著者
近喰 ふじ子 塚本 尚子 安藤 哲也 吾郷 晋浩
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1171-1185, 2010-12-01
被引用文献数
1

筆者は,ここ数年,子どもが身体症状を訴えて母親とともに小児科外来を受診した際,子どもの症状を心配するよりも夫婦関係を重視した情報を聞かされ,家族関係が変化したことを母親の言葉から間接的に知らされた.すなわち,夫婦関係の親密性が想定された.そこで,今回,「夫婦親密度尺度」を作成した.本尺度は4因子の構造からなり,親関係項目からは「依存型夫婦」「安定型夫婦」「不満型夫婦」「尊重型夫婦」の31項目が,子ども関係項目からは「子ども重視型夫婦」「子ども干渉型夫婦」「子ども否定型夫婦」「子ども不信型夫婦」の25項目が抽出され,信頼性と妥当性が確認された.すなわち,従来使用されていた「家族機能測定尺度」との相関関係から,従来の家族機能とは異なる新しい家族機能へと変化し,子どもの混乱が生じやすいことが推察された.
著者
木庭 顕 両角 吉晃 松原 健太郎 原田 央 桑原 朝子 森田 果 金子 敬明 加毛 明 滝澤 紗矢子 岩原 紳作 神作 裕之 太田 匡彦 齋藤 哲志 川村 力
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近代のヨーロッパ・アメリカのみならずギリシャ・ローマ、イスラム、中国、日本の専門家が借財・土地担保・金融等々の社会史的分析をもちより、同時にこれらを(同じく歴史的に多様な)法的な枠組との間の緊張関係にもたらした。そしてそれらをめぐって比較の観点から激しい討論を行った。その結果、現代の信用問題を見る眼と信用問題の歴史を見る眼が共有する或る視座の限界が明らかになった。これは新しい視座の構築方向を示唆する。
著者
遠藤 哲夫 佐藤 方信 吉田 博 矢川 寛一
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.1007-1015, 1978-09-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
22

A total of 747 cases of malignant neoplasms of the thyroid reported in the “Annual of the Pathological Autopsy Cases in Japan” during the past 5 years (1969-1973) were reviewed and statistically analysed.Histological diagnosis in this series were papillary carcinoma in 323 cases (51.8%), follicular carcinoma in 143 cases (22.9%) and anaplastic carcinoma in 102 cases (16.3%). The average age of patients at autopsy was 58 years for papillary carcinoma cases, 62.4 years for follicular carcinoma cases and 61.7 years for anaplastic carcinoma cases. The incidence of metastasis to lymph nodes and to organs was 47.3% and 51.5%, respectively in cases of follicular carcinoma and 73.3% and 98.0%, respectively in cases of anaplastic carcinoma. Autopsy revealed an otherwise unnoticed thyroid cancer in 457 cases, which accounted for 61.2% of the entire autopsy cases of malignancy of this organ. A so-called multiple cancer, i.e. the concurrence of carcinomas in the thyroid gland and other organs, was seen in 239 cases (32.3%).
著者
後藤 哲朗
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.65-69, 2010 (Released:2011-05-10)
参考文献数
3

'61にソ連・ガガーリン飛行士が地球周回軌道の飛行に成功した後,米国が同等のミッションに成功したのはグレン飛行士による翌'62のマーキュリー6計画用フレンドシップ7号であった.アメリカ航空宇宙局(NASA)はそれ以前から撮影機材を多用しており,膨大な事象記録と解析データ取得に成功している.ニコンはアポロ計画以来スペースカメラを提供し続けており,NASAから求められる信頼性・高品質と極限状態に耐える性能をすべて実現して多大な貢献をしている(Fig. 1).以下にその改造内容と実績などについて,また情報は少ないもののニコン以外のスペースカメラについても言及する.
著者
西原 智恵 菊地 裕絵 安藤 哲也 岩永 知秋 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.264-271, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
7

