著者
岩倉 健夫 大城 宜哲 宮内 哲 時本 康紘 福永 智栄 柴田 政彦 柳田 敏雄 真下 節
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.46-50, 2003

右中足骨骨折後3週間のギプス固定により右足背部に allodynia を示した患者1名を対象として, allodynia 発現時の患側および健側への非侵害刺激, allodynia 消失後の患側への非侵害刺激に対する脳賦活領域を functional MRIを用いて比較検討した. 健側への刺激では第一次体性感覚野と頭頂連合野が, allodynia 消失後の患側への非侵害刺激では第一, 第二次体性感覚野が反応したのに対し, allodynia 発現時の患側への非侵害刺激では第一, 第二次体性感覚野, 島, 頭頂連合野, 前頭前野内側部, 前帯状回, 補足運動野など広い領域で信号の増強がみられた. allodynia は, 神経損傷後や組織障害後にみられる徴候の一つであるが, その痛覚認知機能はまだ明らかではない. 本症例でみられた腫脹, 皮膚温の上昇, allodynia などのCRPS type Iの症状は自然治癒したが, 初期にはCRPS type Iの症状がそろっており, 本症例でみられた allodynia はCRPS type Iと病態は共通している. 本研究によりCRPS type Iにみられた allodynia の痛覚認知機能を知るうえでの重要な知見が得られた.
著者
古川 聡子 河口 勝憲 前田 ひとみ 加瀬野 節子 小野 公美 上杉 里枝 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.332-336, 2016-05-25 (Released:2016-07-10)
参考文献数
6

急性冠症候群の診断に有用な検査項目として,ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)とトロポニンTがある。今回,H-FABP定性迅速検出キット「ラピチェック® H-FABP:ラピチェック」(DSファーマバイオメディカル)とH-FABP定量迅速検出キット「ラピッドチップ® H-FABP:ラピッドチップ」(積水メディカル)およびトロポニンT定性迅速検出キット「トロップTセンシティブ®:トロップT」(ロシュ・ダイアグノスティックス)の比較検討を行い,それぞれの検査キットの特徴を評価した。3キットともに陽性を示した疾患は急性心筋梗塞,狭心症,心不全,大動脈乖離,たこつぼ型心筋症などであった。H-FABPとトロポニンTの判定が異なった症例はすべてH-FABP:陽性,トロポニンT:陰性であった。H-FABPのみが陽性を示した中には,急性心筋梗塞の超急性期の症例,腎機能低下によりH-FABP濃度が上昇している可能性がある症例,骨格筋由来のH-FABPが血中に逸脱した症例などが確認された。さらに,H-FABPのみが陽性の中には心電図や心エコー上で治療介入を要する明らかな所見が確認されなかった症例(意識消失やヘルニア)も含まれていた。また,H-FABPのうちラピチェックのみが陽性であった2例は,めまい,不安障害の症例であり,ラピッドチップの定量値はそれぞれ5.5 ng/mL,5.0 ng/mLと陰性であった。これらの症例における,H-FABP上昇の可能性は低く,ラピチェックの偽陽性であることが示唆された。それぞれの心筋マーカー迅速キットが持つ特徴を理解し,使用することが必要である。
著者
荒木 理 藤井 浩平 赤間 大地 土山 聡宏 高木 節雄 大村 孝仁 高橋 淳
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.491-497, 2017 (Released:2017-07-31)
参考文献数
28
被引用文献数
15

Effect of aging treatment at 373 K on Hall-Petch coefficient (ky) was investigated in consideration of the change in friction stress associated with carbide/nitride precipitation in ferritic steels containing 60 ppm carbon or nitrogen (C60 and N60). Tensile tests revealed that the ky was monotonously increased with increasing aging time in both steels, and also, C60 exhibited a larger ky value than that of N60 under the same aging time. As a result of 3DAP analysis and theoretical calculation for grain boundary segregation of carbon and nitrogen, the ky corresponded to the amount of carbon and nitrogen existing at grain boundary. There was no difference in the effect on ky increment between both elements. The larger ky in C60 under the same aging condition was due to the larger amount of segregated carbon compared with nitrogen.
著者
高松 節子 タカマツ セツコ Setsuko Takamatsu
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.35, pp.37-50, 2005-12

