著者
渡邉 壮一郎 大坪 天平 田中 克俊 中込 和幸 上島 国利 鳥居 成夫 吉邨 善孝 宮岡 等
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.340-350, 2001
被引用文献数
2

パニック障害患者の6年後の転帰を調査し, パニック障害の転帰に関連する因子について検討した.1993年9月から12月に昭和大学病院精神科を初診で受診し, DSM-III-Rのパニック (恐慌性) 障害の診断基準を満たした166例のうち, 我々が1994年10月から12月に行った1年後の転帰調査に回答を得た100例 (男性37例, 女性63例, 初診時年齢39.5±13.6歳) を今回の調査対象とした.6年後の転帰調査は2000年4月から5月に行った.当科に通院中の患者には担当医が本研究の主旨を説明し文書による同意を得た上で評価した.当科に通院していない患者には手紙により本研究の主旨を説明し, 同意を返信にて確認した後, 指定の日時に電話調査を実施した.評価項目は調査前3カ月間のパニック発作の頻度, 広場恐怖症性回避と予期不安の重症度, 服薬状況, 受診状況, 心理社会的ストレスの強さなどである.当科に通院中の6例と電話調査の51例, 計57例 (男性15例, 女性42例, 年齢47, 5±15.6歳) から回答が得られた.そのうち, 36例 (63.1%) が調査前3ヵ月間に症状限定発作を含むパニック発作を1回以上認め, 38例 (66.7%) が広場恐怖症性回避を認め, 42例 (73.7%) が予期不安を認めた.24例 (42.1%) が当科を含めた精神科に通院中であり, 14例 (24.6%) が他の診療科に通院中であった.41例 (71.9%) が抗不安薬か抗うつ薬を何らかのかたちで服用していた.調査前3ヵ月に1回以上のパニック発作を認めるか, 中等度以上の広場恐怖症性回避か予期不安を認めることを転帰不良の指標とすると, 57例中25例 (43.9%, 95%信頼区間: 31.0~56.8%) が転帰不良と判定された.この転帰不良・良好を目的変数とし, 性別, 初診時の婚姻状況, 初診までの罹病期間, 初診時のパニック障害関連症状の重症度, 性格傾向を説明変数としてlogistic回帰分析を行ったところ, 「初診時に未婚であること」, 「初診時の息切れ感または息苦しさが強いこと」, 「初診時の動悸, 心悸亢進または心拍数の増加が弱いこと」が転帰不良と関連があった.
著者
和久井 大輔 長島 梧郎 植田 敏浩 高田 達郎 田中 雄一郎 橋本 卓雄
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.138-142, 2012-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

頭蓋骨固定用チタンプレートにより術後頭皮断裂および美容上の問題が生じた3例を報告する.1例目は68歳男性,開頭術2年後に頭皮にチタンプレートが露出し,これを除去し,bioabsorbable polymerによる頭蓋形成術を施行した.2例目は74歳女性,開頭術11年後に手術部位感染でチタンメッシュによる頭蓋形成術を施行した.その後メッシュは表皮より透見され,美容上の問題がある.3例目は65歳女性,開頭術6年後に頭皮にチタンプレートが露出した.骨削除・プレート除去術を施行した.頭皮断裂の主原因はチタンによる頭皮への刺激の他,皮膚切開に伴う皮膚脆弱化や骨欠損部への頭皮陥凹と思われ,チタンプレートによる頭蓋形成で頭皮断裂の可能性がある症例には,bioabsorbable polymerの使用も考慮するべきと考えられた.
著者
星野 哲夫 米澤 真興 柴田 喜明 篠澤 功 田中 周 李 峰 辰口 篤志 佐藤 順 藤森 俊二 伊月 葉子 立川 裕理 玉川 恭士 田口 文彦 吉田 豊 岸田 輝幸 小林 正文
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.150-151, 1998-10-20 (Released:2015-01-22)
参考文献数
3

