著者
胡 思已 坂本 龍一 近藤 正章 中村 宏 新 善文
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2018-OS-144, no.5, pp.1-7, 2018-07-23

Linux 系 の OS は積極的に開発されており,デバイスドライバの実装スピードも早く,最新のデバイスを安定動作させることが可能であることから,様々な機器に搭載される OS として広く用いられている.一方で,NetBSD は安全で高い移植性を備えた OS であり,アプリケーションやプロトコルスタックの実装にも頑健性があるなど優れた点も多い反面,Linux に比べて最新のデイバスをサポートしていないなどの課題もある.そのため,最新のデバイスにおいて NetBSD がサポートする頑健なプロトコルスタックを用いることは容易ではない.そこで,NetBSD のカーネルをユーザレベルのプロセスとして実装し,NetBSD のプロトコルスタックやアプリケーションを Linux から利用するための Rump kernel が開発されている.これまで,Rump kernel 利用時の通信性能については十分に評価がされておらず,また通信性能の改善に関しても十分に検討されてこなかった.そのため,本稿ではまず,Rump kernel 利用時の通信性能を評価した.その結果,ネイティブな Linux の通信性能に比べて非常に低い性能しか得られないことがわかった.そこで,Rump kernel 利用時の通信性能の向上手法を検討し,実装を行った.初期実装版で評価を行ったところ,Rump kernel を利用したデータ送信では,95.9% 程度の性能向上が得られることがわかった.
著者
榎本 祐嗣 長尾 年恭 古宇田 亮一 山辺 典昭 杉浦 繁貴 近藤 斎
雑誌
日本地球惑星科学連合2022年大会
巻号頁・発行日
2022-03-24

日本列島および取り囲む近海には、水溶性メタンガス田やメタンハイドレート賦存域が拡がっていて、その地域で発生する大地震の巨大エネルギーはメタン/メタンハイドレートを賦活化しガス田火災や津波火災を引き起こす可能性がある。実際、歴史地震史料を辿るとそのような事例をいくつか挙げることができる。例えば1923年大正関東地震で起きた被服廠跡の惨劇は、従来周辺で発生した火焔を巻き込んだ“火災旋風”と理解されてきたが、南関東ガス田由来のメタン火焔の噴出による激甚火災を裏付ける資料や証言がある(榎本ほか,2021)。1855年安政江戸地震では夜中だったため大地の割れ目から火が噴き出る様子が目撃された。このとき起きた同時多発火災の発生域は大正関東地震のそれと重っている。その火災発生域の地下の比較的浅いところに、シルト層がキャップロックとなるメタン溜が存在する(。このメタンが地割れでできた新生面との電気相互作用で帯電・静電気着火して地表に火焔となって噴き出したと考えられる。図に示す資料は被服廠跡で起きた惨劇の真因を物語る。新潟や長野地域にも水溶性ガス田が存在していて、1828年越後三条地震や1847年善光寺地震でも地中から火焔が吹き出し、街中の火災を誘発した。一方1993年北海道南西沖で起きた津波は、海底から巻き上げたメタンバブルを運び、奥尻島青苗港の岸壁に衝突して舞い上がった帯電ミストにより静電気火災が発生、飛び火して青苗の街を焼き尽くした。2011年東北沖地震で起きた津波火災件数のうち24%は原因不明とされているが、青苗港で起きたと同様な原因である可能性がある。以上に述べた自然火災害は、しかしながら国の被害想定に含まれていない。対策が立てられないままでは、過去に起きた地震火災害が繰り返される懸念をぬぐえない。首都圏直下地震や南海トラフ地震発生の可能性が増すいま、地下/海底に賦存されるメタン/メタンハイドレートが誘発する地震火災害の想定と対策の実施にむけた活動は喫緊の課題であろう。例えば避難先と指定されている場所でのメタンモニタは欠かせない。沿岸に林立する石油タンクを津波火災の危険からどう守るか、課題はいくつも見えてくる。 具体的な課題を一つあげておこう。東京都は地盤沈下を防止するため、1972年末から天然ガス採取を全面停止、1988年6月から東京都の平野部全体を鉱区禁止地域に指定し揚水を規制した。そのため、東京駅の地下駅(たとえば京葉線)や、上野の新幹線駅などは、地下水位が上昇し地下筐体が浮き上がってきた。このことは地下水位の上昇だけでなく、南関東ガス田由来の天然ガスもかつてないほど蓄積され圧力上昇している可能性が高く、ガス漏れの監視あるいはガス抜きの対策を実施することが、迫る首都直下地震での火災発生被害低減につながるのではないだろうか。まず重要なことは防災・減災に携わる専門家のあいだで、この自然火災害に対する危機意識を共有し、対策の立案・実施が必要なのだが猶予はあまりない。図の説明左図:帝都大震災画報其九「厩橋より本所横網町方面大旋風之惨状」に描かれた被服廠跡の火焔竜巻、大正十二年(すみだ郷土文化資料館提供)、右図:絵葉書「斯如き電車路本所方面」(個人蔵)、石畳は剥がれ、レールは右上に曲がり土砂が噴き出している。1000℃を超える火焔が噴き出したためと考えられる。
著者
近藤 優美子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.164, pp.50-63, 2016 (Released:2018-08-26)
参考文献数
10

