著者
鈴木 円 田中 章夫 菊池 建太郎 草間 薫 鈴木 正二 坂下 英明
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.54-57, 2010-06-25 (Released:2014-07-18)
参考文献数
10

Cat-scratch disease (CSD) is a zoonosis characterized by lymphadenopathy in a patient with a history of cat contact. CSD is caused by Bartonella henselae infection and is a common cause of regional lymphadenopathy. The manifestations include erythema or papules at the site of injury and regional lymphadenitis in the initial stage of infection.   We report the case of a seven-year-old boy who presented with swelling of the buccal. CT showed extensive lymphadenopathy in multiple lymph nodes in the buccal and submandiblar regions. He had a history of contact with cats. Serologic examinations for IgG and IgM titers to Bartonella henselae were performed by an indirect fluorescence assay. This assay revealed positive serum antibody titers for Bartonella henselae.   On the basis of these results, CSD was diagnosed, and the patient was given an antibiotic for 14 days. After that, the patient recovered, with no recurrence.
著者
田中 秀磨 滝澤 修 山村 明弘
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.147-155, 2005 (Released:2011-03-10)
参考文献数
6

ディスプレイなどの映像端末からノイズとして放射される漏洩電磁波を傍受することにより,表示画面を再現する実験を行った.パーソナルコンピュータを対象とし,以下の三つの手段を用いて表示画面の傍受を試みた.(1)近磁界プローブを端末に接触させた場合.(2)離れた場所からアンテナを用いた場合.(3)端末の電源ケーブルにインジェクションプローブをはさんだ場合.(1)の結果から,画面傍受が可能なだけでなく,ビデオ信号の同期周波数に関する個体ごとの僅かなばらつきによって,ターゲットの弁別が可能であることを示す.(2)の結果から,VCCIで規制対象となっている1GHz以下の周波数でもターゲットから4m離れた場所から画面傍受ができること示す.(3)の結果から,ACアダプタとプローブの位置関係が実験に影響を与えることを明らかにし,ターゲットから30m離れた電源ケーブルから画面傍受ができることを示す.
著者
桑原 浩一 井上 舞 安本 早穂子 鳥巣 雄洋 野口 絵理香 久保 久美子 田丸 静香 永田 保夫 田中 一成
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00053, (Released:2018-01-30)
参考文献数
24

食塩の代わりにクエン酸塩を用いて調製する魚肉の新たな加熱ゲル化方法を開発し,本方法で調製した加熱ゲルがラットの血圧や脂質濃度に及ぼす影響を検討した。新規または従来法で調製した加熱ゲルをAIN-76組成の食餌に添加した。新規加熱ゲルの摂取は,高血圧自然発症ラットの血圧上昇を抑制させた。また,調製方法に関わらず加熱ゲルの摂取は,血清コレステロールおよび肝臓トリグリセリド濃度を減少させ,肝臓の脂肪合成酵素活性を抑制させた。新規加熱ゲルは,血圧上昇抑制および脂質代謝改善作用を有することが明らかになった。
著者
田中 みどり
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.223-251, 2011-11-26

古代のアサガホはカホガハナのうちの、朝に咲くことが特徴である花である。このアサガオには、現在の朝顔、桔梗、槿、昼顔、のあさがおなどの説がある。朝顔は十月十一月に咲くこともある。源氏物語のアサガホは、長月に咲いている例もあるが、つる性の植物で、現代と同じ朝顔と考えてよい。桔梗説について。源氏物語にも枕草子にもキキヤウとアサガホとが出てくるので、この時代には別の植物をさしていたことは明らかである。薬草としてのツルニンジンの根あるいは食用としての若芽をトトキと呼ぶが、古代のキキヤウは、そのトトキの一種でヲカトトキと呼ばれていたものであるだろう。槿説について。ムクゲは和漢朗詠集に「槿」の詩と「あさがほ」の歌とが並べられているが、これは命の短い花ということで並べられたもので、「槿」がアサガホであるのではない。萬葉集のアサガホは朝に咲く花であることが明らかであるので、桔梗、槿、昼顔、のあさがお説は否定される。夕まで咲いている例があるが、朝顔は、早朝つぼみを開いて夕刻まで咲き続けることも、ないわけではない。よって、萬葉集のアサガホも、現代の朝顔と同じ牽牛子である。すなわち、牽牛子は、奈良時代に将来されたものである。アサガホの諸説は、古辞書や和漢朗詠集を文証とするものであるが、古辞書には出典を記してないものが多く、その記述をそのまま信じることができないものもある。また、和漢朗詠集は同じ趣の漢詩と和歌とを並べているものであって、必ずしも同じ風物を集めたものでもないので、注意を要する。
著者
大津 雅之 田中 謙 高木 寛之 中川 陽子 大津 雅之 田中 謙 高木 寛之 中川 陽子 OTSU Masayuki TANAKA Ken TAKAGI Hiroyuki NAKAGAWA Yoko オオツ マサユキ Otsu Masayuki タナカ ケン Tanaka Ken タカギ ヒロユキ Takagi Hiroyuki ナカガワ ヨウコ Nakagawa Yoko
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 (ISSN:21874344)
巻号頁・発行日
no.16, pp.22-28, 2021-03-20