A 55-year-old male visited our department for further examination with positive fecal occul blood test results in the mass screening for colorectal cancer. He complained of abdominal pain and diarrhea which had started about 2 months before. Small ulcers and erosions were observed in the ascending colon and cecum at colonoscopy. Biopsied specimen at the erosions showed numerous trophozoites in the mucosa. Many Lamblias were observed under a microscope in residual liquid collected in the ascending colon or cecum. Thus, this patient was diagnosed as amoebic colitis complicated with Giardiasis. At colonoscopy performed 3 weeks after Metronidazole therapy (1000mg/day) , erosions and ulcers in the ascending colon and cecum disappeared. This patient was thought to be infected with both parasites by taking contaminated foods because he was not homosexual and had no HIV antibody.
著者
田中 みか子 江[ジリ] 貞一 河野 正司 中島 正光 小澤 英浩
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.806-811, 1996-08-01
参考文献数
69
被引用文献数
4

近年,日本では急速に高齢化社会を迎えつつあり,閉経後骨粗顆症は,歯科臨床領域においても注目されている.特に顎関節部に対する骨粗蛎症の影響を明らかにすることは,骨粗耘症と,顎関節症をはじめとする咀咽機能の低下との間に関連性が考えられることから重要である.そこで本研究では卵巣摘出ラットを用いて,エストロゲン欠乏が下顎関節突起に及ぼす影響を明らかにするため,骨密度測定および軟X線写真の2値化画像解析を行った.画像解析の結果から,エス1・ロゲン欠乏により下顎関節突起の骨形成が抑制されることが明らかとなり,歯科領域においても閉経後骨粗胤症に対する注意が必要であることを提唱している.
著者
中嶋 靖潤 田中 あけみ 川脇 寿 服部 英司 松岡 収 村田 良輔 一色 玄 井上 佑一
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.468-473, 1988-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

ムコ多糖症 (MPS IS2例, IIA1例, IIIB2例, VI1例) 6症例を対象とし, 頭部MRIを施行し, その有用性を検討した.MPS II A, Viでは大脳白質内に大小散在性のT1, T2延長像が認められ, MPSに特徴的な水溶性の酸性ムコ多糖を含有する血管周囲の小窩や小嚢胞性病変をあらわす病理変化に対応すると考えられた.またMPS II A, III Bでは大脳白質は全体にその特有の信号強度を示さず, 髄鞘の障害が考えられ, この病変と精神発達遅滞との関連が示唆された.一方MPSISでは脳内に異常所見は検出されなかった.MRIはMPSに特徴的な病理変化に対応すると思われる所見を得ることができMPSの病型の鑑別診断に有用である.
著者
大原 利眞 森野 悠 田中 敦
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.292-299, 2011-08
被引用文献数
3

平成23年3月11日の東日本大震災によって発生した,東京電力福島第一原子力発電所の事故によって,大量の放射性物質が大気中に放出された.放出された放射性物質は,福島県だけでなく,東北南部や関東地方を含む広い範囲で,土壌,水道水,牧草,農産物,畜産物,上下水道汚泥など様々な環境汚染を引き起こしている.また,将来的に,半減期の長い137Csなどによる長期の環境影響が懸念される.本稿では,これまでに公表された放射性物質の放出量や測定結果に係る各種資料,及び,大気シミュレーション結果に基づき,福島原発から放出された放射性物質の大気中の挙動に関する知見を整理する.福島原発から4月初めまでに大気中に放出された131Iと137Csの総量は,それぞれ1.5×1017Bqと1.5×1016Bq程度と推計され,特に3月15日午前中の2号機からの放出が多かったと考えられている.放射性物質の大気への放出によって,茨城県北部で測定された空間線量には3つの大きなピーク(3月15日,16日,21日のいずれも午前中)が認められる.これらのピークは,放射性プルームが北風によって南に運ばれたことと,このプルームが降水帯に遭遇して放射性物質が地表面に湿性沈着したことによって説明できる.また,筑波での測定結果は,放射性核種の構成比が時間的に大きく変化すること,131Iのほとんどはガス状であるが一部は微小粒子として存在しているのに対し放射性セシウム(134Csと137Cs)は数ミクロンの粒子として存在していることを示す.大気シミュレーションによって計算された131Iと137Csの沈着量の空間分布によると,放射性物質の影響は福島県以外に,宮城県や山形県,関東地方,中部地方東部など広域に及んでいる.また,時間的には,空間線量のピークが認められた3月15日〜16日と3月21日以降の数日の2期間で集中している.更に,3月に放出された131Iの35%,137Csの27%がモデル領域内に沈着したこと,131I沈着量のほとんどは乾性沈着したのに対して137Csは湿性沈着が支配的であること,放出された131Iと137Csのうち南東北と関東の1都10県に沈着した割合はどちらも13%程度であり,131Iは福島県,茨城県,栃木県,137Csは福島県,宮城県,群馬県,栃木県などで沈着量が多いことなどが示された.
著者
田中 靖久
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.361-362, 2008-06-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
11
著者
田中 宏子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