本稿では,補助動詞「しまう」のうち,現実の世界で既に実現した事態に接続するものをテシマッタとし,テシマッタが何を表すかと,そこから課される使用制約を明らかにした。 テシマッタは,実現した「事態は想定と異なる」という話し手の評価的態度を表す。そこから次の使用制約が課される。話し手は,具体的にはどのように「事態は想定と異なる」か,を表す情報を,聞き手が文脈から得られるようにする必要がある。検証は1.会話コーパスの分析,2.二種類の話し手の評価的態度「事態は想定と異なる」と事態は想定通りという文脈内での例文の自然度判定調査,3.会話作成調査の三つの手法による。2,3は母語話者調査である。 カーナビが「目的地に到着してしまいました」と言ったら不自然であるのは,機械であるカーナビが事態を評価することはない点,また目的地に着くという事態は想定通りである点でテシマッタの使用制約に反するからである。
著者
玉置 勝司 石垣 尚一 小川 匠 尾口 仁志 加藤 隆史 菅沼 岳史 島田 淳 貞森 紳丞 築山 能大 西川 洋二 鱒見 進一 山口 泰彦 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 塚崎 弘明 笛木 賢治 藤澤 政紀 松香 芳三 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.369-386, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

難症例の1つに咬み合わせ異常感や違和感があり,その訴えに対応する客観的所見が確認できない症例に遭遇することがある.通常,咬合紙,ワックス,シリコーンなどを用いて確認はするものの,咬合接触状態に特に異常は見つからない.さらに,患者の咬合に関する執拗な訴えに対して歯科医師が患者に問題の部位を確認してもらい,患者の指示により咬合調整を行ってしまうといった患者の感覚主導型治療に陥ってしまうことがある.その結果,患者の訴えは改善しないばかりか,逆に悪化することもさえもある.そして,患者と歯科医師の信頼関係が壊れ,思わぬ方向に陥ってしまうことも珍しくない. このような患者が訴える咬合に関する違和感に対して,社団法人日本補綴歯科学会,診療ガイドライン委員会において,平成23年度「咬合感覚異常(症)」に関する診療ガイドラインの策定が検討された.診療ガイドラインの策定に際し,委員会の作成パネルによるガイドライン策定を試みたが,咬合感覚異常(症)に関する十分に質の高い論文は少なく,診療ガイドラインの作成には至らなかった.そこで,本委員会のパネルで協議した結果,「咬合感覚異常(症)」に対する日本補綴歯科学会としてのコンセンサス・ミーティングを開催して本疾患の適切な呼称の検討を行った.また事前のアンケート調査結果から,このような病態を「咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome)」とした. 今回のポジションペーパーは,今後の診療ガイドラインの作成とそれに対する研究活動の方向性を示す目的で,過去の文献と咬合違和感症候群患者のこれまでの歯科治療の経過や現在の状況について実施した多施設による患者の調査結果をもとに作成された.
著者
近藤 凜太朗
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.642-654, 2022 (Released:2023-04-25)
参考文献数
36

本論では、文科省「生命(いのち)の安全教育」モデル教材の内容をフェミニズム理論の視点から分析し、その論理体系を明らかにした。本教材は、DV・性暴力の被害者を非難する神話を問い直す点で一定の意義を有しながらも、家父長制や異性愛主義といった権力構造を不問に付していた。そうした両義的性格は、「男女共同参画」という政策概念自体の限界に由来すると同時に、国家的人口政策としての少子化対策にも矛盾なく接続されうるものである。
著者
乙竹 秀明 東 いぶき 久保川 哲 近藤 亮一郎 有田 龍太郎 沼田 健裕 大澤 稔 菊地 章子 髙山 真 石井 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.419-429, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

