著者
山崎 古都子 田中 宏子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、日本の住宅の長寿化と、減災を促進することである。本論では生活実務に内在するジェンダー性が、住宅管理行動の減衰と技術低下の傾向を生み、それが住宅の長寿化の阻害要因であることを検証した。また、居住者には根強い建て替え意識があることが減災に対する無関心を生んでいることを明らかにした。従って、住宅の長寿命化、減災両側面から住宅の管理責任意識を発揚する必要がある。そのために本研究では、地域と、学校が連携して居住者を育てる減災教育カリキュラムを開発した。
著者
田中 英輝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.69, pp.89-94, 1995-07-20
被引用文献数
4

自然言語処理に利用するための規則をコーパスから学習する研究が最近盛んになっている.これらの研究では,得られた規則の適用範囲をいかに一般化するかが大きな課題となる.なぜなら,コーパスから直接学習される規則はそのままでは適用範囲が極端に狭いからである.現在はこの問題を解決するためにシソーラスを利用した手法が試みられている.このとき,シソーラス上のどの概念で規則を一般化するかが問題となる.しかしシソーラス上のノードの選び方は,組合せ的に爆発を起こすためその決定は容易ではない.本稿では,この問題を線形時間で解く基本的なアルゴリズムを提案する.本稿の問題は一般的に言うと帰納学習の分野で問題とされていた「構造化属性」の問題に属する.さらに,決定木の最適部分木を求める問題とも等しい.The proper treatment of structured attributes in inductive learning is getting much attention as this learning technique is now frequently applied to the knowledge extraction in natural language processing, In this context, the problem is finding a set of thesaurus nodes that maximally generalizes words in the learning source, but causes minimum errors. The number of candidate node sets, however, explodes as the thesaurus size increases, and no efficient algorithm has been discovered so far. In this paper, we propose the algorithm T^* which can find the optimal node sets in linear-time. This algorithm first converts the thesaurus into a directed acyclic graph changing this difficult problem into a shortest path problem with a graph where we can use an efficient algorithm. We then show that T^* can also be used to find the optimally pruned decision tree.
著者
尾形 武文 矢野 雅彦 田中 昇一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.55, pp.31-34, 1988-12-15

良食味品種「ミネアサヒ」の移植時期の移動による生育の特徴や収量性の変化は次のとおりである。1.「ミネアサヒ」の安定多収を得るための最適な移植期は6月初旬頃であった。2.移植期が5月6日〜6月20日の問では,主稈葉数は13葉前後でほとんどかわらない。3.出穂,成熟期は10日早植することにより,5〜6日早まった。4.5月.上旬植では,1種籾数の減少がみられた。5.6月20日植では,籾数の確保は容易であるが,穂満期の程の充実や受光態勢が劣るため,登熟歩合の変動が大きかった。以上の結果並びに施肥法試験の結果から,京築地域の平坦〜山麓地における「ミネアサヒ」の栽培において安定多収を得るためには,移植期が5月上旬植の場合10a当り収量500kgを目標に,m^2当り籾数は28,000〜30,000粒が適切であった。また,このための窒素施用量(10a当り)は基肥5〜7kg,1回目穂肥1.5〜2kg,2回目穂肥1.5kgが適当であった。さらに,6月上旬植の場合10a当り収量530kgを目標とすることが可能であり,その場合のm^2当り籾数は30,000〜32,000粒が適当であった。このための窒素施用量(10a当り)は,6月上旬植では基肥5〜6kg,1回目穂肥1.5kg,2回目穂肥1.5kgが適当と考えられた。なお,以上の2移植期ともに,1回目の穂肥を出穂前20日頃(幼穂長2〜3mm)にすることが効果的であった。
著者
森江 隆 田中 秀樹 厚地 泰輔 是角 圭祐 中田 一紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.281, pp.55-60, 2008-10-31

我々は従来より,パルス変調信号により時間領域で積和演算および任意非線形変換が行える「アナログ・デジタル融合回路アーキテクチャ」と名付けた方式を提案し,これに基づき各種の脳型視覚処理LSIおよびニューラルネットワークLSIを開発してきた.時間領域での非線形変換は,変換関数と同形の非線形な時間関数で表される電圧または電流波形を用いることで実現できる.これまで,波形生成回路の占有面積の関係から,任意非線形関数波形を複数の演算回路で共有する方式を用いてきたが,この方式では各演算回路が同期的に動作せざるを得ない.しかし,いくつかのモデルでは非同期動作が必要となることがある.スパイクタイミング依存シナプス可塑性(STDP)はその一例である.本報告では,他の例として相対的なスパイクタイミング差による類似度(距離)演算回路を紹介する.また,準周期的にスパイク発火するニューロンのモデルである位相振動子を同期・非同期両方式でCMOS回路で実現した例を示す.回路シミュレーション結果より,このモデルをスパイクタイミングイベント駆動により非同期で動作させることにより,処理時間および消費電力の大幅な削減が期待できることを示す.
著者
前田 樹海 深山 智代 小西 恵美子 野坂 俊弥 田中 高政 STANLEY Grace
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

