著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
清水 惠子 浅利 優 奥田 勝博 田中 宏樹 塩野 寛 松原 和夫
雑誌
法医病理 (ISSN:13415395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-19, 2017-07

ここに掲載した著作物の利用に関する注意 本著作物の著作権は法医病理研究会に帰属します。本著作物は著作権者である法医病理研究会の許可のもとに掲載するものです。ご利用に当たっては「著作権法」ならびに「日本法医病理学会倫理綱領」に従うことをお願いいたします。 Notice for the use of this material: The copyright of this material is retained by the Japanese Society for Forensic Pathology (JSFP). This material is published on this web site with the agreement of the author(s) and the JSFP. Please be complied with Copyright Law of Japan and the Code of Ethics of the JSFP if any users wish to reproduce, make derivative work, distribute or make available to the public any part or whole thereof. All Rights Reserved, Copyright the Japanese Society for Forensic Pathology「酔っぱらって記憶が無い」という現象は、アルコール飲料による一過性前向健忘であり、誰もが知るところである。犯罪者達は、少量の睡眠薬単独で、又は少量のアルコールとの併用で、被害者に一過性前向健忘が生じることを知っている。この知識は、医療関係者にはよく知られているが、捜査関係者を含む日本の一般社会には普及していない。被害者は女性とは限らない。捜査機関は、「渡された飲料を飲んだ後の記憶がない。その間に被害(準強姦や準強制わいせつ、昏睡強盗)に遭ったようだ」という事件の相談に困惑する必要はない。"睡眠薬による一過性前向健忘により、事件当時の記憶が欠落する"という知識が、捜査機関及び法医学者に普及し、被害者の人権が適切に守られることを希求している。
著者
藤倉 直樹 横山 達朗 増田 幸則 鹿田 謙一 田中 作彌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.267-274, 1996 (Released:2007-02-06)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

麻酔開胸イヌにおけるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬,塩酸エホニジピン(NZ-105)の心筋組織内酸素分圧に対する作用を検討し,その作用をニフェジピンおよびニソルジピンと比較した.心筋組織内酸素分圧は酸素電極を心筋に刺入することにより測定した.塩酸エホニジピン(10および30μg/kg)の静脈内投与はニフェジピン(1および3μg/kg)およびニソルジピン(1および3μg/kg)の静脈内投与と同程度に平均血圧を低下させた.塩酸エホニジピンは冠血流量を用量依存的に増加させ,ダブルプロダクトを用量依存的に減少させた.これと同様な効果がニフェジピンおよびニソルジピンにも認められたが,ニフェジピンのこれらに対する効果は一過性であった.塩酸エホニジピンによる冠血流量の増加作用はニフェジピンおよびニソルジピンよりも持続的であった.塩酸エホニジピンは用量依存的に心筋組織内酸素分圧を増加し,その作用は心筋外層側に比較し心筋内層側でより顕著であった.一方,ニフェジピンは心筋組織内酸素分圧に対しては有意な増加作用を示さず,ニソルジピンは心筋内層側の酸素分圧を有意に増加させた.塩酸エホニジピンによる心筋組織内酸素分圧の増加作用はニソルジピンよりも強く持続的であった.以上の成績から,塩酸エホニジピンは麻酔開胸イヌにおいて心筋外層側よりも内層側の酸素分圧を増加させ,この増加作用には持続的な酸素供給の増加および酸素需要の減少が関与していることが示唆された.
著者
藤倉 直樹 横山 達朗 増田 幸則 鹿田 謙一 田中 作彌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.39-48, 1996 (Released:2007-02-06)
参考文献数
27
被引用文献数
5 5