漢方薬を用いたランダム化比較試験(RCT)を,日本東洋医学会は漢方治療エビデンスレポート(EKAT)としてまとめている。本研究では,漢方薬の RCT の現状と変遷を検討することを目的として,EKAT の分類法(研究デザイン,介入方法,研究目的,掲載雑誌の信頼度,出版年)を考案し,416本の RCT の分類と比較を行った。研究デザインで分類すると二重盲検 RCT(DB-RCT)は全体の8.9%と少なかったが,その86.5%がプラセボを用いた試験であった。標準治療のない疾病に対し漢方薬の効果を評価した研究の6割以上が DB-RCT であり,漢方薬への期待がうかがえた。近年になるにつれて,封筒法 RCT や準 RCT の割合が減少する一方,インパクトファクターの付く雑誌への掲載割合が増えており,質の高い漢方研究が行われ評価されてきていると示唆された。本研究は医学部医学科第2学年問題発見・解決型実習で行われた。
著者
岡 英明 本間 義人 恩地 芳子 櫻井 裕子 関本 美月 安藤 翔太 岩本 早紀 岩本 昂樹 近藤 美佳 梶原 浩太郎 牧野 英記 松田 健 近藤 陽一 佐藤 格夫 上村 太朗
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.583-589, 2021 (Released:2021-11-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

症例は73歳,男性.7年前に糖尿病性腎症で血液透析を導入,冠動脈ステント留置後で抗血小板薬を内服中であった.接触者検診で新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)と診断され当院に入院した.肺炎像は軽微であったが,D‒dimerが陽性でありヘパリンの予防投与を開始した.第2病日より38℃台の熱が続くため第4病日にデキサメタゾンを開始した.第6病日に腰痛が出現し,翌日には腹痛に変化した.同日の透析中にショックを呈し,貧血も進行しており透析を中止した.造影CTで左後腹膜出血と造影剤の漏出を認め,輸血を開始し感染対策を行った上で血管造影を行った.腰動脈出血を同定しコイル塞栓術で止血した.以後は貧血の進行を認めず,第60病日に転院した.COVID‒19では血栓性合併症が多くしばしば予防的ヘパリン投与が行われる.一方で抗血小板薬内服例や透析例は出血合併症のリスクが高く,抗血栓療法に関して慎重な判断が求められる.
著者
近藤 洋一 間島 信男 野尻湖哺乳類グループ
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.89-104, 2023-08-01 (Released:2023-08-17)
参考文献数
73

野尻湖からナウマンゾウをはじめ多くの脊椎動物化石が発見されている.1962年の第1次野尻湖発掘から2018年の第22次発掘までに15,989点の資料が野尻湖発掘調査団によって得られた.本論では第1次発掘から第22次発掘の資料をもとに,タクサ別層準別化石数の特徴を明らかにした.臼歯化石については,野尻湖層立が鼻砂部層T4~T6ユニット(43.8~42.6 ka)が単位時間単位体積当たりの化石数が最も多いことが分かった.また,臼歯化石からナウマンゾウの層準別の最小個体数をもとめ,その変遷を明らかにした.その結果,年齢構成の特徴から,野尻湖におけるナウマンゾウが選択的な死による集団である可能性があることが判明した.
著者
岩田 学 近藤 和泉 福田 道隆 橋本 賀乃子 相馬 正始 八戸 善直
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.372-377, 1998-10-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

片麻痺患者に見られる緊張性足指屈曲反射 (TTFR) に対する inhibitor bar の効果について検討した. 対象は慢性期の片麻痺患者で, 短下肢装具を着用し, 独歩可能な患者16名とした. この16名をTTFRが認められるTTFR群8名とTTFRが認められないCONTROL群8名に分け, 短下肢装具への inhibitor bar 装着前後で, 最大歩行速度が変化するかどうかについて比較検討した. その結果TTFR群では inhibitor bar 装着により, 最大歩行速度が14.5%向上し, stride length で6.75%, cadence で6.8%の増加が認められた. CONTROL群では, いずれも有意な増加を認めなかった. TTFRが認められる片麻痺患者では, inhibitor bar の装着により歩行能力の向上が期待できることから, その積極的な活用が望まれる.
著者
近藤 高史 小野 武年 西条 寿夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.812-821, 2017 (Released:2023-06-05)
参考文献数
29

味噌汁やお吸い物だけでなく,うどんやそばのつゆ/つけ汁を飲んだ時に,ほっとする感覚を覚える日本人は多い。心が落ち着くと,問題行動が改善する可能性も考えられる。そこで,著者らは実験動物(マウス)にだしの代表格であるかつおだしを継続摂取させた結果,予想通りに攻撃行動およびうつ様行動が低下(すなわち改善)することを見出した。本稿では,かつおだしの継続摂取によって生じる「攻撃行動の低下」に焦点を絞り,その仕組みについて解説いただいた。
著者
近藤 直也
出版者
関西大学博物館
雑誌
関西大学博物館紀要 (ISSN:13414895)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.169-199, 1997-03-30
著者
近藤 公彦
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-46, 2002 (Released:2011-05-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

