著者
田村 節夫
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.68, no.15, pp.2108-2115, 1982

高炉耐火物の損傷機構と対策,および耐火物侵食診断技術の現状について概説した.<BR>耐火物は種々の原因によつて損傷されるが,いずれにおいても,何らかの形で炉内温度変動が関与しており,損傷の直接原囚として,遠因として,あるいは加速要因として作用する.従つて,炉況の安定が耐火物損傷防止の基本であり,また逆に損傷防止が炉況の安定につながることから,耐火物の寿命延長と安定操業は不可分の関係にある.<BR>また損傷機構の解明は,耐火物の材質・構造選定の上からも重要であり,このため損傷過程にある耐火物サンプルの解析あるいは試験室的な損傷状況の再現試験が有力な手段となろう.<BR>診断技術については,単に侵食量の推定だけでなく,れんが内で生じる現象,たとえば,き裂の発生,れんがの変質,溶銑の侵入,付着物の形成などの検出,推定まで含めた診断技術の開発が必要である.
著者
倉橋 節也 吉田 健一 津田 和彦
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は,複雑システムにおけるモデルパラメータの推定と変数選択を効率的に行うためのアルゴリズムについての研究を実施した.また,逆シミュレーション学習によるエージェントモデルのパラメータ推定手法の手法を,実際の社会システムを対象に適用事例を作っていくことを主に行った,1)都市動態モデル,3)組織多様性モデルについて検討した,1)変数選択モデル エージェントモデルでは,多数の変数を扱うことになるが,それらを網羅的に探索して適切な値を求めることは,計算資源の課題から困難な場合が多い,また,取り扱う変数も削減することが,モデルの簡潔さとシミュレーション結果の解釈において,重要となる.実データを適用する場合においても,大量かつ複雑なデータの獲得と蓄積が進み,重要な変数を選択する手法の重要性が高まっている.そこで,実数値遺伝的アルゴリズムを用いて,同一世代内の遺伝子の分散を活用した変数選択手法を提案し,パラメータ推定と変数選択の両方に対応できることに成功した,2)都市動態モデル 中世において都市の集中化は始まっており,人口の増加に伴う流動化が移民の増加へと拡大している.このスプロール化した都市がどのように発生するのかを解明することは,華僑の発生と都市構造との関係を知る上で重要となる3)組織多様性モデル 少子高齢化が進む日本では,労働力を確保するために働き方,働く人が多様化している.海外からの労働者を受け入れることは,事務職においても今後増えることが予想され,オフィスにおける多様性のマネジメントが課題となるそこで,多様性を定量化するフォールトラインの考え方に基づき,日本の組織を対象にした実態調査の結果を用いて,組織の多様性と成果関係をエージェント・ベースモデルによって明らかにした.多様性はフォールトラインの強さとサブグループ数によって成果への影響が異なることがが明らかになった.
著者
土田 隆 益子 研土 山田 勝彦 平塚 秀雄 島田 孝男 板垣 雪絵 藤沼 秀光 鮫島 浩二 中村 寿雄 長谷川 節 松林 恒夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.97-102, 2003-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
15 18

γ-アミノ酪酸 (GABA) 高含有クロレラ (以下GABAクロレラ) の血圧降下作用およびその有効摂取量を調べるため, 成人で血圧が高めの健常者および軽症高血圧者に対して, プラセボを用いた多施設群間比較試験を実施した。被験者 (平均年齢47.8±10.0歳, 収縮期血圧145.3±5.9mmHg, 拡張期血圧87.7±6.5mmHg) を15名ずつの4群に分け, GABAクロレラ (2g, 4g, 6g/day) およびプラセボ (乳糖4g/day) をおのおの8週間摂取させたとき, GABAクロレラ摂取群すべてに, 摂取後2週目から収縮期血圧の低下が認められた。GABAクロレラ群とプラセボ群との比較では, GABAクロレラ4g/dayおよび6g/day摂取群の収縮期血圧で, 摂取開始6週後および8週後に統計学的な有意差を認めた (4g/day摂取群: 8週後p<0.05, 6g/day摂取群: 8週後p<0.01)。しかし, 拡張期血圧では低下傾向がみられたものの, GABAクロレラ群とプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められなかった。また, GABAクロレラ摂取群では, 摂取終了後, 収縮期血圧の復帰傾向がみられたが, プラセボ群では変化を認めなかった。すべての試験対象者について, 自覚症状, 他覚所見ともに異常は認められず, 副作用もなかった。以上の結果から, GABAクロレラの摂取は血圧が高めの健常者および軽症高血圧者の血圧を, 副作用を伴わずに改善させることが示唆された。
著者
布施谷 節子 松本 智絵美
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.27-39, 2004-03
被引用文献数
1

