバチニブを導入した.肝細胞癌に対するATZ+BV後の自己免疫性脳炎は,自験例を含め4例のみ報告されており,初発症状や意識障害出現時期がほぼ一致していた.早期の診断とステロイドパルス療法施行により2次治療へ移行できた症例であると考えられた.
著者
近藤 蒼大 田中 久弥
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.217-228, 2023 (Released:2023-08-31)
参考文献数
21

Steady-state visual evoked potential (SSVEP)-brain-computer interface (BCI) has fast input speeds, high accuracy, and a large number of inputs. The problem with SSVEP is the stress caused by flickering stimuli and the risk of developing photosensitivity. In this study, we attempted to reduce flicker stress by developing a high-frequency SSVEP-BCI. In addition, we measured the critical fusion frequency (CFF) at which humans cannot perceive flicker and investigated the change in BCI performance below and beyond CFF to examine the practicality of the high-frequency SSVEP-BCI. The results showed CFF was 56.8 Hz. Also, an accuracy of 58.75% for high-frequency (56-70 Hz) SSVEP-BCI and 90.5% for low-frequency (26-40 Hz) SSVEP-BCI. For this reason, the high-frequency SSVEP-BCI could not obtain the same performance as the low-frequency SSVEP-BCI. Therefore, it is necessary to consider the use of extremely low-frequency stimulation and improve the analysis algorithm in the future.
著者
清水 敬行 小出 兼一郎 前沢 進 宮崎 俊行 三須 直志 田中 義弘
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2004年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.458, 2004-09-15 (Released:2005-03-01)

YAGレーザによる金属の大気中カラーマーキングを行った.試料としてステンレス鋼,純Tiを用い,照射出力,ビーム径,走査速度を変化させ,各条件と発色の関係を求めた.
著者
小林 康子 田中 総一郎 大沼 晃
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.153-158, 2003-03-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

“哺乳ビン依存状態” と考えられる発達障害児5例 (男児4, 女児1) (本症診断時年齢2.9±0.9歳) を検討した. 全例において中等度~重度発達遅滞 (DQ17~37: 本症診断時) を認めた. 全例, 口腔異常反射なく, 準備期, 口腔期, 咽頭期にも問題はなかった. 全例, 哺乳ビンからのミルク摂取は可能であるが, 離乳食に対しては強い拒否的反応を示し, 長期間離乳食を摂取していなかった. これらの症例に対し, 一時的に抑制して強制的に食べさせることを試みたところ, 予想に反して離乳食摂取は短期間で可能となった. 本症の拒否的反応は, 必ずしも離乳食摂取の拒否を意味していないと考えられた. 離乳食摂取時の強い拒否的反応を摂食拒否ととることが, 本症をつくる一因となるのかもしれない. また, 対策として摂食時の抑制と同時に, 哺乳ビンの中止も効果的であった. 本症では, 飲む, 食べる機能の切り換えがうまくいかない可能性も示唆された. 長期間離乳食が進まない発達障害児の場合, 本症も念頭において対応する必要があると思われた.
著者
佐竹 陽子 石澤 美保子 森脇 裕美 升田 茂章 土田 敏恵 貝谷 敏子 田中 結華
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.503-514, 2023 (Released:2023-10-24)
参考文献数
18