この論文の目的は、ニチイ (現マイカル) によるビブレの業態開発プロセスをケース・スタディの対象としながら、イノベーションと競争の視点から業態開発における研究モデルを探ることにある。このケース・スタディを通じて発見された事実は、次の2点である。第1に、新業態の開発は既存業態との異業態性を克服するなかで行われるものであり、そのプロセスにおいて商品調達、商品政策、および販売方法の3つの側面でイノベーションが引き起こされたこと、第2に、開発された新業態の競争優位は地域的可変性と時間的可変性から構成される業態可変性を基礎としていること、である。
著者
今井 理衣 金 佑香 岡野 周志 近藤 竜太
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.38-42, 2022-12-27 (Released:2022-12-27)
参考文献数
8

A 9-year-old neutered female British shorthair cat presented with anorexia. Physical examination revealed stomatitis and gingival ulcer of the maxillary anterior acetabulum. Computed tomography showed a bone-infiltrating neoplastic lesion in the maxilla invading the orbit. A core biopsy of the lesion along with imaging studies and laboratory examinations revealed stage 3 oral squamous cell carcinoma. An esophageal fistula tube was placed and administration of analgesics and molecular-targeted drugs was initiated. After a month, palliative irradiation was performed. The cat tolerated without significant side effects during the 197-day administration of the molecular-targeted drug. Later in treatment, radiation therapy caused necrosis of the bone and skin. However, for most part of the 227-day survival, quality of life was well maintained with pain relief and dietary supplements.
著者
船津 和夫 山下 毅 斗米 馨 影山 洋子 和田 哲夫 近藤 修二 横山 雅子 高橋 直人 水野 杏一
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.572-580, 2019 (Released:2020-04-01)
参考文献数
38

目的:コーヒー飲用の肝障害に対する改善効果は,これまで国内外から報告されてきた.今回は,10年間にわたる長期縦断的調査で,コーヒー飲用の脂肪肝ならびに臨床検査値への影響を検討した.対象と方法:腹部超音波検査で脂肪肝を認めない男性のなかで慢性肝障害,高血圧,脂質異常症,糖尿病で治療中の人を除いた対象者について,10年後の脂肪肝発生の有無で調査終了時の年齢,BMI,運動量をマッチした無脂肪肝群(404名)と脂肪肝群(202名)のペアを作成し,両群におけるコーヒー飲量の推移と臨床検査値の変動を比較した.また,脂肪肝発生に影響する可能性のある諸因子を調整し,コーヒー飲用の脂肪肝発生への影響を検討した.次に,10年間のコーヒー飲量の推移によりコーヒー飲量減少群(233名),同等群(213名),増加群(151名)の3群に分け,各群の脂肪肝発生頻度と臨床検査値への影響を検討した.結果:脂肪肝の発生別に分けた2群ならびにコーヒー飲量の推移別に分けた3群の検討から,コーヒー飲用が脂肪肝の発生を抑制し,メタボ関連項目の臨床検査値の改善をもたらす可能性が示唆された.結論:コーヒー飲用は脂肪肝の発生を抑制し,生活習慣病関連因子の改善をもたらす可能性があることから,生活習慣病の予防に有用であることが示唆された.
著者
近藤 泰三 長谷川 篤美
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.279-291, 2013 (Released:2014-12-05)
参考文献数
17

東日本大震災により全県に及ぶ甚大な被害を被った3県(岩手,宮城,福島)の病院で100床以上の病床を持ち,かつ,医療情報システムを利用しオーダエントリもしくは電子カルテ運用を行っている病院に宛て医療情報システムの被災状況アンケートを送付し回収した.回収率は66%,回収数は55病院であった.津波被害がなければ,病院建物に損傷があっても病院全体が業務遂行不能になることはなく,サーバ自体の損傷も軽微であった.データベースも損傷なく維持されていた.ネットワーク自体も損傷した建物を除き維持されていた.しかし,医療情報システム運用可能な病院でも,非常電源装置の不安定作動,サーバ室の空調への非常電源未接続,ネットワークの末端スイッチへの非常電源未接続等により,約60%の病院では震災後早期の医療情報システム使用が困難であった.今後業務継続計画(BCP)として医療情報システムが災害後早期に使用できる環境整備が重要であり,データベース損失に備えた遠隔バックアップを早急に考慮すべきである.
著者
近藤 信義
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部研究紀要 (ISSN:09114378)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.55-82, 1988-03-20