著者
田中 美和子
出版者
大阪国際大学
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 (ISSN:09153586)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.39-53, 2005-10-31

'Cockney', one of the least-valued accents in Britain, is well-illustrated in My Fair Lady(1964), which is based on the drama Pygmalion written by Bernard Shaw. In this paper we will focus on what features cockney has, examining the lines by a flower girl, Eliza Doolittle and her father. Accent was one of the factorsthat sustained 'class barriers' especially in those days as Professor Higgins says "'Aoow' and 'Garn' that keep her in her place". We will also consider the role of cockney in the history of English.
著者
田中 龍太郎 吉村 芳弘 嶋津 さゆり 北原 浩生
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.730-737, 2021-12-15 (Released:2021-12-15)
参考文献数
30

本研究は,回復期から自宅退院した脳卒中患者の退院後のIADLとサルコペニアとの関連性を検証した後ろ向きコホート研究である.対象は2015~2019年に当院を退院した脳卒中患者69名で,方法は退院1~1.5ヵ月後に自宅訪問による追跡調査を行った.IADLの評価はFAIを,サルコペニアの評価はAWGSを用いた.退院時のサルコペニア有群は無群と比較し退院後FAIが有意に低かった. 交絡因子を調整した多変量解析の結果,自宅退院した脳卒中患者のFAIにはサルコペニアが独立して関連していた.脳卒中患者のFAIの改善のために,サルコペニアの予防や改善を念頭に入れた作業療法が必要であると考えられた.
著者
田中 由浩 佐野 明人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
38
被引用文献数
1

触覚は,体表全体に備わっているが,特に手が果たす役割は大きい.人は触れることで,対象の形状や質感を知覚することができる.また,滑りの予知など巧みな操作に不可欠な知覚もある.触知覚は,対象と皮膚との力学的相互作用による皮膚の変形や熱の移動を機械受容器が取得することで行われている.皮膚は,機械受容器にとって一種の力学的フィルタであり,人の手や指,皮膚の構造には,触知覚のための巧妙な力学的メカニズムが仕組まれている.多くの触知覚メカニズムがまだ未解明で断片的ではあるが,本稿では,機械受容器に有益な触覚増強をもたらす皮膚構造や知覚対象に適切な指や手の構造について概観し,触覚の観点から人工の手を考察する.
著者
谷出 康士 沖 貞明 田坂 厚志 甲田 宗嗣 長谷川 正哉 島谷 康司 金井 秀作 小野 武也 田中 聡 大塚 彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1368, 2009

