著者
田中 大喜 村木 二郎 松田 睦彦 湯浅 治久 鈴木 康之 井上 聡 高橋 典幸 黒嶋 敏 貴田 潔 神野 祐太 渡邊 浩貴
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、13世紀後半~14世紀にかけて顕著になった、西遷・北遷と呼ばれる東国武士の西国や東北地域の所領への移住の実態について究明する。その際、西遷・北遷東国武士と在来諸勢力とを相互規定的な関係にあるものと捉える観点から、両者の多様な諸資料を広く収集・分析し、文献史学・考古学・美術史学・民俗学・歴史地理学による地域総合調査として進めていく。本研究の成果は、報告書や展示等を通して社会に発信していくと同時に、様々な研究分野に利活用できる調査情報公開のシステム作りも進め、調査データの社会資源化を図る。
著者
清井 起鵬 前川 嘉洋 國武 裕子 田中 敬子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.214-217, 2000-04-01
参考文献数
7

28歳の中国人の女性。生食を好み,中国&middot;日本において蛇&middot;蛙&middot;スッポン&middot;蟹&middot;魚等をよく生で食していた。1998年1月頃より右下腹部に痛みを伴う皮下腫瘤が出現,同年4月7日当院外科にて黒色虫体を摘出した。その後クエン酸ジエチルカルバマジン(商品名スパトニン<sup>&reg;</sup>)を投与するも軽快せず,4月10日当科紹介となった。臨床症状&middot;臨床経過&middot;血清反応より顎口虫症と診断され,肺吸虫症も合併していることが判明し,6月17日よりプラジカンテル(商品名ビルトリシド<sup>&reg;</sup>)の投与により症状は軽快した。
著者
田中 裕
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.177-184, 1990

1982年のアスペによるベルの定理の実験的検証は, 遅延モードを採用する事によって量子力学的相関が光速度以下の因果作用によって引き起こされたものでない事を示す点で画期的なものであったが(1), この検証実験に対するベル自身のコメント (1986) は「何かがベールの陰で光速度以上の速さで伝達されている」こと, 即ち遠隔作用の実在性と「相対性理論をアインシュタイン以前の問題状況に戻す必要性」即ち「ローレンツ不変性を持つ現象の背後にローレンツ不変性を持たない深層レベルがあり, このレベルでは絶対的な同時性と絶対的な因果の順序があると想定する」ことによって量子論的遠距離相関 (EPR相関) を説明する可能性に言及している(2)。またエーベルハード (1989) のEPR問題の歴史的回顧と様々な解釈の包括的要約も, 冒頭に「光速度を越える遠隔作用は (アインシュタインにとって受入れがたい観念であったが) 今日では様々な実験結果と理論的な分析によって実在的な効果である可能性が強い」という視点を提示し, この遠隔作用が, いかなる意味で「実在的」であるかをめぐる様々な解釈の違いを分析している。量子力学を「観測者に言及せずに」実在論的に解釈するポパー (1982) は, 「遠隔作用があるならば何か絶対空間のようなものがある」ことを理由に「量子論に絶対的同時性を導入すべき理論的理由があるとするならば, 我々はローレンツの解釈に戻らなければないだろう」と言っている。
著者
田中 裕
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.117-122, 1989

1964年に発表されたベルの不等式の実験的検証は1970年代から複数の科学者グループによって遂行されたが, 1982年にフランスの物理学者アラン・アスペによって行なわれた光子対の偏極相関の範囲を測定する実験は, 実験の精度の高さと遅延選択の採用による非局所的相関の確認によって, 量子物理学の解釈をめぐる原理的諸問題の考察に新しい局面を拓いたといえる(1)。嘗ては思考実験にすぎなかったものが技術の進歩によって現実の実験となることによって, 1930年代にボーアとアインシュタインの間でなされた量子力学の完全性をめぐる哲学的論争が新しい姿で甦ることとなった。この論文は二部に分かれる。第一部ではEPRの議論に要約されるアインシュタインの量子力学批判を適切な形で再定式化することによって, ベルの定理との論理的な関係を明らかにすることを目的とする。ベルの不等式の実験的反証によって明らかとなった「分離不可能性」の事実を確認したあとで, 第二部ではEPR相関と相対性理論の基本思想との関係を主題とする。
著者
磯部 由香 田中 里奈 平島 円 ISOBE Yuka TANAKA Rina HIRASHIMA Madoka
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.143-148, 2017-03-31

