著者
近藤 ふさえ 中島 亨 鈴木 麻美 田中 伸一郎
出版者
杏林大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

【目的】本研究は、携帯型身体活動測定器(Actigraph)と主観的睡眠調査票を用いて2型糖尿病患者の睡眠状態の特徴を明らかにすることを目的として、就労している外来通院中の2型糖尿病患者(以後T2DM・Ptと略)21名と健康成人11名を対象に行った。【方法】Actigraphを5日〜8日間連続装着し、その期間中はOSA睡眠調査票MA版(OSA-MA)を用いて主観的睡眠感を調査した。Actigraphより得られた記録から活動期(覚醒時)と非活動期(睡眠時)の判定を行い、非活動期の活動量と睡眠覚醒のタイミングを観測した。また、PSQIとHbA1_cとの相関関係および糖尿病歴、合併症の有無、HbA1_cと活動量との関連を分析した。【結果】T2DM-Ptの非活動期(睡眠期)における活動量mG=0は、健康成人と比べ低かった。睡PSQI-睡眠の質が高得点ほどHbA1_cの値が高い傾向にあった。また、糖尿病歴が長く、HbA1_cが高い人ほど非活動期(睡眠時)の活動量が多い傾向にあった。【考察】T2DM-Ptは健康成人より睡眠中の活動量が多いことが推察される。Actigraph上で入眠期と睡眠途中の活動量の増加を認めたことから、T2DM-Ptの主観的な良い睡眠を阻害する要因は早朝覚醒よりも入眠困難と中途覚醒と考える。また、主観的に良い睡眠が得られている人でも、Actigraph上では活動量が多く、睡眠覚醒のタイミングが不明瞭な傾向にあり、T2DM-Ptは「眠れない」と自覚する以前から睡眠の問題が潜在している可能性があると考える。糖尿病歴が長くHbA1。が高いT2DM-Ptに対しては、生活リズムや睡眠状態を聴取し、睡眠の問題が潜在していないかのアセスメントを行い、食事、運動と合わせ良く眠るための生活指導の必要性があると考える。
著者
田中 隆之
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は地球方向のダークマターWIMP起源イベントに着目した解析を行った。WIMPは地球でspin-independent散乱を起こして地球の重力場にトラップされた後、地球中心方向に集積され対消滅を起こし、最終的にニュートリノを放出すると考えられている。そこでスーパーカミオカンデ検出器にて今まで取得された3109.6日分の上向きミューオン(upmu)イベントを用いて地球中心からやってくるイベントの到来方向分布を調査した。バックグラウンド源である大気ニュートリノに対して有意なWIMP起源イベントは観測されなかった。そこで、地球中心方向WIMP対消滅起源upmuイベントのフラックスリミット、WIMPと核子のspin-independent散乱断面積リミットを算出した。この手法でspin-independent反応断面積にリミットを付けた他の実験は類が無く、他実験への一つの指標を作ることが出来た。これらの結果はneutrino2010国際会議、Novel Searches For Dark Matter 2010などの国際学会にて発表され、APJ誌に論文を投稿中である。また、現行の解析手法の問題点や誤差、また将来に向けてさらに精度のよい解析手法に関して議論するために、宇宙素粒子研究の世界的な機関であるオハイオ州立大学のCCAPPに赴き一カ月半程度滞在した。そこでは、現行の手法に内在するさまざまな不定性をリストアップしそれらの影響の大きさをまとめた。これらは以前よりニュートリノを用いたWIMP探索に関して多くの研究者が興味、疑問に感じていた部分でありそれらに対する初めて明確な回答が出せたといえる。この研究結果に関してはオハイオ州立大学のCarsten Rott氏との共著論文としてJCAP誌に投稿予定である。以上のようなWIMP解析(昨年度行った太陽方向からのWIMPイベント探索も含む)を柱として、以前から進めていたスーパーカミオカンデでの各種キャリブレーション、upmuイベントサンプル作りに関してなどをまとめ、博士学位論文として執筆した。
著者
田中 豊三
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.323-327, 1992-12-01
被引用文献数
1
著者
田中 とも子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

齲蝕と歯肉炎は罹患率の高い生活習慣病である。そこで、我々はこれらの歯科疾患を教材とした「健康知識と健康行動の実践力が身につく生活習慣病予防ための教育プログラム開発」を目的として、健康教育を行ってきた。結果は2年間のPBL型健康教育が口腔状況の改善のみならず、自己管理スキルの向上に効果的であった。したがって、本研究で開発したプログラムは小児期のヘルスプロモーションに有効であると考えられる。
著者
中村 紀子 鈴木 康江 田中 政枝 五十嵐 直美 加藤 満利子 金丸 智子 加藤 貞春 中西 祥子 杉野 信博
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.388-388, 1987-05-25