麻酔開胸イヌを用いて,ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の塩酸エホニジピンの心筋酸素需給バランスにおよぼす効果をニフェジピンおよびニソルジピンと比較検討した.麻酔開胸イヌにおいて塩酸エホニジピン(30μg/kg)はニフェジピン(3μg/kg)およびニソルジピン(3μg/kg)と同程度平均血圧を低下させたが,その降圧効果はニフェジピンおよびニソルジピンよりも持続的であった.そのとき心拍数は塩酸エホニジピンおよびニソルジピンにより減少したのに対しニフェジピンでは逆に増加した.心筋酸素消費量は塩酸エホニジピン(30μg/kg)により投与初期に軽度増加したが,その後は有意な変化は認められず一過性の反応であった.一方,ニフェジピン(1および3μg/kg)では投与直後に有意な増加が認められたのに対しニソルジピン(3μg/kg)では有意な変化は認められなかった.しかし塩酸エホ=ジピン,ニフェジピンおよびニソルジピンはともに冠状静脈洞血流量を増加させ動静脈酸素濃度較差を減少させたことより,これらの薬剤はともに心筋への酸素供給を増加させることが示唆された.また塩酸エホニジピン,ニフェジピンおよびニソルジピンによりダブルプロダクトが減少したことより,これらの薬剤は心筋の酸素需要を減少させることが示唆された.以上の結果から,塩酸エホニジピンは心筋酸素消費量を一過性に増加させたが,持続的な酸素供給増加作用および持続的な酸素需要減少作用を示したことより,心筋酸素需給バランスを改善する可能性が示唆された.
著者
横山 達朗 藤倉 直樹 増田 幸則 鹿田 謙一 田中 作彌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.307-321, 1996-12-01 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

左冠動脈前下行枝結紮により急性心筋虚血を惹起した麻酔開胸イヌの心血行動態および心機能におよぼすジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬, 塩酸エホニジピンの効果をニフェジピンおよびニソルジピンと比較検討した.塩酸エホニジピン (10または30μg/kg) またはニソルジピン (1または3μg/kg) は冠動脈結紮10分前に, ニフェジピン (1または3μg/kg) は冠動脈結紮3分前にそれぞれ静脈内投与し, 冠動脈結紮50分後まで観察した.塩酸エホニジピン, ニフェジピンまたはニソルジピンは用量依存的に, 総末梢血管抵抗および血圧を減少させ, 心拍出量および心筋局所血流量を増加させた.冠動脈結紮により虚血領域における局所血流量減少および心筋壁運動異常が認められ, さらに末梢血管抵抗がほとんど変化しないにも拘わらず血圧および心拍出量の減少が認められた.塩酸エホニジピン, ニフェジピンまたはニソルジピンは, 虚血領域における局所血流量減少および心筋壁運動異常を抑制する傾向が認められた.冠動脈結紮による全身循環動態の変化に対して, 塩酸エホニジピン, ニフェジピンまたはニソルジピンは異なる影響をおよぼした.溶媒投与群との比較において塩酸エホニジピン (30μg/kg) は, 心筋虚血中, 心拍数, 血圧および末梢血管抵抗を低値に, 心拍出量を高値にそれぞれ維持した.ニソルジピン (3μg/kg) によっても同様な作用が認められたが心拍数の減少は認められなかった.ニフェジピン (3μg/kg) は冠動脈結紮による全身循環動態の変化に対してほとんど影響をおよぼさなかった.以上の結果より, 塩酸エホニジピンは心筋酸素需要を減少させることにより虚血による心機能障害を抑制する効果を有することが示唆された.
著者
西谷 正 甲元 眞之 山本 輝雄 中橋 孝博 田中 良之 宮本 一夫 中園 聡
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

平成8年度は、本研究3個年計画の最終年度に当たるので、過去2年間にわたって実施した調査成果を総合的にまとめ上げることを主眼とする研究を実施した。そのため、収集した膨大な調査資料を改めて整理、分析するとともに、研究成果報告書の原稿を執筆した。その間、支石墓研究会も開催し、第15回をもって最終回とした。その際、中国の遼東半島や朝鮮の西南海岸部・済州島の支石墓について補足し、また、日本の出土遺物として重要な供献小壺についても研究の現状を把握した。その結果を要約すると、支石墓は中国の東北地方から朝鮮の全地域において、主として青銅器時代に築造された。中国では、いわゆる石蓋土壙墓が支石墓を考える上で重要である。おそらく中国で成立した卓子形の支石墓は、朝鮮の西北部にまず伝播した後、変容を遂げながら南部地方へと波及し、碁盤形支石墓を生んだ。朝鮮の全域で独特に発達した支石墓は、いうまでもなく、もともと巨大な上石とそれを支える支石からなることに特徴があるところから名づけられた墳墓である。ところが、最近の調査例のように、実に多種多量の形式が見られるようになってくると、形式分類もひじょうに複雑なものとならざるをえない。それでもなお、共通点として指摘できるのは、巨大な上石を使用していることであるのに対して、支石をもたないものもけっして少なくないのである。そこで、巨大な上石の下にある墓室の構造を基準として形式分類を試みた。日本の支石墓は、縄文時代終末期から弥生時代中期にかけて、北部九州を代表する墓制の一つである。上石の下部に埋葬施設としての土壙・甕棺・配石などがある。古くは、土壙の場合が多いが、新しくなると甕棺が多くみられる。甕棺を埋葬施設とする点は、日本独自の特徴である。支石墓の存在形態を見ると、大規模な群集を示さず、数基ないし十数基からなる。
著者
屏 貴文 田中 裕人 水町 光徳 中藤 良久 松井 謙二
出版者
一般社団法人 産業応用工学会
雑誌
産業応用工学会全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.24-25, 2013