【目的】イメージトレーニングによる運動学習や運動習熟に関する研究は数多く報告されている.しかし,イメージトレーニングの筋力増強効果についての研究は少ない.そこで本研究では大腿四頭筋を対象とし,イメージトレーニングによる筋力増強効果を検討した.また,イメージ能力の高い被験者群とイメージ能力の低い被験者群との2群を設け,イメージ能力の差が筋力増強効果にどのような影響を与えるかを調べることとした.<BR><BR>【方法】研究の実施にあたって対象者には十分説明を行い,同意を得た.対象は健常学生24人とし,筋収縮を伴う筋力増強運動群(以下,MS群),イメージ能力の低いイメージトレーニング群(以下,Ns群),イメージ能力の高いイメージトレーニング群(以下,PT群)に分類した.Biodexを用いて,膝関節屈曲60°での膝関節伸展筋力を計測した.MS群には大腿四頭筋の等尺性最大収縮をトレーニングとして行わせた.一方Ns群とPT群にはトレーニング前に運動を想起させる原稿を読ませ,上記のトレーニングをイメージさせた.4週間のトレーニング実施前後に等尺性収縮を5秒間持続し,最大値を記録した.また,全被験者に自己効力感についてのアンケート調査を実施した.統計は各群内の筋力差にt検定を,3群間の筋力上昇率の差に一元配置分散分析を行い,有意差を5%未満とした.<BR><BR>【結果】1)筋力測定の結果:初期評価と最終評価における筋力平均値の変化は,MS群(p<0.01),Ns群(p<0.05),PT群(p<0.01)で有意に増加したが,各群間での筋力上昇率に有意差は認められなかった.2)アンケート:「トレーニングにより筋力は向上したと思うか」という問いと筋力上昇率との間に,MS群は正の相関が認められたのに対し,Ns群およびPT群では負の相関が認められた.<BR><BR>【考察】筋力測定の結果,3群全てにおいて筋力が向上した.イメージトレーニングのみ行ったNs群とPT群においても筋力増強が認められた理由として,運動イメージを繰り返すことにより筋収縮を起こすためのプログラムが改善されたためと考える.次に,Ns群・PT群間の筋力上昇率に有意差は認められない理由として,イメージの誘導に用いた原稿が影響したと考えられる.この原稿によってイメージ能力が低いと想定したNs群でも,一定の水準でイメージを持続できていたと考えられる.原稿によるイメージのし易さは,PT群に比べてNs群で高く,Ns群は原稿の誘導を頼りにイメージを想起し,PT群とのイメージ能力の差を補った可能性が示唆された.最後に,MS群では筋力上昇率と自己効力感との間に正の相関があったが,Ns群・PT群では負の相関が認められた.イメージトレーニングのみ行ったNs群・PT群では,フィードバックが無いことで,「この練習で筋力は向上するのか」という懐疑心が強くなったと考えられる.
著者
田中 ゆかり 林 直樹 前田 忠彦 相澤 正夫 Yukari TANAKA Naoki HAYASHI Tadahiko MAEDA Masao AIZAWA
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 = NINJAL research papers (ISSN:2186134X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.117-145, 2016-07

日本大学日本大学統計数理研究所国立国語研究所 時空間変異研究系2015年8月に実施した,全国に居住する20歳以上の男女約1万人から回答を得たWeb調査に基づく最新の全国方言意識調査の概要と「方言・共通語意識」項目についての報告,ならびにその結果を用いた地域類型の提案を行う。「方言・共通語意識」項目は,「生育地に方言はあると思うか」「生育地の方言は好きか」「共通語は好きか」「ふだんの生活における共通語と方言を使う割合はどのくらいか」「ふだんの生活において共通語と方言の使い分けをしているか」「場面(相手)により生育地方言をどの程度使うか」の6項目である。これらについて,回答者の生育地と年代,生育地の生え抜きか否かに注目した分析を行った。その上でこの6項目の相互の関係から,12の地域は大きく7タイプ(首都圏・北海道/東北/北関東・甲信越・東海/近畿・中国/九州/北陸・四国/沖縄),細かく9タイプ(首都圏・北海道/東北/北関東/甲信越/東海/近畿・中国/九州/北陸・四国/沖縄)に分類された。
著者
川瀬 成吾 石橋 亮 内藤 馨 山本 義彦 鶴田 哲也 田中 和大 木村 亮太 小西 雅樹 上原 一彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.199-212, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
91

淀川流域における外来魚類の生息現況を明らかにするために、採集および文献調査を行った。231地点の採集調査の結果、12種の国外外来種(採集地点が多い順に、オオクチバス、ブルーギル、カダヤシ、カムルチー、タウナギ、コクチバス、ナイルティラピア、アリゲーターガー、ニジマス、カラドジョウ、チャネルキャットフィッシュ、コウタイ)と2種の国内外来種(ヌマチチブ、ワカサギ)が採集された。アリゲーターガー、カラドジョウは当流域(本調査範囲内)、チャネルキャットフィッシュは淀川における初記録となった。河川本流と河道内氾濫原(ワンド・タマリ・二次流路)では、オオクチバス、ブルーギル、ヌマチチブ、カムルチーの、農業水路や支流などの周辺水域ではカダヤシ、オオクチバス、ブルーギル、タウナギの出現率が高かった。オオクチバス、ブルーギルは流域全体に広がっており、カダヤシ、ヌマチチブ、カムルチーも比較的広範囲に出現した。文献調査では、さらに4種(ソウギョ、ハクレン、コクレン、タイワンドジョウ)の外来魚類の記録が見つかった。
著者
塚越 秀行 佐々木 正志 北川 能 田中 崇裕
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.859-866, 2004-08-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1 5