東京女子医科大学学会第269回例会 昭和62年2月19日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室
著者
田中 則雄
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

後期読本の成立期に制作された、実録を典拠とする上方出来の作品群に見られる方法が、その後の読本制作の基礎となっている。実録には、各々の話を連結していく独自の方法があるが、読本においては、特に長編構成を統括するための仕組みが考慮され、人物の内面と連動させて必然性を示しながら話を繋いでいくという様式が考案され継承されたことを解明した。
著者
田中 望 斎藤 里美 岡崎 敏雄 山田 泉 林 さとこ 上野 田鶴子 大橋 敦夫 大谷 晋也 古川 ちかし
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の3年間の研究の結果として概略つぎのようなことが判明した.1. アジアからの外国人女性たちに対する日本語教育は,多くの場合,抑圧的な構造をもち,彼女たちを日本人につごうのよい「疑似日本人」にしたてるために機能する,同化的なものであること.2. それに対して,日本人による支援活動のなかに,アジアからの外国人女性たちにコミュニティでの声をもたせることに成功している少数の例があること.3. 地域社会では,抑圧的な日本語教育と声をもたせるための支援活動のあいだで,どちらをとるかの議論がおこっており,外国人に日本語を教えるというパラダイムに変更を迫る動きがあること.なお,3年間の調査を通じて,もつとも重要な成果といえるのは,調査研究そのものに対する見直しを被調査者から突きつけられたことである.このことは,エスノグラフィ的調査といえども,調査のもつ搾取的構造から逃れられないことを意味しており,調査のあり方に根本的な反省を加えなければならないことになった.今後は,調査研究という枠組みをはなれて,研究者といえどもたんなる「異者のかかわり」として地域社会と関係をもつというあり方を追求する必要があると思われる.
著者
白岩 孝行 田中 教幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

北太平洋で発現する十年〜数十年周期の気候変動(DICE : Decadal and Interdecadal Climatic Event)の過去500年間に及ぶ変動周期と変動する気候・環境要素を、1998年にカムチャツカ半島ウシュコフスキー氷冠で掘削された全長212mの雪氷コアを用いて解明した。山岳地域に発達する氷河は、流動機構が複雑なため、表面に堆積後の歪みが著しい。このため、同氷冠の動力学を解析的手法、数値計算によるシミュレーションの二つから追求し、歪みを除去するための力学モデルも開発した。酸素・水素同位体比に見られる季節変動を用いて、表面から深度120mまでの年代を±2年の精度で決定した。その上で、解析的な力学モデルを用いて各深度の積算歪み量を算出し、同位体の季節変動によって定義される年層を表面相当の値に換算した。その結果、過去170年間に及ぶ涵養速度および酸素・水素同位体比の時系列データを雪氷コアから抽出した。上で取り出した時系列データについて、スペクトル解析を行って、変動の卓越周期を算出した。その結果、涵養速度には32.1年、12.2年、5.1年、3.7年の周期、酸素同位体比には11.5年と5.0年という周期が検出された。これら二つの時系列データは、Mantuaらによって定義された北太平洋のレジームシフトを示すPDOインデックスと負の関係にあり、北米沿岸のSSTが高い温暖期にはカムチャツカ半島で涵養速度が遅く、SSTが低い寒冷期にはカムチャツカ半島で涵養速度が速いことが判明した。
著者
田中 英人 丸山 一貴 寺田 実
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.1-8, 2010-10-22

膨大な文書の管理を行なうにあたって,文書中の特徴的なキーワードを自動で抽出したものをタグとして付加することで文書整理の効率化を図る手法が考えられる.しかし,メモのような短い文書には含まれる単語数が少ないため,満足なキーワードが抽出されにくい.本研究では,文書中に存在しない語を Web から取得してキーワード候補に含めることで,短い文書に対するキーワードづけを実現し,より適切なタグ候補の提示を行なう手法を提案する.To manage a huge amount of documents, adding a keyword which is extracted from the document as a tag may be efficient. But a short document like a memo is hard to extract a keyword, because the number of words in the document is limited. In this paper, we realize the keyword extraction from short documents by using web information, and propose the method that shows more appropriate tag candidate.
著者
宮崎 林太郎 塚原 裕常 西村 純 前田 直人 森 辰則 小林 寛之 石川 雄介 田中 裕也 翁 松齢
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.376-386, 2011 (Released:2011-02-08)
参考文献数
8