近年,喉頭摘出者のための電気式人工喉頭(以下電気喉頭)による音声の音質改善の検討が行われており,中村らにより肉伝導人工音声によるコミュニケーション支援システムが提案されている。現在我々は,電気喉頭を用いて発声された音声をマイクで収音し,スピーカで拡声する発声補助システムを検討している。本稿では,電気喉頭音声よりも音質の良い音源の検討を行った。ケプストラム分析により声道特性を比較するとRosenberg波音源が低域でも通常の声帯振動に近い音源であることがわかった。また,ケプストラムのケフレンシー幅に着目し,声帯特性を比較するとRosenberg波の声帯特性が最も通常発声のケフレンシー幅に近く,約96%の幅であった。以上のことより,電気喉頭の音源にRosenberg波を用いることで,電気喉頭音声の音質の改善が行える可能性があることがわかった。
著者
小田 辰也 岩切 大輔 生駒 成亨 田中 信行
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.86, 2016 (Released:2016-11-22)

【はじめに】びまん性軸索損傷(diffuse axonal injulry 以下DAI)は6時間以上の意識障害に加え、画像上その原因としての頭蓋内点処病変を認めず低酸素や脳虚血によらない遷延するびまん性脳損傷を指す.一般的にDAI後の予後は不良とされる報告が多く、長期的な経過を辿る例も少なくない.今回、DAIにて予後不良が予測されたが良好な経過を辿った学童について、文献的考察を交え以下に報告する.【症例紹介】11歳男児.自宅ロフトから転落し受傷.搬送時GCSは7点(E1V2M4).24時間以上の意識消失あり.MRIにて脳梁後部・峡部・膨大部への挫傷、多発点状出血痕を確認.CTにて約4mmの正中構造偏位を確認.医師よりDAI、骨盤骨折、肝損傷と診断.同日入院の運びとなる.【経過及び所見】受傷2日目、理学療法士、言語聴覚士介入開始.受傷10日目、作業療法士介入開始.介入時GCSは11点(E4V2M5).利き手は右.常時苦悶様表情.発話は奇声のみ.口答指示・文書理解困難.身体機能面は左側良好.麻痺症状はないが右側上下肢運動無視あり.上下肢深部腱反射は亢進.バビンスキー反射は右陽性、左陰性.足クローヌスは右陽性、左陰性.高次脳機能面は紙面上検査困難.観察、保護者情報より注意機能低下、発動性低下、易疲労性、衝動行為、性格変化、興味欠損を確認.FIM45点.実用歩行困難.摂食嚥下、呼吸、排泄は良好.受傷14日目、実用歩行獲得も右側上肢運動無視継続.課題指向型の食事動作訓練導入.評価手段としてshapingを作成し段階的難易度を指定.介入時は右手での物品使用困難.易疲労性と注意転動のしやすさから、途中で席を立つ、手掴みで食べる等の行為が頻発.受傷18日目、右手の補助的使用を確認.受傷21日目、右手で道具を使用し全量摂食可.左手の補助的使用を確認.受傷24日目、MRIにて浮腫減少を確認.shaping上の課題はすべて獲得.単語レベルの発話出現.内容は他罰的で脈絡を欠くものが主.簡単な音読、文書理解可.易怒性、衝動行為は残存.受傷26日目、誘因なく言語機能、衝動行為改善.受傷前後の記憶あり.紙面上検査可.記憶、知能、遂行機能、語彙年齢良好.選択性注意、語の流暢性に問題あり.FIM109点.自宅復帰可能と判断され、受傷33日目、自宅退院の運びとなる.【考察】本症例の意識消失時間、CT所見よりGennarelliらの分類の中等度DAI.TCDBにおけるCT分類のびまん性脳損傷Ⅱと考えた.これら分類の転帰良好率は30%台と低く、予後不良と長期的経過が予測された.臨床症状・画像所見より、右側上下肢運動無視は左側皮質脊髄路由来の神経線維への軸索流途絶に加え、肢節運動失行・補足運動野由来の症状が考えられた.言語障害は前頭葉内側部症状を主に呈し、尚且つ聴覚理解・復唱・呼称障害から運動性失語が考えられた.上記症状遷延によりlearned non-useによる左半球退行障害併発を予測.予後不良に拍車をかける危険性が考えられた.その予測に反し、受傷26日目、誘因なく言語機能、情動面の改善を確認.その要因として浮腫軽減による軸索流改善は勿論、小児特有の脳可塑性の高さが影響したと考えられた.また、脳幹網様体からの上行性投射による大脳皮質への賦活が阻害されなかったことも、症状改善に寄与したと考えられた.上記要因と訓練によるneuro feedbackにより脳機能再構築が促進された結果、機能改善に至ったと考えた.小児中途障害例は、先天障害例と比較し障害部位が多彩な為、体系化された対処手段が構築されていないのが現状である.今後、DAI後の転帰不良因子の比較検討を行い、予後予測の判定等に役立てられるようにしていきたい.【倫理的配慮,説明と同意】報告にあたり、当院の倫理委員会の承認(承認番号16-003)及び、対象者、家族の同意を得た.
著者
今田 直樹 河内 明宏 北森 伴人 大嶺 卓司 田中 善之 渡邊 泱
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1114-1119, 1996-09-20
参考文献数
10

