著者
遠藤 幸子 成瀬 真理生 近藤 博史 田村 淳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.147-156, 2020-06-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
60

人工林は日本の森林の約40%を占めており,木材供給だけでなく生物にとっての適した生息場所として機能することが期待されている。しかしながら,人工林内の生物の多様性およびその生態について十分に理解されているとはいえない。本研究ではスギ・ヒノキ人工林で観察される鳥類種を明らかにし,その生態的特徴について考察した。調査は2014年から2018年の鳥類の繁殖期にあたる5月から6月にかけて神奈川県西部の3山域57地点において実施した。観察調査から8目26科45種がスギ・ヒノキ林を利用していることが明らかとなった。確認された種数およびその種組成は,スギ林とヒノキ林との間で有意な違いはみられなかった。確認された鳥類のうち留鳥10種と夏鳥2種を含む2目9科12種は,全ての山域で年を経ても繰り返し確認されており,これらはスギ・ヒノキ人工林を利用する確率の高い種であると示唆された。これら12種のうち11種は昆虫食であった。さらに,10種は樹上と樹洞に営巣する傾向があった。このように,人工林を利用する確率の高い種では,食性と営巣場所の選択において高い共通性がみられた。
著者
日本小児歯科学会学術委員会 山﨑 要一 岩﨑 智憲 早﨑 治明 齋藤 一誠 徳冨 順子 八若 保孝 井上 美津子 朝田 芳信 田村 康夫 嘉ノ海 龍三 牧 憲司 吉原 俊博 船津 敬弘 手島 陽子 上里 千夏 山下 一恵 井出 正道 栗山 千裕 近藤 亜子 嘉藤 幹夫 渡邉 京子 藤田 優子 長谷川 大子 稲田 絵美
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-39, 2010-03-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
58
被引用文献数
13

永久歯の先天性欠如は,その発現部位や欠如歯数によって様々な歯列咬合異常を誘発するため,小児期からの健全な永久歯咬合の育成を目標とした継続的な口腔管理を行う上で大きな問題となる。我が国の先天性欠如の発現頻度の報告は,単一の医療機関を受診した小児患者の資料に基づいたものが多く,被験者数も限られている。そこで,日本小児歯科学会学術委員会の企画で国内の7 大学の小児歯科学講座が中心となり,我が国初の永久歯先天性欠如に関する全国規模の疫学調査を実施した。参加7 大学の代表者と実務者による全体打ち合わせ会を通して,調査方法の規格化や症例の審議を重ね,調査の信頼性向上に努めた。対象者は,大学附属病院の小児歯科,またはこれらの大学の調査協力施設に来院し,エックス線写真撮影時の年齢が7 歳以上であった小児15,544 名(男子7,502 名,女子8,042 名)とした。第三大臼歯を除く永久歯の先天性欠如者数は1,568 名,発現頻度は10.09%であり,男子が9.13%,女子が10.98%であった。上顎では4.37%,下顎では7.58%に認められた。上顎および下顎における左右の頻度の差は0.11%,0.14%であり左右差は小さかった。歯種別では,下顎第二小臼歯に最も多く認められ,次いで下顎側切歯,上顎第二小臼歯,上顎側切歯の順であった。
著者
葛谷 昌之 近藤 伸一 伊藤 幸祐 沢 崇史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.121, no.4, pp.289-293, 2001-04-01 (Released:2002-09-27)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

The area of radiation exposure by the nuclear accident occurred at Tokai village in 1999 was estimated by the ESR measurement of 95 household sugar samples collected from the accident area. These samples were roughly classified into three types of sugar, fine white sugar, fine brown sugar and coarse brown sugar. The control fine white sugar showed no radical in the ESR spectrum, while those of fine brown sugar and coarse brown sugar showed the presence of a small amount of radicals. It was also shown that, among these three kinds of sugar, the radical concentration of fine white sugar sampled from wooden houses at the area similar to each other did not vary much with the samples, while those of fine brown sugar and coarse brown sugar varied to a considerable extent. Thus, the fine white sugar is considered to be more suitable for the estimation of the level of radiation exposure. The radical concentration of each fine white sugar sample was plotted against the distance from the site of the nuclear accident with a correction of the difference in the shielding effect between concrete houses and wooden houses. The samples obtained at more than 2 km north of the site of nuclear accident showed no ESR spectral signal to a detectable extent. On the other hand, the ESR spectra were observed from the samples obtained within 10 km south and 4 km west of the accident site. These results suggest that the radiation exposure by the contaminant blown by the northeast wind blowing on the day of the accident may occur at the south and west areas.
著者
松永 玄 山口 智史 鈴木 研 近藤 国嗣 大高 洋平
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11163, (Released:2016-06-04)
参考文献数
40