In order to achieve faceted search in net auction system, several researchers have dealt with the automated extraction of attributes and their values from descriptions of exhibits. In this paper, we propose a two-staged method to improve the performance of the extraction. The proposed method is based on the following two assumptions. 1) Identifying whether or not each sentence includes the target information is easier than extracting the target information from raw plain text. 2) Extracting the target information from the sentences selected in the first stage is easier than extracting the target information from the entire raw plain text. In the first stage, the method selects each sentence in a description that is judged to have attributes and/or values. In this stage, each sentence is represented a bag-of-words-styled feature vector, and is labeled as selected or not by a classifier derived by SVM. In the second stage, the extraction of attributes and values are performed on the cleaned text that does not contain parts of description irrelevant to exhibits, like descriptions for the postage, other exhibits, and so on. In the second stage, we adopt a sequential labeling method similar to named entity recognizers. The experimental result shows that the proposed method improves both the precision and the recall in the attribute-value extraction than only using second-stage extraction method. This fact supports our assumptions.
著者
長尾 彰夫 木下 繁彌 村川 雅弘 浅沼 茂 安彦 忠彦 山口 満 西川 信広 田中 統治 的場 正美 今野 善清 柴田 義松 長尾 彰夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の最終年度は、これまでインタビューや授業観察および研究資料の内容分析などによって明らかになった各学校での新教育課程の開発状況について、インターネットのWEBページとして発信するための研究に重点をおいた。本研究で開発したインターネットサイト(http://jcultra.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/〜sougo/)に掲載した学校は、大阪教育大学附属池田中学校、高槻市立上牧小学校、緒川町立緒川小学校などである。それぞれの学校の研究状況を、「地域の特色」、「学校の沿革」、「カリキュラムの概要」、「総合的な学習の位置づけ」、「授業実践事例の紹介」を基本とする項目で整理した。また、授業分析によって得られた研究知見を、文章表記によってのみ記述するのではなく、子どもの個人情報の保護に十分留意しつつ、写真等を用いて、より具体的な研究情報として閲覧することができるようにした。このインターネットサイトの活用目的は、上記の情報を公開することによって、全国の小・中学校の教師がそこから新教育課程に対応した新しいカリキュラムの開発を行うための実践的な知見を得られるようにすることである。この目的を達成するために、たんに学校の実践事例を並列的に掲載するだけでなく、すでに作成されている教師のための教育用インターネットサイトにリンクを貼ったり、本研究の分担者として各学校で訪問調査を行った研究者に直接掲示板を通して質問を寄せたり、あるいは閲覧者同士が意見交換できる掲示板システムを付随させたりしたいる。以上のように、本研究は、当初の計画通りに、新教育課程を先端的に実施している学校を訪問調査することによって、カリキュラム開発の手続きやデザインに関する経験知を集約するとともに、それをインターネットサイトを通して発信することによって、オンラインでの新しい教師教育、ないし教師の自己研修に貢献するという所期の目的を達成することができた。
著者
礒田 正美 小川 義和 小原 豊 田中 二郎 佐々木 建昭 長崎 栄三 清水 静海 宮川 健
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の高次目標は、世界で有効に活用しえる算数・数学教材・教具を開発することである。具的には、数学を学ぶ意欲を喚起し、さらに深く知る契機を提供する機関として科学系博物館の展示・教育システムを活用し、科学系博物館向け数学展示、実験教材を開発し、数学における具体的で体験的な教育プログラムを提供することを目的とする。国立科学博物館、牛久市教育委員会、つくば市教育委員会、埼玉県立春日部高等学校、埼玉県立大宮高等学校の協力を得て、3年間を通して、科学博物館等で活用しえる数学展示、実験教材の事例開発を行った。蓄積した事例を領域でまとめれば、次の6領域になる:(1)透視の数理、(2)変換の数理、(3)機構の数理、(4)音階の数理、(5)測量の数理、(6)それ以外。開発教材の特徴は、学年、学校段階によらず、様々な学習が可能である点である。報告書は事例を示した。開発教材は、内外で注目を浴びた。国内では、小中接続・連携、中高接続・連携、高大接続・連携の立場から注目され、飛び込み授業のための事例集の出版を依頼された。変換の数理ではソフトウエア開発も行い、WEB上で閲覧可能である。国外では、国際会議で招待講演を2回(韓国、香港)、全体講演を1回(台湾)、研究発表を1回(ローマ)、海外での講習を2回(フィリピン、ホンジュラス)行った。特に数学教育国際委員会100周年記念国際会議では、ヨーロッパにおける教具の歴史的発展からの系譜をたどった。また、効果的な発表の方法についての調査もあわせて行った。既にフィリピン、ホンジュラスで開発したソフトウエアが利用される見込みとなった。成果をWEB公開することで、当初の予定通り様々な場で役立つ数学展示教材の開発が実現した。SHH, SPPなどでも成果を利用したい旨、依頼を得ている。博物館に展示することは将来的な課題であるが、成果は教育の場で活用しえる状況にある。
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.