【目的】内閣府の有識者会議は、東海・東南海・南海地震が今世紀前半にM9として発生すると想定している。さらに、日本全国には約2,000に上る活断層があると言われており、それらの活断層の中にはM7クラスの地震をもたらすものが確認されている。大規模地震発生の切迫性が高まっている中、生徒たちも自分や家族の命は自分たちで守るという重要性を強く自覚し、その実効性が今緊急に求められている。先の東日本大震災では津波防災教育を受けていた岩手県釜石市の子ども達の多くが生き残った。津波防災教育の有効性が確認されたが、これらは地震発生時の津波を主としたものである。本研究は地震災害全体を取り上げ、山崎<sup>1)</sup>が提案する、教科を主軸とする減災教育カリキュラムの理論に基づき、地震災害という非常時に生徒が即時に有効に対応できる家庭科授業の開発と強化を目的とする。<br>【方法】まず、学習指導要領の中に分散している減災の要素を全て拾い集めて整理し、児童・生徒の発達段階を考慮しながら、家庭科授業に於ける地震災害対応授業の内容とそのねらいを明らかにした。次に2009年11月に滋賀県公立の小学校90校と中学校40校の教諭と2011年7月に開催された滋賀県学校安全研修会防災教育指導者研修に参加した教諭を対象として、減災教育に関する調査を実施した。以上を踏まえ、既往の防災・減災教育に関する実践報告を参考にしながら、家庭科教育に於ける地震災害対応授業案を作成し、その一部の実践を試みた。<br>【結果及び考察】<br>1. 教科の中に組み込む地震災害に関する学習<br> 2009年の調査では、小学校で約4割、中学校で約5割の教室で大型備品の転倒・落下防止対策がなされていなかった。中学校においては自然災害の内容を含まない教科を担当する教諭は備災行動が遅れがちであり、教諭の担当教科と対策の間に関連がみられた。学校の減災を推進するには、全ての教科に災害に関する学習を組み込むことが有効であると考えた。そこで災害に関わる学習を、どの学年の何の教科で、どのような内容でできるかを自由記述で教諭に尋ねたところ、2009年、2011年の調査とも、どの教科においても授業案がだされ、全教科に災害教育を組み込むことができることを確認した。家庭科はその特性から、学校の災害対応力を強化するための先導的役割を果たしていきたい。<br>2.東日本大震災を経ての災害教育の変化<br> 2009年と2011年の調査から得た授業案を精査した結果、震災前と震災後で、生徒自身が自分で対応方法を「考える」指導方法をとる授業案が25.2%から55.6%へと増加した(p<0.001)。そこで地震災害対応授業では、生徒自身が自分で対応方法を「考える」ことを重視した。<br>3.災害状況のイメージ<br> 2009年の調査より、被災地に赴いての体験が減災行動に影響することを確認した。従って全ての教職員、児童・生徒が被災地を訪れることが望ましいが、時間的、空間的、経済的制約がある。また、女性教諭は現地に赴く比率が低いという性差もみられた。そこで現地体験が困難な場合、災害状況を感性で捉えて実体化するために映像による疑似体験を地震災害対応授業に導入した。<br>4.家庭科授業案<br> 災害時に対応できる冷静で俊敏な行動性を高める避難訓練授業をベースに、非常持ち出しベストのポケットに入れる物、家族災害計画、家庭にある危険要素、地震に強い家や地盤、地域の危険、エネルギー依存型のライフスタイルを考える授業などを作成した。これらの授業は宿題を通じて家庭と協働し、生徒自身に加え、家族や地域住民の減災に対する意識や行動を促すことをねらいとする。<br>1)&nbsp; 山﨑古都子、田中宏子:滋賀県における巨大自然災害にともなうリスクについての総合的研究、滋賀大学教育研究プロジェクトセンター報告書、2010.
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 中川 雄公 松本 直也 鍬方 安行 霜田 求 田中 裕 杉本 壽
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.185-190, 2010