This paper describes the numerical analysis and design for a higher jumping rescue robot using a pneumatic cylinder. First, the basic equations for jumping are derived and the simulation is performed. Then, the relationship between the jumping height and the pressure-receiving area of the cylinder is considered when the volume or the stroke of the cylinder is kept constant. This allows calculation of the optimal cross sectional area. In addition, the jumping height is also affected by the weight ratio between the rod and the cylinder tube. Based on these results, a robot equipped with a cylinder of the appropriate dimensions controlled by a well-selected valve is reengineered and demonstrated. Experimental results show that the improved robot can jump considerably higher than the former design with the same energy efficiency, as shown in the following video. http://www.cm.ctrl.titech.ac.jp/study/jump/home.html.
著者
田中 雅美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.20-28, 2021 (Released:2021-06-10)
参考文献数
18

目的:生存の限界といわれる子どもへの医療選択において,母親が代理意思決定をどのように経験しているのかについて記述する.方法:母親ひとりに非構造化インタビューを行い,そのデータを現象学的方法で記述した.結果:母親が語る代理意思決定の経験は,「主体の置き去り」と「主体の取り戻し」の二つのテーマに分けられた.子どもは,医学的所見でカテゴリー化されることにより主体を剥奪され,母親は医療者の望む「お母さん」を演じることにより主体を覆い隠していった.しかし,母親は医療者たちが支援の一環として創る世界に巻き込まれることによって,次第にその世界を基盤とし,子どもと自身の主体を取り戻していった.結論:母性を絶対視した支援は,母親からの支援要請を断絶させたが,一方でその支援が時間の経過とともに母親の視点を変えるきっかけとなっていった.医療者は時に内観しつつ,支援を必要とする人々の内実に関心を向け続けることの大切さが示唆された.
著者
田中 研之輔
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.46-61,150, 2003-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
47
被引用文献数
1 2

わが国の都市空間において湧出してきた若者の「族」文化は、しばしば、地域住民や警察によって管理や排除の対象にされてきた。そこで本稿は、都市空間の利用をめぐり地域住民のまなざしや警察や警備員による管理が「ストリート」でのスケートボーダーの実践を制限し、彼らを都市広場に囲い込んでいるという90年代以降の都市的現象に注目した。具体的には、スケートボーダーとして2001年5月27日に土浦駅西口に開設した広場を利用しながら重ねてきたフィールドワークをもとに、90年代以降の「族」文化としてスケートボーダーが示しつつある「巧みな実践」の意味と意義を明らかにした。広場設置の背景には、スケートボーダーが地元のスケートボードショップ店長と署名活動を展開し、市議会議員と協力し陳情書を提出するという試みがあった。こうしたスケートボーダーによる積極的な都市広場の獲得は、同時に彼らの実践を都市広場へと囲い込むことにもなる。広場の獲得と囲い込みの中で日常的な実践を続ける彼らは、広場を自分たちが楽しめる空間に創り変えつつ、再び「ストリート」へと駆り立てられていく。彼らは地域住民や警察らによる管理や排除の圧力をかわしたり、ズラしたりしながら都市空間の「隙間」を探し求めているのである。このようなスケートボーダーの実践は、地方自治体や警察らによる「囲い込み」とそれに対する「対抗」「抵抗」図式で捉えることができない。彼らは、管理や排除に直接的に抗うのではなく、むしろ巧みに受け入れていく。本稿を通じて、筆者はスケートボーダーの日常的実践に従来の「対抗」「抵抗」図式では語りきれない彼ら一人一人の生を描き出していくとともに、「支配的なるもの」の圧力を無効化していくような「巧みな実践」を続ける彼らに新たな「連帯」の可能性を見出している。
著者
田中 美穂
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 大分工業高等専門学校
雑誌
大分工業高等専門学校紀要 (ISSN:13460781)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-6, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
30