わが国では多くの地方公共団体で骨密度測定事業が実施されている。骨検診において、限られた資源や時間の中でより教育効果を高めるための方策について、提供者および利用者の両側面から研究を行なった。提供者側からのアプローチとしては、教育効果の高い生活指導に資する問診票、および健康教育に携わる保健師、栄養士、運動指導員が一定の共通認識を持って一貫性のある指導を行うための解説書の開発とその評価を実施した。問診票の項目は、WHO等が公表している国際的なリスク要因に基づき、利用者が記入しやすい、スタッフが指導しやすいという観点から厳選し、マークシート式のものを作成し評価を行なった。利用者側からのアプローチとしては、骨健診において、骨の健康について理解を深めるための解説書の作成および、骨量減少リスクを自己評価するためのツール開発を実施した。このようなツールは世界中ですでに数種類開発されているが、日本女性に特化したツールがない点、感度を高めるために特異度が犠牲になっている点が課題と考えられた。そこで、研究者らが開発した問診票からのデータをもとに、決定木による場合分けを行ない、最終的には年齢、食事、体重、20代の身長という説明変数で、骨量減少を予測するモデルを作成した。86%の精度で骨量減少を予測し、感度は91%、特異度は81%を示した。一般化のためにはさらなるデータの蓄積と検討が必要と考えられたが、地域住民が骨検診への動機付けを高めるためのツールとしては一定の役割を果たすことが推察される。上記研究成果の一部を、International Osteoporosis Foundation World Congress on Osteoporosis 2006(Toronto, Canada)およびInternational Council for Nurses Conference 2007(横浜市)にて発表した。また、第33回日本看護研究学会学術集会(盛岡市)および、日本医療情報学連合大会(神戸市)にて発表予定である。
著者
渡辺 幸一 朴木 英治 久米 篤 青木 一真 中野 孝教 石田 仁 松木 篤 岩坂 泰信 松木 篤 田中 泰宙
出版者
富山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高所に出現する弱い黄砂(バックグランド黄砂)の動態やその自然環境へ及ぼす影響を評価するため、立山において、エアロゾル粒子、微量気体成分、降水、霧水、積雪などの観測・分析を行うと共に、植生への影響について検討した。年度による程度の違いはあるものの、毎年秋期に「バックグラウンド黄砂」の影響がみられることがわかった。立山山の植生は、大気汚染物質だけでなく、黄砂粒子の影響も大きく受けている可能性が示唆された。また、立山での観測と並行して、回転翼航空機による富山県上空大気観測も行った。観測結果から、高所では高濃度の光化学オキシダント物質に植生が晒させやすいと考えられる。
著者
田中 美夜
出版者
富山大学芸術文化学部
雑誌
GEIBUN : 富山大学芸術文化学部紀要 (ISSN:18816649)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.32-35, 2009-02