生体肝移植のドナーとしての意思決定に対して家族間で軋轢が生じ,臨床倫理問題について検討が必要であった症例を経験したので報告する。症例は40代,女性。薬剤性肝障害で意識障害が進行するため当院へ転院となった。来院時,肝性脳症III度,PT 19%,総ビリルビン濃度26.6mg/dlであった。集中治療を行ったが患者の意識状態が悪化したため,家族に最後の治療手段として生体肝移植の選択肢を提示した。ドナー候補は離婚した父親だけであった。父親は移植ドナーを希望したが,内縁の妻は手術に反対であった。手術までの過程で家族関係は急激に悪化したが,最終的には医学倫理委員会でドナーの同意権の妥当性を確認した上で,父親の意思を尊重して手術が行われた。患者は,肝不全,敗血症を合併して数カ月後に死亡した。意識障害を伴う難治性の急性肝不全症例では,最後の治療手段として生体肝移植を患者家族に提示した時点で,ドナー候補は,「自由な意思決定」が望まれるが,「時間的制約」の中で心理的圧力を受ける。ドナー候補の意思決定のいかんに関わらず,ドナー候補・家族に対する心理的な支援体制が必要である。
著者
中西 航 小林 巴奈 都留 崇弘 松本 拓朗 田中 謙大 菅 芳樹 神谷 大介 福田 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_787-I_797, 2018
被引用文献数
4

観光施策の検討において,周遊行動の実態把握は重要である.アンケート調査やプローブデータの利用など様々な方法が存在するが,コストや普及率の問題から十分なサンプル数を得ることは容易ではない.本研究では,パッシブなデータ取得手段であるWi-Fiパケットセンサーを用いた周遊行動把握の可能性を検討する.沖縄本島・本部半島周辺の複数観光地にセンサーを設置し,観光客が所有するモバイル端末からのプローブリクエストデータを複数日にわたり計測した.計測データからプローブリクエストの特性を把握し,来場者数の推定可能性を確認したうえで,複数地点での同一端末の計測情報を用いて観光地間のOD表とトリップチェインの作成を行った.来場者数の時系列変動や地点間流動量の大小関係について妥当な結果を得るとともに,課題を整理した.
著者
今井 龍一 神谷 大介 井上 晴可 田中 成典 櫻井 淳
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.407-408, 2018

<p>建設現場では多くの労働災害が発生する.また,エンジニアの高齢化や後継者の不足により労働者の雇用負担が増加しており,労働災害の増加が懸念される.特に,疲労による集中力低下に伴う人為的ミスの確率が増加すると考えられる.したがって,労働者の状態を常に把握できる安全対策の徹底が極めて重要である.既存研究では,血液や心電波による疲労やストレスの度合いを把握する取り組みがいくつか存在する.しかしながら,これらの方法は労働者の状態をリアルタイムに把握するのには適さない.一方,近年のセンサ技術の発展に伴い,心拍を簡単かつ安価に測定できるスマートウォッチが注目されている.スマートウォッチで疲労を検出できると効果的な安全管理が期待できる.そこで,本研究では,スマートウォッチの心拍データを用いて疲労度を検出し,その適用性を確認する.</p>
著者
安野 諒 長島 啓子 田中 和博
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>近年、一度の撮影で360°すべての方向が撮影できる全天球カメラが注目されている。本研究では全天球カメラ「RICOH THETA S」で撮影した全天球画像から植被率を数値で求められるか検討した。京都市左京区の宝ヶ池公園の尾根、斜面、谷部で、撮影高度(1.2m、1.6m)、プロットサイズ(3m、5m、7m、10m)で撮影した計24枚の全天球画像から画像解析によって推定植被率を算出した。そして、現地調査で得た目視植被率と比較した。画像解析は、まず全天球画像を切り取り、編集可能なJPEGイメージとして保存した。その画像の彩度、明るさ、コントラストを上げ、RGB成分毎に分割した。分割したgreenの画像からredの画像を引き算し、その画像からフリーソフト「CanopOn2」を用いて植被率を推定した。その結果、最大誤差10.2、最小誤差0、RMSE4.955となった。また、プロットサイズが7mの時に誤差が小さくなる傾向がみられた。地形により誤差の違いが見られたため、更に推定方法を改良していく必要がある。</p>
著者
田中 英彦
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1970