食物アレルギーは多様な症状をきたしうるが, 心理的要因や併存しうる身体表現性障害を考慮した診療が行われなければ, 症状が遷延し重篤となりうる. 今回, 食物アレルギーと身体表現性障害を併存し, 身体的介入のみを受けたため多彩な症状が遷延し, 高度な生活障害に至った症例を経験した. 心身医学的介入が症状の改善に有効であったため報告する. 症例 : 40代, 女性. 2年前よりさまざまな食品を摂取した後に発疹, 腹部膨満, 四肢脱力, 情緒不安定などの症状が出現するようになった. 複数の医療機関で食物アレルギーが疑われ, 穀物・果物全般の除去を指導されたが症状は持続. 精査を希望しアレルギー科を受診した際, 四肢脱力をきたし緊急入院となった. 評価では, 食物アレルギー症状以外の症状を説明できる器質的異常を認めず, 身体表現性障害の合併が疑われた. 入院下の行動制限, 外来での情動への対処や自己主張の指導により, 身体表現性障害症状は改善し, 食物アレルギー症状も自制内となった.
著者
佐藤 哲彦
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.57-75,157, 1996-02-29 (Released:2016-12-22)

The purpose of this study is to describe the process whereby the continual use of philopon was defined as both a crime and a disease after World War II in Japan. (Philopon is a drug containing Phenylisoproplymethylamin which is called 'speed' in the United States) I use a model advanced by Conrad and Schneider in Deviance and Medicalization (1980/1992) to delineate this process. And this process proceeded as follows: 1 definition: Philopon was abused by those whom the medical profession thought to be immoral, for example, novelists, dancers, standup-comedians, etc. 2 prospecting: Some members of the medical profession discovered the intoxication factors in philopon after the death of a famous standup-comedienne. After her death, many studies about philopon intoxication emerged suddenly. 3 claim-making: The Japan Medical Association claimed that philopon should be controlled by the medical profession, implying that all medicine should be under its control. The Osaka Medical Association claimed that, for reasons of the public health, philopon should be prohibited, implying that the medical profession should be one of the first agencies concerned with public health. Some psychiatrists claimed that the continual use of philopon is a social problem, implying that psychiatrists should have the authority to make judgments about public health. Police claimed that philopon is a cause of many other crimes, implying that they could better maintain the social order if philopon were prohibited. 4 legitimacy: The goverment regarded the problems of continual philopon use as medical problems, so it regulated the traffic of philopon. And the medical profession, especially psychiatrists, were supported by a movement for public health, especially mental health. 5 institutionalization: The law prohibiting philopon was based mostly upon medical intoxication designation after an assault case in Saitama Pref. 6 re-claim-making and re-institutionalization: After a case of assault against a child, the law was reformed to prohibit philopon use more strictly, and the mental health law was also reformed to keep users off the streets. I suggest through the analysis of this process that in Japan (1) the medical profession tends to speak about the area of morality, (2) the medical designation of deviance can set the stage for criminal designation, and (3) legitimacy is achieved in the governmental bureaucracy rather than in the courtrooms or legislatures.
著者
井口 恵一朗 鶴田 哲也 高橋 大輔 佐藤 哲
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-5, 2009 (Released:2009-02-11)
参考文献数
13
被引用文献数
5 4

稲田養魚に対する一般意識を知るために,炊飯米の味覚官能試験を実施した。無農薬の実験田にフナ放養区と対照区を設けてコメを栽培した。アミロース,デンプン,タンパク質含有率について,フナ米と対照米の品質に大差はなかった。84 名の被験者を動員して,慣行栽培米を基準に,両試験米の食味を比較した。コメの出自を伏せた試験結果に差異は検出されず,出自を開示するとフナ米が高い評価を得た。食の安全と環境の保全に敏感な消費者は,コメとフナの双方の生産に資する稲田養魚に対して,良好なイメージを抱いていることが推測された。
著者
藤井 雄太郎 安藤 哲志 伊藤 孝行
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,SNSが急激に発達してきている. SNS上には未成年ユーザにとって有害な情報を配信するユーザも存在し,問題となっている. そこで本稿では,効率的に未成年ユーザに対して有害な文章をフィルタリングする事を目的とし,それらの文章を2単語間の共起情報を用いた判別方法により自動的に判別するシステムを提案する. また,実在しているSNSの文章を用いて判定実験を行い,本システムの有効性を示す.
著者
新藤 哲也 牛山 博文 観 公子 安田 和男 斉藤 和夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.277-282, 2004-10-25 (Released:2009-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
6 8