(背景と目的) 膀胱内圧脳波終夜同時測定に基づいた体系的治療を施行し, 2年間経過観察が可能であった夜尿症患者の長期治療成績を検討した.<br>(対象と方法) 対象は1990年1月から1991年12月までに, 膀胱内圧脳波終夜同時測定を施行した213例で, その病型分類は1型夜尿症136例 (64%), IIa型夜尿症20例 (9%), IIb型夜尿症57例 (27%) であった.<br>(結果) 2年後の体系的治療の治療成績は夜尿症患者全体で, 治癒44%, 有効38%, 無効18%であった. 2年後のI型夜尿症に対する治療成績は, 治癒52%, 有効37%, 無効11%であり, IIa型夜尿症に対する治療成績は, 治癒40%, 有効45%, 無効15%であり, IIb型夜尿症に対する治療成績は, 治癒26%, 有効39%, 無効35%であった. 有効群と無効群を比較すると, 有効群が有意に年齢が高かった. I型夜尿症において, 無効群に有意に昼間遺尿を有する症例が多かった. 夜尿回数と尿意覚醒の有無は両群で有意差を認めなかった.<br>(結論) 夜尿症分類ではI型夜尿症が最も軽症で, IIb型夜尿症が最も重症であると考えられた. 病型移行したものも有効に含めれば, 2年間の体系的治療に全く反応がみられない症例は全体の約1割であり, この1割が難治性の夜尿症と考えられた.
著者
石黒 梓 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017

<p> 健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである.</p><p> 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した.</p><p> 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった.</p><p> 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.</p>
著者
岩間 信之 田中 耕市 佐々木 緑 駒木 伸比古 齋藤 幸生
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.139-156, 2009 (Released:2018-01-10)
参考文献数
74
被引用文献数
5 15