博士論文
著者
田中 義行 細川 宗孝 渡辺 達夫 三輪 哲也 矢澤 進
出版者
京都大学農学部附属農場
雑誌
京大農場報告 = Bulletin of Experimental Farm Kyoto University (ISSN:09150838)
巻号頁・発行日
no.21, pp.9-14, 2012-12

トウガラシは,ナス科トウガラシ(Capsicum)属の植物である。Capsicum属は約25種の野生種と5種の栽培種から構成されている(Bosland and Votava 1999)。栽培種は,C.annuum,C.baccatum,C.chinense,C.frutescens,C.pubescensであり,このうちC.annuumが世界中で最も広く栽培されている。日本でも栽培されている品種はほぼ全てC.annuumであり,'鷹の爪'などの辛味品種やピーマンと呼ばれる非辛味品種群もこの種に属する。C.baccatumは南アメリカを中心に栽培がみられる。C.chinenseは熱帯地方で広く栽培されており,激しい辛味を呈するものや芳香性に富んだ品種がある。激辛のグループに属することが知られている'ハバネロ'もC.chinenseである。C.frutescensは,C.chinenseと非常に近縁な種であり,日本では沖縄県の一部で栽培がされている。C.pubescensは南アメリカの山間部で栽培されており,「Rocoto」とも呼ばれる。トウガラシには多様な果実の色・形・大きさなどがあるが,最も顕著な特徴は果実が有する激しい辛味である。トウガラシの辛味の原因となる主要な成分は,無色の脂溶性アルカロイドのカプサイシンである。トウガラシ果実には,カプサイシンに加えてジヒドロカプサイシン,ノルジヒドロカプサイシン,ホモカプサイシン,ホモジヒドロカプサイシンなどの同族体が存在しこれらを総称してカプサイシノイドと呼ぶ。カプサイシノイドには,体熱産生作用,脂肪代謝促進作用など様々な生理作用があることが知られており,香辛料として利用されるだけでなく健康機能性成分としても注目されている。トウガラシは辛味の有無によって辛味品種と非辛味品種に区別されている。しかし辛味品種といっても,'ハバネロ'のような激辛品種から僅かに辛味がある低辛味品種まで様々な辛味程度の品種が存在し,また環境条件によって辛味を発現する'シシトウ'のような品種も存在する。辛味発現の機構を理解することは,トウガラシ育種において重要である。しかしトウガラシ果実の辛味発現は,遺伝的要因と環境条件が影響し複雑であり,体系的な理解には至っていない。近年の分子遺伝学的研究により,辛味発現の制御機構の一端が明らかになりつつある。ここでは,我々の結果も含めて,トウガラシ果実の辛味発現を制御する遺伝子に関する最近までの知見を紹介する。
著者
田中 修 國嶋 有香 谷口 拓矢 大野 光生 松尾 政之
出版者
金原出版
雑誌
臨床放射線 (ISSN:00099252)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1117-1120, 2018-10-10

近年の癌治療の進歩に伴い,生存率は以前に比して大幅に改善されるようになってきた。とりわけ放射線治療と化学療法は物理学・生物学の進歩に伴い癌を根治できるようにまで発展した1)。一方,放射線治療や化学療法は以前よりも治療期間が長くなるようになってきた。例えば放射線治療においては強度変調放射線治療(IMRT)によってこれまで以上に癌病巣に対して放射線線量を上げることができるようになった2)。化学療法においても分子標的薬剤などの出現により3rdラインや4thラインの治療まで様々な種類の薬剤を投与することができるようになってきた。このように治療の進歩に伴って患者の治療期間も長くなるようになってきている。
著者
田中 利幸 池田 思朗 大関 真之
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

医学班や天文班などと協力して,圧縮センシングを活用して,MRIや超長基線電波干渉計において少数の観測データから画像を再構成する方法を開発した.MR分光画像法(MRSI)によってマウスに注入されたブドウ糖の代謝の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化した研究成果の事例では,注入されたブドウ糖が体内に広がり,腫瘍組織で嫌気的に代謝され乳酸が産生されていく様子を見ることができる.圧縮センシングを使わない撮像法では一枚の画像の観測にも数時間を要し,時空間ダイナミクスの計測は不可能であるが,提案手法では間引き観測により体内の生化学反応の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化できることを示した.