学校現場で行われている食育に関する様々な取り組みの中で、毎日繰り返し行われる「給食の時間」での指導は、極めて重要な役割を担っている。そこで、学校現場での給食指導の実態の把握を目的に調査を行った。その結果、給食指導における一番の課題は偏食に関する指導であることが明らかになった。偏食の課題は多様なため、指導方法の一般化が困難であり、給食指導マニュアルへの記載もほとんどなかった。アンケート調査および文献から偏食指導の事例を収集したところ、その手法は様々であった。今後は、教員個人の経験や能力に左右されず、すべての教員が効果的な偏食指導を行うため、様々な事例の蓄積とデータの共有が重要になると考えられる。
著者
後藤 功雄 加藤 直人 田中 英輝 江原暉将 浦谷則好
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.968-979, 2006-03-15
参考文献数
22

カタカナで表記された外国人名の英訳語を,関連語をキーワードとする言語横断情報検索と,発音類似性を利用した訳語推定により,World Wide Web(WWW)文書から獲得する手法を提案する.ニュース記事に出現する人名は新出語であることが多く,対訳辞書に登録されていない場合も多い.提案手法は,カタカナの外国人名が文書中に存在した場合,はじめにその周辺の単語を対訳辞書によって英訳し,これらをキーワードとして英語のWWW 文書検索を行う.次に,検索されたWWW 文書中から人名候補となる英単語列を翻字により変換し,発音が類似した英単語列を訳語とする.ニュース記事に出現した外国人名を対象として本手法による実験を行い,有効性を確認した.This paper proposes a method of acquiring English equivalents of foreign personal names written in katakana characters from the World Wide Web (WWW). In news articles, new foreign personal names appear frequently and are rarely registered in bilingual dictionaries. Our method can automatically obtain the English equivalents of personal names by using two phases: cross-language information retrieval using related words and acquisition of translation based on phonetic similarity. In the first phase, given a katakana foreign personal name appearing in a news article, the method extracts words related to the foreign personal name, translates these words into English using bilingual dictionaries, and retrieves WWW documents in English using the translated words as keywords. In the second phase, our method extracts candidates of English equivalents from the retrievedWWWdocuments, transliterates the candidates to phonetic expressions, compares them with the phonetic expression of the personal name written in katakana, and obtains the most similar one as the English equivalent. We confirmed the effectiveness of our method with a series of experiments using foreign personal names appearing in news articles.
著者
今井 一郎 原 久美子 有馬 和美 福室 智美 田中 博 菅谷 睦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E1676, 2008

【はじめに】<BR> 臨床現場において脳卒中患者から標準型2輪自転車(以下自転車)に乗りたいという希望をよく聞く.2年前に実施したアンケート調査から,脳卒中発症後自転車を利用しなくなった人の約7割が自転車に乗りたいと回答し,自転車乗車のアプローチの必要性を認識できた.今回は健常者と脳卒中患者に自転車動作の観察と体力テストを行い自転車動作の機能を検討した.<BR>【対象】<BR> 普段自転車に乗車している健常成人23名(男性7名,女性16名,平均年齢44.9歳)と,脳卒中の既往があり屋外歩行自立の 3名(症例A:74歳男性,右小脳梗塞,Br.stage左右上肢手指下肢全て6,症例B:81歳女性,多発性脳梗塞,Br.stage左上肢手指下肢全て5,症例C:74歳男性,右脳梗塞,Br.stage左上下肢3手指5)とした.対象者には本研究について説明し同意を得た.<BR>【方法】<BR> 自転車動作は,走る(ふらつきを観察)・止まる(目標物の手前で止まる,笛の合図で止まる)・曲がる(ふくらみを観察),体力テストは握力・上体起こし・長座体前屈・開眼片足立ち(最高120秒)・10m障害物歩行・6分間歩行を実施した.症例BとCは自転車乗車前に前提動作として,スタンドをしてペダルを回す・片足での床面支持・外乱に対してブレーキ維持を実施した.<BR>【結果】<BR> 前提動作で症例Cは全て不可能であったため体力テストのみ実施した.自転車動作の観察では,健常者12名と症例Aで走行時ふらつきがみられた.症例Bは走行時ふらつきの観察まではペダルに両足を乗せることができなかったが,以降の止まるからはペダルを回すことが可能となった.止まるは健常者・症例共,目標物手前で止まることができ,笛の合図では健常者・症例共,同様の停止距離であった.曲がるは症例A・Bにふくらみがみられた.体力テストでは,症例全員が6分間歩行,症例B,Cは上体起こし,Cは10m障害物歩行が困難であった.実施できた項目も健常者と比べ低下していた.健常者の自転車動作と体力テストの関係では,開眼片足立ち120秒可能者の割合が,走行時ふらつきのあった群で41.7%,ふらつきのなかった群で100%となった.<BR>【考察】<BR>関根らは高齢者に10日間1日2回片足立位訓練を行い片足立位時間の延長と自転車運転動作の向上を報告し,自転車動作についてのバランス感覚の重要性を指摘している.今回は片足立位時間と自転車走行時のふらつきに関係がみられた.これらのことから片足立位バランスと自転車動作に関係があると考えられる.症例Cは重度の左上下肢の随意性低下と感覚障害があり,それが前提動作を困難にしたと推察され,自転車動作には四肢の分離運動機能や協調運動機能が重要と考えられる.小村はBr.stage上下肢4の脳卒中患者が3輪自転車のペダルを改良し乗車していると報告しており,症例Cも同様の方法による乗車の検討が考えられる.また症例Bは途中から走行が可能となったことから,練習での乗車能力の改善が示唆された.
著者
田中 智大 橋本 直明 関川 憲一郎 大久保 政雄 小林 克也 松浦 広 光井 洋 鈴木 丈夫 岸田 由起子 山崎 一人 薬丸 一洋 田村 浩一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.574-580, 2008 (Released:2009-01-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