The Secret of Kells(Brendan to Kells no himitsu), set in medieval Irish monastery of Kells, was released in all parts of Japan in 2017. The Book of Kells is relatively famous and popular among Japanese people who are interested in Irish culture, Irish literature and Irish history. Most of them recognize this illuminated manuscript as a masterpiece of Celtic arts. I doubt the reliability of the concept of Celts or Celtic in pre-modern Irish history. I do not consider that it is suitable to use the term Celts or Celtic in medieval Irish history and culture. This paper introduces recent studies of the Iron Age British archaeology, DNA researches of British people and the Book of Kells and prompts to reconsider about Celts.
著者
田中 一輝
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.39-60, 2016

従来、西晋末の永嘉の乱については、五胡十六国史・北魏前史の観点から研究が進められてきたが、五胡諸族の主体的な発言・行動に注目した研究が多く、当時彼らと戦っていた晋朝系勢力との角逐を踏まえ、彼らの行動を相対的に把握するという視点に乏しかった。本稿では、五胡と晋朝系勢力の相克の過程を、厳密な編年と史料批判により復元し、永嘉の乱の実像を解明することを目指した。<br>西晋と戦った劉淵・石勒らは、乱の初期においては晋朝系勢力に圧倒されており、とりわけ西晋の并州刺史劉琨は、南方の劉淵(漢)を終始圧迫し続けていた。劉淵は劉琨の圧力に押される形で南方への進出(遷都)を行わなければならなくなったが、それを継続すればいずれ西晋の首都洛陽にぶつかることが避けられなくなった際に、漢の皇帝を自称し、西晋打倒の姿勢を最終的に明確化し、洛陽に進攻した。しかし折から洛陽に帰還した東海王越に撃破され、劉淵は死去してしまい、西晋側はこれが契機となって劉琨―東海王越による対漢挟撃戦略がはからずも形成される。以後の漢はこの挟撃戦略の克服が課題となったが、このときより晋朝系勢力の東海王越からの離反などの動揺が続き、また東海王越の洛陽からの出鎮・死去など、洛陽からの戦力流出が続出したため、挟撃戦略は弱体化し、永嘉5年(311年)に漢の攻撃により、洛陽が陥落した。北方の劉琨も漢の攻撃により撃破され、挟撃戦略は破綻することとなった。<br>以上の経緯から、永嘉の乱は必ずしも劉淵ら胡族の主体的な戦略や、西晋に対する一貫した優位により進んだのではなく、自勢力内外の軍事的・政治的環境に左右された結果であったことが判明した。
著者
田中 真奈実 入江 勇治 安羅岡 一男 佐藤 章仁 松本 繁 白田 保夫 中村 尚志 河合 美枝子 海老原 誠
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.156-163, 1988-02-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
16

関東地方利根川流域で感染した慢性日本住血吸虫症について, 茨城県内診断例12例を中心に, その診断法・病態・治療適応について検討した. 患者は, すべて海外渡航歴・利根川以外の本症流行地への旅行歴はなく, 取手市戸頭, 稲敷郡河内村, 筑波郡谷和原村等かつて本症の流行が報じられた地域の在住者である. 血中抗住血吸虫抗体及び糞便中の虫卵は検査したすべての症例で陰性であった. 8例の患者の確定診断は, 本症とは異なる基礎疾患で摘出された臓器 (胃・十二指腸等上部消化管及び肝・胆道系) 中の日本住血吸虫虫卵の病理学的検索によってなされた. しかし, 茨城県取手市戸頭の3症例と筑波郡伊奈町の1症例は, 人間ドックで画像診断学的に診断されており, 流行地における本症患者のスクリーニングには, 肝エコーにおける魚鱗状パターン, 肝CT像における被膜石灰化像・隔壁様石灰化像等特徴的所見も有用であることが示された. また, その病態は, 基礎疾患によって異なっており, 胃癌・肝癌等悪性腫瘍との合併例は4例であった. プラジカンテルによる治療適応の判定には, 虫卵排出の有無及び虫卵の孵化能の検索が必要であるが, 疑わしい症例には生検材料による孵化試験をすることが必要である. 病理組織学的検索だけでは, 感染時期及び孵化能の判定は困難である.