【目的】通所リハビリテーションを2 年間利用した脳卒中者の歩行能力と下肢筋力の変化を検討する。【方法】脳卒中者126 名(平均年齢64 歳)の利用開始時,利用後3,6,12,24 ヵ月の歩行能力と下肢筋力を,開始時の歩行速度によりHousehold 群(0.4 m/s 未満),Limited 群(0.4 m/s ~0.8 m/s),Full群(0.8 m/s 以上)に分類した。【結果】Household 群の歩行速度は,開始時と比較し,6 ヵ月以降で有意に向上し,麻痺側筋力は利用後12,24 ヵ月で有意な増加を認めた。Limited 群の歩行速度は,6 ヵ月以降で有意に向上し,麻痺側筋力は24 ヵ月で有意な増加を認めた。Full 群は有意な変化を認めなかった。【結語】2 年間の通所リハビリテーション利用により,生活期の脳卒中者においても歩行速度と下肢筋力は改善・維持することが示され,その傾向は開始時の歩行能力が低い群で特に得られることが示唆された。
著者
玉田 泰嗣 古屋 純一 鈴木 啓之 小野寺 彰平 山本 尚德 佐藤 友秀 野村 太郎 近藤 尚知
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.503-509, 2020-03-31 (Released:2020-04-17)
参考文献数
18

摂食嚥下リハビリテーションは,慢性期のみならず急性期病院入院中の早期から行うことも重要である。歯科においても,特に有床義歯に対する歯科補綴学的対応は歯科医師に限定されているため,他職種からの期待も大きい。しかし,摂食嚥下障害を有する急性期病院入院患者における有床義歯の使用状況については,十分には明確になっていない。そこで本研究では,摂食嚥下障害と診断され歯科に依頼のあった急性期病院入院患者627名(平均年齢71.0歳)を対象として,有床義歯の使用状況について調査を行った。患者の多くは脳血管障害や頭頸部癌を有する高齢者で,多数歯欠損であるEichner分類B3~C3の割合が全体の約60%を占めていた。有床義歯に対する歯科補綴処置の必要性は医科の認識よりも実際には高く,全身と口腔の状態から歯科医師が,有床義歯装着が必要と判断した患者は全体の約70%だった。しかし,実際に義歯を使用している患者は全体の約25%であった。また,摂食嚥下障害臨床的重症度分類(Dysphagia Severity Scale:DSS)が低い患者ほど義歯を装着していないことが多いが,誤嚥を認めないDSS 5,6の患者においても,義歯が必要だが使用していない患者を約35%認めた。以上より,摂食嚥下障害を有する急性期病院入院患者においては,有床義歯に対する歯科補綴学的対応が重要であることが示唆された。
著者
山谷 立大 小泉 寛之 樫見 文枝 近藤 竜史 竹内 一郎 隈部 俊宏 浅利 靖
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.892-896, 2014-12-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
14

顔面外傷は気道閉塞や出血性ショックなど,時に緊急度の高い病態を引き起こす。我々は顔面外傷による気道閉塞に対してドクターカーの出動により迅速かつ適切な気道確保を行い,出血性ショックに対して迅速かつ有効な血管内治療により救命した重症顔面外傷の1例を経験したので報告する。症例は53歳の女性。自動車で走行中, 路肩に停車していたトラックに後方から衝突し受傷した。トラック運転手により救急要請,高エネルギー外傷および気道閉塞の可能性があり同時に救急隊よりドクターカー要請となった。救急隊現着時意識レベルGlasgow coma scale(GCS)7[E1V1M5],SpO2 76%,血圧96/71mmHgであった。鼻腔および口腔内からの大量出血による気道閉塞に対し直ちにAirwayscope®を使用し気管挿管を行い, 出血性ショックに対し急速輸液開始し当院救命救急センターに搬送した。病着時には収縮期血圧60mmHgまで低下し輸血の急速投与を行った。頭部CT検査で多発顔面骨骨折, 外傷性クモ膜下出血, 急性硬膜下血腫,気脳症,頭蓋底骨折を認めた。体幹部CT検査で肺挫傷,気胸を認めたが出血性ショックの原因となる所見は存在しなかった。鼻腔および口腔内からの出血が持続していることから,原因として外頸動脈系からの出血を疑い血管造影検査を施行した。左顎動脈からの血管外漏出像を認めたため緊急に経カテーテル動脈塞栓術を施行,直後から血圧が上昇し循環動態の安定を得ることができた。
著者
近藤 昭彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.109, 2020 (Released:2020-03-30)