駅地下芸文ギャラリーは2007年4月にオープンしました。2年目に入った今年は昨年に引き続き学生が企画段階から関わっていく動きも入れながら、ワークショップ及びセミナーの開催と昨年度よりも多い来場者数を目標として事業を行ってきました。学生の企画としては5月のゴールデンウィークに合わせた「Tommy Dining」が挙げられます。この企画は学生が主体となって運営組織をつくり、期間限定のショップをギャラリー内にオープンするというものでした。企画のみに関わる学生がいれば作品出品だけ行う学生もいて、多くの学生が興味のある得意分野で関わっていくことができました。また、地域を巻き込んだ企画として、市民と学生を対象とした座談会、そして小学生を対象としたワークショップを開催しました。両者ともに次回を望む参加者の要望もあり、継続した企画として今後も行なっていきたいと考えています。
著者
田中 美栄子 田伏 正佳
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では人工知能の基礎となるような複雑系科学に的を絞り、経済系、脳の解明に応用数学の経験と計算能力を投入することを目的とした。主テーマは経済情報物理学、人間乱数のHMMモデル、非侵襲的診断へのニューラルネットワーク応用、エージェントの協調、であるが、経済情報物理学の占める割合が特に大きかった。初年度は協力者田伏との共同研究で、次年度以降は代表者田中が単独で、学部学生9名の卒業研究テーマとしても用いながら行い、モデルと実データの解析から様々の新たな知見を得ることができた。後半には研究の重点を複雑系としての経済現象にしぼり、「経済物理学」と「人工市場」の二つ研究グループと接触を保ちながら、経済物理学はポジティブフィードバックによるマルチエージェント・シミュレーションから、パラメータ空間が二つの相に分かれその臨界点に対応する値でちょうど実際の高頻度金融データと同じ統計性を示すことを具体的な形で明らかにした。結果の前半は2001年4月発行のINFORMATION誌第4巻に、後半はEmpirical Science of Financial Fluctuations(Springer,2002)に掲載された。また、高頻度金融(TICK)データの性質を高速コンピュータ解析で扱い、スケール不変な統計性から乱流との類似、細かな動きの予測可能性、および多国間の為替の同時取引を仮想的に行った場合の裁定機会とその緩和時間について具体的な知見を多く得た。最後に複雑系経済学の国際的な研究センターの一つであるサンタフェ研究所を2月に訪問して意見交換を行った。人間乱数の研究は実データの時系列解析により個人の性格に対応した特徴をパラメータに取り入れることが可能であることを明らかにした。非侵襲的診断へのニューラルネットワーク応用は吉田氏の開発した計測機器と共に特許申請した。
著者
酒井 寿郎 田中 十志也 浅場 浩
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体δ(PPARδ)はリガンド依存的に転写を制御する核内受容体の一つである.我々はPPARδが骨格筋の脂肪酸代謝を調節する因子の一つであることを報告した(PNAS,100,229-234,2003).選択的PPARδアゴニストGW501516(GW)の投与により,ミトコンドリアの増生,脂肪酸β酸化および代謝速度の亢進,骨格筋における顕著な脂肪滴蓄積の減少が認められ,高脂肪食(HFD)負荷によって惹起される肥満およびインスリン抵抗性を改善することを明らかにした.GWは骨格筋および肝臓において脂肪酸輸送,脂肪酸β酸化および呼吸鎖に関与する遺伝子群を誘導した.一方,普通食負荷したマウスのWATの遺伝子発現には影響を及ぼさないが,GWはHFDによって惹起されるTNFαおよびPAI-1の遺伝子発現増加を抑制した.さらに,HFD負荷したマウスの肝,骨格筋およびWATではインスリンによるPI-3キナーゼの活性化が顕著に低下していたが,GW投与群では有意な改善が認められた.以上のことより,GWは長期投与において持続的な抗肥満および抗糖尿病活性を有することが示唆された. PPARδアゴニストのインスリン感受性改善効果の一部は,肝や骨格筋での脂質蓄積抑制や脂肪細胞の肥大化を抑制し,PI-3キナーゼ介在性の糖取り込みやアディポサイトカイン産生を改善することによって発揮されていると考えられた.Oikeらとの共同研究で血管新生液性因子angiopoietin-related growth factorが抗肥満効果としてPPARδを介することを示した。また、私たちは転写因子Kruppel-like factor KLF15が絶食時に誘導されATPを合成するアセチル-CoA合成酵素プロモーター活性を調節することを明らかにした。KLF15は脂肪細胞の分化に関与する転写因子としても知られている。
著者
田村 真広 菅井 直也 関矢 貴秋 保正 友子 山本 美香 平野 優 阪野 貢 保住 芳美 矢幅 清司 池田 幸也 大橋 謙策 北本 佳子 阪野 貢 長谷川 豊 馬場 清 原田 正樹 平野 和弘 平野 優 保住 芳美 宮脇 文恵 矢幅 清司 芦川 裕美 岡 多枝子 田中 泰恵 崔 太子
出版者
日本社会事業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

高等学校の専門教科「福祉」の教育改善と教師教育に関する総合的研究である.(1)理KOMI論を活用して介護福祉の基礎から実習教育を一貫させる教材開発、(2)高等学校福祉科の卒業生の就労状況や福祉教育への意識を調査したライフコース研究、(3)での後期中等教育段階にEUおけるケアワーカー養成・教員養成システムを調査した研究、(4)特色ある高校づくりの要に教科「福祉」を位置づけた教育課程改革の実態調査.これらの研究成果をもとに、教科「福祉」の教員教育のあり方について問題提起した.
著者
田中共子
出版者
広島大学総合科学部
雑誌
広島大学総合科学部紀要. III, 情報行動科学研究 (ISSN:03851478)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.77-94, 1991-02-28
被引用文献数
1

Psychological studies on adjustment of international students in Japan has become increasingly important in recent years because of the abrupt inflow of students from abroad. The results of existing research in this area, however, are not consistent over studies. One reason for this inconsistency is sampling bias due to limited subject numbers and under representation. A second reason is the wide variety of instruments used to measure the concept of cross-cultural adjustment, which has been defined differently by the investigators concerned. This study approaches adjustment through various scales, attempting to grasp as many factors as possible that may underlie the concept, and by attaining a sample that is as close to the characteristics of the international student population in Japan. This report deals with some descriptive statistics and results of factor analysis done on the adjustment scales.
著者
田中 一朗 戸田 保幸 松村 清重 鈴木 敏夫
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