The authors investigated the difference and relationship between female students and their mothers on their fashion interest and clothing behavior by questionnaire in 2002. The subjects consisted of 165 female students 108 mothers. Main results were as follows: 1) A few factors which meant the fashion interest and the purchasing behavior were drawn by factor analysis. 2) Many students judged their mothers did not dress smartly and they didn't want to dress like their mothers in future. 3) The students who went shopping with their mothers yearned for their mothers' fashion and were bought own clothes by their mothers. There was a positive relation between the shopping stores and fashion interest. 4) When the students regarded mothers' fashion with yearning, they lent and borrowed each other's clothes or fashion goods.
著者
阿部 優子 石川 雅子 会田 久仁子 小林 睦子 菊池 節子 半澤 明子 角野 猛 石村 由美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153, 2005

<BR>目的 福島県は地理的環境などから山間部の会津地方、平野部の中通り地方、海岸部の浜通り地方の3地域に区分される。これらの地域は気候風土が異なり、それぞれの食生活にも強い地域性が存在することが知られている。しかし、近年の高速交通網の発達、人的交流などによって、その地域性も解消しつつあることも考えられる。本調査は、近年の福島県内の食生活、食文化の地域性を魚介類の種類とその調理方法において、調査・考察することを目的として実施し、先に会津地方の魚介類調査結果について報告した。今回、いわき市での食生活の特徴、魚介類の調理・加工の特徴、更に、本地方独特の魚介類の料理・加工方法などの調査結果を報告する。<BR>方法 平成15年2_から_3月にアンケート調査及び聞き取り調査を併行して行なった。調査は福島県いわき市内に10年以上居住している18世帯で、調査対象者は各世帯の主たる調理担当者に対して行った。<BR>結果 いわき市は太平洋に面した地域で、小名浜漁港をはじめとして、多くの漁港が存在し、日々多種類の魚が水揚げされている。従って、日常食としては、多種の魚介類が刺身、煮魚、焼き魚などで食されていた。また、大量に水揚げされた魚介類は塩漬け、干物、みりん干しなどに加工して販売されており、各家庭において保存食として日常的に用いられていた。行事食としては正月・祭事時に「鮟鱇鍋」、「鯛の塩焼き」「喜知次の煮付け」などが食されていた。また、土用の丑の日に「鰻の蒲焼き」が食されていた。本地方独特の料理・加工法として、「秋刀魚のぽうぽう焼き」、「秋刀魚鍋」、「秋刀魚のみりん干し」、「秋刀魚のなめろう」、「鮟鱇鍋(鮟鱇のどぶ汁)」、「鮟鱇の供酢」、「どんこ汁」、「メヒカリの天ぷら」などが食されていることがわかった。なお、本地域では一世帯あたり年間平均42種類の魚介類を食し、平均78種類の魚介類調理法が存在した。
著者
小川 節郎 鈴木 実 荒川 明雄 荒木 信二郎 吉山 保
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.141-152, 2010-05-25
参考文献数
15
被引用文献数
15