The purpose of this paper is to clarify the local residential environment of the elderly in Japanese cities, and to provide an introduction to ‘food deserts’. The case-study city is Mito City, Ibaraki Prefecture, Japan. Food desert issues represent a social exclusion problem. These issues include access to food for low-income households in low-income neighborhoods, particularly to food that is integral to a healthy diet. These issues are openly discussed outside Japan, especially in European countries. Food deserts are defined as, “those areas where car-less residents, unable to reach out-of-town supermarkets, depend on the corner shop, where prices are high, products are processed and fresh fruit and vegetables are poor or non-existent.” It has further been stated that, “the increasing tendency toward out-of-town supermarkets has led to the creation of ‘food deserts’, where cheap and varied food is accessible only to those who have private transport or are able to pay the costs of public transport if it is available.” In the UK, fatal diseases such as cerebrovascular disease and breast and lung cancer have been linked to poor nutrition, which in turn is linked to food deserts. In addition, these social exclusion issues often lead to crime, violence, and terrorism.The main factors that cause European food desert problems are social exclusion and poor access to food retailers. We find similar factors in Japanese cities. Japan is facing a crisis resulting from a rapidly aging population, and many elderly people live in downtown districts. A decline in downtown shops is notable. As a result, a food deprivation problem occurs for many elderly people living downtown in Japanese cities. This paper provides an introduction to the Japanese food desert issue, based on a case study of Mito City, Ibaraki Prefecture. People over the age of 65 in the CBD of Mito comprise 25.4% of the residents. Many neighborhood fresh-food stores have closed since the 1990s.The authors studied food retail access using a GIS (Geographical Information System) and found large food deprivation areas around the CBD of Mito City. Subsequent interviews and questionnaire surveys in these areas clarified the residential environment of the elderly. Many elderly people from inner Mito travel more than three kilometers each way, by bicycle or on foot, to go shopping. They shop only once or twice per week, and their daily consumption of fresh vegetables and fruit is less than half that of the national average.There is little doubt the elderly in inner Mito are facing a nutrition deprivation problem that is a food desert issue. Some European studies have considered the effectiveness of large-scale, retailer-oriented solutions to such problems. However, a strategy for tackling the issue of Japanese food deserts must be considered from a local perspective. Yet Japanese studies have just begun.This is a case study of a provincial city, but similar problems may also occur in other metropolitan centers and rural areas. We must first define Japanese food desert issues and then develop a research agenda to address them.
著者
土田 英治 田中 真人
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.159-163, 1999
参考文献数
3

A new terebrid species, Hastula hamamotoi is described. The new species was collected from the lower sublittoral zone of the offshore area of the west of Kushimoto, Kii Peninsula, Pacific coast of central Japan.
著者
平田 孝治 岡嶋 一郎 福元 裕二 辻 裕一 和田 佳奈美 松田 佐智子 モハメッド ノル・ アンワー 尾道 香奈恵 津上 佳奈美 春原 淑雄 赤坂 久子 高元 宗一郎 溝田 今日子 小川 智子 立川 かおり 占部 尊士 西田 明史 川邊 浩史 吉村 浩美 馬場 由美子 武富 和美 田中 知恵 西岡 征子 野口 美乃里 牛丸 和人 米倉 慶子 桑原 雅臣
出版者
西九州大学短期大学部
雑誌
永原学園西九州大学短期大学部紀要 = Journal of Nisikyusyu university junior college (ISSN:24347833)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.15-28, 2019-03-18

In the learning outcomes, the relationship between objective and subjective measures is an issue of educational measurement. In this paper, we clarified the correlation derived from the semester-linkage of academic achievements and self-evaluations based on the competency model in NUJC. In the principal component analysis, it was suggested that the self-evaluations include roughly two directions of general ability and professional ability, and that the academic achievements depend on the curriculum and the methods of learning and evaluation, basically. The interpenetration of academic achievements and self-evaluations depend on intermediate factors that rule their linkage. The factors are supposed to be formed by two components: the faculties’ factors such as curriculum, methods of learning and evaluation including cognitive learning and the environment of “learning- background” (e.g., Hidden curriculum and Student support); the student's factors such as acquired abilities including motivation, personality and self-consciousness.
著者
田中 博之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.390-394, 2018

<p>PISA型読解力は,社会の多様な資料やデータを比較して既有知識を活用しながら深く読み取り,読み取った結果を自分なりに解釈・評価してわかりやすく表現するという総合的な学力を意味している。21世紀社会に求められる新しいリテラシーとしてのPISA型読解力は,すべての国の子どもたちの基礎学力になることが求められるとともに,これからますますその育成方法や評価方法の研究を推進することが,OECD的な意味で国の経済発展の根幹になるものと考えられる。</p>
著者
松岡 丈平 田中 豪 末竹 規哲 内野 英治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.105, 2010 (Released:2010-11-05)

本報告では混合雑音により劣化したカラー画像の雑音除去問題を取り扱う.一般に,カラーの自然画像はRGB成分間において相関が高いために,成分ごとに独立にフィルタ処理を行うよりも,ベクトル信号として処理を行う方が望ましいとされている.提案手法では,まず,ロバストスイッチングベクトルメジアンフィルタに基づいたベクトル$\varepsilon$-フィルタを入力画像に繰り返し適用し,雑音をほぼ完全に取り除いた暫定的な雑音除去結果を得る.その後,入力画像と暫定出力画像との残差を求め,そのRGB成分間の相関情報を利用することで残差画像中の真値成分を抽出し,それを暫定出力画像に加えることで,画質の良好な出力画像を得る.実験を通して,提案手法の有効性を示す.