症例は75歳,女性.65歳時に胃癌にて幽門側胃切除術を受けた.微熱と肝機能障害で近医より紹介受診.来院時,肝胆道系酵素の上昇を認めた.ウイルス性肝炎および自己免疫性肝炎は否定的だった.単純CTで肝および脾のCT値が著明に上昇し,MRIでT1W, T2Wともに著明な低信号を認め,鉄沈着症を疑った.他臓器への鉄沈着を示唆する所見はなかった.血清鉄は210 μg/dlと高値,血清フェリチン値も6600 ng/mlまで上昇していた.生検した肝組織では,Kupffer細胞のみならず肝細胞内にも著明な鉄の沈着を認めた.患者に輸血歴は無かったが,胃癌術後の鉄欠乏性貧血に対し,鉄剤を断続的に約30カ月間静注された既往があり,その前後でのCT所見に変化を認めた.二次性鉄過剰症(続発性ヘモクロマトーシス)と診断し,デフェロキサミン500 mgの筋肉注射を開始,その後瀉血療法を併用し血清フェリチン値は1199 ng/mlまで改善した.鉄剤静注継続の際に注意すべき病態である.
著者
高山 泰男 鈴木 円 白野 隆史 山野井 弘充 堀 稔 田中 博 草間 薫 茂呂 周
出版者
日本大学歯学部
雑誌
The Journal of Nihon University School of Dentistry (ISSN:00290432)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.151-158, 1990

We treated a case of adenoid cystic carcinoma that occurred in the right parotid gland of a 51-year-old woman. Although the tumor, including part of the parotid gland, was resected based on a clinical diagnosis of pleomorphic adenoma, it was later diagnosed as adenoid cystic carcinoma of mixed cribriform-solid type by histopathological examination after resection. Therefore, postoperative irradiation with a dose of 51 Gy was performed.<BR>Immunohistological examination of the resected specimen showed that the profiles of carbohydrate antigens were Lewis (a<SUP>-</SUP>, b<SUP>+</SUP>) in both the tumor and surrounding normal parotid tissue. NCC-SG-007 antigen was observed in the tumor tissue but not in the normal parotid gland, suggesting that this antigen was associated with the tumor.
著者
田中 智行
出版者
東方学会
雑誌
東方学 (ISSN:04957199)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.72-89, 2013-01
著者
田中 正彦 三上 かつら
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-15, 2017 (Released:2018-07-25)
参考文献数
9

北海道の渡島半島にある七飯町の休耕田において,1990年から2014年までの間に,標識調査で捕獲された鳥類について報告する.この期間中に,のべ 37,868羽,108種が放鳥された.放鳥数が多かった鳥類種は,上位から,オオジュリン,カシラダカ,アオジ,ツバメであった.本調査地の特徴として,秋季のカシラダカ放鳥数が多いことと,オオジュリンの回収にかかわる記録が多いことが挙げられる.カシラダカは,七飯町を含む渡島半島で秋季には多く見られることから,音声誘引と地形的要因が集中を強化したものと思われる.オオジュリンは,秋季・春季ともに当地で数多く捕獲され,181個体が当地で放鳥され他地域で回収された,359個体が他地域で放鳥され当地で回収された.本調査地を通過するオオジュリンを地図上に可視化させると,初放鳥または再捕獲地点は日本海側・太平洋側を問わず日本全国(一部国外も含む)に及んでいた.七飯町は,日本のオオジュリンにとって,重要な渡りの中継地のひとつとなっていると考えられる.ツバメとショウドウツバメは当地を夏のねぐらとして利用していた.