今日の社会福祉では、地域における多様な福祉課題に対応した社会資源開発の展開が望まれている。その際、「共生(社会)」の実現が求められる中で、①地域の特性等に応じた多様性の保障と、②地域福祉の担い手としての当事者・当事者組織の参画による当事者性の保障の両立が必要不可欠となる。このような多様性と当事者性の両立は、主に2000(平成12)年以降の社会福祉基礎構造改革前後を転換点として強調された特徴とされる。しかし、それ以前から両者の保障に取組んできた地域創発の社会資源開発手法を実践から確認できる。そこで本研究は戦後日本の社会福祉史における地域創発の社会資源開発手法のメカニズムを学説史の視座から解明し、地域福祉における社会資源開発のあり方を歴史的に問うことを研究課題とする。その上で今日の社会資源開発政策、事業の改善に資する実践的知見を示すことにより、今後の社会開発資源のあり方に関する知見を得ることを目的とした。その結果、先行研究の整理・検討を経て、学説では社会資源に関する一定の議論の蓄積が確認された。しかしながら、実際の地域における社会資源に関連する先行研究では、地域特性を反映したと推測される社会資源開発等の動きが確認でき、それらの事例研究に関するさらなる研究の進展が必要であると考えられた。そのため、今後実際の各地方・地域における社会資源開発の歴史を、実証的に明らかにする作業を行い、学説との関連性を検証する作業が必要であることが示唆されたといえる。
著者
松永 亮 渡辺 徹 田中 敏春
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.175-178, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
9

傷病者は20代の女性。自ら左上肢を切ったようだと家族から救急要請された。現場到着時,傷病者は自宅2階の廊下で倒れていた。初期評価で意識障害を認め,冷汗を認めないものの全身の皮膚は著明な蒼白であった。一見したところ左上肢に切創はなく,皮膚に血液の付着を認めるのみであった。家族の同意を得て傷病者の自室内を確認すると,ゴミ箱の中に血液が入った調理用計量カップと医療用注射針,さらにベッド上に駆血帯を確認した。傷病者の左上肢を詳細に観察すると左肘正中皮静脈に注射痕を確認したことから,傷病者自らが左上肢に医療用注射針を刺して失血させたものと考えられた。本症例では,傷病者と家族からの状況聴取が困難であったが,詳細な状況評価と全身観察を実施することで,自損行為の手段を把握することができた。本症例の自損行為の手段である瀉血は,SNS上で広く流布しており,今後も発生する可能性があるため十分な認識が必要である。
著者
田中 宗 山下 将司 関 優也
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.164-173, 2022-12-05 (Released:2023-01-06)
参考文献数
40
被引用文献数
1

最適化計算の新技術としてアニーリングマシンが注目を集めている.本解説では,アニーリングマシンやブラックボックス最適化の一般論について見てから,アニーリングマシンを用いたブラックボックス最適化の解法ならびに適用事例について紹介する.
著者
田中 和彦
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.143, pp.99-109, 2021-03-31

本研究の目的は,依存・嗜癖といわれる「アディクション」分野におけるソーシャルワーク実践の礎となる理論について,先行研究のレビューから概観を明らかにすることである.アディクションをもつ人たちへのかかわりは難しいとされ,アディクションを専門で取り組んでいる人や機関に支援をゆだねる傾向が強い.そこでアディクションに特化したソーシャルワーク理論が存在しているのか,そもそもその理論の必要性があるのかについて,先行研究のレビューを行い考察した.その結果,アディクションにおけるソーシャルワークの理論ではエンパワーメントアプローチをベースにしており,そこにナラティヴアプローチ,リカバリー概念など親和性が高い理論が影響し合っている.また,当事者の主体性の尊重といったポストモダンの思想潮流と親和性が高いということが考えられた.さらに社会への働きかけの重要性を指摘しているが,一方でマクロレベルのソーシャルワークにおいての理論化と実践がまだなされていないことが課題としてあげられた.上記はアディクションに限らず他の精神保健分野の課題でも同様であると考えられ,アディクションに特化したソーシャルワーク理論があるということではなく,アディクションに対する忌避感情が支援の困難さを生み出しているのではないかという仮説を得ることができた.
著者
中山 毅 田中 一範
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.647-651, 2009 (Released:2010-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