本研究は在宅療養者の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)有病状況とケアの現状を明らかにすることを目的とした。 全国指定訪問看護ステーションから単純無作為抽出した1,800施設のMDRPU有病症例を対象に実態調査を行った。 338 施設(回収率18.8%)から252 症例の回答を得た。男性115 名(45.6%)、69.0 ± 25.3 歳(範囲;0-101)、233 件(79.8%)が在宅で発症していた。関与した機器は尿道留置カテーテル68 件、経ろう管法用チューブ56 件、経鼻酸素カニューレ30 件が上位であった。DESIGN-R®の深達度評価はd1が163(55.8%)、d2が85(29.1%)、D3 が18(6.2%)、D4が9(3.1%)、D5 が1(0.3%)であった。在宅で入手可能な物品で試行錯誤しながらスキンケア、接触部位の保護、除圧の外力低減ケアを実施していた。 ケアは訪問看護師のもつ創傷管理の知識で適切にされていると評価できる一方で、医療機関と異なる背景にも留意しなければならない。訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の専門的知見を融合し地域の医療者や介護福祉専門職、在宅療養者や家族に対し従来の褥瘡との違い、重症化予防の観察やケアを教育する必要がある。また在宅療養者や家族の生活状況と変化に応じセルフケアや介護能力を見極め、MDRPU 予防と管理の方法を具体的に検討する必要性が示唆された。
著者
末永 昌宏 国場 良和 田中 穣 飛永 純一 山中 秀高 初野 剛 内村 正史
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.1987-1991, 1996 (Released:2011-08-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

癌と免疫と地域医療を掲げ1985年に設立された当院は, 患者に正確な情報を伝え十分に理解を得た後に検査, 治療を行う-インフォームド・コンセント (IC)-が正しい医療のあり方とし, 87年IC委員会を発足し日本的土壌や当院にあったICを求めた. 医療は患者自身の意思, 選択が基本とし, 90年から入院患者と家族に医療に関しての考え方を調査した. 癌患者に対する手術, 化学療法などの治療法とその治療効果, 危険性, 副作用の説明に関して癌の告知は大きく関係するため家族や院内フォロー体制を整え, 患者の意思に従って告知を進めた. 消化器癌手術患者527名中82%が告知を希望し, 74%に告知した. 90年には52%の告知率が95年には88%となった. 生存者に対するアンケート調査では大部分の患者が当院での告知に対して満足の回答をした. 結語: 患者の意思を尊重し, フォロー体制を整えた上での癌の告知は日本的土壌の中でも進めうる.
著者
田中 広美
出版者
一般社団法人 日本看護学教育学会
雑誌
日本看護学教育学会誌 (ISSN:09167536)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-23, 2018-11-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
43

〔目的〕対人関係におけるセルフモニタリングの概念分析を行い、定義を明確にすることを目的とする。〔方法〕Rodgersら(2000)の概念分析の手法を参考に、先行要件、属性、帰結、関連概念、定義を検討し分析した。〔結果〕30論文を分析した結果、先行要件は社会的特性、自己の内的特性の2カテゴリ、属性は観察、状況の察知、状況に対する行動の選択とコントロールの3カテゴリ、帰結は状況を見極めた行動、自己の内面的変化の2カテゴリが導き出された。〔結論〕本概念は、対人関係における自身の状況を、意図的にモニターする際の視点として有用であり、経験として蓄積し、実践知へ移行させ、看護実践の向上が可能と考える。
著者
田中 悟志
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35-41, 2016-08-29 (Released:2018-11-01)
参考文献数
36

頭蓋の外から1mA程度の微弱な直流電流を与える経頭蓋直流電気刺激法(Transcranial Direct CurrentStimulation: tDCS)は,外科手術を行わずヒトの脳活動を修飾する手法である.装置の安全性,簡便性,携帯性が高いことなどから,ここ10年ほど脳卒中リハビリテーション分野で盛んに研究が行われている.脳卒中患者の上肢運動機能に関してはtDCSの有意な促進効果がメタ分析で示されており,今後は多施設による大規模な臨床研究の成果が望まれる.一方,言語機能,下肢運動機能,体性感覚機能など上肢運動機能以外の機能に関してはデータも少なく,今後データの蓄積が必要である.近年はtDCSの効果に関してネガティブ・データも多く報告されている.また,効果の個人差も報告されている.厳密な実験で得られたデータを積み上げることで,tDCSは「何に対して効果があり,何に対して効果がないのか」,また「誰に対して効果があり,誰に対して効果がないのか」を明らかにしていく必要がある.