船首尾部で発生する3次元剥離の発生機構及びその船型要素との関係を明らかにするとともに、これらの影響を考慮した船体まわりの流場、船体に働く流体力の計算法を開発することを目的とする。以下に調査法とその結果について述べる。1.通常船型を横断面積分布、偏平度分布、へこみ度分布を用いて表し、この船体が斜航する場合の流場の計算法を示した。この結果、剥離渦の強さ及び剥離線はへこみ度分布に強く依存することがわかった。2.上記計算法には剥離渦の発生初期の形状を必要とする。これを得るために、剥離渦を伴う円錐まわりの自己相似流場について調査し、剥離線近傍の剥離渦の形状を摂動法により求めた。この解はレイノルズ数が無限大の時に起きる剥離構造を示すことがわかった。しかし、この解析解は渦の端が無限遠方で渦の巻き込みを表せないため、この解を元に渦の局所的流速を用いて解を大局化させる反復法による計算法を示した。この結果、渦層は円錐からあまり離れず、有限レイノルズ数の渦層形状とはかなり異ることが明らかとなった。3.厚い境界層理論と簡易プロペラ理論を用いてプロペラ作動時の実用船型まわりの流場の計算法を開発した。その結果、プロペラ作動時においても計算結果は実験結果とよい一致を示すことがわかり、また、プロペラ作動時の方が船体表面圧力分布に及ぼす粘性影響が小さいことがわかった。また船体横断面形状をフレアーを持つように変形することで粘性圧力抵抗が軽減されることがわかった。4.船首砕波する流場を低フルード数という仮定で解析的に求めた。その結果、渦を伴っていない局所波は実験で得た波形によく似た形状となることがわかった。
著者
田中 実
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.326-349, 1984-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
田中 実 小林 悟
出版者
基礎生物学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

身体が作られる過程において、雌雄の決定(性決定)はまず体細胞で行われる。この影響を受けて生殖細胞は卵になるか精子になる(生殖細胞の性決定)が、生殖細胞内でどのようなメカニズムによって性が決まるかは不明であった。本研究の結果、遺伝的制御の基盤が明らかとなり、身体の性決定前から生殖細胞にはY染色体依存的な性差があることが明らかとなった。さらに最終的に卵か精子になるスイッチ遺伝子の同定に成功し、スイッチを切り替えると、卵巣内で機能的な精子が作られる。また適切な性分化のためには、内分泌制御によってゲノムワイドにエピゲノム状態が影響されることが必要で、その制御が乱れると性転換が生じるとの知見が得られた。
著者
田中 実
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.1109-1123, 1997-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
12

東アジアにおける梅雨降水量及び西太平洋における夏のモンスーン (WNPM) の年々変動及び長期変動を1963年から1992年までの30年間の海面気圧・降水量及び5日平均GMS上層雲量データ (1978年4月から1992年12月) を利用して調査した。これらの現象とENSOとの関係を1963年から1992年までの30年間の東部赤道太平洋海面水温(NINO3 SST)を利用して調査した。7月下旬のWNPMの年々変動は、NINO3 SSTと最近の15年間 (1978-1992) のみ高い負の相関があることがわかった。これはLa Nina (El Nino) 年にWNPMは強く (弱く) なりやすいことを示す。7月の梅雨降水量は、NINO3 SSTと上記15年間において高い正の相関があることがわかった。したがって La Nina (El Nino) 年に梅雨降水量が少なく (多く) なりやすいことを示す。これらの関係は最近の15年間については La Nina 年と比較して El Nino 年は WNPM の開始と梅雨降水量の極大が出現する日が20日ほど遅れることによる。7月の梅雨降水量は1963年から1977年の15年間にも NINO3 SST と高い正の相関があることがわかった。しかし La Nina年と El Nino年の梅雨降水量の極大の出現日の遅れの差は小さくなっていた。NINO3 SSTとのラグ相関を計算し、7月下旬のWNPMは5・6月のNINO3 SSTとの負の相関が高かった。梅雨降水量は最近 (前期) 15年間の1978-1992年 (1963-1977年) の期間において、3ヵ月遅い (2ヵ月早い) 月の NINO3 SSTと高い正の相関があることがわかった。NINO3 SSTの自己相関を調べると、1963-1977年の15年間は、2年周期が、1978-1992年は4年位の長い周期が観測された。この周期の変化は、最近の15年間に SSTと WNPM及び梅雨降水量との相関が高くなったことと関係していると考えられるが、今後の調査が必要である。