妊娠中および帝王切開術直後に発生した癒着性イレウスに対して,大建中湯エキスを服用することにより,保存的に加療できた症例を経験した。症例は29歳女性。15歳の時に小腸軸捻転にて開腹歴あり。妊娠11週に癒着性イレウスを発症したため,大建中湯を投与したところ,大量の下痢便を認め症状は軽快。その後,胎児ジストレスにて36週に緊急帝王切開を施行。腹壁前面に小腸の強固な癒着を認めた。術後4日目に術後癒着性イレウスの診断にて,大建中湯を経口投与した。6日目に,軟状便および排ガスを認め,9日目には経口摂取を開始。その後は異常なく25日目に退院した。妊婦の高齢化に伴い,イレウス合併妊娠の報告が数多く認められる。妊娠中は母子ともに,重篤化しやすく外科的処置が必要となることが多いが,妊娠中や出産時に発生した癒着性イレウスに対して,大建中湯を用いることにより,保存的に改善する症例もあると考えられる。
著者
田中 利枝 高橋 高人 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.85-97, 2016-01-31 (Released:2019-04-27)

本研究は、小学6年生に対して社会的問題解決訓練を実施し、訓練効果・維持効果、および、ストレス反応に及ぼす影響について検討した。児童175名は、それぞれ訓練群84名と統制群91名に割り付けられ、訓練群の児童は、担任教師によって4セッション(各45分)からなる介入を受けた。その結果、訓練を受けた児童は、友人とのトラブル場面においてポジティブに問題を捉える問題志向を向上させ、解決の目標としての認知的解決スタイルを習得し、それらは訓練終了3カ月後も維持されていることが明らかとなった。解決策の案出数は、訓練終了11カ月後も訓練効果が維持されていた。また、訓練群の児童では、訓練直後においてストレス反応のうち不機嫌・怒りに低減効果が示された。中学校進学後の11カ月後フォローアップ測定において、解決策の案出数以外に介入の維持効果はみられなかった。中学校入学後の維持促進の操作の必要性が示唆された。
著者
田中 孝明
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅学園研究紀要編集委員会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.45-62, 2018-08-04

熊本市は2012(平成24)年4月に政令指定都市へ移行するにあたり,地域包括支援センターの見直しを行うこととした。具体的には,政令市移行に伴う行政区の見直しと連動して,2011(平成23)年6月に成立した介護保険法改正による地域包括支援センターの機能強化を図る一方で,センターの担当圏域の再設定を行い,これまでのセンター設置数を減らしたうえで委託事業者を新たに公募する形をとることにした。しかしながら,センター担当圏域の再設定やセンター数の削減は,①センターと地域住民とのこれまでの信頼関係,②公募制をとるにあたっての評価基準の仕組み,③将来的な人口推計を見据えた地域包括ケアシステム,にとって課題が多いと指摘できる。
著者
田中 美吏 柄木田 健太
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2018-1803, (Released:2019-02-06)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

Wegner (1987) demonstrated that thoughts about white bears are facilitated by instructions not to think about white bears. This phenomenon is widely known as the ironic process theory, and it applies to cognitive tasks as well as motor tasks. Many studies have been conducted on ironic errors in the domain of motor performance. However, there are only a few old reviews providing a comprehensive understanding of this phenomenon. In this review of selected 17 articles, we classified these articles into experimental verification of ironic errors in motor performance, ironic errors when performing motor tasks under pressure, and mechanisms of ironic errors in motor performance in the viewpoints of attentional capacity and eye movement. We also reviewed articles reporting experimental verification of errors in the opposite direction (overcompensation), including the mechanisms of such errors. Finally, based on the results of the review, we have suggested the implications of ironic errors for future studies in sport psychology. This review is expected to provide a systematic understanding of applications of ironic processing theory in the domain of motor performance and contribute to future studies on this topic.
著者
伊藤 公紀 田中 博
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

最近見出した太陽風パラメータと地表気温および北極振動との相関を手がかりとして、太陽磁気活動-気候相関のミッシングリンクに迫ることを目指した。成層圏気温と太陽風パラメータの相関を生む原因として、成層圏オゾンデータを利用した太陽風粒子降着についての検討が可能と判断された。そこでオゾン量の全球グリッドデータを用い、太陽風との相関を調査し、太陽風粒子が電離圏で生成するNOが成層圏に運ばれ、オゾンを減少させることにより、成層圏の気温を変調するという機構を提案した。
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

人文社会科学において,“物語”は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す“公共政策”においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.