The Sixteen Hand Horse (Gwynne,1980) is the picture book for the youngest which depicts a little girl's visual images of her parents' talking about such things as bells that peel and a running nose. This book might be used to teach children homonyms, idioms, and also corrections and errors. At the same time, not only the youngest but also adults can enjoy its humour. At the time when this book was introduced in our Reading class of Master of Education in certain University in U.S.A. in 1982, I could not imagine that it would be a cue to the study of metanalysis. Jespersen coined the word 'metanalysis' for the phenomenon frequent in all languages that words or word-groups are by a new generation analyzed differently from the analysis of a former age. He pointed out that the child's mishearing caused metanalysis. In most cases, themselves or adults correct children's mishearings. Only a few mishearings might become general. We call this phenomenon 'diachronic metanalysis'. Gunshi's theory of metanalysis is significant because he pointed out that we intentionally do analyze the words or word-group differently. He insists that we can find metanalysis in almost every expression of humour. He is illustrating chiefly about the adult's intentional metanalysis. We call it 'synchronic metanalysis'.
著者
寺田 雅之 山口 高康 本郷 節之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.1483-1500, 2017-09-15

個人に関わるデータの公開・提供にあたっては,開示されたデータから個人のプライバシが漏洩することを防ぐ必要がある.本稿では,それらのデータを匿名化された個票データ(microdata)である匿名化個票として開示する際において,強い数学的な安全性が示されている差分プライバシ基準を充足しつつ,データの有用性を高く保つ方式を提案する.提案方式は,属性空間を完全に分割した分割表と個票データは多重集合の意味で等価であることに着目し,完全分割表に対するLaplaceメカニズムの適用と,ベクトル空間における最近傍探索に基づく非負制約,整数制約,総数制約の充足により匿名化個票を得る.また,提案方式の有用性を評価するために,売上履歴を模したロングテイル性を持つ擬似的な個票データを用い,L2距離,KS-距離を指標として従来方式と定量的に比較評価し,従来方式と比べて元データの性質をより強く保持する匿名化個票が得られることを示す.
著者
福島 道子 北岡 英子 大木 正隆 島内 節 森田 久美子 清水 洋子 勝田 恵子 黛 満 奥富 幸至 菅原 哲男 藤尾 静枝 山口 亜幸子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.38-46, 2004-03-25

都内某保健所において児童虐待事例として援助した家族8例,および関東圏某児童養護施設において虐待事例として入所した児童の家族17例を対象に,「家族生活力量」の概念に基づいて事例検討し,児童虐待が発生している家族の問題状況を分析した.各事例を「家族生活力量アセスメントスケール」や家族システム論を用いて分析した後,全体像を短文で記述し,それをグルーピングしたところ,「精神疾患から虐待が発生し,それに伴って生活困難が生じている」「不健全な夫婦関係が虐待問題をより解決困難にしている」「生活基盤が弱いことによってネグレクトが生じている」「家族形態が成立しないまま出産し,出産直後から育児放棄している」「世代間境界の曖昧さが虐待問題をより解決困難にしている」「未成熟な家族ゆえに虐待が発生している」の6つに類型化された.また,「家族生活力量アセスメントスケール」で家族の生活力量を測定した結果,虐待が発生している家族は家族生活力量が低値であり,特に「役割再配分・補完力」と「関係調整・統合力」が顕著に低かった.虐待事例各々についてスケールの得点をみると,同スケール9領域のいずれかが0%である事例が21例みられた.虐待支援に当たっては,家族生活力量を査定したうえで働きかけることが必要であることが考えられた.本研究の限界として,事例数が少なく,虐待重症度や対象選定機関等に偏りがある.今後は,地域保健・福祉機関からの事例を積み上げていきたい.
著者
柴田節子
雑誌
整形 災害外科
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.133-142, 2001
被引用文献数
2
著者
成川 昇 山本 節雄 吾妻 重典 佐々木 則夫 山本 孝志 才所 敏明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1141-1142, 1988-09-12

原子力発電プラントの配管配置設計は、その規模、複雑さおよび設計に対する厳しい要求から熟練した多数の設計者と多大なる設計時間を必要としていた。本システムは知識工学的手法を用いて、自動的に初期の配管配置を行なうものであり、図1に示したように3つのステップから構成されている。前報では、Aスターアルゴリズムを用いた通過部屋列の決定手法、格子展開法によるルーティング手法(ステップ1、2)について説明した。本報では、仮説型推論によるルーティング手法および配管配置調整法(ステップ2、3)について述べる。