2019年秋季に千葉県は台風15号、19号および台風21号の影響による風水害に見舞われた。一連の災害で最も広域の被害があったのは台風19号であり、この時は千葉県はむしろ被害は少ない印象を報道は与えたように思う。台風19号が、その後開催されたシンポジウム等では中心課題となったようである。しかし、連続する風水害が三重苦となった地域も多い。これは災害に対する外からのまなざしと内からのまなざしの違いといえる。前者では研究の成果の公表、後者では行政による災害対応、ボランティアや被災者自身を含めた復旧・復興が具体的なアクションとなるが、災害をわがこと化し、ふたつのまなざしを融合させる意識の醸成が大切だろう。 台風15号による強風は家屋の破壊、送電網の切断、倒木等の被害が生じたことはこれまでに報告されている通りである。災害の誘因は強風であるが、素因としての人間的側面をいくつか挙げることができる。・建物の老朽化:人口減少、高齢化と関連・雨戸の機能の失念:伝統的家屋の機能の再認識・森林管理の不全:拡大造林とその後の林業の不振 長引く停電は多くの家庭で不便を生じさせたが、多くの場所で末端の電信柱が倒れたため、復旧が追いつかなかったためである。これは送電システムに対する課題であり、これを機に自然エネルギーの活用策が進むと良いと思う。 土地利用、土地条件および地形と水害の関係は地理学の課題であり、防災、減災の要といえる。今回もこれらの関係が説明可能な事例が多く見られた(仮説を含む)。・JR佐倉駅東方高崎川鏑橋における氾濫(台風21号) 市街地が高崎川の沖積低地に発展したため、高崎川が市街地に入る部分が狭窄部となっており、従前から治水上の課題であった。・茂原の氾濫(台風21号) 概ね想定された範囲で浸水が発生したが、この地域は天然ガス鹹水の揚水による地盤沈下が進行している。地盤沈下と治水安全度の関係は現時点では不明であるが、受益と受苦の関係性に関わる社会的な問題でもある。・八街市の氾濫(台風21号) JR八街駅は台地上にあり、台地面上に市街地が発達している。関東ローム層底部には常総粘土層が発達しており、昔から湿潤な土壌を好む里芋の産地である。台地上によく見られる皿状地(台地の離水過程で形成された地形)では従前から夕立程度の雨でも広く湛水する地点が多数存在した。・長柄町、長南町の氾濫(台風21号) 丘陵地帯に位置する長柄町、長南町でも氾濫が発生した。ハザードマップはできていたが、浸水想定区域外でも浸水が発生した。この地域は上流部に塊状泥岩である笠森層が分布し、降雨時に飽和帯が発生しやすい。地質の特徴が急な浸水の発生を促した可能性がある。 以上のように、土地条件と水害の関連を地理学的知識に基づいて説明することは可能である。知識を智慧に変え、短期的だけではなく長期的な観点から災害に強い地域を創ることは地理学に課せられた課題であろう。 現在、多くのダムでは事前放流を行い、豪雨に備える対策をとっている。印旛沼でも台風15号の際に事前放流を行い、水位を下げた結果、沼の水位を低く抑えることができた。二つの排水機場を動作させなかった場合は水位は計画高水位を超えたであろうことを水資源機構は報告している。また、印旛沼土地改良区では排水ポンプを止めて、収穫後の水田を湛水させることにより印旛沼の水位上昇抑制に貢献している。隠れた努力、行為を知ることも防災意識向上への契機となりえる。 君津市久留里では台風15号により停電、断水等の被害に見舞われたが、上総掘りの自噴井が役に立ち、給水車を他地域に配置ができた事例があった。浅層地下水が利用できる富里市では発電機によるポンプの稼働で給水ができたという話を聞いた。地域の自然資源の活用は災害に強い地域づくりの要となるだろう。 ハザードは避けられないものだとしても、それをディザスターにしない方法を地理学的知識に基づき、生み出すことがでる。それが防災に関わる教育の目標である。一方、我々は近代文明の成果である治水施設により守られていることを知ることも重要である。 災害は地域で発生するので、地域ごとに素因を明らかにすることによって地域の安全を創り出すことができる。本文では十分な検証を経ずして記述している部分もあるが、今後の防災教育では地域の人が地域を知ることにより、地域の安全に関わる知識を生み出すことが災害に対して強い地域を創り出すことになる。それが必履修化される「地理総合」の目指すところではないだろうか。

4 0 0 0 OA 史籍集覧

著者
近藤瓶城 編
出版者
近藤出版部
巻号頁・発行日
vol.24, 1926
著者
近藤 五郎 中井 貞康
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.343-348, 1986-04-30 (Released:2010-03-18)
著者
近藤 滋
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本申請研究では、動物の皮膚模様ができる原理をゼブラフィッシュを使って解明することを目的とした。研究開始時点では、ゼブラフィッシュの模様がチューリングの反応拡散波としての性質を持つことは解っていたが、その詳しい原理については未解明だった。理論から予測された細胞間の相互作用と作用分子を、細胞生物学、分子生物学的な手法を使って同定して行き、最終的には、チューリング波を作るために必要な相互作用ネットワークの同定に成功した。インビトロ系での模様形成や、ギャップジャンクションが関与する原理など、興味深い研究の種はまだ多くあるが、模様形成原理という点に関しては、ほぼ目的を完遂することができたと考える。

4 0 0 0 OA ローレライ

著者
近藤 朔風[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1941-07