帯状疱疹の皮疹消褪後に3カ月以上痛みが持続している帯状疱疹後神経痛患者371例を対象に,プレガバリン150 mg/日,300 mg/日,600 mg/日(1日2回投与)を13週間投与したときの有効性および安全性を無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した.いずれのプレガバリン群においても疼痛は投与開始1週後から速やかに軽減し,最終評価時の疼痛スコアは300 mg/日群および600 mg/日群ではプラセボ群に比べ有意に低下した.プレガバリンは痛みに伴う睡眠障害を改善し,アロディニアや痛覚過敏にも有効であることが示された.主な有害事象は浮動性めまい,傾眠,便秘,末梢性浮腫,体重増加などであった.これらの有害事象は用量依存的に発現頻度が高くなる傾向があったが,ほとんどが軽度または中等度であった.以上の結果より,プレガバリンは帯状疱疹後神経痛に対して有用性の高い薬剤であることが示された.
著者
秦野 節司
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.119-130, 1973-05-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
59
著者
藤田 節子 戸塚 隆哉 平田 泰子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.49-53, 2021 (Released:2021-06-21)

書籍の巻末索引は、重要であるにもかかわらず、「本の飾り」くらいにしか思われていない傾向がある。INFOSTA分類/シソーラス/Indexing部会では、この巻末索引についての研究の一環として、一般向け書籍3冊を選び、メンバーで分担して索引作業を実施し、その結果を共有して議論した。2冊については、語による索引を付与し、1冊については、段落ごとにUDC(国際十進分類法)の分類番号を振ることにした。その結果、索引における索引語の選択基準や索引語と本文中の語との関係などの多岐にわたる問題について、検討することとなり、一定の知見が得られた。特定の事例に基づく知見であるので、ここで示す考察や結論は、必ずしも普遍性を担保されたものではないが、この知見は、書籍の索引を作成する場合のひとつの指針になることはもとより、論文などの索引付けや文献データベースの索引部分の設計にあたっても、参考にできるものと考えられる。
著者
田原 育恵 堀内 美由紀 安田 千寿 筒井 裕子 太田 節子 タハラ イクエ ホリウチ ミユキ ヤスダ チズ ツツイ サチコ オオタ セツコ Tahara Ikue Horiuchi Miyuki Yasuda Chizu Tsutsui Sachiko Ota Setsuko
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-67, 2013-04

背景 近年,要介護状態の後期高齢者は急増し,施設利用を自ら選択する意向もみられる.しかし 高齢者にとって施設入所による環境変化は,重大なリスクにつながる.目的 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境変化に適応するための要因を明らかにする.方法 同意が得られた介護老人福祉施設に入所8カ月の94歳の対象Cさんに,インタビュー調査を行った.そして逐語録を作成した後,KJ法の手法を用いて質的に分析した.結果・考察 KJ法の結果66個のラベルが取り出され,ラベルは20個の島に分類された.またこれらの島から11個の表札を抽出した.これらの分析より,生活環境への適応状態には【生活の知恵や判断力に基づいて対処行動がとれる】【自分の居場所が決められる】【職員のケアが適切である】【静かで自然を感じる環境がある】【家族が支えになっている】の5つの要因が関連していることが明らかになった.結論 介護老人福祉施設入所による後期高齢者の生活環境への適応状態を質的に分析した結果, 5つの適応要因の関連が明らかになった.
著者
西川 節 金 安明 正村 清弥 井上 剛 中西 愛彦 生野 弘道
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.221-226, 2012 (Released:2017-05-11)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

Object : To study long-term outcomes of anterior decompression and fusion (ADF) and expansive laminoplasty (ELP).   Materials and Methods : Our study included 120 patients who underwent iliac bone grafting via the modified trans-unco-discal approach (TUD) or ELP with spinous process or ceramic spacers over 5 years ; the neurological symptoms and Japanese Orthopedics Association (JOA) scores of these patients were reviewed.  Results : Neurological symptoms and JOA scores improved in 111 out of the 120 patients (93%), and worsened in 9 patients (8%). There was no significant difference in the rate of improvement of neurological symptoms, and JOA scores in all groups. There was no significant difference in the improvement rates of neurological symptoms and JOA scores between all groups.  Conclusions : ADF and ELP showed comparable rates of improvement in neurological symptoms and JOA scores. It is important to choose the appropriate methods according to the pathophysiological conditions. ADF should be performed only for the appropriate lesions, since the problems pertinent to the adjacent lesions may ensue.