5種の市販ジャガイモ(メークイン,男爵,ワセシロ,レッド,パープル)中のα-ソラニンとα-チャコニンを衛生試験法に基づいて抽出,固相抽出カラムによるクリーンアップを行い,C18カラムを用いてHPLCにより分析を行った.回収率はα-ソラニンおよびα-チャコニンともに 96% と良好であり,本法における定量限界は試料1 g当たりいずれも2μgであった.ジャガイモの皮層部中のα-ソラニンとα-チャコニンはすべての試料で検出され,それらの含有量はメークイン,男爵,レッド,パープル,ワセシロの順で多かった.ジャガイモの髄質部中のα-ソラニンとα-チャコニンはメークインおよび男爵のみから検出され,その含有量はいずれも皮層部の1/10以下であった.ジャガイモを90日間室温暗所で貯蔵した場合のα-ソラニンとα-チャコニン含有量は多少の増減はあったものの5種のジャガイモのいずれの部位においても顕著な増加傾向は見られなかった.
著者
新井 信之 内山 範夫 佐藤 哲郎 佐藤 とも子 植田 さおり 渡辺 和美 大谷 知子 須田 剛
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-14, 2007-03
被引用文献数
1

目的:精神障害者生活訓練施設における精神障害者の賃貸アパート契約に至るまでの支援内容とその実際から,住宅確保に向けた課題を明らかにする。方法:T援護寮を退所し単身生活をはじめた29名を対象に,担当職員9名への半構造化面接及び利用者個人記録の内容を項目ごとに整理し、その人数を比較した。研究期間は2001年10月から2002年2月である。結果:対象者の診断名は統合失調症が最も多く24名で,その他は神経症,躁鬱病,人格障害などであった。年齢は平均41.2歳で,最年少20歳,最高齢65歳であった。賃貸アパートに退所した25名(86%)の経済基盤は障害年金や生活保護費の受給が主で,賃貸アパートの契約時に申告する職業がなく,また家族関係の悪化から保証人を家族に依頼できない者も5名いた。更に21名が精神疾患の罹患が契約上不利になると判断し病気を隠していた。結論:精神障害者の賃貸アパート契約では,家賃支払いの基盤となる就労先や保証人の確保,精神疾患に罹患しているという事実の扱いが大きな課題となっていた。今後の支援では,就労先の確保,保証人協会などの保証人制度の充実など具体的かつ実際的な支援の充実の必要性が示唆された。
著者
永野 伸郎 伊藤 恭子 本多 雅代 須永 悟 田ヶ原 綾香 野原 ともい 野原 惇 星 綾子 溜井 紀子 安藤 哲郎 筒井 貴朗 新田 孝作 佐倉 宏 小川 哲也
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.571-580, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
20
被引用文献数
2 5

【目的】透析患者に処方される経口薬剤錠数に占めるリン吸着薬の割合を把握し, 錠剤に含まれるマグネシウム (Mg) の影響を検討する. 【方法】血液透析患者520名に処方中の経口薬剤を薬効別に分類後, 総処方錠数に占める割合を算出した. また, 血清Mg値をリン吸着薬の処方有無別, 錠数別に解析するとともに, リン吸着薬のMg含量をICP-MSにより実測した. 【結果】1日に17.8錠/人の経口薬剤が処方されており, このうちリン吸着薬の割合は35% (6.2錠) であった. リン吸着薬処方患者の血清Mg値は非処方患者よりも高値であった. 処方錠数が最多である沈降炭酸カルシウム錠500mg「三和」の単剤処方患者169名において, 血清Mg値は処方錠数と正相関し, 処方錠数五分位は独立した有意な説明変数であった. また, 本剤のMg含量は1.8mg/gであり, 他剤よりも高値であった. 【結語】リン吸着薬は服用錠数が多いため, 一部の製剤に含まれるMgが血清Mg値に影響する可能性が示された.